ギフトとかスキルが良くなかった時追放されてる時に1人だけの時と誰かが付いてくる時で分かれてますけど、付いてくる時は大体10~20代のメイドさんが付いてきます。
そしてある事に気付きました。
これ発情してるんじゃないか?
コミカライズがあったので読んだら発情してました。
前話の最後に出た女王様にもメイドさんがいましたよね。
そういう事です。
追伸
ピンク髪がめでたく頂かれます。
拝啓.....前略だっけ?拝啓であってたっけ?
とにかく前世の両親、今回は報告ではなく文句があります。
母よ、どうして僕に女性との付き合い方や距離の取り方を教えてくれなかったのだ。
息子の将来を案じて教えてくれても良かったじゃないか。
そして父よ、あんた昔モテてたんだろ。
なら何故僕に大丈夫な人とそうじゃない人の見分け方を教えてくれなかった。
息子が将来ストーカーに引っ掛かって命の危険にさらされる可能性について考えて、僕に教えてくれても良かったんじゃないか?
あなた達のせいで今僕は修羅場に巻き込まれている。
「聞いてるの?シャドウ」
「聞いてます」
「可哀想なシド様、私が癒して差し上げます」
この前会ったばかりの吸血鬼が僕をストーキングしていて、身元を特定してきました。
怒りを買わない為に自首したら修羅場になりました。
恨むぞ両親。
ユキメに計画の立案を任せたとはいえ、おんぶにだっこというのはスーパーエリートエージェントしては許されない事だ。折角の陰の実力者プレイなんだから自分でも何かしてみたい。
と言う訳で街を散歩して情報収集を始めた。
ミツゴシと大商会連合の争いなので商店街を歩いて情報収集をしているが特にこれと言った情報はない。
「ミツゴシになんかにゃ負けないよ~~」
「地域密着型のボッタクレ商会をよろしく!」
分かるのは客の呼び込みがいつもよりも多い事ぐらいだ。
それにここ最近では一番賑わっている日だ、学生からご婦人まで沢山の人で賑わっている。
服のワゴン販売なんて昔テレビで見たタイムセールの様に熾烈な争いが繰り広げられている。
やっぱりネーミングセンスないな。
「これは私の物よ!」
「よっしゃー!」
「触ってんじゃねぇよ!てめぇ!」
「やんのかババア!!」
「痛っ、やりやがったな!こらぁ!」
「落ち着いて、落ち着いて下さい!まだ在庫は...がは」
店員さんが巻き込まれた。
「私が触ってたのに盗ってんじゃねぇ!このアバズレ!」
「てめぇこそ年考えろよ!ババアが!」
「やんのかガキ!」
「やんのかてめぇ!」
うちのオカンもそうだけど、この世界のご婦人は怒ったら喋り方がヤの付く職業みたいな感じになるのが当たり前なのか?
「おらぁ!」
「やったな!ごらぁ!」
右ストレートが標準装備なのも当たり前なの?
この世界怖すぎじゃない。
ご婦人が立ち去った後に残ったのはボロボロになったワゴンと巻き添えになった店員さんだけ。
「もうやめよっかな」
「勘弁してください!先輩に辞められたら、僕達終わりますからね!」
引きずられていく店員さんは後輩の人に怒られて灰のようになっている。
なんか可哀そう。
散歩で分かったのは連合が表向きのミツゴシにとった対策は加盟している商会に安売りさせて客を掴む事の様だが裏では何をやっているか分かったものじゃない。
「......よし、僕には何も出来ない事が分かった、これで十分」
やっぱり僕はデルタと同じで脳みそに筋肉しか詰まっていないようだ。
悲しいなぁ。
「どうした兄ちゃん?なんかあったか」
「僕が無能という事が分かって打ちひしがれてる所」
ヒョロに教えて貰ったこのチュロスみたいなお菓子を出す店にはよく来ているので店主と仲良くなった。
街の頼れるお兄さんといった風貌だ。
「大丈夫だって、無能なんかじゃない。少なくともあのお友達よりはマシさ」
「それはそうだね」
「ホントに友達か?....まあ、あの2人は何というか...小悪党だったしな」
「小悪党だよね、楽しいからそこまで気にはならないけど」
「兄ちゃんも相当だな」
笑いながらお菓子を2個渡してくる。
「僕1個しか頼んでないよ」
「オマケだよ、いっつも来てくれてるからな。彼女にいいところ見せろよ」
「ありがとう.....彼女?」
「後ろの別嬪さんは彼女じゃないのか?兄ちゃんも隅に置けないな」
見たくない、なのに首が勝手に後ろを向いてしまう。
「......何でいるの」
後ろにいたのはこの前、ほんの少しだけ関わっただけで特に話してもいない女性。
赤い日傘に腰まで伸びた赤い髪の毛が特徴的な吸血鬼の女王エリザベート。
「ようやくお会い出来ましたね」
腕を絡めて抱きついてくる。
どうやって調べた?そんなに時間は経ってないぞ、何この人....人じゃなかったわ。吸血鬼だったわ。
てかこの人力強いな。腕が抜けない。
「エリザベート様~~~~」
前のシックな服装ではなくメイド服に身を包んだメアリーさんが走ってくる.....え?なんでメイド服?
