僕は性欲を切り捨てることに失敗した所為で他にも色々な面倒な感情が残ってしまっている。それは思春期の少年なら誰でも持つ甘えたいと言う感情だ。
ここ数日は精神的にくる事が色々あった。
ブシン祭に参加する理由を説明しなかった事でガンマを泣かせたり、姉さんにビンタされたり、アルファに似ているベアトリクスに寂しいとか言われたり、終いには自分で2回もボコボコにして泣かせたアイリスをボコボコにした僕が優しくするという自業自得とはいえかなりの精神的ダメージを負った。
あと性欲もある、姉さんとアレクシアの勘が良くなってきたので女性とは距離を置こうと思ったが溜まるものは溜まってしまう。
普通の人なら性欲は『
一回だけまだ実家にいた時に『
「どうして私達がいるのにこんなものが必要なのかしら?」
僕が使っていたのは所謂エロ本だ。
結構な金額のしたエロ本はビリビリに破き燃やされ、有無を言わさず寝室に連れ込まれた。
あの時は怖かった、本気で搾りとられるかと思った。
「次こんなもの使ったら許さないから、どうしても我慢できなかったら私...私達にぶつけなさい。」
こんな事があった所為で1人で処理も出来なくて辛い。
話が逸れたが甘えるなら誰に甘えるかと言う話だ。
昔はよく甘やかされていた、ダメ男になるんじゃないかと思う位に甘やかされた。今はちょっと甘えたら全てが終わりそうだからできないが。
アルファはトイレと風呂以外の全てをしてくれた。服も着替えさせてくれたし、食事も食べさせてくれて寝るときも一緒だった。まあ、今そんな事すれば監禁されてダメ人間にしようとしてくるだろう。
ベータとイプシロンは同じ感じだ。あの大きな胸に埋もれることで母性を感じ安らぐ事ができた。
イプシロンのはスライム率99%だがそれでも頭を優しく撫でられる事でスライムの事なんか気にならなくなる位の母性を感じる事ができた。
だがこの2人には重大な問題がある、それは自慢癖だ。
昔2人が僕が胸に甘えていた事を自慢してしまい、胸のサイズを比較された七陰の数名がイータに頼む事で痺れ薬を盛り2人の胸を削ぎ落とそうとしていた。それは僕が2人以外を抱き潰すことで事無きをえた。
自慢癖がある2人に甘えればどんな誇張をして自慢されるか分からない、自慢話よっては監禁確定なので2人は却下。
ガンマは保育士の様な感じだ、あれはとんでもない魔性の女だ。
内容はアルファと変わらないが接し方が幼い子供にするような感じで幼児退行しそうになってしまった。子供の様に膝を抱えて丸まり膝枕をされていた。鋼鉄の精神で耐える事でガンマを『お母さん』と呼ばずに済んだ。
ゼータもヤバイ。
いつもなら僕がペットの様にしていたのに今度は僕がペットの様に撫でられ、頭がボーっとして頭が回らずに1日中膝枕と頭を撫でられドロドロになってしまいそうになったが
「ダメになっちゃえ♡」
と言われた事で意識を取り戻し耐える事ができた。
デルタとイータは....うん。2人は甘やかされる側の人間なのでそう言うのとは無縁だ。
デルタは僕が甘やかしたことしかないし、イータには精力剤の実験台にされ昂った時には責任を取って全て受け止めて貰っている。
以上の理由から七陰の皆は却下だ。
最近関わる様になった人でもいいかなと思ったがそれも却下だ。
まず姉さん。実家にいた頃からしつこく付きまといをしたり、僕に甘えたりしてきたが僕から甘えた事は無かった。王都に来てからも距離を置いた事や王女2人とイチャコラしていた事で怒らせた事があるし、妻になろうとしている中で、僕が甘えてしまえば即実家に監禁され戦争が始まるので却下。
次はアレクシア。ツンデレだが気を許した人には優しいのでアリかもしれないがこの間の『アイリス』呼びしたことで鈍い僕でも分かる程に嫉妬していた。
