シンボリルドルフの夢に脳を焼かれましてね、心の中をめぐるこの気持ちをどうしたもんかと思った結果文章に出力してみようと思いいたりまして、結果生まれた怪文書となります。

ルドルフのクラスにこんな子いたらなと妄想したモブウマ娘を通して対談・独白形式で語らせております。

想いのまま書いたものになりますのでめちゃくちゃ怪文書・低めの解像度・文章力はないに等しいとなっております。ご容赦ください。

ピクシブにも投稿しております。

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皇帝を語るただ一人のモブ

『シンボリルドルフ』

 

その名を知らないウマ娘はいないだろう。知らないとしたらそいつはよっぽどレースに興味がないか、過去からやってきたタイムトラベラーに違いない。

日本のレース史上で初めて、無敗でクラシック三冠を制覇しそれを含めたG1レースを7勝。

『永遠なる“皇帝”』、『レースに絶対はないが、そのウマ娘には絶対がある』、『勝利より、たった三度の敗北を語りたくなるウマ娘』

周りからそうとまで言わせるほどにとんでもなく強いウマ娘。

 

彼女の走りはまさしく圧巻と言わざるを得ない。

何物も寄せ付けない圧倒的な圧力。見るものすべての目を焼く輝き。誰もが彼女の走りに“絶対”を見た。

 

しかもこれで終わらず文武の「文」の方も完璧と来た。

トレセン学園では生徒会長を務め仕事は完璧にこなす、外部との連携も滞りなく進め、学校行事・伝統行事にも積極的に自ら参加し盛り上げ常に学園、ひいてはレース界に貢献せんとしている。

洞察力にも優れて一度見た相手の顔はまず忘れない。多方面への教養も深いうえにそれを使いこなす応用力。なんだこの完璧超人。

 

さて、そんな奴のことを急に長々語っているお前は誰なんだって?

ああすまないね、なあに大したものじゃない。そうだな…何の因果かそんな完璧超人と同時期に入学したうえになんだかんだトレセン学園に在籍し続けて、もう数年は一緒のクラスにいるモブAさ。

 

「ほう、それじゃあそんな奴と一緒のクラスにいるお前もすごいウマ娘なのか」って?い~や、そんなすごいウマ娘ならわざわざ自分のことをモブだなんて言わないさ。

確かに私も走るためにこの学園に来たし、死に物狂いで練習もしてきたさ。G1だって走ったことがあるんだぜ?

だけどまあ…下から数えたほうが圧倒的に早かったと言えば、だいたい察してくれるかな?おいやめろ、そんな微妙な顔をするんじゃない。傷つくだろうが。

 

それに、私がモブを自称する理由はそれだけじゃない。さっき話してたのはルドルフのことだけだけど、このクラスにはほかにもとんでもない奴らがいる。

“スーパーカー”マルゼンスキー

“ターフの演出家”ミスターシービー

“世界制覇の大エース”カツラギエース

“赫々たる天狼”シリウスシンボリ

“魔性の青鹿毛”メジロラモーヌ

誰だって聞いたことがあるようなビッグネームが勢ぞろいってわけ。

 

よくもまあこんな奴らに囲まれてる中で何年も走れたなって思うだろ?私も意外に思ってるよ。

スタートラインに立ったのはほぼ同時期、それなのにもかかわらずこっちが伸び悩んでるときにどんどん実力は突き放されて。ただの一度だって追いついたことなんてない。肩を並べるなんて夢のまた夢。

私自身がなまじG1にギリギリ出場できるだけの実力があったのもあって、彼女たちとの絶対に埋まりようのない“差”を鮮明に、生々しく、これでもかというほど実感させられて。

正直心がへし折れかけたことなんて1度や2度じゃない。夜中にこっそりトレセン学園から逃げてやろうかと本気で考えたこともあったさ。

 

