陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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今更ですけどシャドウ様はル○ンに似てますよね

・悪役と戦うこと多い
・お金とか美術品に目がない
・「奴はとんでもないものを盗んでいきました....あなたの心です」をやりまくってる


幕間 天気は快晴、ストーカー日和

ミツゴシ商会は年中無休、棚卸や店内改装でもない限り休業になる事はない。それは従業員も同じで、殆どの従業員が有給休暇を使うことがない。

悪魔憑きであった事も相まって彼女達は仕事に打ち込み、有給を使うなどという事を考えもしなかった。

しかし今日ある3人が有給を使ったのだ。

そうシドに地獄の番犬の名前で呼ばれている、ニュー、カイ、オメガの3名である。

 

「本当に市場調査なのね?」

 

会長室に3人を呼び出したガンマは疑わしそうに3人の顔色を窺う。

3人には学園に侵入してシドを脅迫して、七陰の憧れである学園デートを実行した前科があるのでガンマは疑わしそうに見ている。

他にも様々な前科があるので疑いを隠しきれていない。

 

「はい、市場調査です」

 

有給に市場調査を持ち込んでいる時点でミツゴシのブラック度が窺えるが、慣れてしまっている彼女達は気にもしていない。

因みに市場調査というのは半分噓で半分は本当である。

3人別々に休暇を取ればいいだけなのだが、3人は協定を結んであることには抜け駆けせずに協力すると約束しているので、恨みを買わない為にも3人が揃うこの日でないといけないのだ。

 

「......まあいいでしょう、調査報告書は提出してね」

 

許可を貰った3人は深い礼をした後、会長室から出ていく。

まだその時ではないのに既に息が荒くなっている。

この3人は生粋のへんた.....それぞれ変わった嗜好を持っているが共通しているものもある。

そう、ストーキングである。

 

街に出た3人は目立たない格好を選んだつもりだったが、ニュー以外は目立ちまくっていた。

ニューは眼鏡を掛けて頭の上で髪の毛を纏めて団子にして地味な格好にしていたが、2人はどれだけ地味な格好をしてもエルフとダークエルフという見た目で目立ってしまう。

オメガは頑張って目立たない服装を選んだのだろうが、逆に体の凹凸が目立ってしまい周囲の視線を集めているが、見てしまった男は殺意を向けられた事で目を逸らす。

彼らは正しい判断をした、目を潰される前に視線を逸らす事が出来たのだから。

一方のカイはというと着瘦せするようでスレンダーな体型に見えるのと、顔立ちが中性的な事もあって

 

「これからお茶するんですけど一緒にどうですか!」

 

ナンパされていた。しかも女性に。

貴族であった頃の社交会でも男性よりも女性と話す事が多く、自然と同姓を惹きつけるようになって歩いているとナンパされるようになってしまった。ただし女性にだが。

 

「これから行く所があってね、すまない」

 

断るが、周りの女性達は次々とアプローチしていく。女が女に迫るという中々に奇怪な状況になっている。

 

「せめてお話だけでも!」

「すまない」

「10分だけでも!」

「すまな....」

「なら5分で!」

「だから.....」

「私もお願いします!」

「え、あ、その....」

 

1人を除いて男性には当たりが強いが、純粋な好意や善意で近づいてくる女性には強く出れないカイは段々と押され始める。

 

「すまないが、急いでいるので」

「失礼しますね」

 

状況が変わらないことに苛立ったニューとオメガがカイの腕を掴んで引き摺って走り出す。

 

商店街を見渡せるカフェのテラス席に座ると紅茶を注文して一息つく。

 

「お前はいつになったら断れるようになるんだ?」

「すまない」

「まさかとは思いますけど付いてる訳じゃないですよね?」

「何を言っている!付いてる訳ないだろ!」

 

必死に否定しているのが余計に疑いを深くしている。

 

