薫と初春はセブンミストの屋上に姿を現した。
「私達のこと…見られませんでしたね?」
「それが、僕の能力の一部。お客には悪いけど、店内を黄金蝶だらけにしたから、屋上には誰も入らないと思うよ?」
「え!?」
今現在、セブンミストの店内周辺は黄金蝶が飛び回っていて、大騒ぎとなっている。
「何をしてるんですか!?営業妨害で、拘束しますよ!」
「今は非番じゃないの?」
「………今回だけですからね。私の話は…聞いてくれますか?」
「良いよ。その前に、黄金蝶は消しといたから。」
安心した初春は、薫にデートしてほしいとお願いした。
「デート?」
「ダメですか?」
初春からのデートの誘いに、薫はどうしようか考えている。性別が女である薫は、同姓にしか興味はないが、デートに誘われたのは初春が初めてだ。だが…
(初春さんが私のことを男だと、勘違いしていたら、騙すことになりかねない。)
薫は男顔で、普段の服装が男装なので、間違われやすい。なので、悩んでいるのだ。
「どうですか?」
「……わかった。来週なら予定空いてるけど…」
「ありがとう…ございます!」
初春は嬉しそうにしているが、薫は心を痛めた。何故ならば、騙していることにならないかと、悩んでいるからだ。だが、誘いを受けてしまった。
「また…」
「はい。」
薫は初春を学生寮まで送ると、1匹の黄金蝶を初春を対象に出現させた。
「黄金蝶…」
「この黄金蝶は君にしか、見えないようにした。ちょっとしたお守りだよ。」
「私にしか見えない?」
「そう。君が望めば、1度だけ姿を隠すことができる。これで、僕の能力の本質がわかったかな?」
薫の能力の一部である黄金蝶の力は、姿を消したように見せる幻覚、幻を発生できる。それを他者に授ける際、信じることで、現実の現象として発生する。但し、今回の対象者の初春が信じなければ、黄金蝶の力は消えて、姿を隠せない。
「もし、君がその力を信じれば、姿を隠して、再び、願えば…姿を現したように見せることができる。これはセットで1度だけだ。」
「わかりました。その黄金蝶の力を信じます!」
「ありがとう。君に黄金蝶の力を授けるよ…」
この瞬間、初春の傍で飛び回っている黄金蝶は、初春にしか見えなくなった。
「自分自身が危険の時に使うんだ。それか、君が守りたい人に使うんだよ。」
「黄金蝶の効力の時間制限は?」
「無いよ。けど、君以外に使った場合は10分しか持たない。」
「わかりました。」
「僕は帰るね。」
薫は能力で姿を消さずに、帰ることにした。初春の姿が完全に見えない位置まで歩くと、アレイスターに電話を掛ける。
「………これで、満足かな…アレイスター?」
『問題ない。これで、黄金蝶の力を観察できる。』
「……約束は守ってもらうよ。初春さんとその友達とお兄ちゃんには、手を出さないと…」
『約束は守る。幻想殺しはメインプランの要だ。失うわけにはいかない。初春飾利、御坂美琴、白井黒子、佐天涙子に関しても、手を出さないと約束しよう。だが…』
「僕の能力が望みなら、幾らでも研究、実験しても構わない。でも、休みの日は欲しいかな。暗部の仕事もあるから…」
『無論だ。私のプランの進行を邪魔さえしなければ、君の学園都市内での自由を約束しよう』
「わかった…それで構わない。」(学園都市内での自由…僕は、学園都市という名の牢獄に閉じ込められたわけか。)
電話を終えると、帰ったのだった。