カゲマスネタもちょっと入ってます
前話の続編です
誤字報告でリニューが誤字としてきていますが誤字ではありません
アニメで使われてたニューの偽名です
清々しい朝。
窓からは暖かい日の光が差し込み、髪の毛が揺れる程度の優しい風が吹きこんでくる。
しかし王都に来てからというもの僕はこの清々しい朝を堪能できた事は数え切れる程しかない。
こういう朝は大抵誰かにぶち壊される。
そして今日も
ドガンッ!!
扉が吹き飛ばされ清々しい朝はぶち壊された。
そしてベッドに叩きつけられマウントを取られる。
今日も朝から姉さんはご機嫌斜めだ。
「おはよう姉さ...ぐがぁ」
「ユルサナイ」
ご機嫌斜めではなくお怒りのようだ。
「ユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ」
何かの呪いにでもかかっているのかな?
「ユルサナイユユユユユユユユユルルルルルルルルユルユルユルサナイユルサナイユルユルルルルルユルユルユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ.....」
エラーを起こして案内音声が繰り返されるロボットのようだ。
首を傾げているけど錆のついた金属のようにギギギと音がなっていそうだ。
「ユルユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルユルユルサナイユユユユユルルルルルルルル....」
「ギブギブ、降参します」
降参の意思表示として背中を軽く叩く。
「ふんっ!」
「おげぇ」
降参だって言ってるのに何で本気になるの。
「あんたはどうして.....ああ!もうムカつく!」
僕をサンドバッグにするなよ。
「ギブ」
「....」
「勘弁してください」
「....」
「ちょっとづつ締めていくのは止めて欲しいな」
ゆっくりと万力のように力を込めていくのは割と恐怖を感じる。
「この尻軽」
「僕は男だから尻軽は違う....」
「は?」
「何でもないです、ごめんなさい」
殺すぞって顔に書いてあるからここは素直に従おう。
「ねぇ」
「はい」
「私だけじゃ足りないの?」
「主語がないと分かりません」
「それもそうね....じゃあちゃんと主語を入れて言うわ。どれだけお姉ちゃんを増やせば気がすむの?」
「この前のあれなら説明したよね?」
前のニューとカイのお姉ちゃん騒動から始まった姉さんの暴走は穏便に収めた。
まさかあんなに暴れるとは思わなかった。
財布もダメージを受けたし僕の精神もダメージを受けた。
「自覚がないの?」
「だから何の話?」
「ふんっ」
「おげぇ」
理由が分からない暴力ほど理不尽なものはないと常々思っていたが、今回は度を超えて理不尽....そういえばいつもこんな感じだったな。
「いい?あなたが手を出していい『姉』という分類は私だけなのよ。他所の『姉』に甘えるなんて私に対する侮辱よ」
「意味分からん」
「は?」
「ごめんなさい」
他所の姉ってなにさ?
ちゃんと説明してよ。
「説明を求めます」
「....自覚がないのがホントにムカつく」
「自覚とは何でしょう?」
「死にたいのかしら?」
「僕を殺したら結婚できないよ?」
「大丈夫よ、直ぐに後を追うから。そうしたら誰にも邪魔されないし嫉妬する必要もない。冥府の方が邪魔が少なそうだから今すぐ行くのも悪くない....」
これヤバイわ、本気だ。
ブラックホール状態で言ってるから冗談じゃない。
「2人で一緒に行きましょう。誰にも邪魔されない楽園に....」
「あの~クレアさん?もう少し時間がかかりますか?」
....聞いたことがあるような声がする。
いやまさか
だってアレクシアみたいな小悪魔じゃなくてどうみても秀才の委員長タイプだったからストーカーみたいなことをするわけがないだろう。
「もしかして今来てる....」
「これから来る人には決して失礼のないようにしなさい、もし何かあれば私もあなたもただじゃすまないから」
繋がった。
姉という単語、そして失礼があってはいけない相手。
姉妹揃って僕の平穏を邪魔するとはいい度胸だ。僕の素晴らしい朝を返せよ!