「というか見たことあるから知っているだろ!」

「それはそうですけど.....ここまでモテていると疑いたくもなりますよ」

「そうだな、何故そこまでモテるんだ?」

「し、知らん。なりたくてこうなっている訳でもない」

 

道を通り過ぎていく人は声を掛けなくとも、一瞬立ち止まってから通り過ぎていく。

 

「これが百合というやつか」

「わ、私はちゃんと男が好きだ」

「知ってますよ、あなたはメスですからね。この間も媚びまくってて....」

「お、おお前こんな所で何を言ってるんだ!」

 

飛び上がる様に椅子から立ち上がったカイはニューの襟首を掴み前後に揺さぶる。

 

「いやだってメスじゃないですか」

「だからこんな所で言うなと.....」

「おい、いい加減に....来たぞ!」

 

オメガが呼びかけると二人ともその方向に向き直る。

そして現れるのは

 

「尊い」

「可愛い」

「美しい」

 

言わずもがな彼女達の主、シド・カゲノーである。

わざわざシドが出掛けるのに合わせて有給を取った彼女達は真性のストーカーである。

シャドウとしての顔ではなく一般人としての顔を微笑ましく思っていた所で

 

「ちっ、ゴミが」

「クズめ、殺してやろうか」

「なんであんなのを友人にしたのか」

 

シドの隣にヒョロとジャガいるのに気付いて、不機嫌になる。

ミツゴシで働いている者の殆どがヒョロとジャガの事を目の敵にしているがこの3人は特にそれが強い。

 

「発情期の猿が、この身に欲望を向けていいのはただ1人だけだ」

「本当に気持ち悪い、海に沈めてやりたい」

「この前も声かけてきたんですよ、下心丸出しで気持ち悪かったです」

 

嫌われている理由の1つが全員がナンパされていること、この3人は特にしつこく声をかけられている。

2つ目は下心丸出しな事であり、ミツゴシの過激派の中には2人を排除して友人の座を奪おうとする動きすらあるほどだ。

 

「私も学園に通っていればあそこにいられたかもしれないのに」

「それはないだろう」

「ないな、あの偽装を見破れるとは思わん」

 

正体を明かされたからこそ分かるが、もし教えて貰えなければ一生気付くことはないのを分かってはいるが夢想せずにはいられない。

 

「学園デートしたくないんですか?」

「誰もそんな事言ってないだろ」

「あと2回...3回はしたい」

 

パワハラじょう....七陰の目があるので学園での接触は難しいが、できればやりたいと言っていることから反省の様子がない事が窺える。

3人が下らない話をしている間もシドは友人2人と共に買い物を続ける。

 

「何故、カメラの持ち出しが禁止なんだ」

 

白黒写真の技術は一部の富裕層で使われているが、カラー写真の技術は今だ秘匿扱いで必要時を除き持ち出しは禁止されている。

 

「気持ちは分かりますが、この距離では無理ですよ」

 

視線の先ではシドが露店で買った菓子にハムスターの様にもきゅもきゅとかぶりついている。

 

「天使か」

 

性癖を歪められたオメガは余りの美しさに浄化されそうになっているが、ヒョロの体に隠れてシドの姿が見えなくなると途端に表情を変える。

 

「異教徒が」

「やっぱり消しておくべきですね」

「ゴミクズめ、焼却処分の必要があるな」

 

殺意を向けられた事で一瞬反応したヒョロだが直ぐにいつもの飄々とした調子に戻る。

 

「見えない」

 

3人が本屋に入り見えなくなった事で残念そうにしているがニューだけは険しそうな表情をしている。

 

「そんなまさか.....いや、しかし...」

「おい、どうした?何かあったのか?」

 

考え込んでいたニューだが肩を揺さぶられて現実に戻ってくる。

 

「あそこにはアレがあるんだ」

「アレ?」

「.....エロ本」

 

