陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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アイスボーン買った
やっぱりMRは一味違う

しょっぱなからトビカガチ亜種という麻痺と猛毒ハメと戦ったり、動きまくりのベリオロスと戦う事になるとは思わなかった。あとリオレウス君が全然降りてきてくれなくて台パンしそうになった。
お勧め集会所にいたMR、HR共にMAXの先輩達が手を差し伸べてくれたお陰でスムーズに進んだ。
勿論皆さん、黒龍防具。スキル関係で腕か足の防具だけ違う人もいたけどワイルズでは決して見れない火力バカ盛り装備に絶頂。
そして伝説に挑む......

なんじゃあれ?バケモンやないか


という訳でホスト編の続きです。


厄介女にご注意を!②

ホストクラブ『ロイヤル』

 

シド・カゲノーことミノルが働いているホストクラブである。

教育が行き届いているお陰でキャストの質も良く、店内も清潔に保たれているのでチヤホヤされたい女性や刺激の足りない女性が通い有名になりつつある。

そして今日2人のエルフが来店した。

 

「いらっしゃいませ、よう..こ..そ..ロイ..ヤルへ」

 

受付のボーイは入ってきた2人組を見て固まってしまった。

ダークエルフとエルフ、エルフも珍しいが見た目がすさまじかった。

ダークエルフはボーイッシュで、顔に入った刺青とオッドアイが妖艶さを出している。

そしてもう一人のエルフはイケメン、それ以外の表現ではないほどのイケメン。胸の膨らみから女性であることは分かるがもし胸がなかったら女とは思えないほどにイケメンだった。

余りのイケメン具合に待合席に座っていた女性達はざわめき立つ。

どう考えても指名するんじゃなくて指名される側だろうというツッコミが入ってもおかしくないイケメン具合。

だからこそ皆が気になるのは、あれほどのイケメンが指名するのは一体どんな男なのか?という事だ。

2人のイケメン具合が霞む程のイケメンなのか?

それとも庇護欲そそられる可愛い系か?

渋みのあるイケオジか?

そんな疑問が次々と湧いてくる。

 

「ご指名はありますか?なければこちらでお勧めしますがどうなさいますか?」

 

イケメン具合に怯んでいた受付は気合いを入れ直し職務を遂行する。

 

「それなら『ミノル』君はいるかな?」

「ミノル君でしたら直ぐにご案内可能ですが、そちらの方はお連れ様でしょうか?」

「ああ、2人で指名する事は可能かい?」

「可能ですが、料金の方が...」

「これでいいかい?」

 

カウンターの上に革袋が置かれると、革袋の中からはジャラジャラと金属の擦れる音が鳴る。

 

「お、お預かりいたします」

 

紐を解いて、袋の中を確認すると大量の金貨が輝いている。

 

「ありがとうございます、席の方ですが...」

『個室で』

「か、かしこまりました。お呼びしますので少々お待ちください」

 

ボーイは受付を別の者と交代し、店の中に消えていく。

そして2分もしないうちにお目当てのキャストが現れる。

 

「お待たせしました、『ミノル』で....す」

 

指名があったと聞いて、急いで着替えて受付まできた『ミノル』は自分を指名した相手を見て顔色を悪くする。顔色の悪い『ミノル』とは対照的にエルフ2人は満面の笑みである。

 

「初めましてカレン(カイ)です」

「初めましてオリガ(オメガ)です」

 

ミノルが挨拶を受けて固まっている間に2人は左右から挟み込み、腕を掴み逃げ道を塞ぐ。

 

「よろしくお願いします」

「私もよろしく頼む」

「オ...オネガイ..シ..マス」

 


 

ニューの時と同じく個室という逃げ場のない空間で身を縮こまらせているミノル(シド)

少し違うのはサンドイッチにされ、左右から凄まじいプレッシャーを浴びせられている。

 

「ドリンク....お入れします」

「ぜひ頼む」

「私も頼む」

「はい」

 