そんな状態で甘えれば以前から既成事実を作ろうとしていたアレクシアは周囲に言い回り僕の逃げ道を潰して子供がいなくても責任を取らせようとするだろう。
そうなれば姉さんvsアレクシアvsシャドウガーデンの戦争が始まり下手すれば王都が消し飛ぶ。
年上の中でシェリーが1番まともそうだがイータの助手なので何かしらの監視が付いているので甘えるのは無理だ、小柄な割には大きめの胸に甘えられると思ったのに。
ニュー、こいつが1番危険だ。
アルファ並みの嫉妬と独占欲にあの人の弱みに付け込む性格は1度でも甘えれば破滅するのが容易に想像できる。ニューの性格的に1度でも甘えれば、僕の周りとの関係を断ち切り孤立させた上で自分に甘える状況を作りだし依存させるようにするだろう。年上の中で1番怖い。
カイとオメガは常に一緒だからどちらかに甘えるということはできないだろう。
年上の中では安全そうに見えるが彼女達の恐ろしい所はエルフの種族としての魅力ではなくあの『声』だ。
前世でクラスメートの言っていたASMR?というやつだろう。
勿論抱いている時の皆の声も艶めかしいが2人の声は特にヤバい。
前に脅迫されて学園デートした時に
「どうでしょう...この後は人気のない所で」
と耳元で囁くように言われた、聞いた時は背筋がぞわぞわしてしまった。
歯を食いしばって耐えていなければあのまま部屋に連れ込み抱いていただろう。そして困ったことに2人の声に弱い事に気づかれてしまったのだ。
この前に壁ドンした時も耳元で囁く様に言ったり、息を感じるように吹きかけたりして誘ってきた。
それはディープキスで2人の腰を抜かす事で何とかなった。
こうやって考えてみると僕の周りには危険な女性しかいない、昔はそんな事なかったはずなのに嫉妬でおかしくなったりと、僕が原因ではあるが言葉では表しようのない恐怖がある。
「どっかにいないかな、優しくしてくれる人」
ベッドの上で膝を抱えて丸まる。
これは皆が僕をダメ人間にしようとした所為だ、決して僕が甘えたい訳じゃない。
......あ、いたわ1人。普段とギャップの差が凄すぎて年上だけど可愛いエルフがいたわ。
それに彼女なら他の皆と違って嫉妬で狂ったりしないし心配はない!
部屋の窓を開けて飛び出す。いざ行こう!アレクサンドリアへ!
この時シドは見誤っていた、3人のストーカーの執念を。
そしてシドに対してだけに働くセンサーを持つ3人が見失っても直感で追いかけてきていることに気づいていなかったのだ。
シド・カゲノーはいつになっても学習しなかった。
アレクサンドリアに着いて訓練場に向かった。
彼女ならあそこにいる筈だろうし、近づいていくと檄が飛んでいるのが聞こえてくる。
「誰が寝ていいと言った!この〇〇〇〇共がぁっ!!」
僕が教えたとはいえ、こうして見るとエゲツないな。
性別が違うだけでほぼハー〇マン軍曹だ、すっかり板についている。ちょっと楽しんでるように見えるのは気のせいだ。
我慢できなかったので抱きついてしまった。
「この...ひひゃぁ!」
ラムダの少し開いた胸元に飛び込み顔をうずめる。
「へ、へひぃ...シャ、シャドウ様!」
僕に気付いたラムダは引き剝がそうとするが負けじと強く抱きつく。
皆が見てる?そんなのより僕をダメ人間にしようとした責任を取ってくれよ。
諦めたのか頭を優しく撫でられる、めっちゃ眠たくなってきた。
「へ、部屋で...お待ちください。直ぐに向かいますので」
「分かった」
顔を上げると、ラムダは耳まで真っ赤になっていた。
ラムダを離して、自分の部屋に向かう。僕の部屋はあの初めて食われた巨大ベッドのある部屋だ、部屋に着くとベッドに飛び込み天井を見る。
是非とも僕をダメ人間にしようとした責任を取って貰いたい....あれ?ラムダにそんな事されたっけ?
