上条の部屋のベットで寝ているリオが、目を覚ました。欠伸をしていると、風呂場から上条が出てきた。
「リオ…よく眠れたか?」
「……うん。」
上条は左手で、リオの頭を優しく撫でると、笑みを浮かべている。
「お兄…あ…違…」
「そう呼びたかったら、お兄ちゃん呼びでいいぞ。上条さんはリオを化け物だとは、思ってない。」
「ありがとう…お兄…」
「だけど、しつこいかもしれないが…右手には触れるな。リオ…妹を消したくはない。」
「うん…」
朝食を用意した上条だが、携帯に着信が入った。小萌からである。
「小萌先生どうしましたか?」
『上条ちゃんの明日は、補習なのですよ。』
「わかりました。」
『それと、補習終わりに焼肉屋に行くですよ。クラスの全員には、伝えているのです。もし避ければ、妹ちゃんも呼んでくださいね。』
「わかりました。後で、薫に聞いてみます。それと、もう1人追加いいですか?」
暫くして、電話を終えた上条はリオと朝食を食べながらどうするか聞いた。
「リオは外出するのか?」
「……家にいる。」
「出掛ける時は、鍵をかけろよ。」
上条から合鍵を渡されたリオは、小さく頷いている。
「お昼は鍋に煮物がある。それじゃあ、行ってくるな。」
「気をつけて…」
上条が出掛けると、リオは窓の戸締まりを確認する。
(…密室状態だと、空間移動の特性を使えない…外なら問題ないんだけど…今日は家にいるかな。)
学舎の園に到着した上条は受付に向かう。
「常盤台中学の授業参観で、来たんですけど…」
「IDと生徒の名前、保護者証明書をお願いします。」
上条はIDカードと許可書を女性受付員に提示して、薫の名前をいった。
「上条薫の兄です。」
「…………確認できました。この許可書を持ってお入りください。」
学舎の園に入った上条は、常盤台中学に向かうのだが迷ってしまったようだ。
「学舎の園…敷地内広すぎ。上条さんは迷ってしまいましたよ…」
「超上条はどうしたんですか?」
絹旗が上条に声をかけてきたので、簡単に説明すると、納得したようだ。
「超薫の授業参観ですね。案内しますよ…」
「絹旗ありがとうな。」
「此方です。」
絹旗に案内されながら向かっていく上条だが、他の女子生徒に見られている。余り落ち着きがない。
「なんだか、上条さんは目立ってるから…不幸なことが、引き起こされそうな予感がしますよ。」
「学舎の園は超男性は、基本立ち入りなんですよね。警備員も女性しか出入りできませんから。」
「…………さて、上条さんの明日は不幸確定。話が変わるけど、薫はやっていけてるか?」
「超薫は人気者ですよ。派閥も出来てるくらいですから…超薫は嫌がってますけど…」
絹旗の話に苦笑している上条。薫が派閥といった組織紛いなのが、嫌いなことを知っている上条。
「超薫はいつ頃から男装をしてたんですか?」
「学園都市に来る1年前だよ。こればかりは、俺も原因の一部かな。」
「何かやったんですか?」
「俺の右手が原因かもな…て、今でも思ってるかな。」
常盤台に到着すると、職員玄関から入り、女性受付にIDと証明書を提示して、薫の教室に向かう最中、御坂に声をかけられた。
「ちょっとあんた!」
「御坂もこの中学だったな。」
「薫さんの授業参観に行くの?」
「そうだよ。」
上条は御坂と会話しながら教室に向かう瞬間、咄嗟に右手を後ろに翳すと、何かを打ち消した感覚を感じて、後ろを振り向いた。
「御坂樣…申し訳ありません。」
「何があったの?」
「……黒い虫が……窓を開けて…逃がそうと…」
「風で飛ばそうとしたら……ごめんなさい。」
女子生徒に謝られた上条は、気にしていないことを言ったら顔を赤くして、走っていった。
「あんた…モテるわね。」
「上条さんは非モテですよ。」
そう言って、薫のいる教室に向かうのだった。