短くなりました。
「んんーー!!んん---んーーーーーー!!んんーーーーー!!」
(離せよ!!イチャイチャするんだよ!!寝取り返すんだー!!)
狂って暴れ回っていたアルファは無事お縄につき、シャドウに使われていた拘束衣に包み込まれる事となった。
口には猿轡を嵌められている為に声がくぐもっている。
ゴロゴロと床を転げ回って当たり散らす。
「んーーーーー!!んんーーーーんーーー!!」
(解放しろーー!!寝取り返すんだぁーーーー!!)
抜け出す為に転がっているとふと動きが止まる。
(これシャドウの匂いがする)
使っていたので匂いがするのは当然だがそれを獣人でなくエルフが誰の匂か嗅ぎ分けているのははっきり言って異常である。
そんなんだから怖がられるというのに。
(これはもう間接的に抱かれていると言ってもいいのでは?寝取り返しと言えなくも....)
シャドウの匂いに包まれて間接的に抱かれているとかいうよく分からない理論で落ち着き寝取り返すのを諦めたかと思われたが
「んんんーーーーーーー!!んーーーんんーーーー!!」
(解放しろーーーーー!!寝取り返しすんだーーー!!)
そんな事もなく寝取り返すという強い意志が蘇り再び床を転げ回る。
転げまわっているせいで彼女の金色の長髪がどんどんと顔に絡まっていく。
「んーーーー!!んんーーー!!」
(見えないーー!!助けてーーー!!)
「さぁ、次は私ですよ!!」
そんなアルファを無視して2番手のベータが一歩前に出る。
ふんすと鼻息を荒くして興奮している。
(切り替え速いね、でもねベータ)
ちらっとベータの隣に立つ水色のエルフに視線を向ける。
(もうちょっとイプシロンを気にしたほうがいいと思うんだよなぁ)
シャドウは見た、見てしまった。
ベータが一歩前に出た時に揺れた胸。
それをまるで親の仇でも見るかのような見ていたイプシロンを。
「さあさあ、シャドウ様。速く着替えてください」
衣装の入った袋を押し付け、背中を押して更衣室に押し込む。
(うん分かってた、ベータだからこういうのが来るのは分かってた...しかしベータの趣味は相変わらずだな)
袋の中にはベータの趣味が反映された衣装が入っている。
衣装の他にも髪型まで指定されている。
(ベータも拗らせてるな...暇があったら付き合うか)
暇があればベータの趣味に付き合うのも悪くないかなと考えながら服を着替えボタンを留めていく。適度に息抜きに付き合わないと爆発した時に苦労する。
「シャドウ様~~~まだですか~~~?」
「もう出るよ」
「しゃぁっ!!」
着替え終わったので更衣室から出れば全員の目にベータの趣味丸出しの衣装が晒される。
「うひぃぃぃぃ♡」
ベータは顔を押さえ一瞬のけぞると膝から崩れ四つん這いになり
「おっっほおおおおおおおぉぉぉぉぉぉおぉぉぉぉぉ♡来たこれぇぇぇぇぇぇ♡私の王子しゃまぁぁぁぁぁ♡♡あだまごわざれれりゅぅぅぅぅぅぅ♡♡♡♡」
決して女の子が人前ではしてはいけない叫び声を上げる。
それもそのはず、シャドウの来ている衣装はベータの趣味そのものといって言い、the王子様と言える衣装である。
ちなみに髪型はオールバック。
夢にまで見た王子様シチュエーションにより脳破壊が起き、そのダメージを表現するかのようにベータの眼鏡にヒビが入っていく。
シャドウガーデンからは
「ねぇあれってシンデ....」
「しっ言っちゃ駄目よ」
気を使った反応もあった。
上司が成人しても尚、王子様を夢見る少女とかはっきり言ってイタいと思う。
気を使う反応もあれば肯定的に捉える反応もある。
「いいなぁ王子様」
「王子様に仕えたい人生だった」
「お姫様抱っこされたい人生だった」
「あの服の下にスーパーな筋肉が....エロスが凄い」
「立ち姿がエッチ」
「気品があるのに、空気がなんというか柔らかいんだよね....でもあれの下は筋肉バキバキなんだよね。ギャップで頭やられるわ」
「ティッシュ頂戴、鼻血が止まんない」
「はいこれ、私も止まんないわ。訓練で鼻の血管鍛えとけば良かったわ」
「そんな訓練なかっただろう」
「頭壊されるわぁ」
「朗報、盟主がドスケベだった件」
「お前、滅茶苦茶失礼だな」
「後でどうなっても助けてやらないからな」