ま、いっか。一番危険性のないラムダに責任を取って貰おう。
シャドウが去った訓練場は静寂に包まれていた。
その静寂に耐えられなかったのかラムダは軍帽を深く被るが首まで赤くなっているので隠しきれていない。
「あのー、ラムダ様?大丈夫ですか?」
「は、はぁだだ、大丈夫に、きき決まっているだろう!」
挙動不審で誰の目にも大丈夫ではないのは明らかだった。
「す、少し離れるが決して!決して怠けたりするなよ!戻って来て腑抜けているようなら容赦はしないからな!」
ズカズカと足音を立ててラムダは去っていく。
去っていくラムダを見送ったシャドウガーデンのメンバーは口々に話し出す。
「あんな顔するんだね」
「意外だね」
鬼教官としての姿しか知らない彼女達からすればかなり意外なラムダの反応。そして
「あれがシャドウ様...なんだよね?」
「みたいだね」
少しの間静かになると1人が口を開く。
「結構可愛くなかった?」
「可愛い...あれ年下だよね?」
自分達と同い年、もしくは年下という事実に何人もゴクリと喉を鳴らす。
彼女達の間ではある噂が流れていた、それは七陰がシャドウと関係を持っているという噂だ。
そしてラムダの反応からするにラムダも関係があるということを察し、希望が出てきた。
「もしかしたら私達も....」
「あるわけないじゃない」
「ひぃ!ニ、ニュー様」
割り込んだのは真顔のニュー、カイとオメガだ。放たれている圧にその場にいる全員が怯えている。
希望を抱いていた彼女の肩にそっとニューの手が添えられる。
「いいかしら、あなた達ではあの方の寵愛を受ける資格がないの」
「えーー」
「いいわね」
「...はい」
「それともう一つ聞きたいのだけれど」
思い出したようにニューは聞く。
「さっきここにシャドウ様がいらっしゃったわよね?」
一気に空気が冷え込むのを感じ、
「はい!先程いらっしゃいました!」
その空気に耐えられず答えてしまった。
「教えてくれてありがとう....それとここに私達が来た事は黙っていてね?」
「流石にそれは....」
「これならどうかしら」
ニューから数枚の紙が手渡される。
「分かりました、ここには誰も来なかったことにしておきます」
「話が早くて助かるわ」
周りにいた者達も頷いている。
彼女達が渡されたのは賄賂...シャドウの写真。しかもかなり際どい物ばかり。
リスク以上のメリットを提示されたので不満なんて何も感じていない。
3人が立ち去ると渡された賄賂の割り振りを決めていく。
「ヤッバ!何この筋肉!」
「これシャワー中だよね!エロすぎでしょ!」
「鼻血出てきた」
「色気スゴクない?」
「羨ましい。ヅルい」
「なんで股関が映ってないのよ、一番大事な所でしょ」
「見えない...聖剣って聞いてたのに」
それを聞くと全員が写真を食い入るように見るが湯気で微妙に隠れているので
『見えないーー!!ファーーーーーーーー〇ク!!』
四つん這いになって地面を殴っている。
ニューは敢えて見えないように加工した写真を渡していたのだ。
女が集まれば姦しいとはこのことだろう、暫くの間彼女達は聖剣が見えないことを嘆いていた。
何か訓練場の方が騒がしいけど、そんなことよりもラムダ来ないなー。
膝を抱えて待っていると部屋の扉がノックされ開くと
「お待たせ、しました...ご、ご主人、様」
教官服ではなくメイド服に身を包んだラムダが入ってきた。
無理してない?それを着たら僕がバーサーカーになるのはそうだけど無理しなくていいんだよ。
後、今日はそれ目的で来た訳じゃないから別に着なくていいんだよ。
ベッドに上がってきて正座している。
「それで、今日は...」
そのまま押し倒して抱きしめる。
「シャドウ様、どうか...」
「何も言わないで。このまま抱きしめてほしい」
ラムダを抱きしめていると優しく頭を撫でられる。
「どうか私に好きなだけ甘えてください。ここには私しかおりませんのでお気になさらず」
最近よく眠れていなかったことから睡魔に負けてしまいそのまま寝てしまった。
シャドウが寝たのを確認すると起こさない様に腕を抜いて部屋を出る。
「シャドウ様...なんとおかわいそうな」
滅多な事がないと感情を出さないシャドウが何も言わないで欲しいと言ったのだ。
多忙な七陰に相談できず溜めこみ、ついには幼子の様に甘えるまで思い詰めているとラムダは思っている。
実際は女性との関係に悩み続け、解決策を出すことができなかったことにダメージを受けて問題が起きないであろう女性に甘えるというクズっぷりである。
それに気づかないラムダもラムダだが、それを気づかせないシャドウもシャドウである。
「は、恥ずかしいが、頑張ろう」
どう見ても自分に似合っていないメイド服だが恥を忍んで着ていた。
これを着ればシャドウが激しく求めてくれるので嬉しかったが今回は気持ちを切り替えた。
シャドウガーデンのラムダとしてではなく、思いを寄せる男にとって安らぎを得られる存在になろうと決め気合いを入れた。
