崩壊3rdのシーリンが、バビロン実験室でどんなことをされていたのかを書いた短編小説です。僕の想像も入ってます。
Pixivにも投稿しています。Pixivではいくつか加筆しているので、併せてご覧いただければ幸いです。
https://www.pixiv.net/novel/show.php?id=22896545

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第1話

お母さんが死んでから間もない頃、村に知らない人たちがたくさん来た。その人たちは変わった服を着ていて怖いマスクを被り、一つ一つの家を回って何かを調べたあと、私たちに言った。

「皆さんのご両親は、崩壊エネルギーによる病気で亡くなりました。でも心配いりません。我々があなたたちを引き取ります」

私も含めて、多くの子どもたちが連れていかれた。その子たちは、私と同じ孤児だった。その中には、アヴローラ、アガタ、ベラもいた。

 

車に乗せられてしばらく経った後、大きな塔のような建物に連れていかれた。そこで、手袋を着けた人に注射をされた。

 

「君たちは幸運にも、生まれつき崩壊エネルギーに耐性がある。人類のために、少しばかり実験に協力してもらいます」

 

私には、「崩壊エネルギー」というものが何なのか、よく分からなかった。私に注射をした人に訊いても、「あなたのお母さんが亡くなった原因」としか教えてもらえなかった。そして、「実験」については何も教えてくれなかった。

注射が終わると、「しばらくはここで我慢していてほしい」と言われ、牢獄のような場所に連れていかれた。正直、数日で出られると思ってた。でも、違った。というよりも、ここが私たちの死に場所だった。

 

「げほっ、げほっ!ゴホッ!」

「ど、どうしたの!?大丈夫!?」

 

翌日、私と同じ牢獄に居た子が、突然吐血し始めた。

 

「たず、けて...ゲホッゲホッ!痛い...いだい...

「どうしよう、シーリン。誰か呼んだほうがいいよね?」

「うん。すぐに呼んだほうがいいと思う」

 

私はベラと相談して、牢獄の外に向かって叫んだ。

 

「誰か!誰か来て!」

 

すると、1人の男の人が現れた。

 

「どうした?」

「あの子が、吐血してるんです!」

「吐血?もう耐えられなくなってきたのか...おい。行くぞ」

「えっ?」

 

その男の人は、その子の腕を掴んで、どこかに連れて行った。そして、その子が戻ってくることは無かった。

 

次の日、私は他の部屋に連れていかれた。そこには白や緑色の服を着た人たちと、ちょっと変わった形のベッドと、手術の時に使う機械みたいなものがたくさんあった。

 

「そこで横になれ」

 

私は、周りの人たちの指示に従って、ベッドに横になった。そしたら、その人たちは、私の体をベルトで拘束し始めた。

 

「な、なにするの!?」

「いいから黙ってろ」

 

私の体を完全にベッドに固定すると、今度は、先端に針が付いた管みたいなものを私の体に何本か刺した。

 

「痛っ...」

「よし。準備はできたな。じゃあ始めるぞ」

 

周りにいた男の人のうち1人が、私の体に繋がった管のもとのほうにあった機械を操作してた。そして...

 

ああああぁぁぁぁぁーーー!!!痛い痛い痛い痛い!!!

 

まるで、体ごとナイフで切り裂かれてるみたいな痛みが、私の体に走った。

 

「騒がしいな。おい、猿ぐつわを噛ませろ」

 

私は、口に変なものを巻かれて、うまく声を出せなくなった。

 

んんうううゥゥゥゥーーー!!!

 

声が声にならない。そんな感じだった。でも、体の痛みはどんどん強くなっていった。目からは涙が溢れてきた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

どれぐらい時間が経ったか...。私は、声を出す気力も失っていた。

 

ううゥ...あ...

「そろそろいいだろう。外せ」

 

私の体は、ようやく地獄のような痛みから解放された。そして牢獄に戻され、私と入れ違いに、今度はベラが連れていかれた。

 

「うっ..うううっ...」

「ベラ...」

 

私は、戻ってきたベラの体を抱きしめた。そうすることしかできなかった。そのあとも、アヴローラ、アガタ、そして他の子と...。みんなが、毎日毎日「実験」を受けた。そして日を追うごとに、戻ってこない子が増え始めた。戻ってこれても、至るところから出血していたり、大量に吐血してそのまま動かなくなってしまう子もいた。

私の体も血だらけだった。色んなところに、いつの間にか傷口ができていた。実験中に受けていた痛みも、実験が終わっても続くようになってきた。そして今日もまた...