サンドイッチされている状況でも、職務をこなしていく。

瓶の栓を開けグラスにワインを注ぎ、2人の前にグラスを置く。

グイっと一気飲み、風味も何もかも無視して流し込んだ。

 

「おかわりを...」

『結構だ』

「はい」

 

両側から豊かな胸が押し付けられ柔らかい感触が伝わってくる。

これが夜の自室ならやんわり断りながらも、結局押し切られてヤってしまうのがいつもの流れなのだが今日に限ってはそうもいかずあらゆる意味で縮こまってしまっていた。

その様子はまるで蛇に睨まれた蛙のよう。

 

「実は友人からここを教えて貰ってね」

「そう、友人からいい人がいると教えて貰ってね」

「そ、それは嬉しいなぁ」

 

頑張って笑顔を作っているが、内心では

 

(胸の内で留めてくれるって言ったのにぃ!!)

 

黙っていてくれなかったニューに悪態をついていた。

この2人が黙っている保証など何処にもないが、ミノルの思考はニューの時と同じく黙っていてもらう方向に傾いていた。

黙っている保証などどこにもないし、七陰のパワハラの前では2人は無力でしかないが。

 

「友人から色々と面白い事を聞いていてね」

「友人....抜け駆けしたクソ女だが情報の信頼性は高いからね」

「クソ女....」

 

ミノル、新たな発見をする。

シャドウガーデンでは、抜け駆けすればクソ女扱いをされるという割とどうでもいい発見をした。

そして身内の異常性を改めて実感した。

そんな身内の異常性を実感しているミノルを無視して、2人は喋り続ける。

 

「なんでも私達の敬愛するお方がいかがわしいお店で働いて女を漁っているとか」

「それを聞いた時は怒りが湧いてきたよ、10人近く抱いておいてまだ足りないのかと思ったよ。私達は新参者だからとやかく言ったりはしないんだが」

 

ここで言いがかりだの謝罪をさせて欲しいと今までのミノルなら言っていただろう。

しかし、彼は学習した。

話を遮ったり、言い終わらないうちに言い訳をすればより疑いが深まるだけであり、黙っている方がいい事を学んだ。

黙っていたらそれはそれで

 

「だが確信したよ」

 

「やっぱり女漁りだったんだなって」

 

疑心が確信に変わってしまう。

 

「違います、弁明をさせて下さい」

「ほう、弁明ですか?」

「私達が納得できるような弁明を期待していますね」

 

果たして弁明の効果はあるのだろうか?

 

「まず僕が自分からここに働きに来たわけではくて」

『うんうん』

「騙される形で連れてこられて働いてる訳でして、雇用契約もあるし契約期間中は働いてる訳でして僕の意思とかじゃないし、女漁りもしてません」

『うんうん』

「判定は?」

『有罪、死刑』

「なんでぇ」

 

弁明失敗。

というか弁明にすらなっていない。

 

「働くかどうかの決定はの選択肢はあったのですよね」

「にも関わらず働いているのは『女漁りをしています』と言っているようなものですよ」

『有罪、死刑』

「でも指名は2回目だよ?」

『有罪、死刑』

「ニューに指名されるまで見向きもされなかったし、指名されても見向きもされないよ」

「私達が指名しているのに他の客の名前を出すとはいい度胸ですね」

「逝っておきますか?」

「ごめんなさい」

 

これに関してはミノルが100%悪い。

接客中に別の指名客の名前を出すのは御法度であり、太客がつかなくなる可能性が充分にある危険な行為である。

 

「許して欲しいですか?」

「許して欲しいです」

「ではそうですね.....抜け駆け女にしていないサービスをしてください」

「抜け駆け女.....」

「何か言いましたか?」

「何でもないです。ニューにしてないサービスね」

 

う~んう~んと唸りながら考える。

していないサービスと言われてもただひたすらに詰められただけで碌にサービスもしていない。

 

「膝枕とかはどう?」

「膝枕!!」

「場所が気に入りませんが、最近して貰えてないですからありがたいですね」

 

