翌日、検査入院をしていた薫は退院が認められて病院を出たら、上条と絹旗が迎えに来たようだ。
「お兄ちゃんと絹旗さんは、一緒に来たんだね。」
「偶然だよ。薫の友達だと聞いたから一緒に迎えに来た。」
「麦野と滝壺さんは用事があるようで、超来れないみたいです。」
麦野と滝壺から預かった封筒を薫に渡すと、中身を見てすぐに、懐にしまうと絹旗を見て頷いた。
「薫、忘れ物ないか?」
「無いよお兄ちゃん。」
「超上条のレベルは?」
絹旗から質問されると思ってみなかった上条だが、普通に教えた。
「上条さんはレベル0ですよ。」
「そうなんですか?」
「お兄ちゃんは僕と同じ原石なのに…納得いかない…」
薫の不機嫌な表情に、絹旗は上条を見る。
「俺の右手には、善悪問わず異能の力を打ち消す、幻想殺しの力がある。」
「幻想殺し…ん?超少し、試させてもらってもいいですか?」
「試す?」
絹旗から右手を構えるように言われると、窒素パンチを上条の右手にぶつけるが、何かが打ち消された感覚を感じた絹旗は、右手を見ている。
「どうだ?」
「確かに、超凄いですね。でも、レベル0…」
「お兄ちゃんは機械に反応しないから、レベル0判定を受けちゃったんだ。僕だって、機械に反応しないのに…」
不機嫌度が増した薫の言葉に絹旗は、何も言えなかった。
「薫の能力も、俺と同じ原石だもんな。」
「でも…超薫も、機械に反応しないならレベル0になるのでは?」
絹旗が指摘するも、上条は薫の頭を撫でながら説明した。
「その筈だったんだがな。数日後に、統括理事長から薫の再検査の要請があったんだよ。その検査で…」
「黄金蝶が初めて、出現したのは…超いつ頃なんですか?」
「学園都市に来て、検査後だよ。僕が黄金蝶が見えるようになったのは…説明が面倒だったけどね。」
第7学区に帰ってきたら、上条は夕飯の買い物をしてくるようで、別行動を取ることに。
「絹旗さんはどうする?」
「超暇なんです。暗部の仕事もありませんし…」
「確かにこの頃ないね。スクールとアイテムが仕事で対立したら、流石に戦闘は避けられないけど…」
絹旗は薫の言葉に少し暗くなる。忘れていたが、絹旗はアイテム、薫はスクールの暗部組織に所属しているため、敵対同士ではある。
「その前に、能力と戦闘の差で僕が殺されるかもね。」
「どうしてですか?超薫はレベル5ですよね。」
「レベル5でも、能力の強さで、決まるものではないよ。学園都市に利益があるかどうかだよ。」
川に近づいて、悲しげな笑みをしながら薫は、話続ける。
「学園都市の生徒達は、能力開発をしているけど、それが安全なものだと思えるかな?」
「……………」
「学園都市は能力レベルで、優先度を決めている。生徒数230万人…だけど、レベル0は6割近く存在している。たくさんの生徒を受け入れているのに、レベル0だとわかれば、手のひら返し…能力を持っていれば、学園都市から期待される存在になる。絹旗さんに聞くけど…この世界に能力者は必要な存在なのかな?君も、その能力の強さなら、学園都市に期待されるだろうね。」
言いたいことを言い終えた、薫は川から離れると、絹旗から質問された。
「なら、超薫は…何で、学園都市に来たんですか?暗部にも所属してます。」
「……僕のお兄ちゃん…上条当麻の右手の能力…幻想殺しはある意味呪いだよ。」
「呪い?」
絹旗は理解できていないようで、薫が説明した。
「お兄ちゃんが言わなかったかな?幻想殺しは…善悪問わず、異能の力を打ち消す能力。悪の力も打ち消せるけど、それは同時に…神の奇跡さえも、打ち消しちゃうんだ。」
「………な!?」
「親はそれを何とかしたくて、お兄ちゃんを学園都市に行かせたんだよ。僕も、一緒に来たけどね。理由は省かせてもらう。さて、僕は用事があるから、別行動するね。」
黄金蝶の発生に気づいた絹旗は、薫を呼び止めるが、そのまま黄金蝶に姿を変えて、その場から消えた。
「……超薫は、何で私に話したんですか。」
絹旗は薫が言ったことを考えながら、アイテムの隠れ家に戻ったのだった。