暗部の仕事のない休日に、垣根が上条の家に訪問してきた。手土産に肉の詰め合わせを持ってきている。
「薫は仕事で、ミスなくこなしてるぜ。」
「それはよかった。上条さんも安心です。」
一応、説明しておくが、薫が暗部組織に所属していることは、上条は全く知らない。
「薫の能力で、助かってますから。」(暗部の仕事の意味で)
「それはよかった。」(人を喜ばせる仕事の意味で)
垣根と上条の会話が噛み合っているようで、噛み合っていない。
「薫の好みが、不安ですよ。」
「ん?どうして不安なんだ?」(それは、絶対に知りたい!兄貴分として…)
「薫は同性が好みなんだよな…」
「ん?同性?」
上条の言葉に、垣根が固まってしまった。
「垣根さん。聞いてますか?」
「………薫は男の子だよな?」
「薫から聞いていませんか?薫は女の子ですよ。」
上条から衝撃的な真実を聞いてしまった垣根。何と、垣根は薫を男の子だと、勘違いしていたようだ。
「………学校は?」
「薫はレベル5第8位だから、自由登校です。書類上は常盤台中学ですが、統括理事長様から単位を満たせば自由登校を許すとのことで…因に中学2年生です。」
「制服は?常盤台は休日でも、制服着用が義務付けになってるよな?」
「それがなんですがね。薫は…男装がやりたいから、学校には行かないし、常盤台学生寮も嫌だし、堅苦しい…と言って、聞かないんです。上条さんは、薫が不良になったと、心配でならないんですよ……学校は、親が勝手に決めたので…」
垣根は薫のことを聞いて、頭が痛くなってしまった。上条が心配している気持ちも、わからなくはない。
「わかった。今日は帰るわ…」
「また、来てください。」
「そのうちに…」
垣根が上条の家から出ると、翼を出して上空に飛んでいった。
薫はセブンミストの屋上で、外を眺めていると、初春が路地裏で、不良に絡まれているのを目撃した。笑みを浮かべると、能力を使い大量の黄金蝶に姿を変えると、屋上から姿を消した。
路地裏では初春が不良に絡まれていた。
「お嬢ちゃん。一緒に遊ぼうぜ。」
「私は帰らないと行けないんです。」
不良が初春に近づこうとした瞬間。大量の黄金蝶が集まってきた。それを見た初春は、隙を見て不良から離れた。
「なんで…黄金蝶が…」
集まってきた黄金蝶が消えると、フードで顔を隠している薫が現れた。その登場に、初春は見覚えがあった。
「貴方は…」
「少し待ってね。僕が君を助ける…」
薫は不良に、笑みを浮かべていると、初春の手を握って言った。
「ごめんだけど、この子は僕の連れなんだ。」
「先に見つけたのは、俺の方だ!」
そう言って、不良は右手から火の玉を出現させる。発火能力者のようだ。
「能力者か。なら、都合がいいね…僕の能力を見せてあげよう。」
「何を言ってるんだ貴様は、その女を渡してもらおうか?」
「君に、この子を好き勝手に、出来ると言うのなら、まずは、その
薫が能力を発動すると、黄金蝶が集まり、不良の目の前に10体の山羊が取り囲んだ状態で、出現した。
「な、何なんだよ!?この化け物は!?」
「この子達を倒せたら消えるから、君は僕と逃げるよ。」
「わ、わかりました。」
薫が山羊にライフルを持たせると、不良に銃口を向けると、泡を吹いて気絶してしまった。
「幻想がきつすぎたかな。」
薫が初春の手を握ると、路地裏を出て、近くにある喫茶店に入ったのだった。