ISを動かしてしまった男、血染深紅視点
「「チェストーーーーーーーーーーーー」」
「いやいや流石に示現流をよく知らない俺でも猿声でチェストってあんまり言わないのは知ってるから」
「やっぱまだ切れないですね神鉄さん、ISの装甲は」
「そりゃそうでしょうね、スキンバリアがないとはいえ衝撃の瞬間に分子単位で逃がすんですから」
「流石に身体能力が生身だと切れんか。残念だね」
ISに完全に適応してしまったこの俺、血染深紅はあれから四十院家というところにお世話になっていた。
一応宮家扱いなんだけど実際は暗部、というか皇室や時の政治家を会見時まで守るために身分を与えられている暗部、という感じらしいがよくわからん。
「まあ気にしないで良いですわ。とりあえず相川清香さんとのイチャラブ生活は保障しますわ」
「お嬢様って口悪いですよね、教育係のババ様は何やってんだか」
「オババ様なら四十院の女は仕事の敵と務めの敵と強い男を逃さなかったらそれでいいっておっしゃってましたわ」
「オババ様」
山田神鉄は心労から廃人と化した。
「因みにですが相川清香さんを第一夫人として一夫多妻制を取ってもらう事は異論ありませんよね。無論貴方の関わるすべての人間にモルモット扱いは、四十院名に懸けて許しませんが」
「それはいいですよ。親類縁者に至るまでばっちり護衛して貰ってるんで、それのお礼と思えば」
「そこはハーレムを喜ぶところでは」
「清香に操をささげておりますので」
俺が真剣に言い切ると四十院さんは心底嬉しそうにほほ笑んだ。
その意気やよしですわ、という感じで。
「今報告がありました。一夏君と血染さんのISの最終調整が終了したそうです。アリーナに来てほしいそうですわ」
「そこで転がってる神鉄さんは」
「ほっとけば再起動しますわ、バケツの水かけておきなさい」
「今まだ初春、風邪ひきますよ」
「血染君、行くぞ」
「一夏君、ISスーツのまんま鍛錬してたから汗を拭く必要が無いから示現流の鍛錬に最適って事かい」
少年二人があわただしく片づけを済ました後四十院の敷地内のISの実機を操縦できるアリーナまで早歩きで移動して行ったあと、四十院の女当主はゆるりと立ち上がった。
そのまま素振り用の木刀を握ったまま立ち尽くしている神鉄に抱き着く。
それはそうだろう、彼女はまだ高校入学前、重責につぶれそうな名細い肩だった。
「神鉄のあにじゃ、だれもおりませぬ。しばし神楽めに胸をお貸しくださいませ」
厳密には今も四十院の近衛部隊が彼女を徹底的にガードしている。暗部の当主で宮家扱いの彼女に
「再起動終了、二分もかかり申した。ご無礼を」
「神楽と御呼び下さいませ。貴方の心が真耶の物でも、せめて今だけは。幼き日のままに」
「分かり申した。神楽、某がついてる。偶発的な真の男性IS操縦者の発生、それに伴う護衛スケジュールの大幅な見直し、ご苦労。大義大義」
「はい」
神鉄の内心は穏やかではない。もし自分が真耶を救うために人を捨てなければ、彼女の両親は救えたかもしれないのだ。
だがそれでも、女性として愛する女は真耶一人でも、忠を尽くす主はこの人一人。
「死ぬまであなたに忠を注ぎます」
「はい、神鉄、大儀でした。もう大丈夫です」
顔を上げた彼女にさっきまでの幼子の様な雰囲気はない。凛とした戦を経た名刀のすごみ。日本国家代表に実力的に最も近い女がそこにいた。
「ところでご当主、血染くんに話してた男性操縦者に一夫多妻制を採用する案、某と一夏君にも適応されるので」
「されますよ。因みにあなたの第二夫人は私です。譲りません」
「スタイリッシュモラハラ!」
「大丈夫です。四十院の名において徹底的に素性は洗います。さしあたってオルコット家のメイドさんなんてどうですか」
「いやIS操縦システムのブラックボックス解析に手を貸すことでこの法案止めてたのにどうしたんですか」