 

痛い痛い痛い痛い痛いぃぃぃぃぃぃーーーーーーーーー!!!!!

 

今はもう、実験中に変なものを口に巻かれることはなくなった。でも、実験中に受ける痛みは、以前よりも酷くなっていた。そして、実験が終わってからも、その痛みがしばらく続く。もう死にたいと思った。こんな思いをするぐらいなら、死んでしまったほうがマシだと思った。だけど、死ぬ勇気なんて無かった。

 

「痛い...お母さん、痛いよ...。お母さん...お母さん...」

 

牢獄の中で、私はお母さんを呼んだ。私のお母さんはもう死んでる。でも、お母さんを呼んでいると、不思議と、痛みが少し和らぐような気がした。私はなんとか体を起こして、みんなの状態を確認した。

 

「アヴローラ、アガタ、ベラ...。みんな、大丈夫?」

 

返事は無かった。ベラの体を触ってみると、硬くて冷たい感触があった。お母さんが死んだ時も、こんな感じだった。

 

「ベラ...ベラ...。うっ..うううっ...」

 

次は...私が死ぬ番かもしれない...。いざ、そう考えると、恐怖で体が震えた。その日、私は、アヴローラ、アガタ、ベラの亡骸を、雪の中に埋めさせられた。

 

「アヴローラ、アガタ、ベラ。ゆっくり休んでね...」

「おい!ごみ捨ては終わったのか?そんな【ごみ】に時間を使っている暇は無い。さっさと実験に戻るぞ!」

「......」

 

私は、すぐに実験に戻された。痛かった。すごく痛かった。こんな日はいつ終わるのかも分からない。もしかしたら、終わりなんて無いのかもしれない...。そんなことを、夜、骨を刺すような痛みに耐えながら、牢獄の中で考えていたら...

 

「この実験は、戦乙女の聖痕を作るために欠かせない。天命と戦乙女のために犠牲になるなんて、光栄に思うべきだ」

 

ふと、実験中に言われたその言葉が、脳裏をよぎった。

 

「嫌!嫌だ!死にたくない!私を騙して利用した人たちに、その代償を払わせてやる!!!」

 

私は、牢獄の檻に近づいて、叫んだ。叩いた。

 

「出して!出してってば!」

 

そしたら、横にあった扉がゆっくりと開いた。あの嫌な大人たちが、たまさか鍵をかけ忘れたのかもしれない。私は、その扉から飛び出してこの地獄から逃げようとした。

 

「痛い...痛いよ...。歩くたびに痛みが...」

 

一歩一歩歩くたびに、叫びたくなるような痛みが体中に走った。だけど、止まっちゃだめだ。自分にそう言い聞かせて、なんとか足を進める。

 

「おい!実験体が逃げたぞ!」

「警備は何をしてる!彼女を止めろ!」

「痛い!触らないで!この嘘つき!悪魔!...殺す!殺してやる!」

「逃がすな!捕まえろ!」

 

私に気付いた大人たちは、私を攻撃してきた。私は必死に反撃しようとした。

 

「どいて!近付かないで!私から離れて!」

「あの実験体を捕まえろ!彼女は貴重な研究材料だ!生きたまま捕えろ!前回捕獲した崩壊獣を全部出せ!」

 

近くにあった檻のような扉が開いて、中から不気味な化け物が出てきた。私はどうにかして逃げようとしたけど、捕まってしまった。

 

「後悔させてやる...。みんな、消えてええぇぇーーー!!!ウアアアアァァァーーーーー!!!

「もうダメか...。しかし、ここまでもっただけでも十分だ。研究する価値がある。彼女をおさえろ!」

 

結局私は、地獄に戻された。そのあとも、繰り返し実験をさせられた。私は、休まることのない苦しみの中で、泣いて、罵倒して、祈った。

そしてある時、お母さんが読んでくれた絵本のように、「神さま」が現れた。神さまは、私に力をくれた。もう私は、実験体なんかじゃない。殺されたりしない!

 

「偽りだらけの利己的な人類に、私が受けた苦しみを、その百倍、千倍、数万倍にして返してやる!!!」

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

時に、西暦2000年2月1日。天命が建造した研究施設「バビロン実験室」において、322名の研究員が一晩で消失する事件が発生。これは、第二律者シーリンによる「第二次崩壊」の幕開けだった。

 

天命はまだ、この事実を知らなかった...


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