僕の夢は陰の実力者になることだ。
だがそれとは別に最近欲しいものがある。
それは未来を視る力だ。
今までの僕なら楽しみがなくなるからそんなもの欲しくなかったが、
最近はどうしても欲しい。
なぜかと言うと、
「どうかしましたかシド君?」
「何でもありません」
僕の胸に顔を埋めもたれかかっているローズ先輩がいる。
こうなることが分かっていれば死んだふりなんてしなかったのに。
学園が襲撃された時に起こった火事で学園が半焼したことで夏休みが前倒しになった。
そんな時にアルファから手紙が届いた。
「聖地に来て」
たった一言それだけだった。
彼女達は僕が全てを知っていると思っているのでこれくらいしか書いてくれない。
僕が知っているのは聖域と呼ばれる教団の重要施設があることともうすぐラウンズが
来ることくらいだ。
もっと他にも書いて欲しい。
手紙には2枚目があったから詳しい事が書かれているのかと思ったら違った。
「ガンマと話してあげて」
確かにこの間手伝ってくれたお礼をしてなかったからミツゴシに行くことにした。
行かなきゃ良かったと思う。
ミツゴシに行くと直ぐにガンマの部屋に通された。
ガンマの部屋は以外にも女の子っぽく大きめのベッドにはいくつか人形も置かれていた。
忙しいと思ったからお礼だけ言って帰ろうと思ったら、
いきなり酒を飲んだのだ。
酒に弱い彼女は僅かな量でも酔っ払うので直ぐにフラフラしだしたので抱き抱えてベッドに寝かせて、人を呼ぼうとしたら腕を掴まれて
「寂しいです」
と言って服を脱いで、抱きしめて欲しいと腕を広げた。
着ていた下着がとんでもなかったのでそのまま致した。
別に致すのは嫌というわけではない、寂しくさせた僕に問題があるし。
ただ増えるのは違うと思う。
少し休憩していると、ニュー、カイ、オメガの3人...ケルベロスが乱入してきたのだ。
復活したガンマも含めて4対1となってしまった。
3人は初めてだというのにその方面でも才能を発揮したらしく捕食者に変わった。
だが負けっぱなしで終わるのも嫌だったので本気を出した。
4対1という不利な状況だったが鍛えていたので僕の圧勝に終わった。
諦めていたが、結局3人増えることになってしまった。
スライムを使って体を綺麗にした後服を着替え窓から脱走した。
何故正面から帰らなかったかというと部屋の前に何人もの女性の気配がしたからだ。
扉越しでも聞こえるほど息を荒げていたのだ。
あのまま部屋から出ようとしたら飢えた獣達に捕まり全員の相手をするまで解放されることはなかっただろう。
そうなったら絶対に干からびていただろう。
逃げる事には成功したが詰めが甘かったので先輩に捕まることになった。
中世ヨーロッパレベルの文明の世界だがミツゴシ商会というイレギュラーによって鉄道が走っている。
気になった僕は聖域に全力ダッシュで行く予定を変えて鉄道を見に行くことにした。
鉄道のステーションに行くと思ったよりもしっかりしていたのに驚いていると急に抱きつかれた。
「シド君♡」
そこにいたのはローズ先輩だった。
その目はブラックホールの様で吸い込まれるような感じだった、あんたもか。
目的地が同じだったので一緒に行こうと言われたが怖かったので断ろうとしたが、
それを察知した彼女が泣きそうになったので仕方なく行くことになった。
乗せられたのは特別車両で僕は場違いだった。
乗ってからはずっと僕に抱き着いている。
あの事件で庇われたことがかなり堪えたらしくずっとこんな感じだ。
「どうかしましたかシド君?」
「何でもありません」
僕の胸に顔を埋めてもたれかかってくる。
「ちゃんと動いてる」
あの日僕を抱きしめた時に心臓が動いていなかったのがトラウマになったようで常に手首で脈を計り、30分間隔で胸に耳を当て僕の心臓が動いているか確認している。
僕の心音を聞いてウットリしないで欲しい。
「女神の試練を乗り越えれば少なからず認めてくれます、それでも私達は祝福されないでしょう。
でも2人の未来の為に頑張りましょう。」
どうも責任を取ると言っているようだ。
なんか僕の周りの女性は極端な女性が多い。