他の客には聞こえないようにボソッと呟いた言葉を聞いた2人は一瞬固まるも、落ち着くために紅茶を飲み、空になると追加を注文し運ばれて来たのを一気に飲み干す。

 

「それで何があるんだった?」

「エロ本」

 

聞き間違いかと思っていた事が事実であった事に顔をしかめる。

 

「それはつまり......買いに行ったということか?」

「そうなります」

「それはないだろう」

 

定期的ではあるがしっかりと関係を持っているし、他の女に手を出そうとした時は徹底的に搾り取っているのだから有り得ない事だ。

しかし、ある事を七陰から教えられているニューは違う。

 

「これは前に聞いたんだが....ご実家で暮らされていた頃に使っていた事があるそうなのだ」

「.....マジか?」

「マジです」

 

一瞬の静寂が訪れてガヤガヤと賑わう声だけが聞こえる。

 

「いやいや、ないだろう。私達だけでなくあの方達だっているんだぞ。絵なんかよりもずっといい筈だ」

「自分で言うのもなんだが見た目はいい方だぞ、それにその話は関係を持つ前の話だろう?だったらそこまで」

「関係を持った後にもあったそうです」

 

シドには前科がある。それは催したら言うように言われていたにも関わらず自分で処理しようとしていたというなのいいがか....前科がある。

そしてそれをガンマから知らされているニューは怒りが最高潮に達している。

 

「....つまり、現実の私達よりも絵の方がいいと?」

「は?なんだそれはふざけているのか?」

 

この3人も中々に拗らせているようだ。

 

「有罪、無罪?」

「有罪」

「有罪」

 

被告人がいない所で怒りのまま判決が下された。

そしてそんな事も知らずに友人2人とシドが本屋から出てきた。

その怒りを察知したのか出てきたシドはピタリと動きを止めて冷汗を流している。

シドの異変に気付いたヒョロが辺りを見渡していると、ケルベロスの事を見つけてしまった。

ナンパ師(自称)であるヒョロがこの機会を逃すはずもなくアタックを仕掛ける。

 

「そこの綺麗なお姉さん!これから僕とお茶....」

「身の程をわきまえろ」

「鏡を見てこい」

「治療院ご紹介しましょうか?」

 

ボロクソに言われたヒョロは灰の様になって去っていく。

だがジャガは友人がボロクソにされたのを見たのにも関わらず無謀な戦いに挑んだ。

 

「このナイスガイとめくるめく....」

「キモイ」

「イモ頭」

「通報しますよ」

 

無謀な戦いに挑みあっけなく敗北したジャガはトボトボと去っていく。

だが2人は何を思ったのかシドの背を押して3人の前に押し出した。

3人を前にしたシドは気まずそうにしながらも

 

「...え、えーっと....お茶でもしませんか?」

 

保身に走ってしまった。

 

 

 

ここ数日ストーカーされてなかったから落ち着いたのかなと思っていたらそうではなかったようだ。

折角モブとしての日常を楽しんでいたのに待ち伏せされてるなんて。

どこで知ったんだろう?

僕は誘われた側だし出掛ける事は姉さんにすら言っていない、どこから漏れたのか教えて欲しいくらいだ。

 

「どうしたシド?」

「なんでもない」

 

吞気な彼らが羨ましい。

この様子だと学園にも監視が入っていると考えた方がいいな。

 

「なんか知らないがとにかく食えよ」

 

露店で売っていたチュロスみたいなのを渡される。

 

「美味しい」

「だろ!最近人気でてて....うおっ!」

「どしたの?」

「なんか寒気がした」

 

それは彼女達の視線を遮ったからだよ。

さっきまで凄い幸せそうにしてたから、それを邪魔すればそれはそうなるよ。

せめて君が殺されないように祈っておくよ。

 

「よし!じゃあいよいよお目当ての所にいくぞ!」

「この時を待ちわびてました!」

「なんでそんなに元気なんだよ?」

 