部屋を出たラムダが向かったのは調理場だ。
軍人時代は簡単な料理しかしてこなかったがシャドウガーデンに入ってからは生活を見直す為にしっかりと料理の練習をし始めた。
「大丈夫、大丈夫だ。アルファ様だってちゃんと出来ていると言ってくれたじゃないか」
調理場に立ったラムダは震える手で包丁を握ろうとする。
「大丈夫、大丈夫」
「何て格好をしているんだ、ジナイーダ」
昔の名前を呼ばれたので振り向くと同僚の3人がいた、3人とも笑いを堪えるのに必死だ。
「な、何故ここにいる!お前達は王都にいる筈では...」
「いやちょっといろい.....ぶふっ。ごめん」
笑われたことでラムダは自分の体を隠すように抱きしめる。
いくらシャドウが甘えてくれるとはいえ恥ずかしいものは恥ずかしいのだ。
「私はいいと思いますよ、似合ってますし....げふっ。すいません」
ニューは笑いを堪えきれずに口を手で押さえている。
「笑ってやるなよ2人共、ラムダが気に入っているんだから私達が何か....ぐふっ。すまない」
カイは笑いを堪えてラムダを励まそうとしていたがやはり堪えきれず吹き出してしまい、顔を背ける。
仲の良い3人に笑われた事で見えている肌が全て赤くなり涙目になっている。
笑われたラムダは反撃のつもりでシャドウにとって爆弾といえるものを投げ込んだ。
「笑いたければ笑うがいい!メイド服で求められたことのないお前達には分からないだろうがな!」
胸を張って特大の爆弾を投げ込んだ。
それを聞いた3人からは笑いが消えて真顔になる。
「求められる?誰にだ?」
「シャドウ様以外にいると思うのか!」
3人は衝撃を受けた。世間では様々な『フェチ』なるものが存在しておりその中に『メイドフェチ』があるのは知っていたが、まさかシャドウに『メイドフェチ』があるとは思わず衝撃を受けた。
抱かれるときには特に服装の事を言われた事はなかったので、シャドウが『メイドフェチ』であるのには驚いた。
あくまでシャドウはギャップに興奮しているだけだが彼女達はそれに気づいていない。
3人は顔を見合わせて考える、腹黒の自分達と天然のラムダとでは大きな差が開いている。
何とかしてその差を埋めなければいけないし、近くにいた自分達ではなく遠方のラムダを頼ったということはラムダの方が信頼されているということ。何としても信頼を得なければならない。
「私はシャドウ様を癒さなければならない、だから....」
「私達も手伝うよ」
「いや、構わないこれは私の...」
「癒すのなら温もりは多い方がいいと思うだろう?」
「しかし...」
古今東西、疲れた男を癒すのは女の温もりだというし数が多い方がいいのにも納得は出来る。
だが最近は2人きりになれる時間がなかったからこの時間を邪魔されたくない、この時間だけは1人締めしたいという思いとシャドウに癒されて欲しいという思いがせめぎ合っている。
「シャドウ様...」
頭に浮かぶのは人目も気にせずに抱きつき甘えてきたシャドウの姿、少年の体には大きすぎる物を背負い戦うシャドウが浮かんでいる。
ならば自分は1人の女としてそんなシャドウを癒そうではないか。
「分かったいいだろう。ただしそこまで言うのなら条件がある」
「条件?何を言っているんだ?」
怪訝そうな表情をしている3人を連れて調理場を出て長い廊下を歩く。
目的の部屋に着き、部屋に入ってクローゼットを開ける。
「これに着替えろ」
クローゼットには同じ服が数着かけられている。
服を見た3人は先程までと違ってたじろいでいる。
「これに着替える..のか?」
「そうだ」
まさか人生でこれを着るとは思っていなかった3人は少し気が引けてしまうが
「どうした?まさかお前達のシャドウ様への忠誠はその程度なのか?」
と煽られ服を手に取り着替える。
「ぐっ、ぶふっ。にっ、似合っているぞ」
着替えた3人を見てラムダも笑いを堪えきれていない。
メイドが3人追加された。
起きたらラムダがいなくなっていた。
人目も気にせず甘えた事で呆れられたのか、なんか胸が痛いし泣きそうになってきた。
内蔵を圧迫するので良くないが膝を抱えて座っていると落ち着く、こんなことなら監禁されるかもしれなくても王都にいる人にすれば良かった。
泣きそうに泣っていると扉がノックされ開くと入って来る。
え?なんで増えてるの。メイドは増殖するものなのか?このまま増殖し続けたりしたらちょっと怖いな。
君達も恥ずかしいのなら無理して着なくていいんだよ。ドン引きレベルのストーカーだけど恥じらってると可愛いと思ってしまう。僕はSなんだろうか。
「似合ってるな」
ボソッと呟いたのを聞いたようで恥じらっていたのがキリッとした表情になっている。
4人がベッドに上がってきて僕を囲む。
「ちょっと待っ...」
止めるより先に固められた背中にはニューが抱きつき、両腕はカイとオメガに抱きしめられ、正面からはラムダに抱きしめられる。
前後はいいけどカイとオメガ、お前達はダメだ。その位置はやめろ、耳元に顔を近づけるな!
