誘拐犯を始末した次の日に姉さんは帰ってきた。
傷は僕が直していたが大事を取って王都に向かうのは数日ほどずれた。
その間、姉さんは僕につき纏い寝る時は僕を抱き枕にしてきた。
抱き枕にする時に縄でグルグルと縛ってくるのだ。
前より頭が悪くなっていた、どうやら治療には失敗したらしい。
出発する日も馬車に乗るまでずっと僕の手を離さなかったし、笑顔で手を振るまで馬車に乗らずじっとこっちを見てきた。
これでようやく姉さんから解放された。
正直言ってつき纏いにも抱き枕にされるのにもウンザリしていた。
抱き枕にされて起きた時に僕がいなかったらつき纏いが激しくなるしそれに姉さんには陰の実力者としての修行の半分を潰されていたのでかなり清々しい気分だ。
姉さんのせいでアルファ達に会えない日が続き、数日ぶりに会いに行くとアルファ達に泣かれた。
どうやら僕に捨てられたと思ってしまったらしい。
捨てないでとか何でもするとか言われた。
その日は訓練どころじゃなく泣き止ませるのに数時間かかった。
数日会えなかっただけでここまで弱るとは思わなかった。
ちなみにこの頃から社会勉強も兼ねて外泊が許可されるようになった。
これにオトンはハゲ....激しく抵抗した。
家にいないのが寂しいとか何か起こったらどうするとか終いには自分も着いていくとか言い出した。
これにオカンは、
「鬱陶しいんだよハゲ!」
といつもの右ストレートを叩き込み黙らせた。
もちろん条件もある2泊3日が最長で事前にどこに行くか説明することが条件だ。
最後までオトンは不満そうだったが
「何か文句あんのかよ?」
と言われ、撃沈した。
最近気づいたがカゲノー家でのオトンの扱いはかなり雑だ。
気になってメイド長に聞いてみたら、オカン>姉さん>僕>ハゲ、らしい。
家長が家庭内カーストの最底辺とはカゲノー家はかなり変わっている。
外泊が許可されたおかげで修行に使える時間が遥かに増えたし、
アルファ達に泣かれたのがかなり堪えたのでありがたかった。
この頃からは身体の改造にも積極的に取り組んだ。
僕の身長は14歳手前で160後半だ、15歳では170後半にするつもりだ。
不信感を持たれないように少しずつ伸ばしている。
アルファ達の悪魔憑きを治療したことで魔力に関しての理解が
格段に上がったことで身体の改造に成功した。
能力は遥かに向上し魔力制御の練度があがればもっと強くなることが出来るようになった。
今までは深夜だけしか修行しかできなかったが、丸1日修行に使えることで充実した修行ができるようになった。
アルファ達に使える時間も増えたことで彼女たちは格段に強くなった。
特に驚いたのがアルファとイプシロンが魔力を飛ばせるようになったことだ。
僕は結構前から出来ていたが数ヶ月でできるようになったのはさすがに驚いた。
魔力は身体から離れると制御が難しくなるので魔力の斬撃を飛ばすのはかなりの離れ技だ。
そういうアーティファクトもあるらしいが技量だけで出来るのはそういないらしい。
だが成長が凄まじい者もいれば目も当てられない者もいる。
ガンマとデルタだ。
ガンマは魔力制御は上手くなっているし元のスペックの高さが影響し成長速度も速い。だが、
「ぺぎゃ」
今も何もないところでこけている、相変わらずドジだ。
このドジのせいで成長が霞んでいる。
至近距離で剣を振っても当たらないし手から剣がスポっと抜けたときはもう無理だと思った。
なのでそれっぽい掛け声を出しながら剣をふるように言ったら見ためは良くなった、見ためは。
デルタにはもうお手上げだ。
スペックは高いのにおバカなせいで、手が付けられない。
デルタの性格も影響している。
ゼータも同じ獣人なのに冷静だからデルタも何とかできると思っていたあのころの自分を殴ってやりたい。
デルタの性格は力こそパワーという典型的な獣人だ。
小細工や搦め手と言ったものを嫌い、強大な力で戦うのを好んでいる、そのため魔力制御は碌にせずただ大きな力で攻撃するのがデルタの戦い方になってしまった。
扱いづらい性格だが、僕やアルファといった自分以上の強者には素直に従うのでなんとか矯正している。
最近は盗賊が増えたので僕は積極的に盗賊狩りに取り組んでいる。
因みに盗賊狩りで得た金銭の半分をガンマに渡している。
○HKで得た経済知識を僕から教わったガンマは教えた僕が理解出来ないことを言い出したので大丈夫だと思って渡している。