「くれぐれも失礼がないようにしなさい。分かった?」
「はい」
姉さんが部屋から出て少しすると、カツンカツンとヒールで歩く音がする。
そしてその音の主は部屋に入ってくる。
「お、お久しぶりです....シドさん」
「オヒサシブリデス」
堅苦しい軍服姿ではなく、いわゆるOLのような短めのスカートを履き眼鏡を掛け、髪の毛を頭の上で団子にして纏めている。
変装しているつもりなんだろうけど髪色が特徴的すぎて絶対に目立つ。
「僕に何かご用がおありでしょうか、アイリス様」
姉妹揃って僕のプライバシーを侵害しやがって。
僕を苦しめて楽しいのか?
「用というほどではないんですけど」
なら帰ってくれませんか?
「その....クレアさんからシドさんとのお話を聞いていて弟と話すのが羨ましくなって」
この先が容易に想像できる。
すんごく断りたい。
しかし実家の命運がかかっている。
「周りの人に頼むと後が怖くて悩んでたんですけど」
確かに僕は弟に分類される。
でも貴方の弟ではないし貸し出し可能でもない。
「クレアさんに頼んだら快く引き受けて下さって」
快くではないと思う。
実家と嫉妬心を天秤に掛けて、ほんのわずかだけ実家に傾いたから泣く泣く受け入れただけだと思う。
それとその時は姉さんが引き受けただけで僕は引き受けていないからね。
「それでですね.....その...あの」
姉妹だけど全然似てないな。
妹は腹の中真っ黒、対して姉は天然でまじりっけなしの乙女。
姉妹でもここまで差がでるとは驚きだ。
「今日だけでいいので.....私を...私を」
ここまで来たらこの先にどんな言葉が続くのがよくわかる。
どうせ....
「お姉ちゃんと呼んでください!!」
ほらやっぱりこうなった。
あとね、そんな一世一代の告白みたいに言うものでもないから。
「....」
「あの....ダメですか?」
そんな顔で見られると胸が痛くなる。
断りたい、凄く断りたい。
しかし実家がかかっている以上はやるしかない。
「イイデスヨ」
「ありがとうございます!!」
ぎゅっと手を握りしめている。
この人体温高いからあったかいな。こういう人といると心が休まるが
「コロスコロスコロスコロス」
扉から顔を半分出して殺意を飛ばしてくる姉さんが気になって安心もできない。
コロスのは僕だよね?
アイリス王女じゃないよね?
流石にそれはないよな。
寮から出ていざお散歩が始まったわけなのだが、アイリス王女は顔を赤くしてうつむいているし、離れたところからは
「コロスコロスコロスコロスコロスコロスコロスコロス」
殺意全開で追いてくる姉さんもいるし、不安のあるお散歩になっている。
ここからのアイリス王女の動き次第ではさらに不安要素が増えるのだが。
「あ、あの!」
「何か?」
「その、クレアさんとは手を繋いで歩くと聞いています」
繋ぐというよりは逃げられないように拘束されている方が正しいかな。
「だから....だから私とも...手を...繋いで.....くだ...さい」
ラムダと話しているような気分だ。
僕の知っている範囲では一番ラムダが乙女でそれに似ているとはアイリス王女の乙女力も高そうだ。
他の人?
他はどいつもこいつも何かにつけて僕を独占しようとしたり、寝室に引きずり込んだり、SMプレイを要求してきたりと色物ぞろいだ。
乙女力ではなく色欲の方が強い。
ここを切り抜けるためには繋ぐべきだと思うけど
「コロスコロスコロスコロスコロスユルユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイユルサナイ....」
爆発しそうなんだよな。
「あの....」
うーん、胸が痛い。
こういう人を傷つけるのは良心が傷つくんだよな。
「いいですよ」
手を繋ぐと一気に熱くなって顔も真っ赤になる。
「ひゃう!?」
初めてラムダを抱いた時もこんな感じだったな。
僕が可愛いって言ったら真っ赤になって恥ずかしがってたからな。
「おっきいし硬い....ゴツゴツしてる....男の人ってこんななのね」
心の中で留めているだけのつもりなんだろうけど口から出てるよ。
