全てを話終えた薫は絹旗の手を握る。
「絹旗さん…寮に戻ろう。明日は学校がある。」
「超…わかりました。」
薫と絹旗は寮に戻ろうとしたら、御坂に呼び止められた。言いたいことがあるようだ。
「あんたが…能力に危険思考を持っていることが良くわかったわ。でも、その能力を持っているあんたが言えることじゃない。」
「だから僕は自分自身も含めたんだ。」
「なら、学園都市に来た理由は?」
「……………」
「アイツの能力を何とかするためよね?」
「そうだけど……なんで…」
御坂は上条から幻想殺しの能力について、聞かされていることを言った。
「学園都市に来たことを…後悔してるの?」
「それは……」
「学園都市に来なかったら、初春さんやあんたのルームメイト、絹旗さんとも会えなかったと言いたいの。」
「……………それが…どうしたの?」
間の長かった薫だが、出てきた言葉が少しだけで、若干話し方が乱れている。
「アイツと同じで、困ってる人を見捨てられないわよね?」
「………他の人も、同じことを…」
「しなかったわ。余り言いたくないけど…学園都市に来て、私が不良に絡まれても…大抵の人間は見て見ぬふりをしていた。全員とは言わないけど…」
「……もしかして、御坂さんは…お兄ちゃんに?」
薫が御坂の話から、不良から助けてもらったのが、兄だと断定した。
「薫さん…ごめんなさい。今更だと、思うけど…許してもらえないかな?」
「………お兄ちゃん……落とすの…大変だよ…」
「大変?」
「僕もレベル5だから…ある程度の学園都市の裏には、詳しいんだ。御坂さんの例のやつも…会ったことはないけど…」
御坂は薫の言っている意味を理解すると、薫を抱き締めた。
「み、御坂さん!?」
「一応…聞くけど…アイツ…何人にフラグを…?」
「余り会ったこと無いけど…お兄ちゃんクラスメートの半数と海外に50~100人いたような…」
薫からの人数に絶句している御坂は、薫から離れると、お礼をいって座り込んだ。白井が腕時計を見て、真っ青になっている。
「今、18時ですの。今から戻らなければ、寮に間に合いませんわよ?」
「でも、門限は20時だよね?」
「そうなのですが…絹旗さんと上条先輩の歓迎会が…19時からでして…」
白井の言葉に察した御坂、絹旗、薫の3人は寮に間に合うが、初春と佐天の寮の門限は18時30分なので、到底間に合わない。
「……これは、僕の責任だね。掛け合ってみるよ…」
薫が誰かに電話をして、更に、初春と佐天の住んでいる寮監の方にも連絡して、数分後…
「なんとかなりそうだよ。寮監に聞いたら、部屋に泊めるくらいなら許可されたよ。初春さんと佐天さんの方の寮監にも、外泊許可が出たよ。」
「薫さんありがとうございます。」
「急いで、寮に戻ろう。白井さんには悪いけど、初春さんと佐天さんの夜ご飯、何か調達出来ないかな?お金なら僕が出すよ。」
「大丈夫ですの。黒子にお任せください…」
「わかった。佐天さんと御坂さんは、白井さんお願いできるかな?」
薫の頼みに白井は、すぐさま佐天と御坂の肩に触れて、その場から消えた。
「空間移動は凄いね。寮に戻ろう…歩いても、間に合うから。」
「薫さんは……学園都市に……」
初春の言葉に薫は、優しく頭を撫でると言った。
「学園都市に来たこと、後悔してないよ。絹旗さんと初春さんと、仲良く出来たからね。そろそろ、戻らないとダメだ。この時間帯は不良が集まりやすい。」
絹旗と初春は薫の手を握ると、無数の黄金蝶を発生させ、その場から見えなくなり、黄金蝶も学園都市上空を飛んでいった。