こいつらこの前、金がないとか言って死にかけてたのに、よくここまで元気になれるな。

 

「よっしゃ、ついに来たぞ!」

「調べるのに苦労しましたけど、その甲斐がありましたね」

 

連れてこられたのは普通の本屋。

外観にも特に何かあると言う訳ではない、だがこの2人がここまで興奮するのだから何かあるのは確かなんだろう。

入ると当然本屋なのだから所狭しと棚が並んでいる。

 

「じゃあ取り敢えず適当に何冊か用意しておけ」

「なんで?」

「いいから持って来い」

 

よく分からなかったが、僕も勉強の為には必要だったし丁度いい。

難しいタイトルの本が多い、タイトルだけでは判断が難しい。

取り敢えず経済と歴史関連は抑えて

 

「.....これは....これこそ僕に必要な本じゃないか」

 

見つけてしまった。

行き詰った僕の女性関連の問題を解決する為の唯一の手段、もっと早くに来ておけばよかった。

 

「選んだな!ならあそこに行くぞ!」

「ついにこの時が来たんですね!」

 

テンションの高い2人に引っ張られて店の奥にある黒い暖簾の前まで来てしまった。

 

「この時を待ちわびましたよ!」

「この向こうには俺たちの夢と希望......」

「何があるの?」

 

不思議そうな顔をするとため息をついて僕の肩を優しく叩く。

なんかムカつくな。

 

「お前も男なら分かるだろ?」

「分かんない」

「純情ぶらなくていいですよ」

「本当に分かんない」

 

今度は憐れみを含んだ表情で見てくる。なんか殴りたくなってきた。

 

「お前もさ、男なんだからわかるだろ」

「分かんない」

「おいおい、こんな事言わなくてもわかるだろ。この先には俺たちの夢と希望が詰まってるんだ」

「?」

 

本当に分からない。

 

「枯れてるのかお前?」

「どういう意味?」

「シド君、慣れておかないといざという時に使い物にならなくなりますよ」

「?」

「マジかこいつ」

「ここまでとは思いませんでしたよ」

 

何か引いてるんだけど、本気で殴りたくなってきた。

 

「この先には俺たちの夢と希望である.....エロ本があるんだ」

「は?」

 

こいつらのテンションが高かった理由はこれか。

 

「行って来たら?僕は待ってるから」

「お前本当に枯れてるんじゃないか?」

 

失礼なやつだ。

むしろこっちは有り余っていて困ってるんだ、自分から頼めば骨の髄までしゃぶられそうになるし自分で処理しようとすれば説教からの監禁が決まる。

 

「仕方ないですよヒョロ君、シド君は絵ですら女性の裸を見られない童貞さんなんですから。放っておきましょう」

「そうだな、根性無しは放っておこうぜ」

 

誰が根性無しだ、あと童貞じゃない。

僕の初めては薬盛られて動けなくされて集団で襲われたんだぞ。一歩間違えたらトラウマものだったんだから....

 

「もしかして今、かなりヤバい?」

 

僕がいる本屋には成人コーナーが設置されている。

そして今日はストーキングではなく待ち伏せしていた、ということは僕の今日の動きを予測しているということになる。つまりこの店にエロ本がある事を知っている筈だ。

.....ヤ、ヤバい。

これ帰ったらお説教なんかじゃ済まないかもしれない。

 

「ふ~~~、いい物揃ってんな」

「ええ、今夜はとても素晴らしい夜になりそうです」

 

早いよ、まだ10分も経ってないじゃないか。

もうちょっと僕に考える余裕をくれてもいいじゃないか。

 

「どうしたんだ?早く帰ろうぜエロ....お宝を早く見たいんだよ!」

 

頼むからもう少し時間をくれ。

 

僕の抵抗虚しく店の外に連れだされると、敵意が飛んできた。

なんでだろう、冷汗が止まらないな。

 

