陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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先月辺りからPCでハーメルンにログインしようとしたら、『接続環境を確認して下さい』の表示が多発するようになった。
保存に失敗したり、打ち込んでも表示されなかったりと散々な状況。
お陰で今回の話の冒頭が飛んで書き直しになった。

という訳で3話です。


厄介女にご注意を!③

抜け駆けは許されざる行為である。

シャドウ狂いの者達にとって抜け駆けとは禁忌の行いである。

そして許されない行為には罰則が存在する。

 

「ふ~ん、そうなの。彼がホストクラブで」

「は、はい」

「それで貴方達は抜け駆けしたと?」

「抜け駆けとかそういう.....」

は?

「抜け駆けしました!すいませんでした!どうかお許し下さい!!これキツイんです!!」

 

抜け駆けした3人に与えられた罰は石抱と言われる罰である。

石抱とは江戸時代に行われた拷問の一つであり算盤(そろばん)責、石責とも言われる。

三角形の木を並べた台の上に正座させ、太ももの上に石を載せる。石の重みで角材の鋭角が足に食い込み激痛が走るようになっている。

江戸時代ではむち打ちに屈しなかった囚人に課される拷問であるが、彼女達はむち打ちを受けることもなく、即座に石抱に処された。

3人の太ももに置かれている石の数は2枚、およそ60Kgの荷重が太ももに掛かっている。

江戸時代では45Kgの石が使われるのだが、有り合わせの為に30Kgの石を使っている。

 

「それで、誰が初指名をしたの?」

 

アルファから問い詰められるも、石の重みで足に食い込む角材のせいで答える余裕ではない。

 

「答えないのなら連帯責任で全員に1枚ずつ増やすわよ」

 

1枚増えれば合計90Kgになる。

流石にそれには耐えられないのか

 

「はい言います!!ニューです!!」

「こいつが抜け駆けしました!!」

 

カイとオメガはニューを差し出した。

 

「初指名取れて最高とかほざいてましたよ!!」

「七陰も大したことないと言ってました!!」

「そんな事言ってねぇだろ!!話盛ってんじゃねぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

盛りまくった。

ニューが初指名を取った事に歓喜していたのは事実だが、それを言った訳でもない。

抜け駆け仲間に裏切られたニューの叫びは怒りに満ちている。

 

「じゃあ追加で」

「んぎぃ」

 

石が追加される事となった。

合計90Kgの重みがニューの両足にかかり角材が足に食い込む。

 

「死ぬぅ.....助けてシャドウ様.......アルファ様に殺されましゅ.....」

 

助けを求めるも、その相手は来ない。

 

「さてと」

 

抜け駆けした3馬鹿を無視して七陰.....否、六陰は会議を始める。

 

「では今回の一件に関して貴方達の意見を聞きたいわ」

「デルタは?」

散歩(・・)に行かせたわ」

「散歩?.....ああ散歩(・・)ね」

 

デルタの散歩は2種類ある。

単なる散歩とフラストレーションを発散させる為の散歩、今回は後者である。

 

「いなくて良かったね、絶対にややこしくなってたし」

「話を戻すわよ、貴方達の意見を聞かせて」

 

シド狂いの彼女達の意見は過激な物が多い、そして今回も

 

「監禁しませんか?」

 

過激だった。

ガンマが口火を切ると他の者も次々と話し出す。

 

「流石に今回は度が過ぎるかと思います、監禁の理由には充分かと」

「右に同じです、引っ掛けてくるのも許せませんが自分からそういった場所に出向くのは許せるものではありません」

「今回のは笑って許せるラインを超えてるからねぇ~~~、私も監禁には賛成」

「絶許、処す処す」

「そう、それが貴方達の意見なのね」

「なんかアルファ様には考えがあるみたいな言い方ね、怒ってないの?」

「怒ってるわよ、でも貴方達にもう1つ聞きたいことがあるの」

 

アルファも怒っている。

今すぐにここに呼びつけ、問い詰めて抜け駆けした3馬鹿と同じ責め苦を味合わせたいぐらいには怒りが溢れ出ている。

 

「貴方達に良く考えて欲しいの、彼は今ホストという職に就いているわ」

「そんな事言われなくても分かってるよ。それが何だって言うの?」

「職に就いている以上は給料が発生するわ、ホストならかなり高額になるわ」

「だからそんなの皆分かってるって」

「このまま彼が辞めれば彼の給料には私達の金銭は含まれないわ」

 

