♪月○日
こうしてまた日記を書けるとは思わなかった。あんな覚悟してたのに、顔を合わせるのが少し恥ずかしくも感じたけど、それ以上に、皆私の無事に喜んでくれて、嬉しさが勝った。っと、近況報告も兼ねてるんだった。
あれから検査とか色々受けて、大丈夫だって太鼓判を貰った。その後、問題というほどでは無いのだけど、何処の学園に所属しようかという話になったんだ。先生に選んで欲しいって言われたんだ。
うーん、って悩みに悩んだ。中の人……ってあの人にはユメって名前があったんだ。前のクセが抜けないね。それとホシノちゃんからもアビドスに来ないかって凄く誘われたんだけど、断った。別に遠慮とかじゃないんだ。だけど、あの場所はユメの方が似合う。ホシノちゃんに、テープで継ぎ目を直したポスターを渡されて嬉しそうな顔のユメを前に、私もその中に入りたいなんて流石に、ね?
で、最終的に私が選んだのはゲヘナ学園。カスミ部長もいるし、友達が多いからね。サオリとは会いづらくなっちゃったけど、また会おうって約束したよ。ラーメン食べようね。
それからの学園生活は楽しいよ。問題が絶えない騒がしい所だけど、私が生まれたあの場所みたいな静けさよりマシだと思う。毎日が楽しくて仕方がないんだ。温泉開発部の活動も楽しくて好きだ。まぁ風紀委員会に追いかけられるんだけど……あ、そうそう。その風紀委員会の空崎ヒナさんとよく会うんだけど、その度にお腹は空いてないかとか、ちゃんと眠れてるのか、とか、世間話をされるんだよね。悪いことではないんだけど、戸惑いが少し。それにしても……
──明日が待ち遠しい。明日は何があるかな?
ここでふと、私は自分が書いてきた日記を読み返したんだ。そこには過去の自分がいて、こんな未来なんて想像もしたことがなかった自分がいた。だから、このページに、過去の自分に向けてメッセージを書こうと思う。
ねぇ、リル。貴方は今の生活で十分だと思ってるだろうけど、こんな未来が待ってるよ。消えるべきなんて考えは勿体無いよ。きっと楽しい、もっとキラキラした毎日が待ってるよ。腹が満たされるような思い出が増え続けて、いつか満腹になるかもしれない。だから諦めないで。
なんて、届く事はないんだけどね。それでも、私は生きていて良かった。っと、もう夜も遅いや。おやすみ。また明日。
パタン、と日記を閉じる。窓枠というキャンパスから映る夜空は、どんな絵よりも綺麗で、明日に希望を感じさせるものだった。
「明日は……そうだ、ホシノちゃんと水族館に行く約束だった」
硬いコンクリートではない、ふかふかのベッドで潜り込み、私は眠った。