「勝手に離れないで下さい。迷子になるところでしたよ」
「別にいいじゃない」
「はあもう.....クレアの弟のシドさん...でしたよね?」
「その節は姉がお世話になりました」
「何故シドさんに抱きついてるんですか?しかもこんな公衆の面前で」
「紳士様だからよ」
ヒューと風が吹き抜ける音が聞こえる。
「私の紳士様」
「理解が追い付かない.......紳士様?.....え、だって......でもシド君はクレアの弟で....なに?どういう事?」
メアリーさんはパニックになってあわあわしているし、エリザベートは僕に抱きついて頬擦りしている。
地獄かよ。
話し合いをする為に人気のない場所に移動しようとしたんだが
「年頃の男性と人気のない所に行くなんて....破廉恥です!」
メアリーさんがむっつり丸出しの発言をしてひと悶着あったが
「あなたは一体何を考えているの?話をするだけよ」
と言われて撃沈された。
場所は変わって僕が用意したアジトに2人といる。
エリザベートさんは僕から離れてくれず、メアリーさんはむすっとした表情でこっちを見てくるので気まずい。
「エリザベートさんは...」
「エリザベートで構いませんよ、紳士様♡」
「そうですか、僕もシドでいいですよ」
今凄く甘える様な言い方だったのは気のせいだ。
「....気になっているのですが....シド君がその...紳士様なんですか?」
「そう言ってるじゃない」
「え、でもそれだと....もうわけ分からない」
アレクシアに僕の正体を見抜かれたりユキメにも身元を特定されてたりしたから不安だったけど、僕は一般人には未だに正体を掴まれてはいない事が分かって安心した。
「この事をクレアは知っているんですか?」
「知りませんよ、だから言わないでくださいね。お互いの命の為にも」
「....分かったけど、クレアはそんなに怖いのか?」
「怖いですよ」
「シド様、メアリーとばかり話していないで私とも話してください」
「あ、はい」
一瞬だけエリザベートの瞳から光が消えた様に見えた。
「1つ聞いていいいですか」
「何でもお答えしますわ♪」
「どうやって僕を見つけたんですか?」
「執念です、後は...勘と匂いです」
「......しゅ、執念....匂い?僕って臭いんですか?」
匂いには気を使っているが自分の匂いなんて分からないものだから臭いのか。
「臭くはありません、むしろ心地いい匂い」
この人もそういう性癖の人か。
「なんか.....すいません」
「別に謝ってもらっても.....エリザベート様は戻る訳じゃないですから結構です、それに救ってもらいましたから」
それを聞くの忘れてた。
「吸血衝動とか日光の事、問題がないように治療はしたんですけど。異常とか出てませんか?直ぐに直しますから」
「....あなたは本当に紳士なのですね」
なんか頬が赤くなってる。
「吸血衝動は本当に些細な物になりました。今の私にとって人間の血はワインの様な嗜好品とさして違いはありません、日光はまだ苦手ですね。でも慣れれば問題ないです」