アルファ以外の頭の上に?が浮かぶ。

理解できていない他のメンバーを見てやれやれと溜息をついて話を続ける。

 

「いい?給料には指名料も関係するし、他にも飲み代に食事代も関わっているわ」

「だから分かってるってそんなの!」

「ここで彼が辞めれば彼が受け取る給料は、抜け駆けした馬鹿とどこの誰とも知れない女の手垢が着いた金が含まれているだけで私達の金銭はそこには含まれていないのよ!!」

 

バン!!と机を力強く叩きアルファは立ち上がる。

 

「このまま彼が辞めれば私達の金が彼の給料に関わる事は出来なくなる!!貴方達はそれでいいって言うの!?」

 

もしここに一般的な感性を持った者がいるのなら「何言ってんのこいつ?」とツッコミを入れる事は間違いないだろう。

アルファが言っている事は簡単に言うとホスト狂いの発言である。

推しのホストをナンバーワンにする為に貢ぐチャンスである!!とアルファは言っている。

そして他のシド狂い達もアルファの言っている事が理解できたようだ。

 

「ホストをしているのは許せませんが、私達にも関わる権利はありますよね」

「稼ぎ方には言いたい事がありますが、これなら合法的ですよね」

「そうね、これならシャドウ様も文句の付けようがないわね」

「渡そうとしてもいっつも受け取ってくれないからね、これなら合法的だね。ホストは許せないけど」

「ホストは許せん、でもこれなら合法的、文句の付けようがない」

 

七陰並びに3馬鹿とメイドプレイ好きダークエルフは、何度か金を貢ごうとした事があったが全て断られている。

食事.....餌付けや遠方に出た際のお土産と共にそれとなく金を貢ごうとしたが断られている。

今までずっと貰ってばかりだったから今度は自分達が渡せる物を全て渡したかったが金だけは断られた。

 

だがホストなら合法的である。

 

金の支払が絡むのが当然の職であるから貢ぐの合法的なのだ。

店にも多少金が流れるだろうがシド狂いにとって重要なのはシドの手に自分達が支払った金が届く事なのである。

恐ろしきシド狂いである。

 

「断じて!!断じてホストで働く事を許す訳ではないわ!!しかし彼に貢ぐ絶好の機会である事に間違いないわ!!」

 

ホスト狂いの発言そのものである。

さらに恐ろしいのは一度もホストに行った事のない者がホスト狂いの発言をしているという事だ。

恐ろしいホスト狂い.....シド狂い、恐ろしい。

 

「もう一度言っておくけど許した訳ではないわよ!!ただ合法的に貢ぐ機会はこれを逃せば次はないわよ!!貴方達はどうなの!!」

『おーーーーーーーーーーー!!』

 

全員が賛成してまとまってしまうのもシド狂いの恐ろしいところである。

 

「話がまとまった所で順番を決めたいのだけれど、取り敢えず私が最初でいいわよね?」

「何が取り敢えず何でしょうか?」

「そこは話合うべきではないですか?」

「ニュー達と大差ないように感じますけど?」

「アルファ様は私達と戦争がしたいのかな?」

「職権乱用、最低」

 

先程までの結束が噓のように一触即発の空気に変わった。

 

「というかアルファ様は最後ですよね?」

 

ここにガンマが爆弾をぶち込む。

 

「私と戦争しようって言うの?」

「2週間前、急ぎの書類を私に押し付けてどこに行ってたんですか?」

「何の.....事かしら?」

「最低ですね」

「流石にそれはどうかと思います」

「第一席だからって何してもいいわけじゃないからね」

「職権乱用、最低」

「という訳でアルファ様が最後に賛成の方は挙手をお願いします」

『は~~~い』

 

アルファを除いた5人が挙手し、多数決により順番が最後に決ってしまった。

 

「あんまりよ.....」

「では残りを決めてしまいましょうか」

 

強制的に最後にされたアルファを他所にガンマ達は順番を決める為に部屋を出ていく。

扉が閉まると部屋には罰を受けている3馬鹿とアルファが取り残される。

1分間の静寂の後、アルファはゆっくりとオメガに近づき

 