…だけどね、それでも走ることはやめられなかったんだよ。

あいつの、シンボリルドルフの走り。それが目に焼き付いて離れなかったから。

確かに一緒のレースを走ったことなんてほぼない。精々並走に付き合ったり、あいつのレースを見学しに行ったぐらいだ。

だけど、そこで見たあいつの走りは圧倒的で、強くて、そしてどこまでもまぶしくて。間違いなく私はあの走りに“希望”を見た。どこまでも嫉妬して、そしてどこまでも憧れたんだよ。

「あいつにできるなら私だって」「あの背中に届きたい」「その首筋に噛みついてやる」「あいつを追い越したい」ets…我ながらぐっちゃぐちゃだとは思うけど、だからこそその想い達は熱く燃え上がって私の足を突き動かす原動力となってくれた。

 

勝るものなんて一つもなくて。足りないものは無数にあって。どれだけ追い込もうと届かなくて。

いくつものレースを再生機器がぶっ壊れるまで見直して研究し、トレーニング内容を見直し、負荷を増やし、ゲロ吐くまで体を追い込みぬいて。だけども一向に縮まらないどころか突き放され続ける日々だ。

それでもなお「私だって!」の一心で噛みつき続けて追い続けた。

いまだにあの背中には届いていない、だけど私は絶対に止まることはない。あの憧憬を追い抜くその時までね。

 

…ってなんで私はこんな長々と自分の事語ってるんだか。

あ~顔あっつい~今絶対に真っ赤じゃん。

ルドルフのことが好きなんだねって?ん~まあ、そりゃ好きさ。私は案外ミーハーでね、本気で夢を追う夢追い人が大好きなのさ。

夢ってなんだって?ああそうそう。うっかり自分語りを挟んじゃったから途中で止まっちゃったけど、私が語りたいのはその夢のことだとも。

 

シンボリルドルフの夢、というか目指してるものを知ってるかい?まあいっつもあいつ自身が言ってるから知ってるか。

そう「全てのウマ娘が幸福になれる世界を創る」だね。

しかしまあ、改めて口に出してみると『皇帝』らしくとんでもなく壮大な夢だ。普通私らウマ娘は競争心の強い存在だから、自分の夢を追うのでいっぱいいっぱいだからね。そんなことは思いつかないし思いついたとて実行に移すなんて無理だ。

だけどもあいつは、何のためらいもなくその夢を口に出して実行に移そうとしている。

 

不可能だと、上から目線の傲慢だと思うかい?ああいや、責めてるわけじゃない。そう思うのも間違いじゃないさ。

そもそも前提からしてあまりにも矛盾している。レースである以上一人の勝者と無数の敗者が毎回生まれる。誰かの夢が叶えば誰かの夢は壊れ、無数の夢の残骸の上に栄光が築かれていくんだ。そんな中どうやって敗者に「幸福」になれっていうんだ?

さらに視野を広げればもっとだ、多少走れても夢に届く位置まで来れないやつがいる。デビューすらできずに学園を去る奴がいる。トレセン学園に合格できなかった奴、家庭の都合で進学すら困難な奴、先天的・後天的に負った怪我や病の影響でそもそも走るというスタートラインにすら立てないやつ。

そんな奴らにどう声を懸けろっていうんだって話さ、しかもあらゆる栄光を手に入れてはるか高みに立ってるやつが。しかもあいつ自身がその能力を以て相手をへし折りに行ってるんだから矛盾どころの話じゃない。

 

だけどさ。私はそれでもあいつの夢が好きなんだよ。

確かに私はあいつのライバルって呼べるほどの実力があるわけでもないし、たま~に手伝ったりすることがあるだけで別に生徒会にいるわけでもない。それでも数年一緒にクラスメイトやってきたんだ、あいつがその夢に対してどこまでも本気で向き合ってることを知ってる。

どこまでも壮大で口にするだけで恥ずかしくなるぐらいでっかい夢。それを本当に実現するために一切の努力を惜しまず、自らの存在意義すらその夢を実現するための象徴に塗り替えて、常に皆を先導する皇帝たらんとしてる。

どこまでも夢に全力な夢バカのことを常に間近で見てきたんだ、どうやったって好きになるに決まってる。

 

