アルファさえどうにかすれば後は気合いで何とかなるとか考えてた昨日の僕をボコボコにしてやりたい。
何が気合いだ、全員捕食者なのを忘れるとか危機管理能力が.....これがブーメランってやつか。
僕は基本10分前行動を心掛けているが今日は時間ピッタリに到着した。
彼女のプライドを守るためには必要な事だ。
もし早く来たりして彼女の胸が崩れたりしていたら流石の僕も見ない振りをするのは難しいだろう、彼女の高いプライドを守るためには必要なんだ。
僕が疲れるのが嫌とかそんなんじゃない、昨日のアルファみたいにブラックホールの力に手を出すのが怖いとかそんなんじゃない。
部屋の扉をノックして部屋に入る。
「おはようございます!主様」
「おはよう」
相変わらずイプシロンの胸(スライム率99%)は素晴らしい。僕じゃなけば本物と見間違えていただろう。形や揺れまで本物と大差ない、イプシロンのスライム操作は僕でも驚嘆するものがる。
「どうかなさいましたか?」
「うん?なんでもないよ」
お互いに触れたくない所に触れないのが関係を長続きさせる秘訣だ。
「では主様...私もお願いします♡」
そう言って両手を伸ばしてくる。分かってたけどそんなにいいものかな?
椅子に座っているイプシロンを抱き上げる。
「~~~~~~!!」
顔を赤くして肩口に顔を押し付けている。
胸が押し付けられるが本当に本物かどうか疑う程だ、スライムと知っているけどこれは本当に本物だと思ってしまう。柔らかい。
食堂に着くと昨日よりは控えめであるが殺気を向けられる。
「ふっ」
イプシロンはというとベータに向かって不適な笑みを向ける。
ベータは肩をピクリとさせただけでいつも通りの表情、これで僕の負担は少しは減った....と思われた。
2人が食べさせてもらったのだから自分も食べさせて貰うのが当然というのがイプシロンの言い分だ。恨みを買いたくはなかったので食べさせた。
だがこれで終わらないのがイプシロンだ。
「では主様私も口移しでお願いします」
そう言ってコップを渡してきたイプシロンはベータの方をチラチラと見ており、ベータは体をプルプルと震わせている。
やらないという選択肢もなくはないしかしそれをすると今後の関係にシコリが残りそうで怖い。何よりベータが怖い、さっきから皿にフォークがカタカタと小刻みに当たって皿には小さなヒビができている。
「主様♪」
....分かった、やるよやればいいいんでしょ。
水を口に含んで口移しで飲ませる。
「ん~~~~~♡」
嬉しそうに飲んでいるがチラチラとベータの方を見ている。
僕もチラッと見てみるとベータが粉々に皿を破壊していた、それも機械的に一定の動作で破壊していたのだ。
皿が粉々になってもフォークを振り下ろすのを止めようとしない。
この1週間を乗り越えたとして僕は果たして生きていられるのだろうか?
食事が終わり仕事の手伝いになるはずだのだが手伝いではなく別の事をすることになった。
座っているイプシロンをただ抱きしめるだけ、これが手伝いだってさ。
「こんなのでいいの?」
「むしろこれがいいんです!」
「そっか」
女性心理というのは未だに理解できない。
視界の端では本日5本目になる羽ペンをベータがへし折っていた。
「主様今日はわ・た・しなのですからベータの事は見ないでください」
「ゴメン」
抱きしめているイプシロンの体温が一気に下がった気がするし、離れたところからベキッ!と何かが壊れる音がしたが気にしない。
気にしないったら気にしない。
横から書類を読んでいるがイプシロンらしいと思った。
演奏家として名前が売れているから当然ではあるが芸術方面の話が多い、特にオリアナ関連の話が多い。
これはビックリしたが小国ではあるものの教団の支配が一番強い国だという事だ。
貴族の大半に教団の手が入っており実質傀儡とも言える、しかも王がいないという事でやりたい放題...