「へ」

 

握り締めた拳を太ももの上に載せられている振り下ろした。

振り下ろされた拳は載せられていた2枚の石を真っ二つに割った。

だが振り下ろされた瞬間と真っ二つに割れた瞬間の衝撃がそのまま足に伝わり激痛が走る。

石が足の上から落ちて解放されたオメガは痛みに悶絶し床の上を転げまわる。

 

「あ、ちょ、ちょっと....ちょっと待ってくだしゃい」

 

アルファの次なる標的はカイ。

カイの正面に立つと拳を振り上げる。

 

「心の準備を.....」

 

心の準備の時間等、アルファが与えてくれるわけもなく石が砕かれる。

解放されたカイはオメガと同じ様に床の上を転げまわる。

 

「情けを....情けを下さい」

 

最後に残されたのは初指名を取ったニュー。

初指名を取った事に怒りが収まらないのか、邪悪なオーラを吹き出しながら指をぽきぽきと鳴らす。

 

「本当に......本当に、心の底から反省しております!!だから.....あ、あぁ」

 

 

 

 

 

「す、すいませんでしたぁ!!」

 


 

辞めればよかった。

月末前に辞めたら貰える給料減るから続けてたけど辞めれば良かったんだ。

ニューが来た時に辞めるんだった。

 

イータん(イータ)だよ」

「シ、シェーリん(シェリー)です!!」

 

マッドサイエンティストが来やがった。

てかイータんとシェーリんてなんだよ?

もしかして偽名なのか?全然隠せてねぇじゃねぇか。

頼むから帰ってくれ。

 

「ホールと個室、どちらになさいますか?」

 

ホール、お願いだからホールにして。

というか研究費でカツカツだから個室なんて出来ないよな?

出来ないよね?

 

「個室」

 

なんでだよ!!

いっつも研究費使い込んでガンマに怒られてるのになんでこういう時だけ金が出てくるんだよ。

 

「そ、そんなお金いつ用意したんですか?」

「ん?ちょっと、ちょろまかして貯めてた」

 

知らない、僕は何も聞いてない。

研究費ちょろまかして貯めてた金でホストクラブに来たなんて聞いてない。

聞いてないったら聞いてない。

僕の知識を元にして得た金をホストに使うのも全然ショックなんかじゃない。

ないったらない。

 

「そ、それっていいんですか?ちょろまかすなんて駄目なんじゃ.....」

 

いいぞシェリーもっと言ってやれ。

 

「バレなきゃいい」

「え、でも....」

「シェーリんが黙ってればいい」

「いいんです....か?」

 

染めようとするな、そして簡単に染まるな。

それと受付でする話じゃないから。

 

「それでは個室でよろしいでしょうか?」

「うん、お願い」

「え、でも....研究費....え、ええ....いいんですかこれ?怒られるんじゃ.....」

「気にしない、気にしない」

「いいの、いいの」

「それでは個室にご案内します」

「ん、よろしく」

「いいの...かなぁ?」

 


 

個室に入った瞬間から不安しかない。

ソファは左右から固められているし、固めている人物もヤバい。

左にはピンク髪のマッドサイエンティスト(シェリー)、その小動物の様な見た目とは違ってマッドらしくぶっ飛んでいる。

チビチビとドリンクを飲んでいて可愛いとか感じてしまうが騙されてはいけない。

そして右には僕に平気な顔して常習的に薬物を持ってくるマッドサイエンティスト(イータ)

マッドである事も勿論だが、エルフはヤバい。

異世界エルフはエスパー持ちが通常仕様、更にここにブラックホールのバフが掛かると手に負えない存在と化す。

恐ろしい、エルフ恐ろしい。

 

「なんか、変な事、考えた?」

 

もう僕の思考を読んできやがった。

恐ろしい。

 

「何も考えてないですよ、ところでお2人は....」

「他人みたい、なんか嫌」

「.....一応僕もキャストだし」

「やだ」

「分かったよ、いつも通りに話すよ」

 

正直なところ、近しい人と他人の様に話すのは苦手だったから。

 

「私の事忘れてません?」

 

振り向いたらリスみたいに頬っぺたを膨らませたシェリーが袖を引っ張っている。

前から思ってたけど本当に小動物みたいだね、可愛いし。

 