金髪エルフは僕に近づく女を排除しようとするし、ツンデレ王女は嫌いと言おうとしたら斬りかかりそうになるし、ケルベロスは上司が致している所に乱入する。
何でこんな事になっているんだろう。
アレクシアの事を持ち出せば何とかなると思っていたが、
「同盟国ですので何とかすれば側室に出来ますよ♪」
出来ますよじゃないんだよなぁ。
あと太ももをさするのをやめてくれないかな、まだガンマ達との余韻が残っているからやめて欲しい。
王族だからか知らないけどそこそこ大きいな。
寝る時も抱き枕にされた。
「こうして聞いていると安心します」
僕の心音は彼女にとって子守唄かなにかのようだ。
とんでもない何かを目覚めさせてしまったようだ。
聖地に着くまでの間ずっとこんな感じだった。
聖地についた後も中々離してくれなかった。
僕がトイレに行くのすら抵抗してきて何回か漏れそうになった。
色々と連れまわされてしんどかった。
大人気の作家のサイン会にも並ばされて更に疲れた。
作家の名前はナツメ。
『吾輩はドラゴンである。名前はまだない』『ロメオとジュリエッタ』『シンデレーラ』
作品の名前を聞いた時点で嫌な予感がして帰りたかったが腕を組まれてるし、
少しでも素振りを見せれば泣きそうになるから逃げられない。
並んでいると前方から押し殺した殺意を感じた、来なきゃよかった。
順番が回ってきて思ったのは帰りたい、ただそれだけだった。
作家の正体は銀髪のエルフ、ベータだった。
こいつは僕が昔読み聞かせた物語をそのまま本にしやがった。
人気作家ということでサインは貰っていた。
サインを貰うと先輩に引きずられて宿に帰ることになった。
僕としてもさっさと帰りたかった、ベータはストーカーなんだ。
前に作品作りを手伝って欲しいと言われて彼女の部屋に行った。
その時に日記を見つけた、普段どんな風に過ごしているか気になったので日記を開いた。
確かに日記だった、ただし僕の観察日記だ。
読み進めていくうちにおかしいことに気付いて僕の観察日記であることが分かった。
何から何まで細かく記録されているのだ。
怖かったのが僕が女性と何かあった時は1度名前を書いた後塗りつぶして自分の名前に書き換えているのだ。
それは見なかったことにして、作品作りを手伝ったが集中出来なかった。
多分今日の事も記録するんだろう。
帰る時とんでもない殺意が飛んできた。
宿に帰って本を開いて見ると古代文字で何か書かれていた。
多分作戦の事を書いているんだろうけど読めないのでどうすることも出来ない。
僕は温泉が好きだ。
前世で山籠もりの修行をしていた時に見つけた秘湯に浸かってからハマってしまった。
普通の風呂よりも汚れや邪念が洗い流され浄化されるようだ。
そしてその汚れは他人からも出てくるので出来るだけ一番風呂を狙う様にしている。
寝ているローズ先輩を放置して温泉に入りに来た。
一番風呂だと思って入ったらアレクシアがいた、何でいるんだよ。
「何かしら?」
「触らないでくれる」
「結構鍛えてるのね」
「だから触らないで」
邪念を洗い流しに来たのに邪念が沸き上がりそうだ。
しかも一切隠そうとしない、まるで恥ずかしいことなんて何もありませんと言いたげだ。
何度も繰り返して全身を触ってくるのだ、しかも耳元で悩まし気な声まで出す。
ガンマ達のこととか先輩のことで色々と限界が来ているから触らないで欲しい。
「こっち見なさい」
「断る」
「見なさい」
「断る」
「見なさい!」
首を掴まれるが、絶対に見ない。
「僕は紳士だからね、女性には配慮する」
「ふっ、童貞の間違いでしょ?」
「.....」
「何か言いなさいよ」
「.....」
「えっ、ちょっと噓でしょ」
途端に慌てだすが直ぐに落ち着く。
「ま、まあ私ほど完璧だと見られないのも仕方ないわね」
「そうだね、だったら僕の聖剣も見ないでほしい」
「聖剣?ミミズの間違いでしょ」
僕は切れた。
散々体を触って刺激してきたのに、バカにしたのは頭に来たので聖剣を開放することにした。
そして、湯船から立ち上がる。
「....な、何、それ」
「言っただろう聖剣だと」
解放された聖剣を見せつける、馬鹿にしたことを後悔するといい!