「そうですか、じゃあ治しますね」
彼女の手を掴み、魔力を流す。
無法都市の時は都市全体の治療と同時並行で行ったから雑になってしまったが中途半端なままは気にくわない。今の僕は髪の毛1本に至るまでの細かな魔力制御が可能だ。吸血鬼が日光に弱いのは身体障害の様なもの、強いほど日光に弱くなる。
吸血鬼としての能力を消さないまま弱点である日光に対する耐性を作り出す、それだけなら簡単だ。
「終わりました」
「君の能力は分かっているが普通の吸血鬼でさえ日光に慣れるのに10年単位、私でも100年単位の時間が必要になるんだ。叶いようのない希望を持たせないでくれ」
失礼だな。
女性関係はともかく僕は無責任な発言はしない。
出来てるから言ってるんだ。
「エリ....ザ....ベート.....さ....ま」
椅子から立ち上がって窓に近付きカーテンを開けて日光を浴びる。
皮膚が爛れる事を恐れて止めようとしたのだろうが、エリザベートの皮膚に異常は現れない。
「え、噓....本当に治ってる」
「言ったでしょ、治したって」
僕の能力を知っているんならもう少し信じて欲しい。
僕の心は硝子なんだ、割と傷つきやすいんだ。
「皮膚が爛れる様な事はないですけど、元々皮膚が弱いようなので日焼けを避けるために日傘はこれからも使った方がいいですね。1日に数時間日光を浴びていれば時間はかかりますけど日傘がいらなくなるよう...おっと」
説明をしているとベッドに押し倒されてしまう。
胸元に顔を押し付けて泣いている。
「ありがとう.....ありがとう」
メアリーさんも喜んで泣いている。
感動的な場面だが僕の胃は人生で感じたことのない激痛が走っている。
今から僕はこの感動的な空気を僕が怒られたくないという理由でブチ壊さないといけない。
本当に胃が痛い。
人の感情は長続きしない、どんな感情でも時間と共に薄れやがては消え去る。
だが何事にも例外は存在する、怒りだけは時間と共に増幅していく。姉さんを放置したらブチ切れたのがその証明だ。隠したり噓をついたり逃げたりすればその分怒りは勢いを増す。
だから僕は怒りがまだ少ない内に対処し和解するのが一番の得策だと発見した。
なのでミツゴシに自首しに来た。
「殴られたい?それとも犯されたいの?」
「勘弁してください」
早期解決を図るために自首したら怒られた、何故だ。
「聞いてるの?シャドウ」
「聞いてます」
「可哀想なシド様、私が癒して差し上げます」
僕がいじめられているとでも思ったのか抱きしめてくれる。
なんだ....これは。
大きくもなく小さくもない程よい大きさなのに、途轍もなく柔らかい。
まるで飲み込まれるような柔らかさ....
「シャドウ?」
「はい、離れます」
どすの効いた声で呼びかけられたから離れるしかない、だからそんなに悲しそうな顔しないで女王様?
ブラックホールではないが真っ黒な目で見てくる。
なんでニューは笑ってるの?
