薫は木原の研究所に立ち寄ると、黄金蝶に関するデータを木原に提出する。
「今回も御苦労だな…上条薫。」
「アレイスターとの取引だからね。」
疲れたような笑みを浮かべる薫は、出していた黄金蝶を消すと、椅子に座り込んだ。木原は気紛れにお茶を薫に出した。
「ありがとう。」
「それにしても、幻想装飾は面倒な力だな。幻覚や幻は簡単に出せるが、相手に攻撃する際は、自分自身の手でやらなければ、異能で装飾出来ないのは…その分、黄金蝶で自分自身の姿を消すことができるなんてな。」
「弱点もある。姿は隠せても、黄金蝶は消えないから見つかる危険性はあるよ。」
黄金蝶の弱点を教えると、木原は目を見開いている。
「そんな情報を教えてもいいのかよ。イカれてるぜ。」
「能力は研究、実験されるから、時間が経てば弱点も調べられるから、今教えたんだよ。アレイスターにも、どうせバレるし。」
平然な表情でお茶を飲んでいる薫に、木原は笑いながら言った。
「もし、今の立場が嫌になったら俺の所に来な。雇ってやるぜ。」
「考えとくよ。一応、友達いるし暗部の仕事もあるからね。」
断るのではなく、考えとくと言った薫。木原は内心、あり得なくねえか…と思ったのだった。
翌日の早朝、研究所からアレイスターの手配された車で帰ってきた薫は、部屋にはいるとベットで横になり、眠ってしまった。
「薫はお疲れか。」
上条は寝ている薫の頭を撫でると、朝食の準備を終えると、ラップをしてメモ紙を置いて、補修に出掛けた。
「寝てた…?」
薫が目を覚ますと、メモ紙を読んで、用意されている朝食を食べながら予定を確認する。
「予定なしか。」
朝食を食べ終えると、常盤台中学から出された課題をやっている最中に、垣根からのメールが届いた。
「……天使君は何を考えて…行くしかないか。」
男装の服装に着替えると、帽子とサングラスをして、リュックを背負って集合場所に向かった。
集合場所である第七学区にあるビル前には、アイテムメンバー、麦野、滝壺、レベル4窒素装甲、絹旗最愛と垣根が集まっている。
「まだ、来ないのか?」
「麦野、超待ちましょうよ。」
「まだかな…」
「来たみたいだぜ。」
垣根が上を指差すと、無数の黄金蝶が飛んで来たため、麦野、滝壺、絹旗が吃驚している。
「あの黄金蝶は!?」
「超なんなんですか!?」
「まさか…」
黄金蝶と共に、薫が地面に着地したように姿を現すと、垣根から拳骨が。
「痛い…なにするのさ、天使君!?」
「その登場の仕方をやめろ!?なんのつもりだ?」
「天使君には言われたくないよ!毎回、翼で来てるよね!」
垣根と薫が言い争いを始めると、我慢していた麦野が爆発した。
「私ら忘れて、何喧嘩してんだ!風穴開けられたくなかったら、黙れ!」
「麦野、悪かった。」
「げ…麦野さん、ごめんなさい。」
薫は能力名が出る前に、名前を言って謝った。
「さて…何で、アイテムのメンバーがいるのか、説明してくれるよね…天使君?」
「その前に、あんたの名前は?」
麦野に聞かれたため、サングラスを外してから名前とレベルを言った。
「僕の名前は上条薫…レベル5第8位だよ。」
「第8位だと!?」
「超イケメンなんですけど…」
「私は滝壺理后。名前で読んでくれたら、嬉しい…」
「わかりました。理后さんと呼ばせてもらいますね。」
滝壺は小さく頷いて、嬉しそうにしている。
「滝壺…何、やってんのかな?」
「超抜け駆けは、ダメですよ!」
「…天使君。抜け駆け?」
「薫は黙ってろよ。面白くないから…」
怪しげな笑みを浮かべている垣根に、首を傾げている薫は、絹旗から話し掛けられた。
「超私は絹旗最愛と言います!後、モアイと言ったら殺しますよ。」
「よろしくね…絹旗さん。」
「久し振りね…私は麦野沈利よ。」
「よろしく。さて、天使君。アイテムがいる理由は?」
薫は本題に戻すと、垣根が説明する。
「本当ならレベル5同士の会合が、あったんだけどよ。第1位、第3位、第5位が予定があるみたいでよ。」
「あの人達ね。御坂さんは知らないけど、食蜂さんは、謎過ぎるよね。常盤台で話したことあるけど…僕でも無理。」
薫の発言に、絹旗が目を見開いていた。どうやらまた、薫は何かをやらかしたようだ。
「超薫が何で、女子中学に入れるんですか!?」
「…まだ言ってなかったけど…僕は女の子だよ。」
滝壺と麦野は余り驚いていないが、絹旗は勘違いしていたようで、薫に敵意を向けている。
「超死んでください!」
「え、なんで!?」
絹旗の窒素パンチを避けながら、焦っている。
「超薫がイケメンだから悪いんです!女の子なら最初に言ってください!」
「あれに殴られたら死が、確定しちゃうよ。」
薫は黄金蝶を無数に出現させると、目眩ましをする。絹旗は視界が遮られて、攻撃が当たらない。
「超うざったいですね。」
薫は垣根の隣に移動すると、驚かれなかった。絹旗は途中から、薫の幻覚に惑わされているのを知っているからである。
「絹旗さんが疲れるまで待つかな。」
薫、垣根、麦野、滝壺は、お茶を飲みながら待つのだった。