因みにぼくは今、集めた金を使ってピクニックの準備をしている。
その理由は、デルタだ。
皆は僕が教えた知識でストレス発散したり和らげているが、
力こそパワーのデルタはそれが下手なのだ。
適度にガス抜きをしないと爆発してしまう、そして数日前に爆発したのだ。
隠れ家に行くと何故か周りの木が大量に切り倒されていたのだが、
当の本人は見当たらず数時間後に虚ろな目をした血塗れのデルタが帰って来たので、マズイと思った僕はピクニックに行くことを提案した。
かなり喜んでいたので手を抜けないから結構な金額を使った。
準備をしていると巨大な魔力の衝突を感じたので、シャドウに変身して現場に向かう。
到着するとアルファ達がドラゴンぽい奴と戦っていた
しかもかなり追い詰められていたので僕も参戦した。
ドラゴンぽい奴は霧の龍というらしい。
転生してから戦った相手で一番強かったので僕も本気を出したが倒すことが出来なかった。
本気を出した後、霧の龍は僕を認めるとか言いだして、
加護とアレクサンドリアとか言う都市を渡すと言って消えた。
加護はどうでもよかったが、都市をくれるのには食いついた。
都市を支配する陰の実力者に魅力を感じていた僕はアレクサンドリアに向かった。
アレクサンドリアに着いて僕は詐欺じゃんと思った。
普通誰かに贈り物をする時はそれなりの物を用意する、欠陥品を渡す奴なんていない。
だから僕も期待していたのに、実際のアレクサンドリアは城以外は手入れされておらず城以外ただの廃墟だった。
正直いらないと思っていたがアルファがこれからもっと増えるからちょうどいいとか言い出したので片付けを手伝うことになった。
増えるってどれだけ増やすつもりなんだ?
盗賊狩りにも精を出してそれなりに収入が増えて
陰の実力者としての修行が充実していた時に問題が起きた。
前世で陰の実力者を目指していた僕は邪魔な感情、
不必要なものを切り捨ててきたそして、切り捨てたものの中に今回の問題の原因があった。
性欲、そして男なら全員が持っている聖剣それが原因だ。
これに気づいたのはアルファと話していた時だ。
話しているとアルファが突然耳まで赤くなり下の方を向いて消え入りそうな声でそういう風に見てくれて嬉しいとかできれば2人きりの時がいいとか言うので、何があるのか気になった僕も下を見る。
僕のズボンの股間部分が盛り上がって形が浮き上がっていた。
聖剣が開放されていた。何も言わず僕は家に帰った。
今世においても僕は同じように性欲を切り捨てようとしたのだが、僕が転生したことが影響して上手くいかなかった。
1度死んでいるという事実が精神に刻み込まれているようで、種族維持本能が刺激されているらしくどれだけ抑え込もうとしても上手くいかない、さらにもうすぐ14歳になる思春期真っただ中の肉体がそれに拍車をかけた。
それに身体を改造したので僕の聖剣が前世のそれと比べても遥かに巨大になってしまった。
聖剣と言うよりもはや槍にしか見えない。
アルファにバレた後、皆のスキンシップがやたらと激しくなって来た。
僕の腕を胸に抱きこんだり、わざと目の前でスライムスーツを脱いだりして来る。
その度に聖剣を抑え込もうとするが、抑えきれないと開放してしまう。
すると全員が獲物を前にした獣のような目を向けてくるので、捕まる前に逃げている。
そういう時は盗賊狩りで発散するようにしている。
その盗賊狩りが別の問題を引き起こすとは知らずに。
今日も今日とて僕は盗賊狩りで発散していた。
理由は事故を装いベータが僕に胸を触らせたのだ、それだけなら耐えられたが
「ああん♡」
とわざとらしく言ったのに聖剣が反応してしまった。
バレる前に逃げ出した僕は見つけた盗賊の拠点を襲撃した。
この間なんて帰省していた姉さんに抱き枕にされて聖剣が反応しそうになったのには頭を抱えた。
盗賊を全員倒すと一息ついて、下を見ると聖剣は落ち着いている。
ここ最近はずっとこんな感じだアルファ達の激しめのスキンシップで開放された聖剣を鎮めるために盗賊狩りをすることの繰り返しだ。
落ち着いた僕は戦利品の確認をしようとしたがそれらしきものが見当たらない。
いつもなら物資が積みあがっているはずなのに何もない、あるのは机と何かの資料だけ、気になったので資料に目を通した。
そこには絶対にあり得ないことが書かれていた。
「魔人ディアボロス?」
どうして僕が盛りまくった設定について資料にまとめているんだ?