他の皆は僕を親の仇みたいな顔で見てくるのになんでニューは笑ってるの?怖い。
「説明しなさい」
「説明も何も見ての通りとしか」
「は?」
「....気付いたら身元特定されてた」
殺すぞって顔に書いてた、怖い。
「あなたがそんなミスをするなんて珍しいこともあるのね」
「匂いはどうしようもなくない?」
匂いだけはどれだけ対策しても無理だ。
「ねえシャドウ」
「はい」
「私達、今結構立て込んでて余裕がある訳じゃないの」
「はい」
「怒らせて楽しい?」
「そんなつもりは全くない」
アルファを怒らせて楽しむとか破滅主義にも程がある。
「まあいいわ.....初めまして、女王エリザベート様」
様を強調してる、イヤミだなあれは。
「お気遣いいただきありがとうございます。ですが国を守れなかった私は最早王と呼ばれるに値しません、エリザベートで構いません、アルファさん」
「知っているのね」
「手配書で見ましたから」
『......』
『うふふふふ』
これが本物の女の戦いか、ベータとアレクシアの争いが児戯に思えるようだ。
「これだけは言っておくわ、彼の正さ....」
「アルファ様?」
「何でもないわ」
僕の周りの人は抜け駆けしないように牽制し合ってるけど、アルファはしょっちゅう抜け駆けしようとする。
「もう帰っていいわよ、ここからは女の話し合いになるから」
男は邪魔ってことね。
「許してくれるの?」
「ええ、許すわ....1割だけ」
「ありが....1割?」
「だって貴方が来たのって私達の怒りが小さい内に解決しようとしたからでしょう?」
エスパー怖い。
「残りの9割は落ち着くまでの間にしっかりと熟成させてその時にぶつけるから♪」
「今にして貰えないですか?」
「イヤヨ」
「はい」
もう僕はダメかもしれない、だって
「じゃあイイ子にしててね、シャドウ」
顔に犯すって書いてあるもん。
ジョン・スミスが僕って気づかれたら一体どうなるんだろう。
ミツゴシから追い出された僕は胃の痛みに耐えきれず胃薬欲しさにイータの研究所にきてしまった。
「シド君何かありましたか?」
「イータはいないの?」
「....2時間くらいしたら戻ってきます」
イータの事を聞いたら頬をリスみたいに膨らませて不満を表現している。
ちょっと可愛い。
「何か欲しい物でもありましたか?」
「胃薬と...匂い消しかな」
忘れるところだった。ユキメと会うから匂いは消しておかないと、デルタがまた騒ぐ。
「お茶入れますからお話しませんか?」
「貰えたら帰るけど」
「お話しませんか?」
「はい」
言葉に強い圧を感じたので従っておく。
これで帰ったら何がとは言わないが何かが起きていただろう。
ミツゴシ製の紅茶は美味しい、飲んでいるとシェリーがチラチラこっちを見てきたけど。
「ど、どうですか!?」
「うん、美味しかったよ」
「そ、そう、です、か....即効性だって聞いてたのに....まさか耐性が出来てる?」
ボソッと呟いたので最後の方は聞こえなかった。
「あれ」
紅茶を飲んでカップを置いた瞬間に崩れ落ちそうになるすんでで抱き止めれた。
体が火照っているし、汗もかいている。
病気か何かかもしれないからベッドに寝かせた。
「入れる方...間違えた?.....うそぉ」
....もしかして、僕に薬盛ろうとしたけど間違って自分で飲んじゃった?
「もしかして僕に薬盛ろうとした?」
「.....はい」
ガンマ並みにドジだな。カップを取り間違えて媚薬入れた方を自分で飲むなんて。
「イータさんが、言って通り、本当に鈍感、ですね」
「.....勘はいい方なんだけど」
「私のアピール、気付いてくれないじゃないですか」
え、どこで?
どこでアピールしてた?分からん。
「シド君」
「はい」
「私はシド君が好きです、他の男なんて興味ありません」
やっぱり僕に関わった人、重くなるな。特に感情が。
「抱いて下さい」
「僕でいいの?」
「今更そんな事聞かないでください」
「分かった」
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい」
「やり過ぎた、ごめん」
「うにゃぁぁぁぁぁ」
やり過ぎてしまった。
初めてだから痛くないようにほぐしてからしようとしたのだが、最近サキュバスを相手にしてたから同じぐらいのレベルでしたらグズグズにとけてしまって、
「うみゃぁぁぁぁ♡」
猫みたいな喘ぎ声になってしまった。
3回やり終えて体を離すと自分がどんな風になっていたのかを思い出して恥ずかしくなったのかシーツで体を包んで丸まってしまった。
「恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい...あんな....あんにゃぁ」
「そんな恥ずかしがる事ないよ」
「いやぁ」
「イータもそんな感じになるから、恥ずかしがる事ないよ.....むしろ可愛い」
「.....ホントですか?」
赤らんだ顔を出してこっちを見てくるが小動物にしか見えない。
「ホントホント」
「....じゃあ抱きしめてください」
抱きしめると改めてシェリーの体の小ささと不釣り合いな程大きい胸が押しつぶされるのを感じる。
驚きなのがこの小ささで僕の聖剣が8割程入ってしまったという事だ。
入った時はビックリした、飲み込むようにスッと入っていくもんだから壊れたのかと心配になるほどだった。
「何、して、るの」
振り向くと部屋の入り口で固まっているイータがいた。
状況的には浮気相手とイチャコラしている現場に居合わせたみたいになってるが、浮気には....浮気なのかこれは?
