植え付ける魔族のヒメ   作:蠢雷

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題名変えるかもしれません。
n番煎じです。
字数は最初は少なめです。10話くらい予定です。


目覚め

 私は、仕事の帰り道に、暴走する車に撥ね飛ばされてしまった。瞼は重く、それが私に否が応でも死期が近いことを知らせていた。ああ、今日の推しの配信見れないなぁ…。

 しかし、私は再び目を開く。体に痛みはなく、思考も明瞭だ。さらに、この世のものとは思えぬ、透き通った女性の声が聞こえる。

『そなたには異世界に転生してもらう』

「あ…あなたは…」

神ッ!?

『そなたには特別な能力を授けよう。何を望む?』

 私は異世界転生ものでは、サポート能力チートが最も都合が良いと思っている。他人と仲良くする理由ができるからだ。私のような甘い思考の人間は、往々にして、異世界に行けば現実とは違って純真な現地人たちと仲良くできると信じるものである。

「わ、私…他人を強くできる能力が欲しいです!」

『了解した。そなたには、他人の体を強く作り替える能力を与えよう。問題ないな?』

「はい、大丈夫です!」

こうして私は異世界転生した。初めての異世界転生だったので、テンションが上がってしまい。この時は、言葉に注意し、もっと神を問い質すべきだったと後悔することになるとは、露ほどにも思っていなかった。

 転生前は。私は、『殺人は遺族の多額の賠償請求に応じるばかりでなく、年単位の懲役により償うべき、取り返しのつかない重大な罪である』と確かに理解していたのだ。

 

 

 

 (生まれ変わった、子供の体。)

 

「念のため、あなたを強化しますね」

 町へ向かう街道で最初に出会った兵士に能力を使おうとすると、私に尻尾が生えてきた。なんだかちょっと凶々しい感じ。直感的にソレの使い方を理解できる。

「お、お嬢ちゃん…魔族だったのか!?ち、近寄るな、俺はまだ死にたくないんだ」

「死ぬ…?何を言ってるんです?私はあなたを、これを使うことで強くしようとしてるだけですよ?あ痛っ」

「近寄るな、近寄るな!近付いたら殺す、刺し違えてでも殺す!」

「待ってください、何か勘違いしていませんか?発動させればわかりますって」

私はこの体の身体能力で、一瞬で近付いて針を突き刺した。て、魔族?最初に、相手の動きが鈍くなって、筋肉が弛緩。

 それと同時に、私にはえもいわれぬ幸福感が込み上げてきた。

「…?なに…この感覚…?」

 次に、相手の身体が内側から膨れ上がり始める。苦痛でか膨張のためか歪む顔。何かがおかしい。

 そうして私は悟る。勘違いしていたのは、私の方だったのだ。

 ブクブクッ、プシャァッ!

 そうして、人間だったものの内側から、這い出る白っぽい幼虫、幼虫、幼虫…。気持ち悪い見た目のそれらに、私は不思議と愛情を覚えていた。

 

 幼虫を引き連れて、兵士の残骸から離れて数分、私はようやく正気に戻った。二つの、どうしようもない思いが渦巻く。

 まず、大変なことをしてしまった。

 そして、なんて能力与えてくれたんだ、神!!これが、『他人の体を強く作り替える能力』!?バフじゃないのか!?こんな、こんな能力を与えるなんて、邪神にも程があるよ!!私は人間に転生したとばかり思っていたが、それは間違いだったんだ!この体は人類のものとは思えない。兵士は私を魔族と呼んだ。

 改めて考えると、罪悪感で血の気が引く。つい直前まで日本人だった私に、どうしてこんなことが出来ようか。これは悪い夢に違いない。いや、それとも、私自身が元から狂っていたのか?潜在的な破綻者だったのか?

 なるべく使わずひっそり生きるしかない。とりあえず、この道の先に行こう。きっと村か何かがあるはずだ。

 

 しかし、その後、山道を歩いていた私は盗賊に遭遇してしまう。私を子供一人と侮っていた盗賊らの足に、私の幼虫が食らいつく。数匹潰されたって、総数に比べればほんの僅かだ。盗賊は身体が痺れたようだった。

 そして私は、なんだかあの感覚が忘れられない。酩酊感とも少し異なる、不思議な感覚。

「これは正当防衛、だよね…」

 道から離れた場所に横たえた血袋ッ、いや、盗賊たちに、針をゆっくり差し込む。

 己の口から、吐息が漏れるのを抑えられない。

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