「どうした?」

「ナンデモナイ」

「?....はっ!あそこにいるのはまさか!」

 

おい、やめろ。気付くんじゃない。

 

「あそこにいるのはミツゴシのお姉さん!ちょっと行ってくる!」

「頑張って下さいヒョロ君!僕達の童貞は君の肩にかかってます!」

 

僕は童貞じゃない、あと大通りでそんな事叫ぶな。

ここからじゃ聞こえないが3人に猛烈なアタックを仕掛けたようだが数秒もしないうちに灰になって戻ってきた。

 

「鏡くれないか」

「何があったの?」

「俺って....そんなに顔悪いのか?...それとも嫌われるような事したのか?」

 

沢山してると思うよ。

前に君らがナンパしてきて鬱陶しいって相談されてるからそれだと思うよ。自覚持った方がいいと思うよ。

 

「くっ、ヒョロ君をこんなにも痛めつけるなんて許せません!」

 

自業自得だと思う。

 

「ヒョロ君の敵は僕が打ちます!」

 

ナンパの敵討ちとはなんぞや?

 

「僕のトークでメロメロにしてやります!!」

 

前に女の人と話してた時に滅茶苦茶きょどってた奴のトークとは。

敵討ちに向かったジャガはバトルが始まって数秒で返り討ちにあい、灰になって帰ってきた。

 

「イ、イモ頭」

「ぐふっ」

 

ごめん、笑うつもりはなかった。

でもそんな顔でそれは卑怯だろ。

突然立ち上がった2人は背中に回り込み押してくる。

 

「お前だけ無傷なんて許せない!!」

「そうです!シド君も罵って貰えばいいんです!」

 

僕にそんな趣味はない、どっちかというと僕は罵る側だ。

この前もガンマと....ちょと押すな。

 

『......』

 

気まずい、胃が痛い。

それに冷汗が滝のように流れてくる。

 

「...え、えーっと」

 

どうするのが正しい?ここで僕がナンパしなかったらある事ない事吹き込まれる。

 

「お茶でもしませんか?」

 

靴の音と人が話す声だけが聞こえる。

頼むから何か話して、お願い。

 

「まあ!なんて素晴らしいお方でしょう!ぜひお話させて下さい!」

 

めっちゃ棒読みじゃん、演技下手か。

 

「そうだな、こんな紳士な方は初めてだ。是非ともお話したい」

「そうですね、先程の礼儀知らずより紳士的な方ですから話してみるのも悪くないですね」

 

しまった、両脇固められた。

脇腹をつねらないで欲しい、地味に痛い。

 

「行きましょうか」

 

くそう。

 

 

 

場所は変わりシドが王都に用意していた隠れ家に4人はいた。

ここで話す事になったのは命の危機を感じたシドが抵抗し、ここでないと話さないとゴネた事でこの場所になった。

ベッドの上でシドを囲む様に座っており、話すまで逃がさないという意気込みが窺える。

 

「ではそちらをお出しください」

 

スッと手を差し出して抱きしめている紙袋を差し出す様に要求するが、シドは我が子を守るように抱きしめている。

 

「絶対イヤだ」

「渡してください」

「イヤだ」

 

少し子供っぽい仕草にドキリとするが表情を戻してもう一度渡すように要求する。

 

「渡してください」

「ヤダ」

 

子供のような仕草にダークエルフが鼻息を荒くし始めた。

 

「疚しい事があるのですか?」

「ない」

「疚しい事がないのなら渡してください、怒りませんから」

「ホントに怒らない?」

「お、怒りません、よ」

 

真正面から見ているニューも顔が赤くなり、息が少し荒くなる。

 

「.....笑わないって約束してくれる?」

「?意味が分かりませんが、約束しましょう」

 

紙袋を渡されたニューは中の本を取り出す。

一冊目は「歴史から読み解く社会情勢」、二冊目は「経済と人間」という本そして三冊目は

 

