"財団"と"幻想"   作:抹茶!

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お久しぶりです…いやはい。土下座する前に言い訳させてください…忙しかったんです大変お待たせして申し訳ございませんでしたぁぁ‼︎

…まあはい。今後とも読んでいただけたら幸いです。


第八話

 

世界そのものが震えている――そう錯覚してしまうほどの圧倒的な怒気が、大気を、地面を、空間そのものを歪めながら広がっていた。

 

それはもはやただの「殺気」ではなかった。重く、鋭く、そして絶対的な「意志」を伴ったそれは、ただの人間や妖怪の域を遥かに超えた存在が放つ、真の憤怒――神域の怒りである。

 

……まさに、「世界を揺るがす怒気」。この言葉以外に何をもってこの状況を表せば良いというのだろう。

 

 

幽々子side ―

 

「こんばんは。嬢さん方」

 

その声は、年若くも澄み切った音色を持っていたが、その裏に潜む怒気は、聞く者の背筋を凍えさせるほどだった。まるで、氷点下の静謐な夜に、突如として雷が鳴り響いたような、そんな異様な気配だった。

 

私たちの前に現れたのは、一見するとただの幼い女の子のようにしか見えなかった。しかし、その幼さを裏切るように、彼女の身体からは計り知れぬ力が吹き荒れている。それは怒りの奔流として具現化し、空気を裂き、周囲の空間を軋ませていた。

 

「唐突だが、儂は今、激しく怒っておる」

 

その一言で、誰もが理解した。この存在は、ただ者ではない。

 

「お前ら、その娘に何をした?……答えを述べよ。我が娘に、お前たちは何をしたのだ!」

 

声が、地響きのように大地を震わせる。幽々子としても、数多の修羅場を潜ってきたが――これほどまでに心臓を掴まれるような威圧を受けたのは初めてかもしれない。思わず足が竦み、肺に空気が入らず呼吸が浅くなる。体が自分のものではないかのように硬直するのを、無理矢理抑え込む。

 

隣に立つ紫を見ると、あの常に飄々として余裕を崩さない彼女の顔が、恐怖に引きつり、真っ青に染まっていた。あれほどの者ですら、平常心を保てないほどの殺気なのだ。

 

この子――いや、この存在は、間違いなく神の領域に属する存在。そして今、その神が、烈火のごとく怒り狂っている。

 

彼女は、無表情のまま、私たちを見下ろしていた。その無表情がかえって恐ろしく、まるで眼前の命など塵芥に等しいと断じているかのような気迫が、胸を締め付ける。

 

「……応えぬか?」

 

彼女が静かにそう呟いた時、空気が一層冷たくなった。息を吸うだけで肺が凍るような錯覚に陥る。

 

「ならば、仕方あるまい。申し開きもしない輩に、慈悲など与える必要はない。――死ぬがよい」

 

その言葉が発せられた瞬間、空間が――裂けた。

 

いや、それは錯覚ではない。本当に、空間が歪み、裂け、黒い雷のような力が凝縮されて姿を成し始めていた。

 

このままでは、私たちは確実に――存在ごと消し飛ばされる。

 

「ま、待ってくださいっ!」

 

割って入ったのは、妖夢だった。震える声で、それでも彼女は前に出て、その神に向かって声を投げかけた。

 

「なぜ、殺すのですか!?」

 

……無謀。誰もがそう思ったはずだ。だが、だからこそ、その言葉は凛と響いた。

 

彼女の瞳が、驚きにわずかに見開かれる。

 

「――ほう。儂に問いかけられるか」

 

一拍の沈黙の後、少女――いや、神――は、妖夢に向き直る。その紫紺の瞳がじっと彼女を見つめた。

 

「良いだろう。その勇気と意志に免じて、答えてやろう」

 

そして、彼女は静かに右手を上げ、倒れている白い服の少女を指差した。血に染まり、動かない、瀕死の状態の――あの娘。

 

「……その子よ。血まみれで、倒れているその少女。お前たちが、今にも殺しそうになっているその存在こそが――儂の、我の、たった一人の愛娘だ」

 

言葉の一つ一つが雷鳴のように胸に響く。

 

「故に我はその庇護者として、当然の義務を果たす。すなわち、貴様らを罰し、処す。殺すのだ」

 

一言一言が宣告のように重い。

 

「――ああ、万が一でも逃げられるなどと思わぬことだ。我が狩ると決めた者は、宇宙の果てでさえも逃れられぬ」

 

そして、彼女は少しだけ顎を上げ、威厳に満ちた声音で告げる。

 

「せめて、冥土の土産として教えてやろう。名を」

 

その名が口から紡がれた瞬間、空が、世界が、震えた。

 

「――わが名は、Atlassia」

 

紫の肩がぴくりと震える。私も思わず息を呑む。

 

「幻想と夢、望みと想いを司る存在。我は、在りとあらゆる存在の中でも、最も高みに座す《三本柱》のひとり。いかなる神格、超越存在、世界の理すらも我が足元に及ばぬ。そして、全てを統べる『超百の長』の真の主。星と幻夢の概念そのものである」

 

――その名を知っている。否、知らぬ者の方が異端である。

 

幻想神話体系における最強の代名詞。あらゆる物語と次元において、三つの超絶存在が存在するとされるが、その一柱こそが――このAtlássia。

 

私の意識が冷たくなっていく。まさか、私たちは――

 

「……そのAtlássiaの、たった一人の愛娘を、紫が……半殺しにした……?」

 

頭が真っ白になりそうになる。これは、文字通りの最悪だ。私たちは手を出してはならない領域に、あまりに無知に、無警戒に踏み込んでしまったのだ。

 

しかも、その代償は、世界そのものを破壊しかねない神の怒りを招いたという、最大の過ちとなった。

 

……これ、どうすれば良いのかしら…というかどうやったって、挽回などできるのかしら?




文体が変わった?まあ時間が開きましたからね…。なんか申し訳ない。
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