STAR WARS 〜孤独の艦隊〜 作:とある惑星の住人
小説の中に多少ネタを仕込んであるので、気付いた方はぜひお伝えください
v(・ω・v)ウェーイ
第1話 惨劇
世に驚異の尽きることなし。
かつて、カイバークリスタルの産地であった惑星、イラム。そして、それを丸ごと改造した兵器、スターキラー基地。アーミテージ・ハックス将軍は、ここより発射された光線を閲兵場の巨大な演壇の上で眺めながら、そのことを実感していた。その光はあまりに眩しく、居並ぶトルーパーの一部も目を覆っていたが、ハックス将軍はそれをしっかりと目に焼き付けた。
新共和国の終焉。
それを、このファースト・オーダーの技術の結晶が成し遂げた。サブ・ハイパースペースを突き進むファントム・エネルギーは、この瞬間、リアルタイムで、「目標地点」に到達しているはずだ。
なんと驚くべき技術だろう。
ごくごく最近に実用化――まだまだ莫大な維持コストがかかるが――されたハイパースペース・トラッキングもそうだ。あの忌々しいカイロ・レンが信じる「フォース」とかいうオカルトじみた力は、この技術に敵うだろうか?
ベイダー卿は、己の力だけでオルデランを破壊できるか?
ましてやカイロ・レンは、一人でホズニアン星系を破壊できるか?
もちろん、この基地の功績のすべてがハックス一人によるものではないことくらい、当の本人も理解している。しかし、それでもなお、彼は上機嫌だった。真紅の光線に照らされ、不敵な笑みを浮かべる彼は、傍らに立つ将校たちから見れば、不気味だったかもしれない。
だから、先程まで心の底で軽蔑していたカイロ・レンに、人払いを条件にとある会議室に呼び出され(しかも彼は今スター・デストロイヤーに乗っており、ホログラム参加だった)、ある事を伝えられた時、ハックスは露骨に顔を顰めた。
「……共和国艦隊の生き残りがいる、だと?」
にわかには信じがたい事実だった。しかしカイロ・レンは、ハックスにはお構い無しに言葉を継いだ。その声はマスクの変成機を通されていて、会議室の冷えた照明のように無機質だった。彼の像を形作る青いホログラムが、チリチリと揺れた。
『俺はそろそろタコダナに向かわなくてはならないので、手短に話す。……コア・ワールドに派遣していた深宇宙諜報船からの報告だ。ホズニアン星系に攻撃が到達するごく直前、星系全域に向けて緊急通信が発せられていた。発信源はアンシオン付近の宇宙空間。新共和国防衛艦隊が使用する周波数で、だ』
「馬鹿な、あり得ない」
ハックスはほぼ反射的に反論した。もっとも、彼にはそう決めつけられるだけの理由もあった。
「奴らの政治中枢……元老院には多くのスパイを潜らせている。軍機構も例外ではない。少なくとも私には、今日、新共和国防衛艦隊の全艦艇がホズニアン・プライムの軌道上に集結するという情報が複数寄せられていた。繰り返すが、『複数』から、だ。だからこそ、私はこのタイミングがこの兵器の使用に最も適していると判断し、最高指導者にその旨をお伝えしたのだ。もちろん、理由はそれだけではないが」
しかし、カイロ・レンは彼の反論を一顧だにしない。マスクの下の素顔が動いているのか、この男の心は僅かなりとも動いているのか、ハックスには分からない。そんな彼にはまたもや注意を向けないカイロ・レン。代わりに彼は、簡潔だが重要な事実に触れた。
『アンシオンでは、つい最近まで紛争が起こっていたらしいな。……いや、正確にはたった昨日今日に解決した、と言うべきか……新共和国防衛艦隊の一部隊が尽力したようだぞ?』
ハックスは一瞬、動揺した。しかしすぐに冷静さを取り戻した。彼は無能な部類の者ではあったが、そういうところは、さすがはファースト・オーダーの将軍であった。彼はカイロ・レンが今言ったことを一旦頭の片隅に仕舞った。それについて考える前に、どうしても聞きたいことがあったのだ。
「カイロ・レン、なぜそのような重要な情報が、お前だけに流された? 私は何も報告を受けなかった」
この質問に対し、カイロ・レン――この悪魔のような男は――ハックスに一番言ってはいけないことを言った。
『さあな。お前が信用されていないんじゃないか?』
皮肉にも、その言葉は今日一番、彼の感情を感じさせるものだった。どうやら、カイロ・レンのマスクは彼の嘲笑を隠す気はないようであった。直後、彼のホログラムはゆっくりと薄れ、やがて消えた。
その後すぐに一隻のクルーザーが現地に急行したが、目的の部隊は発見できなかった。だが、カイロ・レンもハックスも、そのことはあまり気にかけなかった。なぜなら、軍の司令部たる新共和国防衛艦隊が事実上消滅した今、目下最大の脅威はレイア・オーガナ将軍率いる独立組織、レジスタンスだと認識していたからである。2人の認識は間違ってはいなかったが、正解だったとも言えない。
