前回出たASMRはかな~~~~り時間がかかりますのでお待ちください。
皆様がもう忘れているであろう設定を復活させます。
世紀末○○○伝説 陰の実力者になりたくて!
拝啓、前世の両親。
この言葉が届く事はないでしょうがお伝えします。
僕が転生して15年が経ちました、様々な縁に恵まれて楽しく過ごせています。
心優しい....夫を平気で殴る母。妻の尻に敷かれボコボコにされている家庭内カースト最底辺の父。僕の首を平気で締めてくる姉。
素晴らしい家族に恵まれました。
前世で出来なかった親孝行は今世の両親にはしっかりしようと思います。
さてこの度はとてもめでたいご報告があります。
「お姉ちゃんを蔑ろにしたら駄目って言ったわよね?いつになったら理解できるのかしら」
この度、僕の姉クレア・カゲノーはめでたくブラックホールの力に目覚めました。
本来なら喜ぶべき事なのでしょうが1つお願いがあります。
助けてください。
今日は実に清々しい朝である。窓からは温かい光が差し込み小鳥のさえずりも聞こえる。こんな日はモーニングコーヒーでも飲めばもっといい気分になるのかも知れないが生憎僕の部屋にコーヒーメーカーなんて高級品は置いていない。
そんな清々しい朝であるが
「シドー?いるんでしょ~~、早く開けなさ~~~い」
朝から姉という名の災害によってぶち壊された。
ドアノブが有り得ない速度で上下し発生した振動で扉が軋んでいる。
6日放置しただけだなのにそこまで怒る必要ある?
ブシン祭もちゃんと行ったし褒めたじゃん、何が不満なの?
「お姉ちゃんに居留守なんて使ったら駄目でしょ?いつからそんなに悪い子になったのかしら?お姉ちゃん悲しいわ」
悪い子の定義がよく分からないけど、童貞捨てた事とか盗賊狩りした事とかアレクシアとキスした事とかが悪い子に入るのなら僕は悪い子なのかもしれない。
でも僕も言いたいんだ、せっかく清々しい朝を満喫してたんだから邪魔しないでよ。
「朝からうるせぇな!!ぶっこ...」
「はぁ?」
「すんませんしたーーーー!!」
姉さんに喧嘩吹っ掛けたようだが撃沈されたか。
バカだな、この状態の姉さんに喧嘩売るなんてバカか命知らずのどちらかだ。
....もしかして僕も命知らず?
大丈夫、その為にズボンを履いて窓の前に陣取ってるんだ。安全は確保されている。
「開けなさい。今開けるのなら軽いお仕置きで済ませてあげるわ」
どの道お仕置きはするんじゃないか。
「どれだけお姉ちゃんを傷つければ気が済むの?お姉ちゃん怒るわよ?」
もう既に怒ってるよね?
「今開けないとアレクシアとデートしてた事とかエルフとイチャイチャしてた事とかについて聞く事になるけどいいのかしら?」
おめでとうアレクシア、クソ王女から名前呼びに昇格したよ。
そのエルフは誰の事かな?ベアトリクスか、カイか、オメガが該当するんだが人目に付かないようにしてた筈なのにどこで知った。
あいつらか、あのウ○コ野郎か。よくも教えてくれたなもう一度下剤を打ち込んでやる。
「これが最後よ、開けなさい。開けないと後悔するわよ」
開けても後悔する事になるでしょ?
絶対に開けないからな.....
ドガン!!
振り向きたくない、なのに体が勝手に動いてしまう。
....ドアノブがあった所から手首が生えてる。
前世でそういうホラー系の家具があるのは知っていた、でもここは異世界。そういう趣味がない限り有り得ないしこの寮にそういう趣味を持った人はいない。
お、手が引っ込んだ.....ドアノブがあった所が黒く渦巻いてる。
「み~~~つ~~けた~~~~」
それは目だった。黒く渦巻きブラックホールの様に吸い込まれそうな感じに寒気が走り窓に向かったジャンプしたがその瞬間部屋の扉が勢いよく開け放たれた。
そして
「ごは!」
襟首を掴まれてベッドに叩きつけられ姉さんがいつもの体勢に入り首を絞められた。
僕は犬じゃない。
「お姉ちゃんが怒ってるの分かるわよね?なんで無視したの?いつからそんなに悪い子になったの?お姉ちゃん悲しいわ」
くっ、まさか姉さんがブラックホールに手を出すなんて思わなかった。
「お姉ちゃんを蔑ろにしたら駄目って言ったわよね?いつになったら理解できるのかしら」
オトンもこんな気持ちだったのか。
「聞いてるの?ねぇ?何でお姉ちゃんを悲しませるの、何でお姉ちゃんを怒らせるの、何でお姉ちゃんに冷たくするの?ねぇ、お姉ちゃんを大事にするって約束したわよね?やっぱりお姉ちゃんとの約束はどうでもいいって思ってるでしょ?」
これ本気で怒ってるわ。
助けて前世の両親、今の親は僕と姉さんの近親婚を企んでるから助けにならないんだ。
「さぁ、教えなさい、どこのエルフとイチャイチャしてたのか。教えないとあんたの足がどうなるか分からないわよ」
教えられるはずがない。教えたら殺し合いが始まる。
てか実の弟の足をどうするつもりだ?
