陰の実力者になりたくて!addition   作:読者0

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シャドウ登場

僕はヒョロとジャガと縁を切るべきか悩んでいる。

僕のモブとしての立場のためには2人が必要だ。

しかし、僕が騎士団に連行されるときにあることないこと吹き込んでいた。

縁を切るのならそれで終わりだがもし友達を続けるならケジメを着ける必要がある。

どうケジメを着けてやろうか。

 

「おい!何とか言ったらどうだ!!」

 

おっと、考えごとをしていたせいで忘れていた。

 

「ぎゃーーーー」

 

かなり棒読みだが彼らには十分だ。

 

「ぎゃーーーーだってよ」

「とっと吐いちまえよ!」

 

お気づきだと思うが今僕は拷問されている最中だ。

騎士団に連行された後如何にもそういう部屋に通され、パンイチにされ椅子に拘束され、尋問という名の拷問が始まった。

両手足の爪は全部はがされたところに針をさされたし骨も何本もおられた。

因みに魔力で痛みを遮断しているので痛がるふりをしないといけない。

 

「お前しかいないんだよ!」

「本当に知らないんです!」

「じゃあ思い出すまでやるしかねえな!」

 

その手には釘とハンマーが握られている。

僕を拷問しているこいつらだが教団員で調べたところ何度か同じことをしているようだ。

物語の最初で主人公に瞬殺される悪党みたいな感じがすような奴らだ。

僕はやられっぱなしで済ます性格ではないので拷問を受けながらこいつらに復讐する方法を考える。

 

「黙ってんじゃねぇ!」

 

おっと忘れてた。

 

「ぎゃーーーー」

 

しばらく拷問が続いた。

 

解放されたのはまさかの5日後、その間拷問を受けた。

あいつらはサイコパスだ。

正直殺されそうだったので死んだふりで逃げようとしたが

途中、姉さんが暴動を起こしたとニヤニヤしながら言われたので死んだふりが出来なかった。

死んだふりをしたら姉さんがアイリス王女を殺害する未来しか見えなかった。

帰る途中で傷は綺麗に直した。

 

「このままですむと思うなよ。」

 

なんか小物臭がすることを言ってしまった。

寮に着くと人の気配がしなかった。

まあ誘拐犯の疑いが掛かっている奴とは一緒にいたくはないだろう。ヒョロとジャガがいないのはかなりムカついたので2人への復讐は過激にすることにした。

 

「お帰りなさい。」

 

部屋に入るとスライムスーツを着た金髪エルフの女性、アルファがベッドに腰かけていた。

この5年で本当に美人になった、今では誰もが振り向く絶世の美女だ。

まあ何回か襲われて捕食されたこともある。

 

「食べるでしょ?」

 

ハンバーガー擬きの入った袋を渡される。

 

「うん、食べる。」

 

そう言って袋を机の上に置いて、不思議そうな顔している彼女を押し倒す。

前にも言ったが僕の聖剣は殆ど制御できてない。盗賊狩りなどで発散しないと暴走する。

慈愛に満ちた笑みを浮かべる彼女に覆いかぶさった。

 

何をしたって?ナニだよ。

 

「うん、やっぱり美味しいね。」

「それってサンドそれとも私?」

「両方だけど?」

「ちゃ、ちゃんと状況を理解できてるの?」

「状況?わかってるよ。

 僕を愛してくれる美女とイチャイチャした後でしょ」

「.....」

 

彼女は顔を赤くして顔を背ける。

因みにアルファ以外にも捕食されたことがある。

彼女達は獣だ、実家にいた時に僕が女性と仲良くなっただけで僕をアジトに連れ込み捕食してきたこともある。

僕からする分には大人しいんだからいつもそうして欲しい。

 

「うっ、うん。それで貴方を拷問していた騎士だけど.....」

「ああ、さらし首にするつもりだよ。」

「珍しいわね、あなたが感情を外に出すなんて。」

「そうかな?」

 