「
抱き合っている僕達とベッドに残る赤い染みを見るとくわっと目を開き、メスと注射器を取り出しゆっくりと近づいてくる。
「まずはそれをしまおう、でないと話し合いもできない」
「話し合い、いらない、必要なのは
イータの周りの空間に亀裂が入っているように見える。
「
「何言ってるの?」
「1つなら、これ以上増えない、1つでも子供は、できる」
「何言ってるの!?」
「
問題しかない。
「1つで充分、これ以上増えるのは、許せぬ」
「恐ろしい事言うな!!」
「これ以上の、放置プレイは、いらない」
「そんなつもりなかったんだけど」
「覚悟!!」
「バカ、バカ、バカ、バカ、バカ」
ポカポカという気の抜けた音が鳴る様な力で胸を殴られている。
イータの
「凄い...凄かった.....獣みたいに...私もしたい」
傍らで見ていたシェリーは全身が湯だったように赤くなり、両手が股に伸びている。
「シェリー、抜け駆け」
「し、仕方ないじゃないですか。イータさんが邪魔するから、次がいつになるか分からないですしシド君は来てくれないから今日するしかなかったんです」
「訂正する、悪いのは、スケコマシマスター、シェリーは、無罪」
「酷い言われようだ」
なんでここまで言われるんだろう。
「うん?そういえば、マスター、なんでここに、来た?」
「胃薬が必要だって....あと匂い消し」
そこまで言って2人の体が石のように固まった。
「シド君...聞いてもいいですか?」
「何?」
「まさか女性と会う訳じゃないですよね?」
2人の瞳から光は消え、濁っている様に見える。
「....獣人と会うんだ、ちゃんと男の人だよ」
「そうです....」
「マスター、噓ついた」
「噓じゃない」
「噓ついた」
何故分かる。
もっとマシな噓をつくべきだった。
「......確かにおかしいです。獣人は匂いに敏感ですが、体臭程度なら体を洗えばいいだけです。でも匂い消しが必要になるほどに気を付けないといけないのならそれは.....」
探偵かよ。
じりじりと2人は迫ってくる、まるで獲物を追い詰める様に。
「最後のチャンスです、シド君」
「男?女?」
これでも僕はシャドウガーデンの盟主シャドウ。負けるわけにはいかない!
「男」
『ギルティ』
なんでさ。
女の戦いが始まったミツゴシ商会の一室。
張り詰めた空気の中、先手を打ったのはエリザベートだった。
「私は紳士様....シド様に命を救っていただいた恩を返す為に王都に参りました」
語りだしたエリザベートは敢えて命を救われたという部分を強調している。
命を救われたのは貴方達だけではないという意味とも取れる言葉に眉を顰めるが相手に流れを掴ませる訳には行かず無表情になる。
「太陽の下を歩けるようにして頂いた恩は生涯をかけてお返しするつもりです」
「彼は優しいから」
「本当にあの方こそ真に紳士と呼べる方です」
優しいから助けただけで決して好きだからとかそういう理由で助けたわけではないという牽制を放ったアルファに対し、エリザベートはかなり美化された反撃を行う。
そして爆弾を打ち込む。
「この恩は生涯をかけて....嫁入りする事でお返しするつもりです」
「エリザベート様!?」
主の予想だにしなかった発言に目を白黒させて慌てる。
それはアルファ達も同じ。
「よ、嫁、入り?」
「はい」
エリザベートは本気だった。
まるで所有物のように扱う男に、品性に欠けた下劣な男、1000年間、碌な出会いがなかった。
長い眠りから目覚めて衝動のまま暴れる自身を身を挺して助けてくれた優しい少年は彼女にとって運命とも言える出会いだった。
傍から見れば拗らせまくった女が年下をストーキングしているだけだが本人は当然のこと、しない方がおかしいと思っているのが頭の痛い話だ。
実際にメアリーは主の変貌ぶりに頭を抱えている。
「嫁入りと言っても私....私達が認めない限り貴方が彼の妻になる事はできないわよ」