「抱きしめられたらどうなるんでしょう」
この人もむっつりか。
だから声に出てるよ。
「じゃあ行きましょうか」
「ひゃい!....やっぱりちょっと待ってください!」
僕は今すぐにでもこの場から離れたい。
ついに姉さんが腰に掛けている剣に手を伸ばし始めたからとっとこの場を離れて安全を確保したい。
「呼んで貰ってません」
「はぁ」
「今日は私がお姉ちゃんなんです......だから....だから」
この先に続く言葉が容易に想像できる。
そして後ろで隠れている爆弾が爆発寸前だ。
「お姉ちゃんって呼んでくださ、い」
隠れている姉さんから闇のオーラが吹き出した。
全身が真っ黒に染まっていて顔を認識することができない。
進んでも地獄、進まなくても地獄。
進む方は爆発する前に逃げ出せればまだ未来はある。
逃げ出せればだが。
「....あの」
分かったよ、呼べばいいんでしょ。
「行こう、アイリスお姉ちゃん」
「こひゅ」
真っ赤になって固まってしまった。
ピクリともしない。
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■!!」
爆発したか。とっとと退散しよう。
アイリス王女には悪いけど我慢してね。
「ふぇ?....へぇ!!ちょシドさん降ろして!!降ろしてください!!」
我慢して、逃げないとあのバーサーカーに何されるか分からないんだから。
お姫様だっこぐらい我慢して。
「降ろしてくださ~~~い!!」
我慢して。
バーサーカーを振り切り、人混みに紛れて攪乱する事ができたところまでは良かった。
「美味しいですね!!」
「ソウデスネ」
マグロナルドで食事をしていることで見つかる可能性が高くなった。
ガラス張りの窓のせいで外からでも店内を覗くことができる。
道行く人にも見られているし、殺意の混じった視線も感じる、ただし視線はアイリス王女ではなく僕に向けられている。
どうして皆僕から平穏な日常を奪うんだ!
一体何の恨みがあるって言うんだよ!!
「シドさん?どうかしましたか?」
「ナンデモアリマセン」
さっきまで顔が真っ赤になってたのにもう戻ってる。ラムダなら2時間ぐらいは赤いままなんだが、乙女と言ってもそれぞれ特徴があるんだな。
覚えておこう。
「初めて来ましたが、美味しいですね」
「それは良かったです」
自分のことではないがアルファ達の努力を褒められていると僕も嬉しい。
彼女からすればテロリストかもしれないが。
「本当に良かったんですか?」
「何がですか?」
「お代なら私がお出ししましたのに」
「気になさらないでください」
ここは私が払いますとか言い出した時は困った。
周りの空気が
「まさか払わせるつもりじゃないだろうな?」
って言ってたから僕が払ったけど。
どこから姉さんに情報が行くか分からないからな。
「ごちそうさまでした」
食べ終わったのか手を合わせて会釈する。
「アレクシアから聞きました?」
「はい。食事を終えた時にする作法だと聞きましたよ。何でも食材や料理人に感謝すると聞きましたが変わった作法ですね」
「.....ソウデスネ」
どこまで僕の事を話してるんだあの小悪魔。
この様子だと事実を捻じ曲げて話したりしていないようだがどこまで話しているのか気になる。
僕も食べ終わったからそろそろ店の外に出ないといけない。
しかし出たくない、できるのならこのままここで時間を潰したい。
「さて、出ましょうか」
くそう。
店の外に出るのか。出たくないんだ、でもこの人には逆らえない。
何故なら僕はカゲノー男爵家のシド・カゲノーだから。
「うん」
「どうかしましたか?」
「何でもないですよ、ええ....何でもないです」
なんということでしょう。
店から一歩外に出ただけで殺意を叩きつけられました。
カフェテラスにはケルベロスが陣取り、噴水の前にゼータが座り込み、変装したベータとイプシロンが屋台で買い物をしながらこちらに視線が固定されています。
そして、高台からはツインテールの小悪魔がそれはもう真っ黒な笑顔で見下ろしています。
いつの間に包囲網なんて作ってたのかな?
