陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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吹き飛ばせば全て解決

魔方陣に入ると真っ白な空間が広がっていた。

そこに椅子がありアウロラさんが拘束されていた。

 

「アウロラさんだっけ?」

「ええ、中々強かったわ。こんなのはじ....」

 

急に黙ってキョロキョロしている。

 

「どうかした?」

「その...そういう趣味をお持ちなの?」

 

顔を赤くして目を逸らされる。

 

「そういう趣味があるのは知っているわ、あなたがそうだと言うのなら否定はしないけれど....隠して貰えると嬉しいわ」

 

何の話をしているのか全く分からない。

 

「趣味?何の話」

「....だって履いてないじゃない」

 

下を見る、スライムで作った筈のズボンがない。

またも露出狂になってしまった。

魔力を練ろうとするが上手くできない。

 

「ここでは魔力が奪われるの」

 

なるほどね、強欲の瞳の強化版か。

じゃあ何も問題ない、あの時よりも緻密に魔力を練ればいいだけ。

ズボンを作れた、アウロラさんは引いている。

 

「その顔やめて」

「あなた本当に人間?」

「失礼な」

 

スライムソードを取り出して彼女の拘束を破壊する。

 

「因みに私は魔力が使えないからか弱い乙女よ、守ってくれるナイト様?」

 

ナイトか、悪い気分ではないな。

扉があったので取り敢えず入ってみた。

 

扉の先にはこの世界には合わない、様々な計器が並んだ研究施設があった。

彼女が進んでいくので付いて行くと広場に出た、そこに女の子が膝を抱えて座っていた。

 

「君に似てるね」

「気のせいよ」

 

彼女は女の子に近づくと

 

「泣いたって、誰も助けてくれないわ」

 

パンッ、と頬を叩いた。

 

「酷くない」

「いいのよ、私だし」

「結局、認めたね」

 

そして、世界が割れた。

周りの景色が割れたガラスの様に粉々になった。

 

目を開けると戦場に来ていた。

辺りは鎧を着た兵士の死体で埋め尽くされている、ボスキャラと戦うならこういう場所がいいかも。

彼女が歩いて行くのでついて行く。

しばらくすると戦場の中心で膝を抱えて泣いている女の子がいる。

 

「泣いてるね」

「泣き虫だったのよ」

 

近づこうとするが、彼女を抱き抱えて後方に飛ぶ。

周りの死体が動き始めた。

 

「守ってくれるのよね?」

「勿論」

 

襲い掛かってくるゾンビに突っ込んだ。

 

戦場には破壊音が途切れる事なく鳴り響ている。

 

「確かにナイト様に守られたいと言ったわ、でも...」

「何?」

 

彼女は引いている。

 

「あなたバーサーカーね」

「酷くない」

 

僕はゾンビを蹂躙している、魔力なしでだ。

ゾンビ達は殴らたり蹴られたりすれば弾け飛び、掠った奴はその部分が抉れている。

そんなことを言う彼女はヒールでゾンビを踏みつけている。

 

「本当に人間よね?」

「人間だよ、肉体改造には積極的だったからね」

 

ゾンビを殴りつける、頭が弾け飛んだ。

 

「スーパーバーサーカー...」

「スーパーを付ければいいって訳じゃないよ」

 

とんでもない風評被害だ。

近づいて来たゾンビの頭を引きちぎる。

 

「人外」

「ちょっと」

「未確認生物」

「やめてくれる?」

「....ゴリラ」

「人間じゃなくなってるんだけど」

 

ついに人間扱いされなくなった。

 

「もっといいのないの?」

「人型生物」

「傷つくんだけど」

「魔力なしの全人類トーナメントなら優勝は間違いないわね」

「マシになった」

 

このまま続けても埒が明かないので子供のアウロラさんを斬ることにした。

また世界が砕け散った。

 

今度はドームのような場所にいた。

天井はかなり高く照明が辺りを照らしている。

 