「ですので認めて頂ければこちらとしてもありがたいです」
七陰は必死だった。
王都に来てからというもの少し目を離しただけで周りには女が増えていくし、身内からは抜け駆けしたバカが3人もいる所為で、一緒の時間を増やす為にきたはずなのに逆に減っている。
これ以上増えるのは何が何でも阻止しなければならない。
「彼の説得は貴方次第だけれど、私達への見返りは何かあるのかしら?」
「そうですね....シャドウガーデンに協力するというのはどうでしょう?」
アルファは組織としての利益を守るか女としての立場を守るかの選択を突き付けられた。
有り得ないかもしれないがシャドウ個人の味方をして、シャドウガーデンと敵対されると全滅とはいかなくとも相応の被害を覚悟する必要がある。
そしてその相手から見返りとして協力するという確証が得られるだがその為には増えることを受け入れないといけない。
「いいでしょう認めます」
七陰の中でも嫉妬深いアルファが認めた事に周りは驚くが、そこで終わるアルファではなかった。
「ただしアピールする事だけ....妻になる事を認めた訳ではない事を理解してもらいたいわ」
せめてもの抵抗ではあるがアルファにとっては充分だった。
自分ですら心を開かせるのに数年かかったのだからいくら容姿に優れているとはいえぽっと出の女が落とせる訳がないという思い込んでの判断だった。
「それではメアリー共々よろしくお願いいたします」
「....ちょっと待ってくださいエリザベート様。何故私まで一緒なんですか?」
「何を言っているのメアリー?貴方も一緒にシド様に嫁入りするのよ」
まるで当然のことを言うように話すエリザベートの言葉を誰も理解できなかった。
「エリザベート様こそ何を言っているのですか!?シド君はクレアの弟ですよ!友人の弟と婚姻なんてする訳ないじゃないですか!!」
「でもシド様は貴方の好みの男性に近いでしょ?」
メアリーの顔が引きつりプルプルと震え始める。
「な、なんのことです、か?」
「貴方の好みって童顔で線の細い男性じゃなかったかしら?」
そこまで言われると顔が真っ赤になる。なにせ主に自分の性癖を知られているのだから。
「メアリーが読んでいた本に出て来る男性はシド様と似ている方が多かったから」
「待って....待ってください!!」
メアリーが止めるもエリザベートは止まらない。
「それに貴方は同年代よりも少し年下の男性と話す事が多かったし」
「なん、なななな、なんでそんな事知ってるんですか!!!」
「私は貴方の主よ?当然でしょう」
「いやぁぁぁぁぁぁぁ!!」
さも当然という風にエリザベートは言い切り、隠していた
そしてシャドウガーデン側はエリザベートの天然ぶりにドン引きしていた。
七陰からのパワハラ(シド関係)は多々あれども性癖をばらすのは人道的な観点から避けていたが、エリザベートは何の躊躇もなくバラしたのだ。
「はじゅかしい....クレアに顔向けできない」
まるでダンゴムシのように丸まってしまっている。
この世の終わりの様になっているメアリーに1人のエルフが近づいた。
「何も恥ずかしがることはない、君の性へ....好みは間違ってなどいないさ」
そう
シャドウ限定で発動するものとはいえシャドウガーデン内部では世間と同じ様にショタコンは特殊性癖として見られており同じ性癖のものは少なく、いたとしても声高にいうものはおらず隠している。
そして現れた同好の士。
「人の嗜好はそれぞれだ、君の嗜好は何もおかしくなどないさ」
「あ、あなたは...」
「君と同じ
周りで見ている者も何が起こっているのか理解できていない。
そして布教が始まる。
「シャドウ様は素晴らしいだろう、未だ幼さの残る顔に細身の体」
「ち、違う....私は年下が好きなんじゃ.....ない」
隠していた性癖を掘り起こされそうになっているが、羞恥心が勝っており自分から打ち開けようとしない。
「恥じること等ない、君も私も確かに大っぴらにはできないかもしれないがそれを間違いと言われたのか?」
