雷電   作:不透明な水滴

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第十四話 決勝

会場に出ると、既にデカイ男が立っていた

 

「それでは、決勝を始めます!」

 

周りが歓声を上げる中、俺は相手をよく見る

 

(デカイ…大体二メートル以上はあるな)

 

男は構えを取る

 

「それでは、決勝戦開始!」

 

「さて、どうし…」

 

次の瞬間、男の拳が目の前へと飛んできた

 

「っ!?」

 

咄嗟に腕でガードするが、俺は会場の端まで吹き飛ばされる

 

「これでいいのか?なぁ風神」

 

「…………」

 

「げほ…げほ…ったく…折角ここまで無傷だったのに…」

 

もう一度立ち上がり、構える

 

「二度は喰らわんからな」

 

「……はは、いい目だ」

 

足に力を入れた瞬間、突然体が痛み始め…

 

「っげほ…げほ…っ」

 

なんだ…今のは…体が…

 

「これは…お前…もしかして…」

 

力を使ったか…?

 

「お前…何かの家系の者か?」

 

「……まぁ、隠す必要も無いか…俺は毒を使う家系…俺の拳一つ一つに強力な毒が入っている…お前の事は知ってる、雷電…最初は戦うこと自体自殺行為だったんだが…まだ力に慣れてない、これだけの強力な毒だと、解毒に時間が掛かるようだな」

 

「げほ…禁止の…はずなんだが…な…げほ」

 

やべえ…早くケリをつけないと…死ぬかもな

 

俺だって流石に分かる…回復の家系でも、死者は治せない

 

ここで死んだら…全部が終わる

 

「っ!!」

 

走り出し、男の拳より先にしゃがみ拳を避ける

 

「っぐぅ!?」

 

だが、それを知っているかの様に男は蹴りを入れ、一定の距離まで吹き飛ぶ

 

「お前の行動は分かりやすいんだよ」

 

「げほ…確かにな」

 

俺だって少し前までただの…平凡な人間だったんだ

 

「げほ…げほ…息が…」

 

だが…俺もアイツの癖を見つけた…間違っていなければ…

 

「次で決めるぞ」

 

足に力を入れ、構えを取るが…

 

「っくぁ…」

 

足に力が入りづらい…

 

「ここで…取りきる」

 

走り出し、さっきの様に目の前まで近づく

 

「同じ手を!」

 

男は蹴りをするが…風圧と共に、蹴りは俺まで届かなかった

 

「!?」

 

「やっぱりな!」

 

俺が癖でしゃがむ事を想定して、一回目の蹴りは寸止め、その状態からの踵落としをしようとしていた

 

「隙がてきたぞ!」

 

一撃で沈めろ!

 

「っ!」

 

俺の拳は男の顔面を捉え、そのまま地面へ紫色の稲妻と共に破壊した

 

その衝撃で砂嵐ば起こり、周りを覆う

 

「こ、これは…!」

 

司会の言葉と共に嵐は消え、そこには俺一人立っていた

 

「優勝は…櫟裕仁選手です!」

 

大きな歓声が響く__だが、裕仁は別の何かに気を取られていた

 

「なんだ…これは…」

 

優勝や強者への勝利の喜びの感情でも、焦りなんかの感情でもない…

 

「………怖い」

 

そこにあるのは、恐怖だけだった

 

見た事も聞いた事もない何かに対しての測りきれない恐怖

 

「……逃げなければいけない」

 

傷だらけでも、死にかけでも、そんな事がどうでも良くなるくらい…恐怖に支配されている

 

俺は走って会場から逃げ出した

 

「え…?あの…裕仁選手…?」

 

「なんだ…何に怯えて…?」

 

その会場には困惑が巻き起こり、裕仁を一番見ていた凌太ですら、なぜ裕仁が突然逃げ出したのか、理解出来ていなかった

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