お前達の声は最早兵器なんだよ!
「ふーー」
耳に息かけるなよ、今のわざとだろ!背筋がぞわぞわした。
あとなんで君達下着付けてないの?ラムダはさっき付けてたよね、なんで外したの?
「ふふっ♡」
お前かニュー!よくも唆したな!
オメガは自分からしたかもしれないけど、何で2人を脱がせた、まだ2人には捕食者になって欲しくなかったのに。...ラムダ以外は捕食者なの忘れてた、今さらだった。
直に胸の感触が伝わってくるし時々コリコリしたのが当たってる。
ラムダに抱きしめられて胸に顔が埋まり頭を撫でられる。
ヤバイ、何これ。頭の中、空っぽになって体が動かせない。
「シャドウ様、好きなだけ甘えてください。どのような事でも受け入れてみせます」
僕をダメ人間にしようとする3人と違って、善意しかないから無理に振りほどく事も出来ない。
「そうですよ、私達は言いふらすような事はしません。ですから無理はなさらずに」
このサキュバスが。じゃあ胸を押し付けるのをやめろよ、休めないだろ。
「我慢なんてしなくていいんですよ」
あっ...止めて、カイ。耳元で囁かないで、今の僕に君の声は劇物なんだ。しかもそんな優しい顔で言われると受け入れてしまいそうになる。
「時間はたっぷりありますので、たーっぷりお休みしましょう」
溶ける、まるで筋肉がドロドロに溶けているようだ。
「いつもシャドウ様が頑張っているのは私達がよく知っています」
「でも...抱え込みすぎるのはよくないですよ」
「誰にだって辛いことはあるんですから無理はしてはいけません」
「七陰の皆様に言えないのなら私達に言ってください」
『だから...』
『いーーーっぱい、ダメになりましょうね♡』
その後の事は良く覚えていない。
ハッキリしているのは僕の黒歴史が増えた事。理性が溶かされた事で判断力がデルタ並みになってしまいとても人には言えない位に幼児退行してしまい少しでも思い出そうとすると発狂しそうになってしまうようになってしまった。
皆の事を『お姉ちゃん』と呼んだ気がするけど、気の所為だと思いたい。
簡単に癒しに手を伸ばしてはいけない。
シャドウが帰った後、3人は鼻を押さえていた。
「わ、私が...お、お姉ちゃん」
シャドウは気の所為だと思っているが、気の所為ではなくお姉ちゃんと呼んでしまった。
「どうして私は録音機を持ってこなかったなんだ!」
性癖丸出しの発言をするオメガ、2人も悔しそうにしている。
録音しておけば繰り返し聞く事もできたはずなのに、その機会を逃した。
七陰も知らないダメになってしまったシャドウの姿は庇護欲をそそる物があったのだが
「あ....写真...忘れてた」
シャドウを甘やかす事に気を取られて写真を撮るのを忘れていた。
3人は膝から崩れ落ち、四つん這いになっている。
歯を食いしばり呻き声を出して悔しさを隠そうともしていない、シャドウに性癖を歪められた3人はおバカになっていた。
「あ」
ニューが何かを思い出したようだ。
2人は希望を取り戻したようで詰め寄る。
「隠しカメラか!流石は陰湿なだけはある。よくやったぞ!」
「どこだ!どこにある!」
「違います!陰湿じゃありませんし、悪口じゃないですか!」
カイとオメガは部屋中を探し回っていたが違うと言われたので落ち込む。
「じゃあ、何なんだ?」
聞かれたニューの顔には冷汗が流れている。
「ラムダは...着替えたのか?」
『あ』
シャドウに気を取られていて忘れていたが、ラムダは着替えずに訓練場に戻ってしまった。
そして
「うああああああああああああああああああ!!」
外から絶叫が聞こえてきた。
気付いた時には遅かった。
この後ラムダは夜間訓練にも顔を出さず、次の日もまともに顔を合わせようとしなかった。
次の日からラムダがメイド服が好きという噂と、シャドウがメイドフェチである噂が流れ始めた。