ここは死んだふりを使うしかない!!
「起きなさい、寝たふりなんて無駄よ」
ペチペチと軽く叩かれる。
絶対に起きないからな。
「ホントに寝てるの?いい度胸ね」
何かが顔に少しづつ近づいてる、なんだろう?
ちょっとだけ見て.....
「なにしてんの」
「やっぱり起きてたわね」
眼前に目を閉じてキスをしようと顔を近づけてきていた。
「人が寝てる間に何してるの?」
「誓いのキスよ」
「それは教会でするやつだよ」
「?それじゃないわよ」
「どういうこと?」
正直自分でも何でこんな事聞いてるのか分からない。
「シドは私のモノ、私は私のモノ。そういう誓いよ」
とんだ暴君じゃねぇか。
「それじゃ、誓いのキスをするわよ」
「ちょっと落ち着いて、もっと冷静になろう」
姉さんがキスしようとする力と僕が押し返す力が拮抗しているので一進一退の攻防になっている。
「何よ!!お姉ちゃんの何が嫌なのよ!!他の女とはイチャつくのにお姉ちゃんは放置して!そんなに他の女がいいならそいつを....」
「待って!え、えと....そう!姉さんの初めてを僕は大事にしたいんだ!!」
「え」
一体何を言っているんだろう。でもこのまま行けば何とかなりそうだな。
このままやってやる。
「初キスなんでしょ?ならこんな所じゃなくてもっと景色が綺麗な所で雰囲気を作っていい思い出にしようよ!」
「そんな風に思ってくれてたの?」
「ウ、ウン。ソウダヨ」
「...じゃなんで顔見せなかったの?」
「どんな顔して会えばいいか分からなかったから」
いけるか、いけるのか?
「あ、あ、あ、あ....シド!」
「おごぉ」
抱きしめられて首から変な音がなる。
「シド!シド!嬉しい、嬉しいわ!!こんな弟を持ってお姉ちゃん幸せよ!!」
「ぐ、そ...そう...よか..ったよ」
気道が閉まって息ができない。
「嬉しい嬉しい嬉しい嬉しい!!こんな幸せは初めてよ!頭がどうにかなりそうだわ!シド、シド、シド、シド、シド!!」
「ね、ねえ....さん」
い、息が...でき、ない。
「幸せだわ。弟がこんなに私を大事に思ってくれているなんて....そうだわ!」
やっと解放された。
「新婚旅行に行きましょう!!」
何を言っているんだ。
「まだ婚前だから婚前旅行かしら?そんな事はどうでもいいわね、お姉ちゃんとハネムーンに行くわよ」
何故そうなる。
「どこがいいかしら?オリアナはいい話を聞かないし、帝国はあんまり好きじゃないし、東方は遠すぎるし...」
「僕行くなんて....」
「は?」
「何でもないです」
怖い。
いつもより5倍増しぐらいに怖い。
「....よし!!決めたわ!!明後日に出発するから準備しておきなさい!!」
「休みぐらいゆっく.....」
「何か言った?」
「言ってません」
前よりも怖くなった。
少し早まったか、もうちょっと考えて言うべきだった。
血の気が多いというか何というか、姉さんらしいというべきなのか。
婚前旅行?の行き先は無法都市に決まった。
無法都市の存在は知っていたが詳しい事はよく知らない。
一般人が寄り付く場所ではないから町で情報を集めるのは難しい。
現地調査をしようとした事もあるが何故か事前に気づかれ搾り取られ、アルファ達が調べた資料を盗み見しようとしたら搾り取られた事で調べる事ができなかった。
だが今回は旅行なので行くことは止められない筈だ。
それに無法都市に行くのはずっと待ち望んでいたのだ。
無法都市、言葉の響きから世紀末感があふれ出ている。
トゲの着いた肩パッドを付けて鶏みたいなモヒカンで舌を出しながら
「ヒャッハー!」
と叫ぶ世紀末な人達がいるのを期待せずにはいられない。