「悲報、私の理性が限界な件」
「ふざけんな!お前もかよ!!」
「簀巻きだ簀巻き!簀巻きにしてやるぅ!!」
王子様の魅力にやられ理性が限界に達していた者は凄まじいスピードで簀巻きされている。
ラムダの鉄拳を喰らった者を見た後で暴れる度胸はなかったようだ。
離脱していく年頃の少女達。
男性との接触が任務かミツゴシや関係施設での勤務でしかない彼女達に同じ年頃のシャドウは性癖と理性を破壊する途轍もなく危険な存在、我慢しろと言うのは無理である。
全ては組織のトップがドスケベなのが悪い。
全ての元凶であるシャドウに王子様衣装を着せたベータは
「立てないぃぃぃぃ」
嬉しさのあまり腰が抜けて立ち上がれなくなっていた。
興奮しすぎて足に力を入れる事ができなくなってしまった。
だがここらさらにベータの脳を更に破壊される事となる。
「ベータ立てる?」
シャドウは膝を着きベータに手を差し出す。
その瞬間ベータの脳にあるシチュエーションがよぎる。
それはパクリ.....ベータが盛りまくったある小説のシチュエーション。
哀れなお姫様と王子様のお話。
哀れなお姫様は嫉妬により令嬢達から日常的に酷い仕打ちを受けていた。
そしてある日の社交界ついにお姫様は令嬢の企みによって公衆の面前で足をくじき、その場でうずくまってしまう。
周りに助けるものはなく頭の上からはクスクスと嘲笑が聞こえる。
誰も助けない時王子だけは自分の服が汚れるのを気にも留めず、膝を着き手を差し伸べる。
そんなシチュエーションが頭をよぎった。
ここには意地悪な令嬢はいないし、銀髪エルフのお姫様は自称である。
しかしお王子様だけはベータの理想とした本物の王子様。
ベータの理性は粉々に砕け散った。
「結婚しゅゆ」
「ん?」
「結婚しゅりゅぅ!!」
「んんん?」
シャドウの両腕をがっちりと掴んでしがみつく。
「てめぇもか妄想エルフ!!」
アルファの時と同じ様に暴走したベータにゼータの飛び蹴りが炸裂し吹っ飛ばされる。
吹っ飛ばされた時に落ちた眼鏡のレンズが割れる。
「何が結婚するよ!!抜け駆けしてんじゃないわよ!!」
「自分だけ幸せになろうとしてんじゃないわよ!!」
「主とイチャイチャしやがって!!しかも結婚?ふざけんな!」
「んーー!!んーーーーんんーーーー!!」
(そうよ!!私がシャドウを寝取り返すのよ!!)
「結婚しゅりゅのぉ!!」
「暴れんなよ!!もう!!サイコ科学者共やっちゃっていいよ!!」
「誰がサイコだ、お前も打つぞ」
「私も同じ括りですか....まぁもう言ってもどうにもならないからいいですけど」
サイコ扱いされた科学者2人は不満そうだ。
「イータさんどれ打ちます?来る時に持てる分は持って来ましたけど軽いのしか持って来てないんです。でも七陰の方ですから薬物耐性も強いはずですよね?」
「ベータはそこそこ強い、まぁ私がいっぱい盛ったから」
「それだと持ってきてるのは効きそうにないですね」
「これとこれとこれ、混ぜよ」
「その組み合わせって試した事ありましたっけ?」
「ない」
「それ大丈夫ですか?」
「シェリー、良く考えてみて。薬物耐性の高い被検体」
「私の事被検体って言わなかった!?」
「五月蠅い、薬物耐性の高い被検体に、試した事のない組み合わせ、いいデータが取れると思わない?」
「ちょっとそこ!!どさくさに紛れて私を実験台にしようとするな!!」
「....それもそうですね」
「そうですね...じゃなぁい!」
「さぁベータさん動かないで下さい、動くとちゃんとお注射できないですから」
「結局貴方も
「動くな、抜け駆け妄想エルフ」
「誰が妄想エルフよ!私の王子様は直ぐそこにいるのよ!!結婚しゅりゅのぉ!!」
「五月蠅いなぁ、抜け駆け妄想イタエルフ、ずれると面倒」
「誰がイタエルフよ!イタくないもん!!」
「五月蠅い、抜け駆けしようとする、お馬鹿には仕置きが必要」
「大人しくお注射しましょうねぇ~~~」
「嫌よ!私の王子様が直ぐそこにいるの!!結婚しゅりゅのぉ!!
「五月蠅い」
「ぎゃっ」
the王子様の服装は舞踏会のシュタルクの衣装をイメージしていただければ幸いです。
ツッコミ役として酷使されるゼータさんでした。