『不気味』
あれから結構廃墟を探索し、未だ尽きる事なく現れるロボット達にいい加減辟易し始めた頃。
「まだ見つからねーのかよ!結構探したぞおい!」
「おっかしいなぁ……結構近いはずなんだけど」
しかし、ネルは自分の予想が、推測が当たっている事を確信している。奥に行けば行くほどロボットはその数を増やし続ける。つまり何かを守り続けているのだと。
アスナの勘が外れる事は珍しい。というか勘を理由にした時、外したところを見たことがない。と、なれば。
「近くに隠れてるって事か」
そうと決まれば、判断は早かった。両手の銃で周囲をやたらめったらに撃ちまくり、暴れ回った。壁や天井も関係なく撃ちまくった結果、壁は派手に破壊され、土煙を巻き起こした。
「ちょっとリーダー!やるなら言って──」
「やっぱりいたか」
苦言をこぼすアスナを遮りネルは目を細め呟く。土煙の向こう、そこにいたのは見るからにボロボロの手術衣を纏い、無表情でこちらを見る少女がいた。黒に所々水色が混じった頭髪と、犬耳と尻尾が特徴的だろうか。
それを見た時のネルの印象は。
(纏う神秘だけ見れば強者のそれ、だが──)
一見隙だらけに見える。*1至って自然体で佇むそれには何の意味があるのか、ネルには掴めずにいた。この状況でも眉一つ動かないというのは、余裕か、はたまた油断か。*2
だがこの状況で無関係はあり得ない。こいつがロボット達が守っていたもの。つまり。
「てめぇが親玉か。私達と来てもらうぜ」
目的の捜索対象とは、コイツのことだろう。大人しくついてくるようには見えないし*3こういう事態を最初から想定して依頼したのだろう。
その言葉を受けて、初めて少女が動く。牽制に動くつもりか。どんな動きをしようと確実に対応する。その思いで銃を握る手に力が籠る。
(──さぁ来やがれ)
少女が取った行動は、背中を見せる事だ。いや、それには語弊がある。隙だらけの背中を見せたままこちらとは逆に走り出す。つまり逃走である。
この予想外の行動に、ネルの思考が一瞬遅れた。それはつまり行動の遅れへと繋がった。
「──は?お、おい!待ちやがれ!」
気がついた時には既に姿はなく、すぐにアスナと2人で追いかけたが、虚しくもまんまと逃げられてしまった。
「あー、逃げられちゃった」
「くっそ、やられた」
どう見ても戦闘する流れだった*4だけに、第一に逃走とは考えもしなかった自分の落ち度である、とネルは反省もしながら次会った時は必ず捕まえる、と意気込んだ。