「ぐふっ」
「どうかなさいましたか?」
「な、何でもない」
頑張って忘れようとしてた名前を思い出してしまった。
ドエム...ヤバい笑いそう。
誰だよあんな名前考えた奴。
完全に笑わせに来てるだろ、戦う時とかどうやって戦えばいいんだ。
「覚悟しろ!ドエム・ケツハット!!」
とか言うのか。
シリアスムードもぶち壊しの名前だよ。どんなイベントでもぶち壊しになる名前だ。
僕の陰の実力者プレイの為にもあそこで消しとくべきだったな。
無駄に声がハスキーだから悪役的にはピッタリだと思って見逃したのが間違いだった。
声だけは無駄に良かったからな、変装する時には参考にさせて貰おう。その代わりに一撃であの世に送ってやる、苦痛もない何が起こったかすら分からないように逝かせてやる。
アルファが膝枕を要求してきたのだからイプシロンもそうだと思っていたが、逆で膝枕をしたいと言ってきた。何でもするよって言ってるのに自分がすると譲らないのだ。
また破壊音がしたが気にしない、殺意を向けられても気にしない。
イプシロンから向けられる視線はむず痒い。
姉さんは暴力と愛情がごちゃ混ぜになってるけどイプシロンは多少嫉妬はあるけどかなり純粋だ。
姉さんを悪く言いたくはないがどうせならイプシロンの弟になりたかった。
頭撫でられてるだけで凄い安心できるし眠気も凄まじい。
昔睡眠薬を盛られた時並に眠たくなってきたけどもう眠いわ、無理だ。
(今日も可愛いです、主様♡)
確信犯であった。
飲み物に仕込んでいたが気付かない程のごく少量を時間をかけて飲ませる事で眠らせる事に成功したのだ。そして離れたところにいるベータに視線を送るのも忘れない。
またベータは羽ペンをへし折った、本日7本目である。
膝の上で眠っている主の頬を起こさないようにつついて堪能している。
そして指を唇に持っていきつつこうとする。
イプシロンがわざわざシドを眠らせたのはある噂を実証したかったからだ。
信憑性が低かったが試したくなってみたのだ。
曰く、特殊な経験、環境下で育った男性が女性と関係を持つと無意識のうちに押し込めている甘えたいという衝動が眠っている間にでて女性の胸や指に吸い付いたりするという余りにも荒唐無稽な噂だ。
特殊な環境で育っているし、自分の命を省みない主を繋ぎ止める為に襲ったのも特殊な経験と言えるだろう。
しかし信頼できる筋からの情報提供とあってイプシロンは睡眠薬の使用に躊躇なかった。
そして唇をつつき続けるが未だシドは唇をもにゅもにゅとさせるだけ。
だがイプシロンは諦めずにつつき続ける、そして
「むっ....ちゅっ」
指先のほんの少しではあるが吸いついたのだ。
甘美な光景に叫びだしそうになるがこらえて口元を隠すがにやけづらを隠せていない。
そしてその光景を見ていた一同は内心半狂乱になりながらも冷静に振舞っているがただ1人ベータだけは本日8本目になる羽ペンを床に叩き付け破壊した。
そして指先だけだったのを指の第一関節程までゆっくりと押し込むと甘嚙みされる。
「~~~~~~!!」
声にならない絶叫が出そうになるが何とかこらえる。
「イプシロン様、どうぞ」
「ありがとう」
イプシロンの後ろからハンカチで鼻を抑えたオメガがカメラを渡す。
信頼できる筋....それはこのショタコンダークエルフである。
かなり前にこの噂を知ったショタコンは直ぐに実行しようとしたが、ベッドの上では最早魔王レベルのテクニックを誇るシドに勝てるわけもなく負け続け、覗きに行こうとすれば同僚と上司からの恨みを買う。
考えた結果上司の誰か、自分と趣味が合うもしくは何か弱みを握っている相手に頼むことでお零れを貰うことにしたのだ。
それに当てはまったのがイプシロンである。
趣味はともかくオメガはイプシロンの重大な秘密を握っているのでこれを使っておど...交渉する事にしたのだ、そして交渉は成功した。
