窓の無いビルの内部に来た薫は、アレイスターに問い詰めた。
「説明してもらうよ。アレイスター…」
アレイスターは全ての情報を薫に説明すると、怒りの宿った笑みを浮かべる。
「無断で能力サンプルデータを装置に組み込んで、黄金蝶を発生させた。アイデアは面白いけど…話になら無い。黄金蝶が学園都市全体に広がると、幻覚や幻を見るようになり、能力者同士の同士討ちを引き起こす…そうなったら、学園都市にいる能力者は…滅びるね。やっぱり、人間はイカれてるよ。」
「黄金蝶が学園都市全体を包み込むには、まだ時間がある。あの装置は黄金蝶を発生後に壊れたからだ。今現在発生している黄金蝶を消し去れば、危機は乗りきれる。」
そう断言するアレイスターの言葉に薫は、本来の目的を質問した。
「アレイスター…僕の能力をプランに利用するのは、別に構わないし、聞くつもりもない。だけど、この事態を招いたのは、統括理事会側の管理不足だ。目的を話してくれない?」
「黄金蝶を学園都市内に発生させるつもりではいたが、それは能力者達が発生させているAIM拡散力場と組み合わせるためだ。それによって、幻覚、幻を生み出して、観測するためだ。」
「それをお兄ちゃんの幻想殺しで、対処させて…成長させるのが、僕の能力を必要とする本来の目的…さて、アレイスターの目的が破綻したけど…この事態も…想定内かな?」
アレイスターは何も話さないが、薫は興味が失せたようで、これ以上何も聞かなかった。だが、この件をどうするつもりなのかを聞いた。
「さて、どうやってあの大量の黄金蝶を消すつもりかな?言っておくけど、あの黄金蝶には物理攻撃は勿論、一般的な能力…発火能力、発電能力、水流操作系、風力使いの攻撃じゃ倒せない。精神系能力は論外…」
「一方通行、未元物質、原子崩し、削板軍覇、幻想殺しなら…どうかね?倒すことは…不可能ではあるまい?」
「……倒せるかもね。僕はどうする?目的が破綻した以上、第8位は必要ないよね?僕を除名するか…それとも、この場で僕を殺す?」
薫は不敵な笑みでアレイスターに問うが、予想外なことを薫に言った。
「上条薫には暗部組織【スクール】を抜けてもらう。そして、今まで許可していたものを返してもらう。」
「それは…」
「自由登校の剥奪、明後日より…常盤台女子中学の登校を命ずる。第8位の席はそのままだ。そして、常盤台学生寮に行ってもらう。だが、今までの暗部組織の活動、幻想殺しの監視任務をしていたから…休日での義務を不要…これを学園都市統括理事長として命ずる。」
予想外の命令に薫は、目を見開いている。
「これは私からの謝罪だ。幻想殺し成長プランは継続するが、幻想装飾の研究、実験データは十分に調べれた。表の世界に戻るといいだろう。」
「わかった。けど、この件を解決するのは参加させてもらう。問題ないよね?」
「無論だ。今日は帰るといい。既に、常盤台学生寮と学校の方には、連絡済みだ。」
「…………じゃあね。」
空間移動能力者と共に姿を消した薫に、アレイスターは呟いた。
「これで、私のプラン進行を加速させることができる。この事態は想定外だが、これにより…幻想殺しの成長は…更に加速することができる。」
薫は部屋にある荷物を片付けると、上条が帰ってくるのを待つのだった。その頃、上条は土御門からの頼みを聞いて、黄金蝶の対処を行っていた。
「まだ…いるのか。」
「上条!援軍に来たぜ。」
「垣根さん。あの黄金蝶は…」
「問題ねえ。薫の能力は粗方、聞いているからな。」
垣根を目掛けて、大量の黄金蝶が迫ってくると、未元物質の翼を出して、竜巻を発生させると、黄金蝶の一部が消え去った。
「俺の能力は有効らしいな。なら、対処は簡単だな!」
「けど、数がいるから持たない。」
上条は右手で、黄金蝶を打ち消しているが、隙が出来てしまい、1匹の黄金蝶が背中に命中すると、痛みが生じた。
「ぐ…」
「大丈夫か!?あの黄金蝶は何で、幻じゃなかったのかよ!」
上条の右手に触れないように抱えると、攻撃しながら一時撤退した。