「篠ノ之博士がISコアを100機ほどばらまきまして、大丈夫ですよ、発電装置としてしか使えませんから」
「神は死んだ。あと反応できませんでしたがナノメタルの人工臓器適応試験体である彼女を母胎に回すのはいいんですかね」
「彼女はオルコット家の為ならばとノリノリでしたし貴方も乗り気でしょう」
「憎い、なんだかんだで結構いい女なら反応する愚息が憎い」
彼女の名は四十院神楽、神鉄の上司であり、もっというならば神鉄の旧姓、三田家の主でもある。
場面転換
血染深紅地点
「神鉄さんと真耶先生ってあくまで義理の兄弟なんですか、神鉄さんが四十院さんの部下の家の三田家の跡取りで、ムグ」
「声がでかいぞ血染君、遮音シートはあるとて、あまりいい話でもないから。真耶さんの山田の家に引き取られた、だから血縁上は全くない関係ないって事ですね」
「気にするな、反対組織のカチコミ食らって両家でパーティーしているところで焼夷弾の滅多打ち食らっただけだ。某がうまく動けてたらなかった事故だ」
神鉄さんはまるでパンがジャムを下に落ちた、みたいに気楽に言うが俺は其れは違うと思った。
「いいか血染君、悔やんだって故人は帰ってこない、やることをやるしかないんだよ。でないと我輩みたいに取りこぼすぞ」
「それはどういう」
その俺の問いは良く響く指を鳴らした音で遮られた。
「はい注目、それでは血染深紅君のISの説明をしますわ。とりあえず走って逃げてもらうためのISですわ、以上」
ISスーツに着替えた神楽さんが空間投影ディスプレイを展開した。
「ほとんどボディアーマーと同じようなISですね、追加バーニアとかはグルドリン二号機に跨れって事ですね」
「そういう事です、理解が早くて助かりますわ」
「ご当主の仰る通りISに乗る訓練をしてない血染君には陸上部だった経験を活かして走って逃げてもらうのが一番いいんだ。無論ハッキング閃光弾は山ほど積んである」
「まあそれがなくてもこの軽装でも打鉄真打の一般機仕様以上の性能がありますわ。まあグルドリン二号機は跨るか足場にする設計でコクピットがありませんから。とにかく生き残って正規の教育を受けてくださいませ」
「開発コードは打鉄真打・飛脚ですわ」
「では一夏君の機体の方を説明します」
「いやいいです、大体わかりました、暮桜にリミッターを噛ませて俺でも扱えるようにした機体ですよね。ただこれ違くないですか。零落白夜白死って」
のぞき込んだ神楽さんと神鉄さんが顔を真っ青にした。
「「ワンオフアビリティ発動してるぅ」」
「俺でもわかるぞ、一夏君やっぱすげえ」
「千冬姉の零落白夜
「斬撃と同時に万物に対して対消滅を発生させる。機体をすべて覆うシールドも発生させるから機体は無事だ。ただし余波はISコアの自爆に匹敵する地球が半分になるほどのの爆発に成るな。リミッターは厳重にかけておくよ」
「これはまた書類の山と戦わねばなりませんね。でも頼もしいですわね。ISコアに愛されてますわね」
なんて言いながら大人が走り去っていく中ハンガーに機体が固定されているから降ろす人員が来る迄暇な俺は一夏君に問いかけた。
「なんか大変だな、一夏君。でも神鉄さんならいい感じにリミッターをつけてくれるさ」
「よくちょっと前まで一般人なのに俺を気遣う余裕があるな血染君は。すげえよ」
「なーに、清香を守るという事は何一つ変わってないからな」
「つええよ、君は。ハラククラナイトナ」
「なんかいったか」
「いや、気のせいだ」
多分篠ノ之博士の妹さんかな、とおもったが触れないのがいいだろう。
次回、あんまり考えてない、プロットは最初からない。
そろそろ設定集ださないと。
それでは改めて次回、深紅のメカゴジラ、篠ノ之博士の妹御襲来
廃人とかした神鉄の頬をつつくのが四十院神楽の楽しみだ。