「ここが中心?」

「そうよ、後は核を壊すだけ」

 

途轍もなく巨大な扉がある、これがそうみたいだ。

巨大な扉には古代文字が刻まれ、大人の胴体程ある鎖が巻き付いている。

ゴリラパワーで引きちぎろうとするができない。

 

「普通、鍵を探すものじゃない?」

「そうだね」

 

直ぐに見つけた、扉の前に勇者の剣みたいなデザインの剣が台座に刺さっている。

台座には古代文字が刻まれている。

読めないが分かる。

 

「これは僕には抜けない」

 

引き抜こうとするがピクリともしない。

台座に刺さった剣が選ばれし勇者にしか抜けないのはRPGのテンプレだ。

 

「確かに英雄の直系にしか抜けないと書いてるわ、一瞬でこれを読んだの?」

「....うん」

 

本当は読めてない、でも読めてる雰囲気のほうが良さそうだ。

彼女は台座に腰掛ける。

上から胸の谷間が見えてしまう、かなり大きい。

先輩やアレクシアのせいで高まった獣欲が溢れそうになる。

 

「どうしたの?」

「何でもないよ」

 

彼女の隣に腰掛ける、気のせいかいい匂いもする。

 

「核を壊したらどうなるの?」

「ここは消えて、私も消えるわ」

「いいの?」

「もういい加減に終わりにしたいの....」

 

消えるような声で呟く。

 

「もうちょっと待ってくれる?もう少ししたら何とか出来るから」

「何とかって、どうやって....」

「お客さん来たね」

 

少し離れたところに魔方陣が浮かびエルフの少女とオトンに負けない程のハゲが出てくる。

 

「眩しい」

「眩しいわね」

 

頭が光を反射しているので眩しい。

エルフの少女はアルファに似てるけど別人だ、歩き方や癖も違う。

このハゲのことはそこそこ知っている。

 

「災難だったな、小僧」

「僕?」

 

ハゲのおっさんは嗤う。

 

「魔女に誑かされたせいでお前は死ぬことになる。このオリヴィエに斬り刻まれてな」

 

これだけ言っておいて他力本願かよ。

おっさんは大したことないけどオリヴィエさんは強い。

オリヴィエさんが剣を構えて突っ込んでくるが

 

「ふん」

 

突っ込んできたオリヴィエさんの顔を殴ると頭が弾け飛んだ。

体がガラスの様に砕け散った。

 

「....はぁ?」

 

おっさんは顎が外れたように口を開けている。

後ろのアウロラさんも引いているのが分かる。

条件反射で殴ってしまったが、攻撃してきたので仕方ないね。

気を持ち直したおっさんは強がって、また嗤う。

 

「な、何かの間違いだ!行けオリヴィエ!」

 

またオリヴィエさんが現れて突っ込んでくる。

僕は避けもせずに受け入れた、ちょうど実験もしたかったし。

オリヴィエさんの剣が腹を貫通する。

 

「捕まえた」

 

オリヴィエさんの腕を掴んで引き寄せて両腕を握り潰す。

逃げられないように抱きしめて首に喰いつき、首だけの力で彼女の頭を引き抜いた。

そして粉々に砕け散った。

こうして考えてみると本当にバーサーカーだな。

 

「大丈夫なの...よね?」

「大丈夫、大丈夫」

 

刺さっている剣を引き抜いて投げ捨てる。

実験は成功だ、なんちゃって医学の効果は絶大だ。

 

「何故だ、何故腹を貫かれて生きている!」

 

ハゲがうろたえている。

 

「人間って結構頑丈なんだよ、大事な血管と臓器さえ守っていれば大したことない。

それって素敵だと思わない?」

「素敵なこと?」

「相手の攻撃を避ける必要がなくなるから、不可避に近い反撃ができるんだ」

「頭が...おかしいのか?」

 

この人もそうか、自分の常識で相手を測るタイプ。

成長できない人はこういうのが多い、自論だけど。

 