拷問してきた騎士達の今までの不正や冤罪の証拠は既に回収済み、後は始末して首を晒すだけであいつらへの復讐は終わり。

これは警告も兼ねている。

騎士団の大半が教団に関係しているので見せしめとして殺すことで

改心とまではいかなくとも手を引かせるつもりだ。

アルファが帰っていくのを見送ってベッドのシーツを交換する。

部屋の換気も忘れない。そこまで部屋は広くないので匂いが残らないようにしないといけない。

匂いが残っていたら聖剣が暴走しかねない。

 

 

釈放されてから2日たち用意していたセーフハウスにいた。

部屋の中には苦心の果てに集めることができた陰の実力者コレクションがある。

集めた全てが数10万はくだらなく、値がつけられないものもある。

一番のお気に入りは幻の絵画モンクの叫びだ。

.....いや、ムンクの叫びにしか見えない。

というか他の絵画も前世で見たことがあるような気がするものがちらほらある。

もしかして他にも転生してきた人がいるのか?

誰の作品か確認しようとしたがやめた、見たら一生後悔しそうな感じがした。

部屋の扉が開いたので振り向くと銀髪少女のエルフ、ベータがいた。

 

「凄い!」

 

僕の望み通りの反応をしてくれる。

これだけで気分がよくなる。

正直シャドウガーデンには僕は必要ないと思っている。

戦闘力は僕の方が上だが、情報収集や組織運営なんかは彼女達のほうが上だ。

今も僕が見つけられなかったアジトの報告を受け、作戦の詳細を説明されている。

本気でいらないんじゃないか?

だがへこたれてはいけない。

シャドウとして威厳を示すには今しかない。

懐に入れていた手紙をベータに渡す。

内容を見たベータは驚いている。

手紙には場所と脅迫文が書かれていた、差出人は僕を拷問していた2人だろう。

しかも僕の血で書かれているので行かなければ誘拐現場に僕の血を撒いて犯人にするつもりなんだろう。

 

「開戦の合図は僕が出そう。」

 

あの2人にはできるだけ恐怖を味わって死んで貰おう。

 

僕は今、手紙にあった誘拐現場近くの森に来ている。

時間は夜、陰の実力者が動くにはピッタリの時間だ。

 

「おやぁ?何をしているんだ、シド・カゲノー。」

 

現れたのは僕を拷問していた2人で嫌らしい笑みを浮かべている。

 

「おっとぉ、これはアレクシア王女の靴じゃないか!」

「この魔力痕、覚えがあるな。シド・カゲノー、お前だな!」

 

大根役者だな、わざとらしい。

 

「シド・カゲノー、お前を逮捕する!」

「二度と.....」

 

言い切ることなく男の身体が不快な音を立てながら首から下が

折りたたまれた。

 

「は?」

 

残された男は何が起こったか分からなかったようだ。

やったのは当然、僕だ。

最近、念力が使えるようになった。

念力と言ってもただの魔力操作で空気中にある魔力を掌のようにして

相手を握り潰しただけだ。

何が起こったかわからなければいきなりミンチになったようにしか見えない。

腰を抜かしたらしくへたり込んでいる。

そして、それをやったのが誰か分かったようだ。

 

「き、騎士団にこんな....」

「お前は教団でただのクズだろ。」

 

男に近づいていくと震えながら逃げようとするが恐怖で立ち上がることが出来ていない。

 

「か、金なら...」

「お前楽しんでただろ?だから僕にも楽しませてくれよ。」

「ま、待って...くれ」

 

僕はこの手の奴が嫌いだ。

他人を平気で貶める癖にその結果死ぬことになれば逃げようとする。

気持ち悪い。

 

「クズに慈悲なんて掛けるわけないだろ。」

 

男の首から下がミンチになった。

見せしめにするので首を切断して回収する。死に顔は恐怖に歪んでいる。

しかし最後の命乞いはモブっぽかったな。

悪役達からはモブのなんたるかを学ぶことができる。

魔力を打ち上げて合図を出す。

 

「行こうか、ベータ」

「はい♪」

 