「そ、それは」
「なら恥じること等ないじゃないか」
「ち、違う...私は違う!」
ガードの固いメアリーにオメガは切り札を切った。
「これを見ても同じ事が言えるのかな?」
メアリーの眼前に突き出されたのはオメガの宝である、シャドウの寝顔を収めた盗撮写真。
眼前に突き出された写真に一瞬固まるも、持ち前の瞬発力でお宝に飛び掛かるが伸ばした腕は虚しく空を切る。
「打ち明けられないものにこれは渡せないな」
「うっ....私は...私は、違う」
陥落寸前になったメアリーに更なる追撃を行う。
「こんなのもあるぞ?」
次に出したのはシャワー中の写真。上半身しか写っていないがその破壊力は凄まじくメアリーに鼻血を流させる程だった。
「だから渡さんと言っているだろう」
またも伸ばした腕は空を切る。
メアリーは自身の性癖を打ち明けるか、誤魔化すか。その狭間で揺れている。
「そうか.....残念だ」
「ま、待って!」
「どうした?」
呼び止めたメアリーをオメガは冷たく見下ろす。
「....私は」
「どうした?これが欲しいのか?」
2枚の写真を顔の前で揺らして誘惑する。
「欲しいのか?」
「ほ、欲しい!!」
「では『私は年下の童顔の少年が好きです』と言え」
「へ」
「言えないのか?」
「え、ちょ...それは」
メアリーに突き付けられたのは性癖の自白というある種の拷問に近しい行為だった。
しかも周りには主だけではなく、初対面の人が多い。
周りで見ている者も理解不能の状況に困惑している。
(何をしているんだアイツは)
カイは見たことのないオメガの姿に頭痛を感じて額に手を当てている。
「どうした?自らの
「私は....」
「これが欲しいんだろう?」
ぴらぴらと顔の前で写真を揺らす。
「私は....」
「さあ、打ち明けるのだ。そうすれば新しい世界が開かれる」
新興宗教の勧誘に見えなくもない勧誘を行う姿にシャドウガーデン側はドン引きしている。
「私は.....私は年下の童顔の少年が好きです!」
「よく言えた同志....いや友よ」
立ち上がったメアリーに手差し出し熱く握手を交わす。
そして2枚の盗撮写真を渡す。
「友よ、これは君のものだ。私には予備があるから気にしないでいい」
「ありがとうございます」
まるで長年共に戦った戦友の様に分かり合う2人の間には固い友情があるが、その友情が
「楽しそうねメアリー」
「エリザ....ベー...ト.....様」
振り返るとそこには血のように赤い魔力を揺らめかせる彼女の主がおり、誰の目にも怒っているのは分か丸わかりだ。
「それは私が預かるわ」
「こ、これは、私のものです。幾らエリザベート様と言えども渡せません!」
「貴方が持つよりも私の方が安全でしょう?」
「で、でもこれは私の....」
「預かるわ」
「で、でも」
「メアリー?」
「は、はい」
主からの圧力に負けたメアリーは手に入れたばかりのお宝を手放すことになってしまった。
「これは破廉恥です....私が預かります」
写真を見たエリザベートも鼻血を流している。
「私の.....宝が...」
メアリーは、人生初のパワハラと写真を取り上げられたショックで真っ白になり呆然としていた。
オマケ
「ラムダ様!打ち込み終了しました!」
「....」
「ラムダ様?」
「....10分間の休憩を取れ!!その後班での連携訓練だ!!666番!休めと言っているだろ!!」
「も、申し訳ありません」
「私のポジションが奪われた様な気がしたが....気のせいか?」
「あの方のメイドは私だけ、他の者には渡さん」
ASMRのネタが欲しい
今あるものだと5000字にもいかない
今更ですが今作の力関係を書きます
シャドウガーデン
シャドウ>七陰>その他
男女関係
ヒロインズ≧シャドウ
ベッドの上
シャドウ>七陰&その他
※オシオキ中
七陰&その他>シャドウ
抵抗した場合、尻の安全が保障されないため