「忘れてないよ」

「本当ですか?」

「忘れてないよ」

「本当に?」

「.....んふ、んふふふふふ」

 

チョロすぎんかこの人。

知ってる中では一番ホストにハマりそうな性格してるな、ホストじゃなくて研究にハマってくれたのを喜ぶべきなのか悩ましい。

 

「当然の様に僕に注射を打とうとするな」

「ちっ」

 

ちょっと目を離したら注射を打とうとする。

寸前で止められて良かった。

 

「くっ、強い」

「予想はつくけど何の薬?」

「......理性がぶっ飛んで、ケダモノになる、薬」

「ケダモノ.....」

「ケダモノ、会心の出来、だから打つ」

「やめなさい、ここは風俗店じゃないから」

「ぐぬぬぬぬぬ」

 

悔しそうに歯軋りしているが、何故今更悔しがる?

今まで散々盛った内のたった一回が失敗しただけで何をそんなに悔しがる必要があるのだろうか。マッドの考える事は良く分からん。分かりたくもないが。

 

「シェリーは何をしてるのかな?」

「ふひゃあああああああああああああああ!?」

 

ちょっと目を離した隙にこっちのマッドも薬を盛ろうとしている。

すっかり毒されている。

飲み物に混ぜようとしていた所に話しかけたから驚いて薬の瓶が床に落ちて中身が床にぶちまけられる。

 

「シェリー、怒らないから何を盛ろうとしたのか言ってごらん?」

「私と、対応が、違う」

「常習犯と2回目だったら、それはそうでしょう」

「不満」

「それで何を盛ろうとしたの?」

「あの、しょの....」

「私と、同じやつ」

「ケダモノになるやつ?」

「そう、ケダモノになるやつ」

 

あの頃のシェリー先輩が懐かしい。

マッドでもなく、ただの小動物だった頃が懐かしい。

そんな風に物思いにふけっているとシェリーが涙目になっていく。

 

「だって初めて抱いて貰ってから....全然会いに来てくれないし....イータさんはホストで女漁りをしてるとか言うし.....もう私の事なんて忘れたのかなって」

 

これは僕が悪い、100%悪い。配慮が足りなかった。

でも薬を盛るのはどうかと思う。

 

「ごめんね、僕もあんまり時間が作れなくて。これからは時間を作るようにするから」

「....本当....ですか?」

「本当だよ」

「....んふ.....むふふふふふふ♪」

 

いや、本当チョロすぎ。

ホストじゃなくて科学にハマってくれて良かった。

ホストにのめり込むシェリーとか見たくないし。

 

「私と、対応が、違う」

 

リスみたいに頬っぺたを膨らませたイータが背中をポカポカ殴ってくる。

 

「スケコマシ、バカ、バカバカバカバカバカ、バ~~~カ」

「むふふふふふふ」

「バカバカバカバカバカ」

「ぐへへへへへへへぇ」

「バカバカバカバカバカバカバカバカバカバカ」

 


 

「また来てくださいね」

「はい!また来ます!!」

「また来る」

 

お見送りすれば後は終わり。

絶対に辞めてやるからな!

もう辞める!絶対に辞める!!本気で辞めてやるからな!!

 

「あ、忘れるとこだった」

 

イータが懐から封筒を取り出す。

 

「手紙」

「誰から?」

「.....察して」

 

差出人はもう分かった。

イータが察してと言う位だからアルファなんだろう、それに封筒の隙間から邪悪なオーラが漏れ出てるし。

 

「頑張って」

 

肩をポンポンと叩きながら頑張れとか言うなよ。

不安になるだろう。

 

寮に帰ってからも不安が消えない。

このアルファが僕に送ってきたお手紙が途轍もなく恐ろしい。

だって隙間から邪悪なオーラが漏れ出てるし、なんか亡者の絶叫みたいなのも聞こえる。

 

「読まないといけないのか.....」

 

意を決して封を切る。

取り出した便箋からは邪悪なオーラが噴き出て亡者の絶叫が聞こえてくる。

開いてはいけない、でも勝手に手が動いて便箋を開いていく。

 

 

 

 

 

『許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない許さない......』

「ぎゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 

遂にアルファから呪いの手紙が来た。

僕が一体何したっていうんだよ!!