あんな光景を見た後でさえ、まだ少し、期待していた。窓から見えるハイパースペースの奇妙で美しい眺めは、心を多少なりとも落ち着かせてくれた。
もしかしたら、あれはただの幻覚だったかもしれない。
もしそうでなくとも、士官は予想針路の算出を誤っており、ホズニアン・プライムにはあの光線は当たっていないかもしれない。
ホズニアン星系に到着するまでのハイパースペース航行中は、そんな現実逃避ができた。その時間、エルマーは自室にいた。小綺麗に整頓された、スターホーク級バトルシップ内の一室。彼はそこで、妻子への土産を私物入れから取り出し、ただじっと眺めていた。
妻に買ってやったのは、アンシオンで産出される希少鉱石を用いたネックレス。やや値が張ったが、彼女にとても似合うだろうと思ったのだ。見た目は青いが、光に透かして見ると赤くなる不思議な鉱石だ。名前はなんと言ったか。
娘に向けて買ったのは、とっておきだった。アンシオンの伝統的な近接ナイフ。将来考古学者になって銀河各地の骨董品を集めて暮らしたいと言ってはばからない彼女に向けての最初のプレゼントだ。帰ったら、一度加工店に行って殺傷能力をなくして置物として渡す予定だった。誕生日が近かったのだ。
現実――ジェダイの言葉を借りるならば”フォースの意思”――は残酷だった。エルマーは、それを艦隊がハイパースペースから出た瞬間に確信した。ブリッジには、ここにいる者たち全員の心の内にとってあまりにも不似合いなほど、明るくまばゆい光が差し込んでいる。その発光源は……
ホズニアン星系にある5つの
カドータ、コートシリウス、ホズニアン、レイショー、……
そしてホズニアン・プライム。
エルマーは、膝からくずおれた。デュラスチール製の硬くひんやりとした床に、彼の涙がぽたりと垂れ落ちた。周りにはすすり泣く者も多い。他の船でも同じような光景が広がっていることだろう。それもそのはず、この艦隊の乗員の約8割は、ホズニアン星系に家族が住んでいたのだ。
一縷の望みを賭けて、星系全域に通信を放ったが、もちろん返事はなかった。それと同時に、コア・ワールドのいたる所から、この星系へ向けて無数の通信が届いているのも傍受した。どの内容を取ってみても、送り手の限りない混乱を伝えるものと、ホズニアン星系の安否を問うものばかりだ。
それらの報告を聞いても、頭に上手く入ってこない。この時、彼の心は蝕まれていた。愛する家族の喪失だけが理由ではない。我々は今、「希望そのもの」を失ったに等しいのだ。
あの悪虐なる帝国に代わり、銀河に安寧をもたらしてくれるはずだった新共和国。
その一切合切が、文字通り
……誰がやった?
次に湧き出た感情は、怒りと疑問だった。「疑問」とは言っても、その答えはほとんど分かっていた。新共和国の首都星系を、こんな形で葬り去ることができるのは、「奴ら」しかいない。
エルマーは、新共和国元老院にも怒りを覚えた。「奴ら」の脅威は、レイア・オーガナ氏が何度も何度も訴えていたではないか。小規模な衝突さえも起こっていた。それにも関わらず、元老院は全く耳を傾けなかったために、こんなことになってしまった……。
「……ファースト・オーダーだ」
エルマーは起き上がった。制服の袖で、涙を拭う。その後の彼の目には、冷ややかな決意が宿っていた。続いて、彼の口から命令が発せられた。
「この
しかし、これに反対した者がいた。ミラ副官だ。その目は充血しており、エルマー同様、先程まで泣いていたことを示していた。そんな彼女が今は、必死になって意見具申をしている。
「お待ちください、まだ奴らがやった証拠がありません! 天文現象である可能性も否定はできないのです!」
これを聞いたあと、エルマーは、珍しく部下である彼女を怒鳴りつけた。家族と新共和国の喪失が、彼を一時的に短絡な思考に導いてしまっていた。もっとも、この瞬間も『フォーティチュード』の艦長やとある中隊のリーダーも激しい怒りを露わにし、周囲の者たちが慌てて落ち着かる事態になっていた。
エルマーは、やや細い腕を思いっきりブリッジのビューポートに向けて振りかぶった。あの、5つの美しく輝く「死の象徴」へ。
「あれが天文現象なわけがあるか! これをやったのはファースト・オーダー以外にあり得ない! 平気な顔をして銀河協定を破り、スター・デストロイヤーの艦隊やTIEの最新型をつくっている奴らだぞ!?」
「落ち着いてください!」
それでも、ミラは退かなかった。彼女の目には、エルマーとはまた違った決意、信念が宿っている。ミラの姉はコートシリウスに住んでいた。自分と同じく家族を失ったというのに、義務を忘れず、冷静に対応するその姿は、まさに軍人の鑑であり、我を忘れていたエルマーをはっとさせた。ミラは一度深呼吸した後、しっかりとエルマーと目を合わせ、丁寧に言葉を発した。
