陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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あくまでギャグに重きを置いていますのでご容赦ください。

章の表記変更しました。


外伝2 アルファベット表記で人類みな○○○
厄介女にご注意を!①


拝啓、前世のご両親。

もう何度目かも分かりませんし届かないですが、手紙を書かせていただきました。

最近僕はバイトを始めました。

今までなら盗賊狩りで日銭を稼いでいましたが、最近の盗賊は考える頭がないのかあればあるだけ湯水の様に使うので全く稼げません。

そんな時に友人2人に誘われてバイトを始めることになりました。

条件も非常に良く週の出勤日数も調整が可能だったのでついつい誘いに乗っていました。

うまい話には裏があるというやつでした。

あ、犯罪とかではないですよ?

イケないお薬を売るとか人攫いとか強盗とかではないですよ、ただの接客業です。

でも僕は忘れたんです。

 

友人2人がとんでもない馬鹿であった事を。

 

女性を見かければナンパする金髪ノッポと公序良俗に反することを平気でやって男女両方から顰蹙を買ってボコボコにされるジャガイモ頭が友人である事を忘れていたんです。

あの2人が紹介してきたバイトなんだから警戒すべきでした。

で、それが身内にバレて身内が客としてバイト先に来ました。

滅茶苦茶責められました。

 

「何でこんな所で働いてるんですか?」

「いや、ただのバイトだけど」

「女漁りですか?」

「違うから」

 

心配してるかもしれませんが、女性用風俗ではないです。

働くのって大変なんですね。

接客業だと面倒な客やみかじめ料を要求してくる客がいて大変です。

 

ホストクラブで働くのって大変ですね。

 

 

 

 

 

 

 

「はぁ~~~~~」

 

溜息が口から漏れる。

ベッドでパンイチで寝転がりながら、溜息つくなんてダメ人間丸出しだが溜息をこぼさずにはいられない。

それもこれも全て昨晩の盗賊がショボかったのが悪いんだ。

金はない食料もない、なのに内輪揉めした形跡はあった。僕の財布代わりとしての最低限の知性も持ち合わせていないとは狩り場を変えたほうがいいな。

 

「お~~~い、シドいるんだろ?開けてくれ~~」

 

部屋の扉がドンドンと荒々しくノックされる。

この声はヒョロだな、借金持ちと関わったら金運が下がりそうだな。

 

「シドく~~~ん、開けて下さ~~い」

 

ジャガもいるのか。

借金持ちが揃って何しに来たんだ?僕の金運でも下げに来たのか?

ゼータにでも頼んで厄除けと金運が上がるアイテムでも探して貰おうかな。

 

「頼むシド!開けてくれ!」

「お願いします!開けて下さい!!」

 

ドアノブがガチャガチャとひねられ、扉から軋む音が鳴る。

 

「お願いだから~~~開けて下さい~~~!!」

「僕達のクビがかかってるんです~~~!!」

 

クビ?何の話?

これ以上やられると扉が壊されるから対応しておくか。

 

「おお!!シド!ようやく出てきたか....」

「シド君!僕達と一緒に.....」

「五月蠅い」

 

少し圧をかけるとシンと静かになる。

 

「で?騒ぎ立てて何の話?」

「.....俺達と一緒にバイトしないか?」

「シド君ならきっと稼げますよ。だから....」

「本当は?」

「クビが嫌なら、弁済するか働ける奴連れてこいって言われました」

「シド君の事を話したら、連れてこれたら弁済は無しにしてやるって言われました。助けて下さい」

 

人の事を勝手に話して、いい迷惑だ。

弁済って一体どこで働いてるんだ?『ヤ』の付く人の事務所で働いてるのか?

自業自得だろうに、巻き込まないで欲しい。

 

「心配するのも分かる、だがしかし決して怪しい店ではないぞ!」

「なにせ店は大通りにありますからね!決して!決して僕達がお金を借りた危ない人達の店じゃないですよ!」

「それに給料もいいぞ!なんと週に金貨は2枚は稼げるぞ....頑張れば」

「シド君ならきっと沢山稼げますよ!!.....多分」

 

最後にボソッと呟いたのはよく聞こえなかったから無視しておこう。

もうこの2人と絶縁すべきかな、面白いから一緒にいたけど本気で縁切ろうかな?