転生してから15年色々あったが初めて心の底から楽しめそうだ。
だが何言わずに出発するとまたガンマ辺りが泣きそうだから言っておく必要はあるだろう。
というわけでミツゴシ商会の会長室で無法都市に行くので数日空ける旨を伝えたのだが
「無法都市?誰が?」
首を傾げて不思議そうにしている。
「僕が行く」
「あなたが?」
「そう」
「無法都市に行く」、それを伝えただけで部屋は静まり返った。
事務作業でなっていた紙の擦れる音も、足音も消え、重苦しい空気になっている。
椅子から立ち上がったアルファが僕のそばまで近づいてきて右手を掴んでにぎにぎと揉んでいる。
「僕が消した訳じゃないよ、これだけ時間が経ったら消えるのは仕方なくない?ねぇ聞いてる?...あの、すいません。聞いてますか?」
嚙みつかれてから数日が経っているので消えるのは仕方ないじゃん。
「そんな事で怒る訳ないじゃない」
なんだ怒ってないんだ。
安心してほっとしているとガチャン!と音がして右手首に手錠が付けられた。
は?なんで?しかもこれ魔封じの枷じゃん。
アルファは笑顔だが目が渦巻いている、そして手錠の片方を自分の左手首につけた。アルファが付けた方には魔封じがかかっていないようだ。何時の間にこんな物用意したの?
「さあ、行くわよ」
そう言われて引っ張られていく、魔封じ位5秒あれば僕の魔力で上書きして解除できるが今は大人しくするのがいいだろう、10対1、果たして勝てるのだろうか?
デルタの目がヤバい、お薬キメタ人みたいになってる。
そしていつもの部屋に入ってベッドに押し倒され服を剝がれる。
「タイム、お願いだから何が悪かったか教えて」
「何が悪い?....いつになったら自覚を持つのか教えて欲しいわ」
自覚?何の話か全く分からない。
そもそもここ最近は何も怒るような事はしてないじゃないか。
「自覚って何の事なのか教えてくれない?」
ブチィッ!と何かを引きちぎった様な音がした、ブチ切れている時の音だ。
手を握る力が強くなっている。
「へーーーーーーー、分からないの」
OH、見たことないくらい怒ってる。
これマジだ、おふざけなしのやつだ。
「いつになったら自分がどういう男なのか理解できるのかしら?」
「どういう意味ですか?」
「.....手加減は必要ないわね」
え、何で。
熾烈な戦いを繰り広げたが見事僕は勝利する事ができた。
何故アルファ達が本気で搾り取りにきたのはよく分からないが、僕の技術が上がったので良しとしよう。
いざ無法都市に来てみたら期待外れもいいところだった。
無法という言葉から僕が想像していたモノとはかけ離れたところだった。
確かに殆どの国では違法とされる店が並び、禁制品が並んでいたりもするがこれは僕の望んでいた無法とは違う。期待して損した。
「ちゃんと歩きなさい、迷子になるでしょう」
「はーい」
婚前旅行と言っていたがちゃんと仕事もするらしい。
最近ここでは吸血鬼の動きが活発になっているようでその調査を僕に手伝わせる事で功績を用意して僕を騎士団にねじ込むつもりらしい。
僕は入りたくないのに姉さんは諦めるつもりがないようだ。
民を守る騎士団と謳ってはいるが実際は教団の傀儡とも言える。都合が悪い事件は無かった事になり、捜査が行われたとしても最終的には犯人不明として処理される。
シェリーの母親も実行犯がルスランであった事から未解決として処理される。
だから騎士団は嫌いなんだ。
「いや、おかしいだろ」
歩いていたら有り得ないものが目についた。
町の一角に江戸時代のような街並みが広がっていたのだ。
しかも五重塔らしきものまである。まさか僕以外にも転生者がいるのか?
