陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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試練(wwwwwwwwwww)

つい最近まで僕は神の存在を信じていた。

転生なんてありえないことが起きたから神の存在を信じていた。

だが今は信じていない、神がいるのなら意味のある試練を与える筈だ。

 

「ミドガル魔剣士学園からの挑戦者、シド・カゲノー!」

 

扉の向こうからは僕を呼ぶ声がする。

だが外に出ることが出来ないしできれば出たくない。

今僕は試練の真っ最中だ。

神話とかなら試練を乗り越えれば素晴らしい栄光が待っている。

しかしこの試練に意味があるとは思えない。

神は試練に挑む勇者を見捨てない筈だ、なのに見捨てやがった。

だから神はいないんだ、いたとしたら必ず右ストレートを叩き込んでやる。

 

 

聖地では女神の試練が開催される。

聖域に眠る古代の戦士と戦うイベント、サブイベントみたいな感じだ。

勿論、誰でも戦えるというわけではない。

まず出場料が高い、10万する。

しかも誰でも呼び出せる訳ではなく力が足りなければ何も起こらずただ金を払うだけになる。

だから出場するつもりはなかった、でもエントリーされている。

今回も僕の意思は無視されている。

これがヒョロとジャガなら下剤を盛るか腹に右ストレートを叩き込んでウ○コ野郎にすることで怒りが収まるが、

今回はそうはいかない、相手がローズ先輩だからだ。

列車の中でしていた話は本気だったらしく昨日の夜に話をされた。

責任を取る為に僕を殺し合いに参加させるらしい、この人バカだ。

断ろうとしたが絶望したようで

 

「そうですよね....私なんて」

 

真顔で泣きながら剣を抜いて自殺しようとしたので受け入れるしかなかった。

参加することを決めたら先程の表情が噓のように喜んで抱き着いてきた。

その目はブラックホールではなく純真な少女の目だった。

この人のことがよくわからなくなった。

 

女神の試練の開催される会場に来ている。

イベントという物は前置きがかなり長い。

挨拶しているハゲはラウンズだし、貴賓席にはベータと先輩、アレクシアもいる。

美女を用意して人を集めるという魂胆が見え見えだ、実際観客席からは野太い歓声が上がっている。

試練の前に気を休めようとしているが全然休まらない、先輩がずっとウットリした顔でこっちをみているのだ。

まるで女神の如き微笑みとか言われてるが全然見えない、僕を狙うサキュバスにしか見えない。

隣のベータとアレクシアのほうがマシだ。

ひきつった黒い笑みを浮かべながら足元で熾烈な争いを繰り広げている。

多分同族嫌悪だろう、言い方は悪いが2人とも腹黒だ。

先輩よりも2人の争いの方が可愛く見え....2人がニッコニコの先輩に気づいた。

視線を辿っている、噓だよな?

目が合ってしまった、2人の顔が先輩と同じになった、気づかれた。

全然気が休まらない、むしろストレスだ。

席を移動しようそうすれば大丈夫だ。

 

「噓だろ」

 

移動して座った瞬間に目が合った、怖い。

もう1度移動しよう....目が合った。

移動しよう。

移動しよ...。

移動し...。

移動...。

移...。

 

今はトイレの個室にいる。

席を移動しても座った瞬間に視線を感じて、見てみると目が合うのだ。

どこに行っても見られていることでストレスを感じてしまい、そのせいで腸が不調を訴えた。

トイレに駆け込み、目的を済ませるまでは良かった。

尻を拭くために紙に手を伸ばして引っ張った。

カランという無機質な音が個室に響いた。

僕の手には紙の切れ端が握られていた、そんな訳ないと思って紙のホルダーを開けた。

芯しかなかった、まだ予備があるから大丈夫だ。

上の棚を見るが予備もない。

 

「ミドガル魔剣士学園からの挑戦者、シド・カゲノー!」

 

試練の真っ最中なのに次の試練が来た。

2つの意味で『かみ』に見放されたらしい、全然笑えない。

繰り返し名前が呼ばれる、こういう時こそ落ち着くんだ。

尻は何とか出来る、だが女神の試練はそう簡単に出られない。

選手の力によって出てくる古代の戦士が変わるのでシド・カゲノーで出てとんでもないのが呼び出されたらモブとして終わってしまう。

落ち着け、こういう時こそ冷静になるんだ。

 

1.バックレる。先輩がガチ泣き、事態を知った姉さんがブチ切れて実家に監禁される。

2.普通に出場、古代の戦士召喚、モブ終了。先輩の結婚計画が始まる。

 

どうしてこんなことに、全ては鉄道を見たいなんて思ったからだ。

全力ダッシュで来ていればこんな面倒なことにはなら無かった。

考えても仕方ないから現実と向き合おう。

1は碌な事にならない、2はその場はなんとか出来るが王都に帰ったらモブとして生活できなくなる。

今回は3も用意しているがこれは失敗すればただの空気の読めないやつになる。

3は失敗すればただの恥ずかしい奴になってアルファ達に嫌われる、そんなことになったら立ち直れない。

 

「シド・カゲノー、いないのか!」

 

五月蠅いな、行くしかないのか。

3は使いたくなかったけど仕方ない、シャドウに変身するか。

3、その内容は....