「私は1枚もらえればいいから後は好きにしなさい」
「感謝します」
カメラを受け取ったオメガはまるでガラスを扱う様に大事にしまう。
指を口から引き抜こうとするが夢の中にいるシドは引き抜かれる指に噛み付きしゃぶり続ける。
幸せの絶頂にいるイプシロンの離れたところで本日9本目になる羽ペンを握りつぶした。
深夜、ミツゴシの従業員用に造られたバー。
「なんであんなイジワルするの~~」
ベータが酔いつぶれていた。
そして対面にはケルベロスが座らされている。
偶々通りかかった所にベータがくだをまいていたので介抱しようとしていたのだが酔っぱらったベータに付き合わされることになった。
「わだぢだって....わだぢだって頑張ったもん!!」
酔っぱらって醜態を晒しているが誰も止めようとはしない。
(おい、お前にも責任はあるんだからどうにかしろ)
(流石にあれはどうかと思いますよ)
(私はあくまで提案しただけだ....そこまで悪くはないだろう)
同僚2人に責められるが顔を逸らして逃げる。
「好きで気絶したんじゃないもん!!頑張って耐えたの....でも無理だったの!」
普段の姿はどこへいったのやら醜態を晒している。
3人は心痛を誤魔化すように酒を飲み目の前の光景から目を背ける。
「私悪くないもん!悪いのはシャドウ様だもん!イケメン過ぎるのが悪いんだもん!」
子供の様に叫ぶとジョッキの中の酒を流し込む。
「おかわり!!」
「飲みすぎですよベータ様。、明日にひび....」
「明日何て来ないで欲しい!シャドウ様のイチャイチャ見せられるだけなんてもう耐えられない!私だって口移しして欲しかった!!」
暴走したベータは棚に置かれていた瓶を手に取り栓を抜くとジョッキにも注がずラッパ飲みをする。
「ぷはっ....大体シャドウ様はイジワルなのよ!ドS!鬼畜!王子様!」
最後の1つは悪口にすらなっていない。
「でもそこも好き!!」
酔っぱらって情緒がおかしくなっているようで貯めこんだものを吐き出している。
「もう酷いのよ!この間だって私の耳を舐めるだけ舐めて帰ろうとしたのよ、しかも私がおねだりしないと『して欲しいのなら言わないと分からないよ』って言われてもうすっごい恥ずかしいかったのよ!
その後は....こんな事言わせないでよ!もう!」
勝手に暴露して勝手に切れている事にニューは若干引いている。
「ベータ様もうお水にしておきましょ....何してるんですかあなた達?」
ニューの隣ではエルフ2人がジョッキの中の酒を一気に飲み
ダンッ!と机に叩きつけた。
「分かります!この間私を散々乙女の様に扱ったのに何もせず帰ろうとしたんですよ!期待してたのに凄い恥ずかしいおねだりさせられたんですよ!あの人鬼畜ですよ!」
「そうですドSですよあの人!首やら肩にはキスするのに口にはしてくれなかったんですよ!散々期待させといて酷くないですか!」
『でもそこも好き!!』
やいのやいのと醜態を晒しているのも気にせずエルフ達は騒ぎ続ける。
そして1人取り残されたニューは気まずかったのかそれとも不満があったのかジョッキの中の酒を一気に飲みこむとジョッキをテーブルに叩きつける。
「ホント最低ですよあのスケコマシ!!所々で女ひっかけてきて挙句、抱けば納得すると思ってるんですか!?....まぁ納得しますよ。ええしますとも、でも!少しは私の事大事にしてくれても良くないですか!?」
『分かる!!』
その後も酔っ払い共は勢いに任せて、やれ鬼畜だの、やれドSだの、やれ最低だの、やれ王子様だの、悪口とも言えなくもない愚痴をこぼして夜を過ごす。
銀髪エルフと筋肉フェチエルフとショタコンダークエルフ、ドSが酔っぱらって醜態を晒していた同時刻。
「何でいないのよ.....これは教育が必要ね」