「次はおっさんだよね」

 

近づくとうろたえて下がって行き、謝罪を口にするが直ぐに悪役の顔に変わる。

ちょっとは楽しめそうかな。

 

「コピーを2体倒した程度でいい気になるな!聖域には計り知れない魔力が眠っている。

だからこういうことも、可能だ!」

 

壁にいくつものコフィンが現れて、蓋が開くと何人ものオリヴィエさんが現れる。

 

「これが聖域の力だ!」

 

何人ものオリヴィエさんが突撃してくる、楽しめそうだ。

 

「じゃ、始めようか」

 

スライムソードを取り出して薙ぎ払う。

 

「何故、何故魔力が使えるんだ!」

 

可視化されるほどに研ぎ澄まされた魔力を見驚いている。

いい反応だ、楽しくなってきた。

 

「吸い取られるなら、吸い取られない程に強固に練ればいいだけ。簡単でしょ?」

「そ、そんな事、人間に不可能だ」

「君の物差しで測らないでくれる?」

 

ちょっと煽ってみる。

 

「調子に乗るな!!早くこいつを殺せ!!」

 

一斉に襲い掛かってくるが、ただひたすらに処理していく。

結構強いし少しの間は楽しめたが、もう飽きてきた。

 

「ただの案山子か」

 

確かに彼女達は強いが技術がない。

何も考えず突っ込んでくるだけだし魔力も碌に制御されていない。

ただ魔力を込めて剣を振っているだけで全然面白くない。

確か聖剣を抜いて、鎖を斬って、核を破壊する。

何かもうつまんないし面倒くさいから終わらせよう。

 

「面倒だから、もう全部吹き飛ばすね」

「え、ちょ...ちょっと噓よね?」

 

魔力を開放しオリヴィエさん達を吹き飛ばす。

2人ともいい反応をしてくれる。

 

「なっ、何なんだこれは!」

 

剣を掲げて魔力を集める。

ここから陰の実力者ムーブが始まる。

 

「ラウンズ第11席強欲のネルソンよ」

 

名前を呼ばれたハゲが僕の顔を凝視している。

ゆっくりとシャドウに変身していく。

ヒーローの台詞だけどお気に入りの台詞を言うチャンスだ!

 

「お前の罪を数えろ」

「バカな!シャドウだと!!」

 

いい反応だし台詞も決まったから笑ってしまった。

その笑いを不気味に思ったようで顔を青くしている。

さて、ぶっ飛ばすか。

 

「アイ・アム....」

「や、やめろ....待て」

「ジ・オールレンジ....」

「こいつを殺せぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!」

 

オリヴィエさんが突っ込んできて何本もの剣が突き刺さるが、当たった瞬間に全て砕け散った。

一番近くにいたオリヴィエさんの耳元で囁く。

 

「アトミック」

 

光が一点に集まり、爆発した。

オリヴィエさんもネルソンも聖剣も全てが消えた。

 

短距離全方位殲滅奥義『アイ・アム・ジ・オールレンジアトミック』

 

聖域は消滅した。

 

 

暗闇の中にいた、どこまでも続く暗闇が広がっている。

突然なにかが浮かび上がった、鎖で拘束された巨大な左腕だ。

拘束していた鎖が砕けて左腕が近づいてくる。

近づいてくる腕を剣で斬った。

 

目を開けると早朝の森に立っていた。

魔方陣に入った時と同じ場所だ、ちゃんとズボンを履いている。

隣には少し透けているアウロラさんがいる。

 

「消えるんだね」

「そうみたい」

 

少しずつ透けていく。

 

「ずっと消えたかった、でもあなたのお陰で忘れたくない思い出ができた。」

「どういたしまして」

 

僕の頬に彼女の手が添えられる。

 

「もし本当の私を見つけたら.....」

 

そこには誰もいなかった。

 

「私を殺して、か....」

 

しばらくの間彼女の言葉が頭の離れなかった。

 

 

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