「……ここで、確証もないまま我々がファースト・オーダーを攻撃してしまうと、彼らと全面的な戦争状態に陥ります。それこそ、こうなってしまう星々が数え切れないほど生まれるでしょう。それはあってはならないこと。私も、ファースト・オーダーの仕業だと思っています。でも、今は待ちましょう」
「……分かった。すまなかった」
ひとまず、エルマーは平素の落ち着きを取り戻した。悲しみは、一旦頭の奥へ。今、自分には義務がある。
「……司令、発射源の特定、完了しました。7G宙域の惑星、イラムです。未知領域にあります」
永遠とも感じられる数分の後、1人の士官が報告をした。直後、他の艦艇からも同様の趣旨の通信が入ってくる。どうやら、頼んでもいないのに働いてくれたらしい。
「イラム……」
エルマーは、その名を聞いたことがなかった。7Gという味気ない名の宙域もまた然りである。あたりを見回しても、ほとんどの者が同じように首を傾げていた。『アサルター』含め各艦のデータベースを漁るも、イラムという名前以外の収穫はほとんどなし。ここにきて、「証拠集め」は暗礁に乗り上げてしまったかに思われた。現地の情報が全くと言っていいほど無い中、ましてや証拠も無い中、無闇に攻撃をかけても危険すぎる。皆が頭を抱えた。
だが、フォースは彼らを見捨てなかった。突如、ホロネットのあらゆる周波数で、「新共和国とファースト・オーダーについて」というタイトルで、レジスタンス報道担当官を名乗る人物が演説を始めたのだ。ブリッジの担当士官は、これを逃さずに捉えた。
レジスタンス。
あの、レイア・オーガナ氏が率いる私兵部隊。友軍だ。
味方が残っているその事実だけでエルマーは跳び上がりたいほど嬉しくなった。……しかし、続くレジスタンスの発表には、喜びよりも驚愕を覚えた。
『全銀河市民の皆さん、たった今、歴史を揺るがす大事件が起こりました。ファースト・オーダーが配備した超兵器、スターキラー基地が、ホズニアン星系を丸ごと……消し去ったのです。そこにいた何百億もの尊い命は、二度と帰らぬものとなってしまいました。奴らは、この銀河を支配し、帝国を復活させんとしています。そんな横暴を許すわけにはいかない……。私達は今、そのスターキラー基地へと攻撃をかけています。皆さん、ファースト・オーダーに屈服してはいけません。我々が生きている限り、共和国は潰えません』
……もう、単独で行動を起こしていたのか!
「……司令、いかがなさいます?」
「ふむ……」
エルマーは考え込んだ。これで、ファースト・オーダーを討つ大義名分は得た。しかし、今からレジスタンスを援護しようと現地――"スターキラー基地"とかいう名前だったか?――へ急行しても、恐らくは戦闘に間に合わない。我々が到着するころには――どちらが勝利を収めるかは定かでないものの――決着はついているだろう。
そしてもう一つ、エルマーを悩ませる、この艦隊に関する深刻な懸念が一つあった。それは、ハイパー燃料の残量である。そもそも、この艦隊には十分な量があったとは言えなかった。理由は単純。元々、アンシオンでの任務に必要な分、つまりは1往復分と、予備でもう1往復分しか積んでいない。コアクシウムの値段は馬鹿にならないのだ。余談だが、その予算の圧迫具合ときたら、新共和国での軍縮ムードも相まってとんでもないことになっていたため、一部の「便利屋艦隊」の兵卒の間では「司令はいつも資金繰りをやってる印象しかない」と本気で思われるほどであった。
片道だけで考えても、あと2回しかジャンプできない。どこかでの補給は必須なのは明白だが、新共和国の根が丸ごと刈り取られたようなこの状況で、一体どれほどの星系が快く我らを受け入れるか……。最悪、ファースト・オーダーへ内通し、我らを生贄として捧げるに違いない。
「……針路をイリーニウム星系へ」
エルマーは決断した。
「その星系に属する惑星、ディカ―にレジスタンスの本拠地がある。我々の目標は彼らと合流、連合部隊を結成してファースト・オーダーの侵略行為を阻止することだ」
そこでまた、妻と娘の顔がちらついた。不意に泣きそうになるが、ぐっと堪える。もう、私は涙を流した。再び流すのは、ファースト・オーダーの墓標を立てた後だ。
「了解しました」
数時間の後、艦隊はナビ・コンピュータの計算を終え、一斉にハイパースペースへと消えていった。愛する者たちが永遠に眠る、「ホズニアン
スターウォーズ好きの皆さん、感想待ってます。(`・ω・´)
ウーキーペディアをめちゃくちゃ使ってます。