やっぱいいですねマジンガーインフィニティ。
淡々と、事実のみを述べよう。
織斑一夏は既にマッハ4の世界に入門した。
これはもはやISコアとの融合係数が分離不能点を越えてしまったことを意味する。
つまりもう織斑一夏は、もう白式と融合した。
少なくとも、寿命で死ぬことは無いだろう。
自我が砕ける迄、戦い続ける戦鬼となる。
愛する女たちと、その子孫たちと、同じ時間では生きられない。
これは純粋な神鉄のミスである。
リミッターを噛ませる余裕がなかった、織斑千冬のパーフェクトクローンである織斑一夏を甘く見ていた、そもそも過密スケジュールで頭が物理的に煮えていた。
そんなことは言い訳にならない。
結局、妬ましかったのではなかったろうか、何の対価もなくISという莫大な力を振るう自分以外の男性操縦者が。
だが、そんな自虐などなんの腹の足しにもならない事は神鉄自身が一番よく分かって居た。
ならせめて、他二人の男性操縦者の、このひと時は幸せに。
もっというならば、この血まみれの両手のようにならぬように。
綺麗な手で、好いた女子と子供を成せるように。
罪滅ぼしにもならないそんな感情は、ただ彼らを強くするためのエネルギーに変える。
戦場で生き残るに必要なのは、銃後を守る為に死ぬ覚悟と力、ただそれだけであるからだ。
血染深紅の機体にはリミッターを噛ませた、そもそも彼の適合は緩やかなもので、それはそれで次世代として無理のない進化であるといえる。
故に、次世代を守る為、旧式の無理やり適合した男性操縦者など不要だろう。
大丈夫、遺産は山ほど残してある。某が好いた女はもっといい出会いがあるさ。
(うん、思考は束さんに筒抜けなの分かっててやってる、束さんシングルマザーRTAはドン引きだよ)
(知ってる、楔を父無し子にはしないさ、ただ最悪の想定は常にしておくべきだろう。残せない危険な研究の始末は頼んだぞ束)
(ああもう、そういう事じゃないのに。とりあえずバイタルは安定させておいたよ)
(恩に着る)
ここまで、
(まあ世界が終わるまで一緒に生きようぜ束、お互いもうまともに死ねない身だ)
(そうだね、他の誰かを巻き込む気はないよ)
束も某も人外みたいなもんだから気を使わんでいいのは助かるとも思うが、親しき中にも礼儀あり、そもそも産後故束も労わらねばな、と肝に銘じる神鉄であった。
「神鉄さん、仕合中に女にうつつを抜かすとは言い度胸ですね」
へし折れた葵田貫を再生し終えた一夏は不満顔だった。
「そりゃ失礼、じゃあ着装と行こうか」
ボコン、と心臓の部位に埋め込まれた神鉄の愛機のヒルコが水銀の様なナノメタルを吹き出し神鉄の体を包み込む。
「お台所を司るもの、自分の飯は握り飯」
第一世代機ラファールのオリジナル機をナノメタル実証用に徹底的にいじったもの、そこに防御特化パッケージ(ガーデン・カーテン)の物理シールド四枚バージョンを装備する神鉄。
分子単位で補正するナノメタル製故ゆえに細かな傷はないはずだが、歴戦のすごみを感じさせる戦人の半身であった。
「刀は抜くべからずもの、来い、グルドリン」
そして、と一息ついてから一夏は、
「白式、白き死を撒くな、人の業をその光に呑め」
ガンダムに詳しい人ならばファトゥムに乗るジャスティスガンダムを想起する精悍な若武者がそこにいた。
観戦していた血染深紅は細かく違うな、と手を打った。
「スラスター群が三対六基に集約されてる。方向転換は空を蹴れとでもいう仕様か」
「ゲンサクチシキ、ってやつ」
「ああそうだ清香、少なくとも一夏が手練れな以上原作と同様の欠陥機でもそれなり以上に活躍するだろうけどね」
「あんたもがんばんなよ、私の血染」
「ああ」
ぎゅっと手を握って、同じ方向を向いて。
そんな会話が交わされていることなど、神鉄も一夏も知りえない。
知ったところでどうでもいいと切り捨てるだろう。
結局のところ、御託をいくら並べても山田神鉄は他人を踏みにじるのが好きな屑で、
織斑一夏とて強い相手と死合いたいという欲求を抑えられない。
だが、
「おうおう旧型機上等じゃい、勝って見せろダーリン」
「勝ったら褒美を上げましょう、べろちゅーなんてどうです」
「その、お茶入れてあげますから、頑張って」
神鉄には束が、神楽が、チェルシーが
「一夏、最強を照明しろ」
一夏には篠ノ之箒が居る。
その声が二人を戦鬼から引き戻し、
真っ向からぶつかり合った。
「「ぬん」」
神鉄は体をいたわりマッハ2までの
織斑一夏はグルドリンの加速に任せ、マッハ4の