一枚の便箋にぎっしり許さないって書かれてる。怖いぃ。

2枚目には一体何が書いてあるのか。

 

『というのは前置きよ』

「なんだ前置きか」

『許さない』

 

結局許してくれないんじゃないか。

 

『貴方がホストクラブで働いている理由は抜け駆けした3馬鹿を締め上げて聞いたわ』

 

憐れケルベロス、どんな風に締め上げられたのかは知りたくもないが可哀想。

庇ったりはしないがな。

 

『色々と言いたい事はあるけれど、辞めようとしてるわよね?』

 

異世界エルフには先読みも標準装備らしい、怖い。

ゲームで星読みとか預言者にエルフが多かった理由が分かった気がする。

 

『私がまだ行ってないのに辞めようとしてるわよね?もし私が行ってないのに辞めようとしたら....』

 

『焼き討ちするから』

 

何故に、何故に焼き討ち?

 

『店丸焼きにして廃墟にしてやるから』

 

本気だな。

字が書くじゃなくて彫り込んで書いたようになっているから相当な筆圧がペンに掛かったのが窺える。

辞めれなくなった。

 

『他所の女をチヤホヤしたら許さないから』

 

いや、指名制だから無理だよ。

まあ、僕の名前はリストの一番下にあるからもの好きじゃないと指名はないと思うが。

それに地味だから、チェンジだってあり得るし。

 

『他所の女を抱いたりしたらどうなるか分かってるわよね?』

 

どうなるかは分かってるよ。

翌日に身元不明の焼死体が路地裏に転がってるんでしょ。

 

『私が行くまでに辞めたりしない事、一夜の過ちを犯さないこと』

 

分かっております。

 

『デルタは遠くに行かせてあるから、その辺りは気にしないで』

 

それは安心できる。

デルタがいたら焼き討ちするより先に店が更地になる。

 

『私が行くまで書いてある事をしっかり守って大人しく、目立たない様にしておいてね』

 

目立たない.....は無理だな。

この前、店に来たチンピラを投げ飛ばしたし。

報復に来るかなと思ってたけど来なかったし、きっとお空のお星様になったんだろうな。

 

『追伸』

 

まだ何かあるのか?

 

『何かの間違いでどこぞのエルフ剣聖を接客しようものなら』

 

どこぞのエルフ剣聖.....これはベアトリクスのことだな。

放浪してるはずの人なのに来そうなんだよな、エルフだからなぁ。

僕の考えでは思いつかない理由で来そうなんだよな。

 

「え、終わり?」

 

便箋はこれで最後。

『しようものなら』と、とても不穏な終わり方だ。

 

「ベアトリクスを接客したらどうなるの?何されるの僕?.............怖い」

 


 

「イータ!!」

「げっ」

 

報告も兼ねて帰宅したらブチ切れガンマに出迎えられた。

 

「研究費ちょろまかしてたってどういう事!?」

「ちっ」

 

研究費をちょろまかしていた事を知られていた。

 

「何で、言ったの」

 

隣でもぞもぞしているシェリーに咎めるような視線を向ける。

 

「や、やっぱりちょろまかすのは良くないと思うんです!!」

 

マッドになって倫理観がぶっ飛んでいるのかと思えばそうでもなかった。

金銭感覚はしっかりしているようだった。

 

「逃げる」

 

何時ものよう逃げた。

 

「こら!待ちなさい!!」

 

当然ガンマは追いかけようとするが

 

「ぷぎゃ」

 

足が絡まって床にダイブする。

流石のドジである。

ガンマも自分が追いかけようとしたらドジをする可能性を考えていたので

 

イータ?

「ぴぇ」

 

二段構えにしておいた。

研究費ちょろまかしイータを迎え撃つのは初指名をニューに取られた挙句、順番を最後にされたアルファである。

 

使い込みはまだましもちょろまかすってどういう事?

「あぅ、あぅ」

 

しかもブラックホール発動中。ちょっと邪悪なオーラも出てる気がする。

 

ねえ、どういうい事って聞いてるわよね?

「ぴぇ」

聞いてるでしょ?

「あにょ」

聞いてるのよ?

 

 

 

答えなさいよ




ちなみにミラボレアスは倒した。
でも装備の要求素材が地獄すぎて作るのは辞めた。

石抱はwikiを参考にしました。
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%9F%B3%E6%8A%B1
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