話し方がマルチに嵌った人みたいだし。

 

「待ってお願い!」

「弁済は無理なんです!!」

 

部屋の中に戻ろうとすれば2人して足にしがみついてくる、気持ち悪い。

だが週に金貨2枚は凄いし、立地も大通りということは『ヤ』の付く人ととは縁がなさそうだな。

大通りで『ヤ』の付く人が店を構えるのはないだろうし。

 

「興味あるのか!?」

「多少は」

「これで僕達の弁済も消えますね!!」

「君達の弁済は知らない.それでどこで働いてるの?」

「ああ、俺達のバイト先なんだが.....」

 

 

「シド君、6番テーブル片づけといて」

「はい」

 

もっと考えてバイト先を決めるべきだった。

 

「おいシド、シャキッとしろよ」

「弁済問題起こしたヒョロは大丈夫なの?」

「......それは言わない約束だろ」

 

ヒョロのバイト先がホストクラブだとは思わなかった。

こんなのでも需要あるのかと思ったらただのボーイだし、しかもバイト先で備品破損してその代わりに僕を差し出すのもなかなかだと思う。

週金貨2枚につられた僕も僕だが。

 

「ヒョロ君何してるのかしら?空いてるテーブルの片付けしないとダメでしょう?」

「すいませっしたーーーー!」

 

店長にサボりを注意されたヒョロは全速力で逃げる。

まあ、話しかけてきたのがガチムチのオネェなら逃げても仕方ない。

 

「店長、お疲れ様です」

「はい、お疲れ様。そんな堅苦しく呼ばなくても『テンさん』って呼んでくれていいのに」

「ハハハハ、ソウデスネ」

 

前世含めてオネェと会ったのは初めてだったから衝撃が強い。名前も『テン・チョー』という親になんでこの名前を付けたのか聞きたくなるレベル。

しかも奥さんがいるというのが驚きだ、奥さんは『マネ・ジャー』。この店のマネージャー、名は体を表すというがピッタリすぎる。

最初聞いた時はビックリして脳の処理が追い付かなかった。

奥さんは普通の人、おっとりしてて無害そうな人だった。

 

「ミノル君が来てくれて本当に良かったわ!店の中も前より綺麗になってお客様も増えて、評判も良くなったし、皆の意識も向上したしいいこと尽くしよ」

「ソウデスカ」

「まあ、あの2人が弁済の代わりに貴方を連れてきたのには倫理観を疑ったけど」

「ホント、ソウデスヨネ」

「大丈夫?イジメられたりしてない?」

「ダイジョウブデス」

「指名が付かないからって落ち込んだりしたらダメよ?貴方にもきっと指名が付くから」

「ソウダトイイデスネ」

 

ホストクラブ『ロイヤル』では雑事全般行うボーイと、接客担当のキャストで分かれている。

そして僕はというとボーイ兼キャスト。

テンさんが僕には輝く物があるとか、マネさんが一部の女性に刺さりそうとか言ったせいで経営陣に両方させられる事になった。

キャストの一覧表の一番下に僕の源氏名『ミノル』と書かれているが働き始めて2週間経つが未だに指名はない。

僕の名前が書かれている所には前まで別の男の名前が書かれていたらしいが、そいつが『アフターサービス』を終えてホテルから出た時に他に『アフターサービス』をしていた女性に見つかって刺されたのも僕が指名されていない原因かもしれない。

『アフターサービス』自体はテンさんマジギレしてたからな。

僕が『アフターサービス』なんてした日には死体の山ができるからしないけどね。

 

 

働き始めてもう直ぐ一ヶ月になるが未だに指名はなく、ボーイとして仕事をこなしていく。

 

「なんで俺達とシドで給料が違うんだ...」

「僕達の方が先に働いてたのに...」

 