それに、さ。あいつがその夢のためにどれだけ悩んできたのかもよく知ってる。

さっきも言った通りあいつは絶対的な実力を持っててそれを見て心折れるやつがいる。強者ゆえに視線が高すぎて逆に周囲が見えてない。能力が高いから何でもかんでも一人でやろうとして周りに任せるということをしない。

 

だから自分が見逃した現実にきっついものを突き付けられるのさ。走りで結果を残すことができずに心を折った相手を励まそうとして恨み言を吐かれて、自分の意見がどこまでも「強者側」の意見であることを知って自分が動いて何かをなすことに意味があるのかと悩んで。ウマ娘のことを思って制度作りをして問題解決をしようとしても、傲慢だと反発されて受け入れられずに迷走して。自分で何でもやろうとして周りを頼ることをしないから、自分に負荷を掛けまいと周りがあいつに頼らず動こうとしたのを「自分は頼るに値しない存在なのか」「まだ足りない、もっと強くならねば」と勘違いして、結果調子落として凡走した挙句凹みにへこんで…一人でめそめそして。

ああ、後感情というか気持ちを相手にうまいこと伝えないから結果勘違いされやすいってのもあるな。

 

ん?あいつが悩んだり失敗したりしてるのが意外かい…?

そりゃあそうさ。みんなあいつの普段の立ち振る舞いがああだから忘れがちだけど私もあいつも花も恥じらうJKだぜ?

どれだけ能力が高かろうがまだ大人にもなってない子供だ。経験だって年取った人に比べれば圧倒的に足りてない、だからそりゃ失敗の一つや二つぐらいするだろうさ。

でもな、子供だからこそその失敗を経験として次に活かせる、悩んでる時に周りが道や在り方を示してくれる、そんな特権があるのさ。そしてあいつはその特権をフル活用して常に自分の至らない点を改善して前に進んでいってる。

 

最近は周りを信頼して頼ることもしだしたし、視線を合わせて相手を理解しようとしてる。なんだかんだ共に並び立つ仲間だってできてるしな。慕ってくれる後輩たちの存在にもやっとこさ気づいたみたいだし。

それに…自分が転びそうになっても支えてくれる『杖』だっている。あいつは本当に恵まれてるよ、トレセン学園中探してもあそこまで慕われるウマ娘なんてそうそういないだろう。

 

そうしてあいつに感化されて慕ってくれてたからこそ皆「私たちは支えてもらった。目標になってもらった。だからこそ、今度は自らの足で歩く。支えられるだけの存在じゃない、共に歩める存在になりたい」って思えてたんだ。むしろそれに今までちゃんと気づけてなかったというんだからほんと大馬鹿野郎だ。

 

結局のところあいつも私たちと何ら変わらない、夢を追うことに全力なただ一人のウマ娘なのさ。

ま、だから君ももしあいつに気後れしてるんだったら気軽に話しかけに行ってみなよ。皇帝の肩書が独り歩きしがちだから勘違いされやすいけど、あいつあれでも結構穏和だし人当たりもいいんだぜ?ふつ~の雑談からお悩み相談までなんだっていいさ。真剣にちゃんと話聞いてくれるから。

 

ああちなみに、あいつ集会とか誰かと話してるときになんかダジャレみたいなこと言ってる時あるだろ?みんなシンボリルドルフがそんなこと言うわけないかってスルーしてるけど、あれ…マジでダジャレ言ってるからな。意外だろ?あいつあれでもしょうもないダジャレが好きなんだよ。本人は親しみやすくするためにって言ってるけど…残念なことに本人の肩書に加えてダジャレのセンスが致命的すぎてね…今のところあれで笑ってるの一人ぐらいしか見たことないなあ。

ま、皇帝にも弱点の一つや二つぐらいは存在するってね。もし話してるときにダジャレに気づいたら反応してあげるとすごい喜ぶから反応してあげな~。

 

っとそろそろこんな時間だね。唐突なうえにオチらしいオチもなかったけど話を聞いてくれてありがとう。私はそろそろ行くよ。

それじゃ。君にも何か全力を懸けるに値する夢が見つかることを願っているよ。


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