その他にも悪魔憑き、英雄の血とか書かれていた。
その時1つの考えが頭をよぎった。
「いやぁ、ないでしょ。」
だが資料が気になってしまったので、資料を家に持ち帰った。
家に帰ってゆっくりと資料に目を通し読んだ後直ぐに燃やした。
だってありえないことしか書かれてないからだ。
僕が盛りまくった脳内設定についてまとめられた資料なんて明らかにおかしいだろう。
今日見たことはなかったことにして寝ることにした。
「ギャアー!」
今日も盗賊で発散している。
最近皆が恥も外聞も気にせず迫ってくる。
今日はガンマとイータが自信作と言って紅茶を作ってくれた、イータがいる時点で危険なことに気付くべきだった。
紅茶は美味しかったが、数秒も立たない内に下半身に血が集まるのが分かった。
悶えていると待っていましたと言わんばかりに全員で襲い掛かってきた。
本当に危なかった、後数秒遅れていたら大事な何かを失っていた気がする。
盗賊を倒し終わり辺りを見渡すと物資はなく何かの資料がある。
嫌な予感がしたが資料を読む、
「ドッキリ?ドッキリだよね」
周囲の魔力を探るがアルファ達はいない、それに筆跡も彼女たちのものではない。
資料には前と同じようなことが書かれている。
どうやら認めるしかないようだ、ディアボロス教団は存在するらしい。
僕には2つの選択肢がある。
1.流れに身を任せる
2.情報を集めて教団と戦う
僕的には1がいいのだがリスクが多い。
流れに身を任せると出たとこ勝負になる、それに何も知らないことがバレると全てが終わる。
アルファ達がシャドウに向ける羨望、尊敬の視線が陰の実力者としての生活を充実したものにしている。
もしバレればこれら全てが失われる。
そうなると2しかない、だがこれも問題がある。
まず僕は情報戦においては素人だ、どこまでやれるか分からない。
それに今回は偶々倒した盗賊が教団だっただけで、今後も同じようにいくとは思わない。
僕にとれる手段なんて盗賊狩りしかない。
だが、これしかないのでやるしかない。
情報取集を始めてかなり時間がたった。
盗賊狩りを続けて分かったことがある、
アルファ達に教団と言って倒させた盗賊は本当に教団だった。
というか姉さんを誘拐したのも教団だったし、アルファ達と会う前に倒した盗賊の半分が教団に関係していた。
本当に世界中に教団の手が伸びていた。
情報を集めて分かったことは僕が盛った話しの殆どが事実だったことだ。
正直これには引いた、偶然とかいうレベルじゃないだろう。
追加で分かったことは多くない
・ナイツオブラウンズという12人の最高幹部がいること
・魔人を復活させようとしている
・王族も傀儡としている
素人の僕にはこれが限界だった。
世界征服を狙う組織じゃなくて、征服し終えた組織なのには
驚いた。
そんなことよりも言いたいことがある
「もっと他にあるだろう」
何でこんな誰でも思い付く名前を付けたんだ。
お陰で余計な苦労をすることになった。
ディアボロス教団許すまじ!!
タイトルに関係する話が一番短い