ブルーベリー学園には黒幕がいる   作:インマラホテプニキ

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タ〜ロタロタロタロ! ゼロの秘宝番外編楽しみタロ〜!

配信前にほとんど言いがかりで黒幕認定する流れが好きだったから、タロ黒幕説(笑)が再浮上して嬉しい。

でも多分今回も明確な悪はいないんだろうなあ……作中一番の悪人がパルデアで教師やってるってマジ?


その技術を全て受け継いだ正当後継者タロ

「この電気石には『負』の気を吸収し、自身や周囲を浄化する効果があるんです」

「負を吸収……本当に?」

「ええ、こちらの通常の電気石と見比べてみてください」

「どれどれ……あ、分かった。こっちは普通のより少し透明なんだね」

「さすがネムさんですね。あなたには真贋を見抜く稀有な力がおありだ」

「えへへ、そうかな?」

「ネムさんともなればすでに察しがついているかもしれませんが、この特別な電気石は、負を吸収するたびに濁り、通常の電気石と変わらない色に戻ってしまいます」

「ずっと使えるわけじゃないんだね」

「そうなったらまた新しいものに交換すればいいんですよ」

「あ、そっか。ちなみにいくらするの?」

「相場は20000BPですね」

「え、流石に高いなあ」

「相場は、ですよ。ネムさんとは知らない仲じゃありませんし……9000BPでお譲りします」

「そんなに安くしていいの!?」

「もちろん。どうです? この石は希少なので決断は早い方がよろしいかと。人気の商品ですし、在庫にも限りがありますから──」

 

 

 

「決を採って。カキツバタ」

 タロがぞんざいな口調でチャンピオンに促す。

「今ここで決めましょう。この娘からお金を騙し取ったリーグ部員を処罰するのか、見逃すのか」

「騙されたとは人聞きの悪い。いいかい? 私は彼との正当な取引のもとこの特別な電気石を購入したのだから──」

「ネムちゃんは黙っててください! さあカキツバタ。あなたも短い付き合いじゃないんだから、ネムちゃんがカモにされてるって分かるでしょ! 今すぐ決を採りなさい!」

 鬼気迫る様子のタロにびびりつつ、助けを求めて他の3人を見る。アカマツ君は私と同じくタロの剣幕に縮み上がっておろおろしている。ネリネ先輩はいつものようにほとんど無表情で私のことを見ているが……心なしかいつもより視線が冷たいような気がする。そしてチャンピオンは、心底めんどくさそうな顔で頬を掻いた。

「と言ってもよぅ。その特別な電気石とやらがまるっきりデタラメだと決まったわけじゃあねえんだろぃ?」

「デタラメに決まってるでしょう!」

「へいへい……あー、ネリネはどう思うよ?」

「ネリネは、疑問。なぜネムはいつも簡単に騙されるのか」

 だから騙されてないって。この電気石は本物なんだって。信用がなさすぎて泣けてきたな。

 あるいは、ネリネ先輩もピーチドンの毒の支配を受けていると考えた方がいいか? なぜか先輩はいつも私に厳しいから、素でこれと言われても納得してしまうけれど。

「……ただ、ネリネはリーグ部の自治で対処できる領分を超えていると判断する」

「つまり、先生方に任せるべきってことですか?」

「肯定。しかし、処罰すべきという意見には賛同する」

「なら、これで2対2だねぃ」

「2対2? 何を言って……まさか」

「ネムとオイラで2票」

「カキツバタ、あなた正気?」

「正気も正気よぅ! ちょっくら興味も出てきたんでねぃ。この石には、多分()()がある」

「その根拠は?」

「オイラの勘」

「……話になりません。そういうの、良くないと思います。アカマツくんはどう思いますか?」

 いつもの正当後継者ポーズのまま、タロはカキツバタを睨んだ。剣呑な雰囲気のままに話を振られた哀れなアカマツ君は、腕を組んで難しい顔をしている。判断に困っているようだった。

「うーん。えーっと、ネムは……騙されてるの?」

「騙されてない!」

「騙されてます!」

「ええい、私を信じたまえアカマツ君。そもそも、おかしいとは思わないか? なぜタロはこうも必死になって私から石を取り上げようとするのか。なぜ躍起になって部員を処罰しようとするのか。なぜチャンピオンや四天王まで巻き込んで大ごとにしようとしているのか。以前私が話したことを思い出せ。桃太郎は誰か? 浦島太郎は誰なのか? 真実はすでに君の目の前にあるのだ!」

 私が詰め寄ると、アカマツ君はまるで可哀想なものを見るような目で私と──タロを交互に見た。

「そっか、そこからなんだ。俺、難しいことはよく分かんないけど、ネムの『なぜ』には答えられる自信、あるよ。心配する理由も、怒る理由も」

 今のアカマツ君の表情には覚えがあった。幼子を諭すおとなの目だ。遙かなる高みから私を見下ろし、善い教えを授けんとする強者のまなざしだ。

 さっきまでのおろおろしていた姿はどこへやら、自信たっぷりに胸を張って、アカマツ君は続けた。

「そんなの──友達だからに決まってるじゃん」

 

 

 

 テラリウムドームに存在する4つのエリアのうち、一番好きなエリアはどこか。

 学園の生徒たちの間で自己紹介のように交わされる問いかけだが、私の個人的な見立てでは、一番人気がコーストエリアで、ほとんど誰も選ばないのがポーラエリアだ。

 だって寒いしなあ、ここ。私は地元も似たような寒さだったからあまり気にならないけど。

「ありがとうチャンピオン。さっきは助かったよ」

「結局石は取り上げられちまったけどねぃ」

 多数決で負けたはずの私たちだが、カキツバタは『初めからこれが狙いだった』と言わんばかりに飄々と場を取りなし、あの電気石に関しては学園の科学部に詳しく調べてもらえることになった。

「石は……もういいんだ。科学部の女神が何とかしてくれるよ」

「女神?」

「なんだ君、稀代の大天才にして至上の女神たる科学部のシナベさんを知らないのか?」

「ああ、シナベならオイラも知ってるぜぃ……女神ってのは、よく分かんねえけど」

 こいつシナベさんの偉大さを知らずしてチャンピオンやってるのか? もしかしてブルーベリー学園エアプ勢でいらっしゃる?

「それで、タロとはちゃーんとお話したかよ?」

「ああ、ちゃんと謝ったよ。これまでタロの気持ちを蔑ろにしてすまなかった、と」

「そうかいそうかい」

「これまでは分からなかったけれど。私たちは友達だったんだ。友達……実にいい響きだ」

「そうかいそうかい」

「だから、タロを改心させることにしたんだ。彼女の友達として」

「そうかいそうか──改心?」

「うん。手始めに絵本をざっと200冊ほど購入して彼女の部屋に送っておいた。どれも勧善懲悪をテーマにした物語ばかりだ。私はアカマツ君に教えてもらったのだよ。大切なのは戦う意志ではなく、教え諭す真心であると!」

 私は愛する友人を『黒幕』になんてさせない。原作の流れに抗ってやると決めたのだ。主人公ではなくとも、世界を救えなくとも、たった一人の心だけは変えてみせる。

「おっと、そろそろ挑戦者が来るころかな。チャンピオン、生まれ変わった私を見ていくといい!」

「オイラもう知らね〜」




学園の主要人物との関わりを持たせたくて、主人公を四天王の一人にしときました。多分そう遠くないうちに都落ちします。
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