食堂に向かっている最中に、絹旗と合流したので一緒に行くことにした。
「超薫、格好良かったですよ。」
「………身体検査の戦闘見てたの?」
「はい。教師の方から第8位が模擬戦闘するから、今回の授業はそれになりました。」
絹旗から言われたことに、薫は冷や汗を流して、食堂とは別の方向に行こうとする。
「やっぱり、外の売店で買ってくるよ。」
「もう、超遅いと思いますよ。」
「やっぱり?」
「だから、超食堂に行きますよ!」
絹旗に腕を掴まれて、引き摺って食堂に行かされる薫は、諦めるしかない。到着すると、覚悟を決めて扉を開けた。
「薫先輩。お姉様とお逃げくださいまし…」
白井が疲れきった表情でいたので、薫は白井を抱き抱えて、医務室に向かう。
「超薫、なにやってるんですか!?」
「見てわからないかな?」
「そんな…抱え方を?」
「こっちの方が楽だからね。疲労している状態での空間移動は危険だし。」
医務室に到着すると、誰もいないようだ。仕方ないため、白井をベットに寝かせて様子を見る。
「絹旗さんはどうする?」
「超薫の分のお昼も買ってくるので、白井さんを見ててください。」
「ありがとう。そうさせてもらうよ。」
絹旗は薫からお金を借りると、売店に向かった。
「…僕の能力は幻覚、幻を見せるだけ。役に立たないな。」
溜め息していると、白井が目を覚ましたようだ。
「私は…」
「大丈夫かい…白井さん?」
「薫先輩ですの…黒子は…?」
薫は黄金蝶を発生させると、ガラスコップに入った水が出現した。白井は不思議そうに見ている。
「水を飲んで、落ち着いて…」
「ありがとうございます。」
水を飲み終えた白井は、気分がよくなったようで、安心している薫。
「食堂で、何があったのかな?」
「薫先輩の模擬戦闘を映像で見た生徒達が…」
「もう言わなくてもいいよ。大体わかったから…派閥みたいなものが、出来てるんだね?」
白井は小さく頷くと、疲れて眠ってしまった。
「…………ぶっ潰そうかな…その派閥…過激になるなら…」
昼休憩が終わり、授業を受けている薫は暇そうにしながらもノートを写している。
(……退屈だな。裏の世界がまだ、マシだったな。)
暫くすると授業が終了して、下校準備に取り掛かる。すると、絹旗が教室に入ってきた。
「か…上条先輩。一緒に…帰りませんか?」
「いいよ絹旗さん。少し、寄り道しても良いかな?」
「はい!」
薫は鞄を持って、絹旗と下校する時に、他の生徒からの視線が集まっているが、一部の視線が絹旗に集中している。
(……殺気を感じるよ。今週中に仕掛けるのかな?)
怪しげな笑みを浮かべながら、絹旗の隣を歩いている。
数日後、薫の予想は的中していた。常盤台2年生の3人が、教室にいる絹旗を狙って襲撃してきたのだ。質が悪いことに、3人は重力操作系統能力者だ。
「ぐ…何をするんですか!?」
「1年生が生意気なんだよ!」
「これも使うか?」
取り出したのはヘッドホンだが、演算妨害する特殊な音楽が記録された物だ。絹旗は重力の重さで演算に集中出来ない。ヘッドホンが取り付けられると、音楽が流れてきた。
「ぐ……」(頭が痛い…)
絹旗が苦しむ表情を笑っていた。
「今の時間は誰も来ないぜ。最終下校時刻だからな!」
すると、教室の扉を蹴破って入ってきたのは、薫だ。絹旗の姿を見て、3人に睨み付ける。
「何で、薫様が…」
「これは…」
「言い訳は無用だよ。絹旗さん…大丈夫?」
ヘッドホンを急いで外すと、絹旗は薫に抱きついてきた。
「……ごめんね。少しだけ、この布で目を隠させてね。傍にはいるから。」
薫の言葉に絹旗は、震えながら頷いている。黒い布で目を隠すと、3人に視線を戻した。
「もう…我慢ならない…
黄金蝶を発生させると、重力操作系統の3人の姿が現れた。
「私達の姿が…」
「今から君達の幻想を殺すから、勿論、現実では死なないから安心してね。」
薫はオカルト染みた3本の杭を召喚すると、幻想の3人に向かって、発射されると、それぞれが頭と胸と足を抉られた。その幻を見た3人は、真っ青になるが…
「僕の怒りはこんなものじゃない…」
山羊を召喚すると、ライフルが装備されて幻想の3人の頭を弾丸で、吹っ飛ばした。
「………もういいかな。」
能力を解除すると、現実に戻り。3人は気絶して倒れていた。
「……絹旗さん。もう大丈夫だよ…一緒に帰ろう。」
「………はい。」
薫は絹旗を抱き抱えると、学生寮に戻るのだった。