もう君達のそういう所には恐怖しか感じないよ。
ストーカー達から逃げてとある場所に逃げ込んだ。
「こんなのもあるんですね」
逃げ込んだのはアクセサリーショップだ。
ここの店長とはある事情で良くして貰っている。
アイリスはやはり世間知らずのようだ。自分が住んでいる街なのに何があるとか知らなすぎる。
「ここにはクレアさんと来るんですか?」
「はい、よく来ますよ」
正確には来るのではなく、引きずり込まれているなんだが。
どれが似合うか選ばされてプレゼントするように遠回しに要求してくる姉さんのせいで僕の軍資金がどんどん減っている。
店長も昔姉に振り回されていたらしく、僕を憐れんでくれて割引してくれる。
そしてその店長はアイリス王女にどれが似合うか選んでいる。
庶民的な店だから王族が付けるものとは比べ物にならないが対応しないなんて選択肢はない。
店の存続に関わるからな。
「
「
今まで割引で助かっているが、これは困る。
見ずに言ってしまったがこの人はセンスがある。姉さんの時にも選ぶのを手伝ってくれたから間違いないはず。
「いいと思いますよ」
やっぱりこの人は凄い。
華美なデザインではなくシンプルなデザインのブレスレット。しかも僕がプレゼントすることを見越して値段も高くもなく安くもない僕でも問題なく買えるお値段だ。
問題があるとすれば今まで姉さんにプレゼントしたものより値段がほんの少し高いところだ。
姉さんのことだからどんな事を言うか分からない。
店長もそれは分かってくれているようで力強く頷いている。
助かる。
「我儘に付き合って貰ってありがとうございました」
「いえいえ、お気になさらず」
僕の事は気にしなくていい、でも妹のことはもう少し気にかけた方がいい。
本物の悪魔みたいになってる。溢れてる魔力で角が生えてるようにも見える。
「その...」
「何でしょう?」
「もしよろしければ」
「はい」
「またお願いしてもよろしいでしょうか?」
その瞬間周りから背筋が凍るような殺意が僕に向かって向けられた。
断れってことでしょ、でも無理なんだよ。
僕はカゲノー男爵家のシド・カゲノーだから王家に逆らうのは実家を考えるとできないんだよ。
「いつでもお申し付けください。、飛んでいきますので」
「そ、そんな無理はしないでください!空いている時で構いませんから!」
じゃあ最初から言うななんて言わない。
今まで散々地雷を踏んだからもう分かっている。
「最後にもう一度だけ...その」
はいはい分かってるよ、分かってますよ。
「またねアイリスお姉ちゃん」
「はい!またお願いします!!」
走り去っていくアイリスを見送る。
さてと小悪魔から悪魔に進化したアレクシアを諫めないと。
「まずは武器を収めよう。知性があるのなら暴力よりも先に対話をするべきだ。暴力は最終手段だよ」
「対話をするって部分は同感よ、でも相手が100%悪い時は先に暴力で会話することにしてるの」
ゴリラかよ。
「今とても失礼な事考えなかった?」
「滅相もない...刺さってる刺さってる」
「刺してんのよ」
服に剣が刺さってる。
「姉様まで誑かすなんて本当に女たらしね」
「誑かすなんてとんでもない」
「はぁ?」
「....僕悪くない」
本当に僕は悪くないんだよ。
なんでこうなったか僕が聞きたいぐらいだ。
「まぁ、いいわ」
剣を収めるってことは許してくれるのか?
「覚悟を決めてくれたようだし、それで勘弁してあげる」
覚悟?
どういうこと?
「何の話?」
「女としてもここまで根回しされたら断る気なんて失せるわ、土下座して泣いて喜びなさいポチ。王族の仲間いりよ」
「何言ってんの?」
「ちなみに側室も愛人も認めないわ、作ったらポチを部屋に閉じ込めるから」
「だから何の話?」
「覚悟を決めたんでしょう?」
「覚悟って何?」
話が全然嚙み合わない。
王族の仲間入りとか絶対に嫌だ。ステータスに王族がなかったらアレクシアは普通に結婚を考えられるんだが。
「だって言ってじゃない『お義姉ちゃん』って」
......何だろう、アレクシアが言っている言葉から凄く不穏な空気を感じる。
「もうすっとぼけなるんて酷い男、ね!」
手のひらが掴まれると思い切り爪が立てられる。
「僕はお姉ちゃんって言ったんだよ」
「分かってるわよ、『お義姉ちゃん』でしょう?」
「多分僕のと君のでは意味が違うと思う」
「違わないわよ、『お義姉ちゃん』でしょう?」
意味が全然違う。
多分アレクシアの言うお姉ちゃんの前には義が付いている。