「どうしたのよ?迷子になるでしょう」
「あれが気になって....ぐぇ」
「は?」
日本家屋を指差しただけで首絞められた、しかも本気。
「またなの?またお姉ちゃんとの約束を破るの?もう監禁した方がいいのかしら?」
な、何が悪かった。
「ちょっと....待って」
「何が悪いのかも分からないの?教育し直す必要があるわね?」
「見たこと.....ないから気になった....だけ」
「え?」
た、助かった。死ぬかと思った。
「あそこに何があるのか知らないの?」
「知らない」
「....今のは私が悪かったわ」
姉さんの方から謝るなんて珍しいこともあるもんだ。
それよりもそんなに怒るなんて何があるのかきになるな。
「何があるの?」
「ホントに知らないの?」
「知らない」
「......噓じゃないわね」
いつもの噓チェック。
「....のよ」
「何て?」
「色街があるのよ」
全て察した。
姉さんが怒った理由もアルファ達が襲って来た理由も全て察した。
色街、いわゆる大人のお姉さんと遊ぶ所だ。
「もう一度確認するわね。あなたの童貞は誰のもの?」
「お姉さまのものです」
「よろしい」
大人のお姉さんを骨抜きにする謎の男とか考えてた昔の僕を殴ってやりたい。
「もしあんたが女を買ったら、相手を殺すから。...いえ、殺すだけじゃすまないわ。
街を焼いてあんたが女を買う可能性を全部潰してやるわ」
そこまでやるの?....アルファもやりそうだな。
「女を買っちゃダメよ。あんたの童貞には命がかかってるの、童貞捨てただけで人の命が無くなるのは嫌でしょ?」
「はい」
僕の童貞に命がかかってるとか意味が分からない。
もう童貞じゃないからこれは墓場まで持っていくしかない。
宿で大人しくしておけって言われたけど僕が大人しくするわけもないので散歩したら
「迷った」
似たような道しかないから迷ってしまった。
「おっとごめんよ」
「ありがとうございます」
「は?」
人とぶつかってしまった。
「ごめんねーーー痛かったでしょう?」
「ありがとうございます」
「え?」
この町の人は優しい人ばかりだ。
だってぶつかっただけで慰謝料として財布丸ごとくれるんだよ、これが優しくないわけがない。
2人ぶつかっただけで15万も慰謝料でくれるなんて心優しい証拠だ。
「さて、ここら辺にいるはずなんだけど」
何の目的もなくぶらついていたわけではなくあるモノを探していたんだがなかなか見つからない。
「おら!!お前のせいで全部すったんだよ!!」
「お前のせいでマリーちゃんに振られたじゃねぇか!!」
見つけたかな?
路地裏でボコボコにされている人がいるが彼が目的のモノだ。
それはグール。
RPGだとかなり有名なアンデッド系のモンスターでHPが高いモンスターだ。
姉さんについてきた理由はグールを探すためだったのだが
「ただの魔力暴走じゃん」
グールのHPの高さが僕の寿命を延ばす方法に使えるかと思ったが無理そうだ。
グールのHPが高いのは本来ならHP100なのを魔力暴走でHP1万に無理矢理上げているだけだ、もし僕が真似したら間違いなく街が吹き飛ぶ、もしくはグールが増殖することになるだろう。
「ぎゃあああああああああ!!」
ボコボコにされていたはずのグールが男の首に嚙みついて喉を噛み切った。
さっきまで死体みたいに白かった肌は赤くなっていた。爪も目も赤い。
「異世界って何でもありだな」
見上げると月までも赤くなっている。
グールの暴走はあの赤い月から放たれる魔力が原因のようだが流石に月を打ち落とすのは無理だ。
今にも襲い掛かりそうなこのグールはどうしようか?
一思いにやるか?それともモブっぽく振舞うか。
「あれ?」
気づいたらグールがやられてた。
漆黒の衣装に、つばの広い帽子というセンスの塊の服装をした女性が剣の血糊を振り払っていた。
「逃げた方がいい....月が赤い...暴走がはじ...」
「しらけた」
「え」
「せっかくモブムーブが出来ると思ったのに」
「え、あの」
「もういいや、帰ろう」
せっかく最近できてなかったモブムーブが出来ると思ったのにぶち壊された。
帰って寝よ。
大通りに出るとそこら中でグールが暴れまわっていた。
どんどん増殖していくグールに通りが埋めつくされていく中で僕の体は震えが止まらなかった。
「あ、あ、あ、あ」
震えが止まらない。
だがそれと同時に体の底から湧き上がるようなモノを感じる。
ああそうか....これは喜びだ。
「くっ.....くくくくくくく」
笑いが止まらない。
「くははははははは!」
ちょっと望んでいたのと違うが状況的には同じだ。
「世紀末キターーーーーーー!!」
ヒャッハー!な人達はもうどうでもいい、今目の前の世紀末をとことん楽しもう!
「世紀末ーーーーーーーーーー!!」
グールは脆い、もっと手応えのある奴はどこにいる?
どこだ、どこだ!
「世紀末ーーーーーーーーーー!!」
「ヒャッハーーーーーー!!」
無法都市に最強で最狂な男の叫び声が響く。
シド君は狂人