デート当日。薫は初春との待ち合わせ場所であるいつもの喫茶店に到着していた。店内で紅茶を飲みながら待っていると、走ってきた初春が店内に入ってきた。
「薫さん…遅くなりました。」
「大丈夫だよ。紅茶頼む?」
「はい。」
薫は店員に紅茶を注文すると、初春は席に座ると、気分を落ち着ける。
「走ってきて疲れたよね。暫く、休憩してから行こうか。時間はあるよ。」
「そうですね。」
紅茶を飲む初春は窓の外を眺めている薫に、緊張している。暫くして、紅茶を飲み終えたので喫茶店を出ようと言って会計するが…
「僕が払うからいいよ。」
「でも、私が誘ったんですが…」
「…そうだね。会計は別々にしよう…」
喫茶店を出た薫と初春は遊園地に向かうため、バス停を目指す。道中、手を繋ぎたいと言われたので、初春と手を繋いで歩く。
(本当のことを言えるタイミングがない。私のバカ!?)
(誘ったけど、緊張してきたよ。嫌われてないですよね?)
薫と初春は悩みながら思っていると、遊園地行きのバス停に到着した。ベンチに座りバスが来るのを待つ。
「少し歩きましたね。」
「僕は能力の都合上、ランニングしないと追い付けないから。」(最近は研究、実験が続いてたから、走れてないや…暗部の仕事もないし…)
「確かにそうですね。」
薫は初春にだけは、能力を教えている。何かしらで、共有したい気持ちが強かったからだ。
「バスが来ました!」
「乗ろっか。」
一番後ろの席に行き、初春は窓際に座る。
「薫さんは隣です。」
初春の隣に座り、遊園地に到着するまで窓から外を眺める。手は繋いだ状態だ。
「遊園地は初めてなんだ。」
「そうなんですか?」
会話をしていると初春が欠伸をしている。眠気が来たようだ。
「遊園地に着いたら起こすから、寝てなよ。」
「すみません……」
頭を薫の肩に乗せると、そのまま眠ってしまった。
(……どうしようかな。もし、言わなかったら知ったときに、嫌われちゃうな。それは嫌だけど…タイミングがない。)
バスが遊園地前のバス停に到着したので、初春を起こす薫だが、中々起きない。
(目立つけどしたかない。)
薫は初春を抱き抱えた状態で、バス停に下りると目が覚めたようだ。遊園地に到着したことに、顔を赤くした状態で薫を見る。
「もしかして…」
「そのまさかだよ。」
初春は薫の背中に顔を押し付ける。恥ずかしかったようだが、何か違和感を感じた。
(薫さんの体つき…やけに細いような…)
「初春さん。中に入ろ…」
「……わかりました。」(私の…気のせいですよね。)
薫と初春は遊園地に入った。その頃、とある研究施設では何かの開発実験が行われていた。
「統括理事会から能力者のDNAサンプルと、能力サンプルデータが提供されました。」
「この能力を装置に植え付け、学園都市内の一部の地域で、試すようです。」
「……これは面白い能力データじゃな。試作品を開発するのに期間は?」
「大体4週間ですね。機材の調整もありますから。」
研究員は能力データを渡されて、急いで開発に乗り出した。
「これで、学園都市の能力開発が更に発展する。そのためには…何人かの犠牲が付き物だな。」
「この装置が完成すれば、ある程度の人材が確保できるだろう。この能力はそれを隠すために使える。」
「この能力の持ち主に知られたら、危険だからな。」
アレイスターは薫の行動をモニターで、監視しつつ、笑みを浮かべている。
「……勝手に、統括理事会の名を使い能力データを提供されたか。まだ、猶予はあるが…プランの進行を早めるために、幻想装飾と幻想殺しを動かすか。面倒なことに、首謀者は既に死亡している。」
「アレイスター、何を企んでいるんだ?」
土御門元春がアレイスターを睨み付けながら質問している。
「土御門元春。今回ばかりは、私の思惑ではない。何者かに幻想装飾の能力サンプルデータが研究施設に提供されている。」
「幻想装飾…第8位の能力。」
「謎の装置が完成されれば、幻想装飾の劣化ではあるが、能力が再現できる。それは私のプランの進行を阻めるものに、なりかねない。学園都市全体を覆い尽くす程の黄金蝶が発生されると、全てが幻想で、隠されてしまい、最後は…破滅の道に進む…」
「…学園都市の破滅…」
「研究員達は幻想装飾を甘く見ている。幻覚、幻が、どんなに危険な物かを知らない。」
「首謀者は誰だ?」
「首謀者は既に死亡している。能力サンプルデータを提供し、僅かに残していたサンプルを自分自身に使用したため…死因はショック死。幻覚、幻が原因だ。」
「だが、第8位の責任にはしないだろうな?」
「無論だ。上条当麻、上条薫、アイテム、スクール達と協力して、解決してもらいたい。暗部組織のことは上条当麻には言わずに、事件解決の協力要請を頼む。」
土御門は無言で、窓の無いビルを立ち去った。