「紳士の心得~一般作法編~」

 

とタイトルに書かれている本が出てきた。

いかがわしい本が出てくると思っていた3人は余りにも意外な状況に目が点になってしまった。

 

「その...そういう事ばっかりで、ちゃんとした人付き合いができてなかったから....それで女の人がどういうのが嬉しいのか勉強しようと....なにその顔?」

 

瞬間3人の体に電撃が走った。

自分達の立場は七陰がいる以上は側室か妾になるのに、あろうことか襲った側の人間としっかりとした人付き合いをしようとしていたのだ。

初めて抱かれた時と同じ幸せを感じ、そして

 

「なんかいって...よ」

 

理性を破壊され、本能のままに押し倒してしまった。

 

「こ、怖いよ。皆、何か言って欲しいんだけど」

 

既にシドの言葉等届いておらず頭の中には

 

(犯す犯す犯す犯す犯す犯す犯す)

(悪くない悪くない悪くない悪くない、私は悪くない!)

(可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い可愛い)

 

もう好いた男を性的に食べる事しかなかった。

 

「一旦落ち着こう、はなしあえ...あっ!!」

 

地獄の番犬は獲物に食らいついた。

 

翌日、ミツゴシ商会会長室。

ガンマの前に昨晩シドを貪った3名が正座させられている。

 

「昨日は確か市場調査に行っていたのよね?」

「おっしゃる通りです」

「そうよね....一体どうすれば市場調査がシャドウ様と一晩ベッドで過ごすことになるのかしら?」

 

一体誰が漏らしたのかと顔を見合わせるが、ガンマの隣に立つベータを見て察した。

実は昨日はベータが定時報告に向かう事になっていたのだ。

報告の為に隠れ家に向かうと飛び込んできたのは裸で気持ちよさそうに抱き合って眠る男女達。

最近1人の夜が続いていたから報告のついでにお情けを貰えないかと下着にも気合を入れ高まる気持ちを抑えながら向かい、いざ主の胸に事故を装って飛び込もうとすれば既に終わった後だった。

自分が貰うはずだったお情けを奪われたベータは寝ていたガンマを叩き起こして問い詰め、事態を知ったガンマも激怒する事になったのだ。

 

「す、すいません」

「あら、別に怒ってないわよ。有給なんだから...でも」

 

そうガンマが怒っているのはシドをストーキングしたことでも襲ったことでもなく

 

「抜け駆けするのはどうなのかしら?」

 

初めてを奪ったことである。

正確にいうのならばそこで抱かれた初めての女という事である。

寮の自室で抱いた最初の女性はアルファ、ならば隠れ家での最初は誰かと七陰内で争っていた所での予想外の抜け駆け。

ガンマは怒っていた初めてを奪われた事にも、1人寂しく寝ているのに部下が主とイチャコラしているのにも怒っていた。

 

「新店舗への異動と、一定期間の接触禁止。どちらがいいかしら?」

「接触禁止でお願いします」

 

上司からの圧力、パワハラである。

 

 

 

 

 

 

 

オマケ 下手過ぎる誘惑

 

イレギュラーがあった事でずれてしまった定時報告を終えて帰ろうとするシャドウを呼び止めてしまったベータは慌てていた。

 

「どうかしたのか?」

「え、えと.....その」

 

いざ誘惑しようとしたが今までは他の誰かと一緒だったか、流れに任せていたのもあってろくに誘惑などした事がない、その結果

 

「あ、あれれーおかしいなー、スーツが解けちゃった」

 

醜態を晒した。

醜態を晒しながらも両腕で胸を持ち上げ、下着を強調し今できる最大の誘惑を実行する。

 

「....」

 

気まずい空気が流れ真っ赤になって泣きそうになっているとベータの腰に優しく腕が回され、その顔を猛禽の様な瞳が覗き込んでいる。

そして

 

 

 

 

「あひぃん♡」

 

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