薫が体育館に入るのだが、麦野が研究員と会話しているのを目撃した。嫌な予感を感じたが、回避できそうにないため、諦めることにした。
「久し振りだな…薫。」
「麦野さん…まさか?」
「私があんたの身体検査の対戦相手よ。能力の関係上、戦闘した方が数値が測定しやすいのよね。」
麦野は明らかに、合法的に戦えるため上機嫌である。
「麦野さんと上条さん。この腕輪をしてください。能力数値を計測する道具です。」
「この腕輪がね…」
薫は黄金蝶を飛ばして、一瞬で腕輪を取り付けた。その行動に麦野と研究員が目を見開いている。
「あんた…どうやって…」
「何って、普通に腕輪を取り付けただけだよ?」
薫がしたのは、黄金蝶を飛ばして、一瞬で腕輪を取り付けたように装飾しただけである。実際には、普通に腕輪を取り付けたのだが、腕輪を取り付けた過程が存在するため、その腕輪を取り付けるまでの時間差は、一切存在しないことが可能である。但し、感覚は現実に出るため、腕輪を取り付ける際に、指でも痛めていればそれは残る。
薫の能力の本質を知っている食蜂は、苦笑するしかなかった。
「ある程度の戦闘をすれば良いんだね?」
「はい。体育館は身体検査後は立入禁止になります。」
「程好く暴れても問題ないわけね?」
麦野と薫がある程度の互い距離を離れると、戦闘が開始になる。
「先手必勝てな!」
黄緑の球体から光線を発射した。薫は余り体を動かさずに光線を避けると、無数の黄金蝶を発生させる。
「また、その黄金蝶か。関係無いんだよ!」
薫は麦野に向かって、走ってきた。
「正面から…くそが!」
身体検査をするための戦闘のため、殺しは禁じてである。麦野は光線を床に発射して、怯ませようとしたが、狙いがわかったようで、その場で立ち止まった。
「攻めに来ないのね?」
「怯んで、転けたら負けちゃうからね。」
「でも、あんたは私に近づけないわよ?」
「なら、増やせばいいよね。」
薫が不敵な笑みを浮かべると、無数の黄金蝶の一部が変化して、薫の姿に変わった。
「なんだと!?」
「この分身までしたんだから…もうわかるよね?」
「幻覚、幻系統能力者ね。」
「半分正解だよ。僕の能力は幻想装飾…能力発動時には、必ず…黄金蝶が発生される。攻撃しなよ…そうしないと、戦闘にならないよね?研究員さんは…止めないでよ?身体検査には事故が付き物でしょ?」
薫は麦野を挑発した。
「なら、望み通りに…してやるよ!」
麦野は拡散支援半導体を取り出すと、空中に投げて、光線を発射すると、半導体を貫いた瞬間、光線が分裂して、体育館を半壊させた。流石の研究員が戦闘中止を宣言した。
「麦野さん!?やりすぎですよ!」
「ごめんなさいね。熱くなりすぎたわ…薫は…いないんだけど…」
研究員と麦野は薫の姿を探したが、見えなかった。
「今、姿を現すよ。」
麦野の後ろから薫の声が聞こえた。振り返ると、1匹の黄金蝶が消えて薫が姿を現した。
「な、何時後ろにいたのよ!」
「戦闘中に黄金蝶を出すタイミングがあったよね?」
「……あの時か。」
「無数の黄金蝶を発生させた後で、本物を見えなくさせて、偽物…黄金蝶を僕の姿に見せたんだ。」
「本物のあんたは私の後ろに、移動していたわけね。」
「正解だよ。研究員さん…腕輪返すよ。」
薫は腕輪を研究員に返すと、数値を調べ始める。
「……測定結果は、能力不明、レベル5固定です。」
「ふーん。余り変わらないね。」
「上条薫さんの能力は、原石ですからね。まだ、学園都市の科学では、調べようがないので…」
「僕は食堂に行かせてもらうよ。良いよね?」
「身体検査は終わりなので、問題ないですよ。」
薫は体育館を出て、食堂に向かった。