店が盛況なのもあるし、店長のテンさんがお金持ちのお陰で基本給が高い。

更にテンさんの経営方針でボーイでも成果分の上乗せがある。

そしてこの2人は基本給以下、上乗せも全く無いというわけではないが雀の涙ほど。

君らの給料が低いのはサボってるのもあるし、お客さんにちょっかいかけてるし、備品は壊すし、低いのは仕方ないと思う。

僕だって上乗せ分ちゃんと頑張ってる、与えられた仕事はしっかりとこなして、他の人から恨まれない様に気を配って、やりたがらない仕事を代わりにしたり大変だ。

その分が報酬で出ているのは気分がいい、働くのって楽しい。

 

「ミノル君!」

「テンさん、どうかしました?」

 

何かミスでもしたかな?

休憩に入る前に、仕事は全部片付けて忘れている事がないか確認したはずなんだけど。

 

「今すぐ着替えて頂戴!!」

「はぁ」

「指名が来たわよ!!」

「え」

 

指名来たの?

ミノルなんて地味な名前だし、一番下に書かれてるから指名なんて無いと思ってたのに来たの?

直ぐに支給されていたキャスト用の衣装に着替える。

 

「初指名よ!頑張って!!」

「はい!」

 

こうやって応援されると楽しくなってくる。

早歩きで店の入口に向かう。

 

「指名ありがとうございます、ミノル.....で...す」

 

僕を指名してくれた女性は地味な女性だった。

丸眼鏡に髪の毛は頭の上で団子されている、地味な姿だが僕からすれば冷汗が止まらない。

 

「初めましてミノルさん、リニュー(ニュー)です」

「ハ、ハイ。ハジメマシテ」

「初めての指名なんですか?」

「ソウナンデスヨ」

「それは良かったです♪」

「ホール席と個室がありますが、どちらに...」

「個室でお願いします」

「....ハイ、ワカリマシタ」

 

そうなるよね、分かってたよ。

一切笑っていない笑顔は止めてくれ、怒ってるのはもう分かってるから。

 

「では席の方にご案内....」

「お願いします」

 

手が掴まれ、爪が突き刺さる。

 

「....いたします」

 

初めての指名なんてもうどうでもいい、僕が考えるべきはどうすれば明日の朝を迎えれられるかだけだ。

 

 

ニューは怒っていた。

日課のストーキングもとい、シャドウの安全確保に務めていたある日、友人2人と共に派手な店に入っていくのを目撃してしまった。

入っていたのはなんとホストクラブ。

一瞬宇宙猫の様な表情になった後、明晰な頭脳が記憶していた情報から状況を確認する。

店主は30代前半の男性、オネェではあるが既婚者。シャドウの貞操の安全は確保。

店主と教団との関係性は無し、従業員にも教団との関係性は無し。潜入捜査の可能性は無し。

給金は高いが、ここで働く必要は無い。貯蓄はあるはずだし言ってくれれば幾らでも用意できる。

では一体何故こんな所で働くのか?

これまでの経験とホストという接客業から導き出された答えは1つ。

 

女漁り。

 

人によるがホストには『アフターサービス』を行っている者もいると聞く。

つまり外で女を作ろうとしている訳ですか。

英雄色を好むと言いますがまだ足りないと?

ここでニューは乗り込むのではなく情報収集を行った。

その結果キャストとして働いているが未だに指名はない事が分かった。

その瞬間、怒りは消え背筋にゾクゾクとした刺激が走った。

今なら初指名を取れる、あの七陰に先んじて初指名を取る事ができる。

外出の際に定番となっている丸眼鏡に団子頭のスタイルでホストクラブに入りシドを....ミノルを指名する事に成功した、しかも初指名。

優越感に浸りながらその時を待ち続け、遂にその時が来た。

 

「指名ありがとうございます、ミノル.....で...す」

 

その瞬間確信した、これは女漁りであると。

消え入るような挨拶、合わない視線、片言、全てが女漁りである事を証明している。

というか女漁り以外あるわけがない。

 