 

「我が名はシャドウ、聖域に眠りし記憶よ我が力に答えよ!」

 

3.シャドウとして登場し全て有耶無耶にする。

 

どんな修羅場であっても、爆弾が爆発すれば誰も気にしなくなり有耶無耶になる。

今回はシャドウという爆弾を爆発させることで皆の意識からシド・カゲノーを消すことが目的だが上手く行ったようだ、皆シャドウに釘付けでさっきまで呼ばれていたモブの事なんて誰も気にしていない。

登場する時に魔力を放出する、その時にスライムを操作して尻を綺麗にする。

魔力の放出に合わせて使ったスライムを蒸発させる、これで証拠は綺麗サッパリ消えた。

会場の反応も悪くない、陰の実力者の登場に驚いている。

 

「これでは計画が....何か見落としを?」

 

どうも彼女達の計画は女神の試練に関係していたようだ。

僕は悪くない、読めない計画書を出したベータが悪いんだ。

だから悪くない、悪くないんだ。

 

「何してのんよ....あいつ」

 

アレクシアは僕が何をしようとしているのか気づいたらしい、凄い呆れ顔だ。

 

「シャドウ....よくもシド君の....私の結婚計画が.......

 よくも、よくも....許せない....許せない許せない許せない許せない....」

 

手すりを握っているが、握った所からヒビが広がっていく。

先輩の目がブラックホールになっている、冷や汗が出てきた。

アレクシアがドン引きしながら僕と先輩を見比べている、バレないように首を振る。

呆れ顔から憐れみを含んだ表情に変わる。

シド・カゲノーがシャドウであることを知らない先輩からすれば、シャドウは結婚計画をぶち壊した悪魔にしか見えないということか。

先輩とは距離を置きたいけど学園の中なら桁違いの索敵能力を発揮するので逃げられない。

余計なことを考えるのはやめよう。

.....1分位待ったかな?何も起こらないんだけど。

凄いいたたまれない、失敗したのかな?

恥ずかしい、帰ろう。

帰ろうとしたら真っ赤な魔方陣が空中に現れて女の人が出てきた。

魔女っぽいドレスを着た長髪の黒髪の女性、姉さんにちょっと似てるかな。

 

「まさかアウロラだと!?」

 

貴賓席のハゲがわざわざ教えてくれた。

この人、アウロラさんって言うのか。

この人が僕の相手か、見た目とは違って内包した魔力は中々の強さだ。

考えていると攻撃が飛んできた。

アウロラさんの足元から何本もの血の槍が飛んできた。

飛行して躱すが分裂した槍が四方八方から飛んでくるし、逃げ道を塞ぐように飛んでくる。

人間限定なら転生して1番強い、凄く楽しい。

でもこの人おかしいんだよな、強いし攻撃も一撃でも食らえばそのままズタボロになるような攻撃なのに避けられる様になっている。

どこかぎこちない感じがする、攻撃が一瞬遅れて飛んでくる。

まるで体中に鎖が巻き付いているような光景が目に浮かぶ。

これ以上は続けても面白くないから、血の槍を全て破壊して彼女に接近し斬った。

彼女が倒れるとガラスみたいに砕け散った。

 

「本気の君と戦いたかった」

 

初めて本気でも戦えたかもしれない相手、少し残念だ。

飛んで会場から出ていった。

 

近くの森でシド・カゲノーに戻った。

今頃会場では謎の実力者の登場に持ちきりだ。

そんなに甘いこと言える状況ではないけど。

ズボンを降ろした状態でシャドウになったので、今履いているズボンはスライム製なんだ。

僕が使っていった個室には誰もいないのにズボンとパンツが取り残される怪現象が起こっている。

回収したいけどそれもできない、今僕の目の前にはアウロラさんが出てきた魔方陣に似たものが浮かんでいる。

移動するとついて来る、どこにいってもついて来るのでこのままだとトイレまでついて来るだろう。

怪しいなんてもんじゃない。

入るしかないようだから入った、直ぐに終わらせればいいだけだし。

 

 




また短くなった
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