膝枕と聞いて興奮したのかミノルの返事も待たずにソファに寝ころび、膝に頭を乗せる。

 

「はあ~~~久しぶりの膝枕~~~~~~」

「頭も撫でてくださいね、でないと膝枕と認めませんから」

「かしこまりました」

 


 

そしてここで終わらないのがシド・カゲノーの運の悪さである。

満足した2人の見送りをして、胃の痛みとおさらばできる!と思っていたがそうは行かなかった。

 

「おっほ!すっげぇ美女」

 

みたまんまのチンピラが受付で陣取っていた。

 

(そういえば『みかじめ料をよこせ!』とか言ってるチンピラがいるって言ってたけどこいつか)

 

後は見送りだけで終わるというのに、チンピラに遭遇するという運の悪さ。

チンピラが2人に対して劣情の籠った視線を向けているのにはイラっとしたが、それ以上に

 

(これ、ヤバくね?)

 

と思い、チラリと後ろ見てみると

 

(あ.....こいつ死ぬわ)

 

()る気満々の目になっていた。

あと何か一つでも不快にさせるような事を言ったり、触れようとすればこのチンピラは肉塊にされ店内は華やかな空気から一変、凄惨な惨殺事件の発生現場に早変わり。

 

(ふざけんなよ.....僕がどんな気持ちで働いてると思ってるんだ)

 

金欠の時に見つけた高時給バイト(友人2人に弁償代金の変わりにされた)。

仕事内容もそれなりにキツイ(ホストで働いているのがバレて滅茶苦茶詰められた)。

今日もキツかった(さらにバレてさらに詰められた)。

 

(なんか.....ムカついてきたな)

 

チンピラに対して滅多にない本気の怒りが湧いてきた。

ただの八つ当たりでしかない。

特にバレて詰められたのは全部自分のせいでしかない。

怒りがふつふつと腹の底から湧き上がってくる。

 

そしてあろうことかチンピラは下種な欲望を2人に向けながら触れようと手を伸ばした。

 

瞬間、シドの怒りは爆発した。

怒りの割合は2人に下種な視線を向けてあげく行動に移した事に対する怒りが4割、高時給のバイト先を自分から惨殺事件の事件現場にして給料を奪おうとしている事に対する怒りが6割。

最早モブがどうとか目立つのを避けるとかは頭には全くなかった。

 

「お客様」

「は?」

 

チンピラに話しかけ気が抜けたその一瞬に仕掛けた。

気が緩んだ瞬間に襟首と腕を掴み背負い投げをかける。

気が緩んでいたせいで受け身すら碌に取れず背中から叩きつけられ、肺の中の空気が一気に吐き出される。

 

「お客様」

 

「他のお客様のご迷惑になりますのでご退店頂けますでしょうか?」

 


 

「クソが!!」

 

大通りから外れた裏路地に怒号が響く。

 

「あのガキ舐めやがって!!」

 

近くにあったガラクタの山に蹴りを入れる。

いかにもチンピラといった行動を取るこの男は先程シドに店から叩き出されたチンピラである。

言動の通り反社会的勢力に属する彼はシドに背負い投げを喰らったのに憤慨していた。

女にチヤホヤされているだけのナヨナヨした男に投げ飛ばされた。

身長も年齢も上だったのに投げ飛ばされたのがプライドの高い彼にとっては屈辱そのものだった。

 

「クソっ!クソクソクソっ!!クソが~~~!!」

 

何度も何度も蹴りを入れるが一向に怒りは収まらない。

 

「絶対に許さねえ....後悔させてやる」

 

勿論この男がシドの住まいを知っているわけでもない、だがやり返す方法は幾らでもある。

やり返す方法を考えながら仲間たちのいる拠点へと向かう。

 

だがシドに絡んだチンピラを許すような度量はカイとオメガにはなくチンピラを尾けて様子を窺っていた。

 

「分かってはいたがろくでもない男だな」

 

屋根から見下ろすカイはゴミでも見るかのような目で見ている。

 

「クズめ」

 