「ホール席と個室がありますが、どちらに...」

 

都合よく個室まである、これを使わない手はない。

 

「個室でお願いします」

 

案内しようと背を向けたシャドウの手を掴み爪を立てる。

逃げることはできないだろうが、逃げれば許さないという意思表示はしておくべきだ。

個室の前まで来るとシャドウが扉を開け、先に部屋に入るその瞬間見えない様に笑みを浮かべる。

サディスティックな本性を剝き出しにした悪魔の様な笑みを。

 

 

個室に入ったシド....ミノルは緊張の余り完全に固まってしまっていた。

U字型になっているソファの入口側をニューに抑えられ、テーブルを挟んで座ってしまったのも失敗である。

言い訳して部屋から出ようとしても、横切る必要がある。

出ようとすれば確実に捕まる。鳥籠囚われたという状況はいくら狂人の彼であっても心理的な負荷になった。

 

「飲み物の方お願いしてもよろしいですか?」

「ア、ハイ」

 

追い詰められているが、用意されていたワインを開けグラスに注ぎ手渡しで渡す。

グラスを掴むと口をつけグイっと勢い良く飲み込む。

 

「おかわりおいれしま...」

「結構です」

「....はい」

「確認しますけど、初指名なんですよね?」

「あ、はい。そうです」

「なら、良かったです」

 

今まで指名されていなかった事にほっと一息をつく。

もし指名されていたら、明日の朝に身元不明の遺体が路地裏で転がっている可能性もあった。

金欲しさで他人の命を奪わずに済み、ほっとしている所にニューが切り込む。

 

「私こういう所に来るのが初めてでどうしたらいいのかわからなくって」

「それじゃ何か...」

「恋愛相談してもいいですか?」

 

黒い笑みを浮かべたニューとは違い、ミノルの表情は青から白、白から土気色に変わっていく。

 

「いや、ちょっとそれは」

「いいですよね?」

「でも...」

「い・い・で・す・よ・ね?」

「はい」

 

笑みに込められた圧力に屈し、身を縮める。

 

「私好きな人がいて、お付き合いというかお突きあい(・・・・・)してて」

「...」

「私以外にも相手が沢山いてちょ~~っとだけムカッとしてるんですが、私は後から入った新参者ですからその辺りは飲み込んで我慢してるんです」

「...」

「とにかくいい人なんで嫌いにはなれないんですけど、どうしても許せないのがあるんです」

「...」

「聞いてます?」

「聞いてます、はい、すいません」

「じゃあ続けますね」

 

離れていたはずなのにいつの間にか肩が触れ合うほどに近づいている。

 

「本人に自覚があるのかどうか分かりませんが、色んな所で女を引っ掛けてきてるんです。本当にそれだけは許せなくて、もう監禁してやりたいくらいです。

何なんですかねあの人。自覚してやってるんなら即監禁するんですけど、自覚がないんですよ。

あれだけ誑かしておきながら自覚がないとか、舐めてますよね。

意味が分からないのが、私が我慢の限界に差し掛かるとさっと現れて埋め合わせしようとするんですよ。何なんですか、こっちが許せなくなる瞬間に埋め合わせするなんて、許しちゃうじゃないですか」

 

そしていつのまにか掴まれていた手にニューの爪が深く深く刺さっている。

 

「それでですね、日課のストーキ....いえ、観察....追跡....他の女を引掛けないように遠くから見守ってたんですよ。そしたらなんと!