「『お義姉ちゃん』って呼んだってことは覚悟を決めたってことでしょう?大丈夫ちゃんと分かってるわよ」
「違う、意味が全然違う」
「はぁ?何が違うのよ、言ってみなさいよ」
「言うから、剣下げて欲しい」
「剣は下げない、早く言え」
もう脅迫じゃん。
まさかアレクシアにもDVの気質があったとは。
「言えや」
「....義理の姉という意味で呼んだ訳ではない」
「うふ、うふふふふふふふ.....躾が必要なようね」
手を振りほどき全力で逃げる。
「待ちなさいよ。今止まるのなら首輪だけで勘弁してあげるわよ。止まらないんなら色々増やすことになるわよ」
姉さんとアレクシアは意外と上手くいくかもしれない。
姉さんも昔僕に首輪付けるとか色々言ってたからな。
「待ちなさ~~~い」
真顔怖い。
「完成したのね?」
「ん、できた」
イータの研究室には珍しくアルファが訪れていた。
2人が見下ろすテーブルの上には毒々しい色をした錠剤が置かれている。
「効果は実証済み?」
「問題、なし、解毒剤も問題なし」
「それは良かったわ」
イヤらしい笑顔を浮かべながら薬を使った時の事を考える。
それはもう素晴らしい未来だ。
「全く彼も酷いわね」
「許すまじ」
「相手が王族だとホイホイ付いて行くんだから」
「マスター最低、女たらし、スケコマシ、ジゴロ」
「最後の2つは意味が重複してるわよ」
「不覚」
「とにかく準備はしっかりしておいてね」
「了解」
我慢の限界を迎えた。
自分達には散々怖いだの、何かされそうだと言って断ったのに相手が王族だと分かるとあっさり受け入れたのが実に気に入らない。
「マスター有罪、許すまじ」
「そうね、私達は何も悪くない。悪いのは彼」
「これは正当な罰」
「ふふふ、そうねこれは罰。女の心を踏みにじった男には相応しい罰」
「貴方が悪いのよシャドウ。お姉ちゃんって呼んでくれないのに他の女は呼んで」
「もう実力行使するしかないじゃない」
オマケ
シドに逃げ切られたアレクシアはアイリスの様子を確かめるために王城へ向かった。
「ただいま戻りました、姉様」
「ひゃい!お、おかえりなさい..アレクシア」
突然の妹の襲来に体をびくりと震わせる。
黙って妹の恋人と出かけた事に罪悪感を抱いているのか体を小さくしている。
(ふーん、私にはプレゼントなんてしないくせに、姉様にはあげるなんていい度胸ね)
アイリスの手首にはシンプルなデザインのブレスレットが付けられている。
宝石や金があしらわれたものではなく庶民的なもの、しかも大事そうに撫でている。
アレクシアはキレた。
ギリギリ買うことのできるものを要求して素寒貧になったところで、金貨を投げつけ犬のように扱って屈辱を味合わせてやると思うほどにだ。
だが姉の前なので決してそれを顔には出さない。
「良かったです」
「な、何がでしょう?」
「姉様にもいい人が見つかって」
「な」
アイリスの首から上が真っ赤に染まる。
腹芸の得意でないアイリスは感情を隠すのが下手である、そして噓をつくのも下手である。
盛大に自爆してしまう。
「にゃ、にゃにを言っているんですか!彼とは別にそんなんじゃありません!!」
「そうですか」
「それに私と彼では身分が違いすぎますし」
「姉様」
「年下に手を出すなんて.....はしたない!!それに妹の恋人に...」
「姉様」
「何ですか!!」
「私は別に誰とは言っていませんよ」
語るに落ちるとはまさにこの事である。
そしてミドガル王家の姉妹は揃ってチョロかった。
「ちが、違う、違うんです!!」
混乱しているのか眼球が色んな方向に動き回り、腕をジタバタとさせている。
「別にシドさんとはそういうんじゃ....いや違うんです!!本当に違うんです!!別に何とも思ってません!友人くらいにしか思ってません!ちょっとくらい分けて欲しいとか共有できないとかそんなこと全く考えてませんから!!」
盛大に自爆ではあるが本人はそれに全く気付いていないのでペラペラと話していく。
(あのスケコマシが!!)
以前のアイリスはシドのことを異性として気にかかる程度に思っているとアレクシアは考えていた、だがたった一日で惚れる一歩手前まで堕ちてしまっている。
自分のチョロさを棚に上げ、言い訳にすらなっていない惚気を吐き続ける姉のチョロさに頭を痛めている。
それと同時に
(今度会ったらた~~~~~~っぷり躾なきゃね♡)
仄暗い欲望も湧き出ていた。
to be continued