下種な視線を向けるのは半殺しでギリギリ許せるが、シドに手を出そうとしたので殺処分が決定した。ゴミに態々慈悲はかけたりしない。

 

「そろそろ準備するぞ.....オメガ?」

 

相方に呼びかけてみるけど反応がない。

頬を赤らめながらもぞもぞと身をくねらせている。

 

「オメガ?」

「シャドウ様が....」

「シャドウ様が?」

「悪漢から身を挺して....私を守って.....ああぁ」

「うわぁ」

 

庇われた事ぐらいなら性癖がシド・カゲノーになってシドに溺れている者なら当然の反応だがオメガは一味違う。

 

「年下の男に守られる.....あはぁ♡」

「うわぁ」

 

『年下の男の子が悪漢から守ってくれる』というシチュエーション。

オメガにとって重要なのは『年下の男の子』という部分である。

庇われた事を思い出してメス顔になっている。

素面の時に見るメス顔にカイはドン引きである。

 

「おいトリップしてないで帰ってきてくれ」

「あはぁ♡シャドウ様が......私を庇って.....ああ♡」

「頼むから帰ってきてくれ」

「ちっ....いい所だったのに、邪魔するなよ」

「いい所とかじゃないから、気を引き締めてくれ」

「.......お前だってメス顔になってたくせに」

 

ちなみにカイも守られた時にしっかりとメス顔になっていたりする。

お前も人の事言えないだろと突っ込まれてたじろぐ。

 

「メ、メスの顔になんてなってないしぃ!!」

「いや、あれはなってたぞ」

「なってないしぃ!!」

「素面で見るお前のメス顔は、はっきり言って気持ち悪いかったぞ。吐きそうになった」

「なってないしぃ!!」

「大声出すなよ、気づかれるぞ」

「お、お前が....メス顔とか言うからだろ

「ん?カスが仲間と合流したみたいだぞ」

 

赤面しているカイを無視してチンピラの方を確認する。

チンピラをカス呼びするのも忘れない。

 

「人数は6人か、あれで店を襲撃するつもりなのか?馬鹿なんじゃないのか?」

「メス顔になんてなってないしぃ」

「あそこの警備はそこまで甘くはなかったぞ、あの人数なら出来る事なんてないだろうに」

「メス顔になんてなってないしぃ、見間違いだしぃ」

「何をブツブツ言っている?とっととカスを共を始末するぞ」

「なってないしぃ、メス顔になんてなってないしぃ、カッコイイと思っただけだもん」

「まだ言ってるのかお前は、ほら行くぞ」

「なってないしぃ」

 


 

「あのねぇ、私達は別に正義の味方って訳じゃないのよ。分かってる?」

 

当然、教団とは何の関係もない小悪党を何の報告もなく処分したのでお説教を受けている。

 

「やった事はもうどうしようもないけど、仕事を増やさないで欲しいわ」

「ですがシャドウ様に危害を加えようとしたので」

「許すわ、幾らでも人員を動かして構わないからクソ共を殲滅してきなさい」

 

説教から一変、シャドウに危害を加えようとしていた事が分かると態度が変わる。

人員の増加の許可と、殲滅指示まで出てきた。流石はシャドウ狂いである。

 

「殲滅する前に一つ聞いておきたいのだけど」

「何でしょうか?」

「どうしてシャドウ様は危害を加えられるような状況になったのかしら?」

 

2人は何も言えなくなった。

 

「まさかとは思うけど貴方達が原因だったりする」

 

あっさり見抜かれた。

 

「ニュー、待ちなさい」

 

気づかれないように部屋から出ようとしていたニューをガンマが呼び止める。

 

「どこに行くのかしら?」

「お手洗いに....」

「今?このタイミングで?」

「お手洗いに....」

「ん?」

「大丈夫です、引っ込みました」

「あら?別に気にしないでいいのに」

「問題ありません、引っ込みましたので」

「そう、なら」

 

 

 

「話して貰うわよ、何があったのかね」

 




カイとオメガの旧名はカゲマスからの引用です
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