だが、それはあくまで投入された加速力の話。
戦い方に神鉄の方に一日の長があった。
空間にまき散らしたナノメタル、文字通り一個一個がナノサイズで下手なパソコン並みの性能を持つ微粒子はマッハ2程度の差はものともしなかった。
空間を触っている、と称されるほどの掌握能力で完全に見切っていた。
さらに神鉄が機体周辺にまき散らした特殊なナノメタルが周囲の空間を把握することによりソニックブームを一切発生させず無抵抗でマッハ2まで達した。
故に、速度は実際同等。
互いに獲物がぶつかり合い、神鉄の(ガーデン・カーテン)の物理シールドが葵田貫を四枚重ねで受け流し、爆散した。
機体の馬力の差から下にそれた如意棒が、グルドリンの前面装甲のいちばん厚い面を刺し貫き、コアユニットからスラスター群まで内部構造を一気に破壊、推進不能と化す。
(五分経過、ワンオフアビリティの使用を許可します)
大破したシールドユニットを根元から投げ付ける神鉄。
「コード
「ワンオフアビリティ(水は無形なり)、天地を固めろ、如意金箍棒」
それを切り捨て、同時に神鉄がまき散らした観測用ナノマシンを焼き払いながら突撃する一夏。爆発はしてないが擱座したグルドリンはすでに切り離してある。
発生する対消滅の光、目に物理的なシールドを互いに装着。
核融合すら凌駕する爆発的なまぶしさ、そのなかに如意棒、強いて言うならばリミッターをすべて解除したナノメタルである如意金箍棒を手に突っ込む神鉄。
そして目が焼けようとも意に介さず振り下ろし、神鉄を右袈裟に両断する一夏。
そして吹っ飛んだ如意棒が一夏の心臓に吸い込まれ、スキンバリアに弾かれた。
因みに新鉄の上半身はISを含めまだ飛行及び簡単な戦闘が可能だがそれを言い出すときりがないので。
(勝者、織斑一夏)
「すごいぞ一夏、神鉄義兄さんに勝つなんて」
仮想現実のログインが解けた一夏に箒が駆け寄る。
しかし一切反応がない。
というか脈がない。
「AED、当てる、離れて」
管制室から束がすこし慌てた様子でISスーツをはぎとり電気ショックを与える。
通常ショックでは効果がない。
ばじじ、とやけど跡が残るくらいの電気ショックを浴びせられて一夏はようやく目を覚ました。
「げぼ、げぼっぼ」
さっとげろ袋を下に差し出す箒であった。
「なんだ、今のは」
胸をさすり、心臓が有ることを確かめる一夏。とんでもない激痛で意識が飛んだ。シールドバリアによって防がれた刺突のはずだ。
「年経たIS乗りならだれでも知ってる、スキンバリアを利用して激痛で意識を刈り取る刺突だ。我輩の場合ナノメタルで理論値が出せるし、なんならスキンバリアの基礎設計は某がやったからな」
五分余り、胆汁迄全部吐き続け漸く落ち着いた一夏は凄惨な笑みを浮かべた。
「今ので大体技の理屈は分かり申した、もう十番ほど願います」
「やめとけ、そもそもあれは試合では禁止技、使った時点で某の負けだ」
「とはいえ神鉄義兄さん、先の俺の攻撃を食らってなお手右腕と如意棒と頭が残っているので、PICで飛んで失神していた俺の首を刎ねるなど造作もないはず。これが殺し合いなら俺の負けです」
「まあそういう事だが、まあそこまでやらんともう第二世代としてのヒルコでは一夏君には勝てんよ、頼もしい限りだ。そういう殺し技を使う手合いに襲われるやもしれないからな。箒ちゃんを頼むぞ」
「言われずとも。
そして第零世代としてのヒルコなら勝てる、ということですか」
「無論だ」
まだ勝てんな、と新たな殺し合いの頂にわくわくする一夏であった。
「因みに血染深紅君、うぉーすっげえ、って顔で某を見てるが、何も出てこんぞ」
血染深紅は原作では未登場の技を見せられて興奮したがよく考えたら一夏が同じことをしてくる、と理解して相川清香に甘える事で廃人と化すことを免れた。
バレンタインネタ
「ねえ一分の一超精密立像をおくるのやめませんこと神楽お嬢様」
「といいつつ丸呑みしてる神鉄、嫌いです」
「明日も知れぬ身ならば、敬愛する君主と愛する人からの贈り物は早急に胃に収めませんと」
この後しっぽりお家デートした。
前回の後書きに次回予告を入れ忘れました。血染深紅の代わりに神鉄が廃人になります。後オートクチュールです。神鉄が以下略
次回、深紅のメカゴジラ対赤き龍。
剛の拳で叩き込まれたら神鉄さんの用いた技と同じことよな、と考えた織斑一夏は篠ノ之箒の胸で廃人と化した。
来週からは三週間かけてブリーチに神鉄が居たらな話を書きます。