「物事を見た目だけで判断するのはよくない、その内側には隠された真実があるのだから」
そう言い残して脱衣所に戻った。
....冷静になって考えてみると一体なにをしているんだろう?
わざわざ聖剣を開放して見せつけて、ただの露出狂じゃないか。
深く考えると頭が痛くなったので着替えて宿に帰ることにした。
帰ると抜け出したことがバレて説教された。
「そ、そのまだ日も高いですので....それに、その、私もこの後色々ありますし。
で、ですがシド君がどうしてもと言うのなら、いい、一向に構いません!」
何を言っているのか分からなかったが視線が下に向いているので察した。
開放して未だ暴走を続ける聖剣。
僕は宿から飛び出した。
聖剣を落ち着かせるのに夜までかかってしまった。
飛び出す時に夜には戻ると言ったので大丈夫だと思う。
今は高い所から夜の街を見下ろしている、高い所から見下ろすのはやっぱりいい。
見下ろしていると黒ずくめの男が屋根の上を走っている。
彼はこの間の奴らと違ってちゃんと夜に黒ずくめでいるのだ、ちゃんと分かっている人はいるんだ。
美的センスのある彼は苦しめずに終わらせて上げよう。
追いついた時には終わった後だった。
倒したのはツインテールのエルフ、イプシロンだ。
僕は彼女のことが好きだ、シンパシーという奴だろう。
僕も彼女も見栄を張っている、僕はシャドウとして見栄を張っている。
そして彼女は胸を盛っている、驚異のスライム率99%。
その魔力制御で胸の質感、形を保ち、重心の移動に合わせて揺れるようにしている。
そしてその大きさは誰と張り合っているか分かる大きさだ。
彼女は胸の維持で能力が半減している、胸を盛らなければアルファ並の戦闘力を持っているがそれを言ったりはしない。
お互いに触れたくない部分には触れないのが関係を維持する秘訣だ。
シドが帰った後の温泉、アレクシアは湯船に浸かったままでいた。
「なに、あれ」
アレクシアも王族だ、そういうことに関する知識は経験がなくともある。
「聖剣?....あんなの槍じゃない」
見てしまった光景が目に焼き付いて消えない。
幼子の腕と思えるほどに太く巨大、そして
「こんな所まで....」
覚えている長さを自分の体に合わせるとへそより上まであったのだ。
彼女は自分の体を抱きしめた。
今まで抱かれたら溺れてしまうかもしれないと考えていたがあんなのに抱かれてしまえば確実に溺れてしまう。
自分を保てなくなってしまう。
しっかりと鍛えられた男らしい肉体、強いのは知っていたがあそこまでとは思っていなかった。
「私で...ああなったのよね」
余りにも鈍いから心配していたが男としての反応を示してくれた。
女として見られている、これが他の男だったら気分が悪かったが彼に反応されると嬉しかった。
「私にもチャンスはある」
シャドウガーデンが元悪魔憑きで構成されているという噂と先程のあの反応からすると初めてではないのだろう。
初めてを奪うことが出来ないのは残念だがチャンスはある。
「ふふっ、うふふふ....」
「絶対に、ぜーーーーったいに逃がさないんだから♡」