ホストクラブに入っていったんですよ」

「...」

「あれだけ女を侍らせて、他所でも女を引っ掛けてきてるのにまだ足りないと?ふざけてますよね?」

「...」

「どう思います?」

「そ、そんな最低な男がいるなんて信じられません!僕が一発殴ってやりますよ!」

 

席から立ち上がって拳を構え、精一杯の強がりを見せる。

 

「へー、そうなんですか」

 

だが返ってきたのは余りにも素っ気ない返事。

 

「...」

「それ本気で言ってます?」

「すいませんでした」

 

土下座が炸裂した。

土下座検定一級は難くない美しい土下座である。

 

「...ですか」

「ごめん聞こえなかった」

 

顔を上げると今にも襲い掛かりそうな目付きで睨まれる。

 

「何でこんな所で働いてるんですか?」

「いや、ただのバイトだけど」

「女漁りですか?」

「違うから」

「女漁りですよね?」

「違います」

「女漁り以外何があるって言うんですか?」

「バイトです」

「本気で言ってます?」

「バイトです」

「なら私が別のバイト紹介しますので、今すぐに辞めてください」

「契約期間もあるし...」

「給料は今と同じ額をお支払いします」

「仕事内容は?」

「まず私をおはようのキスで起こしてから、私の身支度をして食事を共にしてお風呂を一緒に入って夜はベッドで私の心と体を温める簡単なお仕事です。それ以外は自由時間ですので破格の条件だと思いませんか?」

「勘弁してください」

「何が問題なんですか?」

「何もかもだよ」

 

金額だけ見れば高待遇だが、仕事内容がよろしくない。

もしそんなバイトを認めたら戦争が始まる、それも王国の半分は更地になるレベルの戦争だ。

 

「本当にバイトなんだ、誓って疚しい事はしていない」

「アフターサービスは?」

「初指名だって言ったよね?」

「....そうでしたね」

「...」

「まあ、いいでしょう」

 

何とか場を収める事に成功しほっと一息つく。

 

「何て言うと思いましたか?全部話して貰いますから」

「え、それは...」

「なんですか?文句でもあるんですか?全て話して下さるのであればこの一件は私の胸の内で留めておきます」

「...」

「少しでも誤魔化したり、隠したりしようとすれば全て報告させていただきます」

「...」

「幸いにも時間はたっぷりありますから、お話しましょうね?」

「...」

「ね?」

「はい」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ホストクラブからの帰り道、ニューはご機嫌であった。

鼻歌を歌い、自然とスキップしてしまう程にご機嫌だった。

本来ニューの本質はS、シャドウと体を重ねてからはMよりになっているが獲物を追い詰めてゆっくりと痛めつけるのが本来のニューである。

いつも優位を取られているが、バイトの事をネタに脅せば優位を奪うことは難しくない。

 

(とぼけられても面倒ですし、今夜にでも行きましょうか)

 

覆いかぶさられて、抵抗できず貪られるのも悪くはない。

しかし、優位を奪われて必死に果てない様に我慢する主を見下ろすのもニューにとっては悪くない。

自分の足腰が持つかどうかは問題ではなく、反抗できずに快感に耐えているのを見下ろすのが重要なのだ。

 

「ぐふ....ふふふふふふふ」

 

口角が吊り上がり、変態の様な声を上げている。

何より嬉しいのが初指名を取れたことだ。

残念ながら肉体的な初物を奪うことは出来なかったが、初指名を奪うことはできた。

七陰も同僚すら出し抜いて、奪うことができたのだ、こんな幸運があるだろうか?

断言できる、絶対にない。

そんな変態的な表情になっているニューに2つの影が近づく。

 

「随分とご機嫌だね」

「何があったのか教えて欲しいものだね」

 

声をかけられたその瞬間、ニューの体はまるで彫像にでもなったかのように固まった。

聞き覚えのある声、それも毎日の様に聞いている仲間の声。

振り替えずに固まっているとしびれを切らしたのか肩を掴み無理矢理振り向かされる。

 

「まさか有給を取って行くのがあんな所だとは思わなかったぞ、それに...」

「どうしてあの方がいる事を黙っていたのか教えて貰おうかな」

 

ガッシリと掴まれた肩から骨の軋む音が鳴る。

 

『教えてくれるよな、この抜け駆け女(裏切り者)

 

過ぎた欲望と恵まれた幸運は同量の不運を持って打ち消された。

仲間のエルフ2人に一部始終をバッチリと見られるという不運が訪れた。

 

『答えてもらうぞ、この抜け駆け女(裏切り者)

 

 

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