彼女は頬を赤くして見てくる。

結構グロイことをしたはずなのにカッコイイと言われた。

彼女達の感性がよく分からない。

 

 

「君は姉のようにはなれない。」

 

それは絶対に言われたくなかったことだった。

膝をついてしまい立ち上がろうとしても力が入らない。

彼に言われた優しい励ましとは逆の否定はアレクシアの心をえぐった。

 

アレクシアが誘拐された後、彼女は地下にある研究施設にいた。

英雄がどうとか言う狂った男に血を抜かれ続けた。

一緒にいた化け物に男が慌てた様子で何かの薬を注射されたことで

化け物が暴走し拘束具が壊れたことで逃げ出すことが出来た。

だが、逃げる途中でゼノンにあってしまった。

普段から胡散臭いと思っていたから疑ったりしなかった。

なんとか逃げるためにゼノンと戦ったしかし、勝てなかった。

そして、言われてしまった。

 

「君は姉のようにはなれない。」

 

分かっていた、才能のない自分が姉のようになれないことぐらい。

それでも努力し続けて諦めなかった。

 

「僕は君の剣が好きだよ。」

 

少し自信が持てた、自分の剣が好きになれた。

なのに否定された。

自分の手から剣が落ちるのが分かる。

 

「一緒に来てもらう。」

 

その時足音が響いた。

ゼノンが振り向くとそこには漆黒ロングコート姿の男がいる。

顔は見えないが身に纏う圧は強者のそれだ。

 

「我が名はシャドウ。陰に潜み陰を狩るもの」

「そうか。お前が教団に嚙みつく犬か。」

 

ゼノンはシャドウに向き合う。

そこにはアレクシアの時のような油断はない。

 

「弱い犬ほどよく吠えるのは本当らしい。」

「どういう意味だ?」

「お前以外いるのか?」

「貴様っ!」

 

激昂したゼノンがシャドウに斬りかかるがそこにシャドウはいない。

 

「大丈夫か?」

 

ゼノンが振り向くとアレクシアの傍にシャドウがいた。

ゼノンもアレクシアもシャドウから目を離していなかった、まばたきすらしなかった。

なのにいつの間にかそこにいた。

シャドウの手から青紫色の光が広がるとアレクシアの傷が塞がっていく。

 

「危ない!」

 

シャドウの背後から斬りかかる。だがまた消えた。

 

「やはり、この程度か」

 

ゼノンが振り向くとシャドウがいる。

一切目を離していないのに見失ってしまう。

ゼノンは考えを改める。

あまりにも異質、隙だらけにみえるがそれは意図されたもの。

近づこうとすれば距離感がつかめなくなる。

 

「来ないのか?」

 

見え透いた挑発だが乗らない。

 

「一流の戦士は相手の実力を見定めるものだ。」

「一流?三流の間違いだろ。」

「一流は驕ったりはしない。」

「これが一流だと?」

 

そう言ってシャドウが左手を上げると、そこにはゼノンの左腕が握られていた。

 

「は?....ぐぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

傍で見ていたアレクシアにも何が起こったか理解出来なかった。

いつの間にかシャドウの手にゼノンの腕が握られていて、

ゼノンの左腕の肘から先がなくなっていた。

ため息をつくとつまらなそうに腕を投げ捨てた。

 

「やはり三流か」

 

激昂したゼノンがシャドウに斬りかかる。

その剣は並の魔剣士なら瞬殺できるものだ、だが当たらない。

どれだけ振ってもまるで当たらない。

まるで剣を握ったばかりの子供を相手にしているようにシャドウは動く。

勝てないことを悟ったゼノンは懐から瓶を取り出す。

そのなかには赤い錠剤が入っている。

取り出した錠剤を飲み込むと変化が現れる。

体中の血管が浮き上がり、切断されていた左腕が再生する。

 

「僕も全力を出させてもらうよ!」

「何が変わったんだ?見た目が気持ち悪くなっただけだろ。」

「本気を出させたこと後悔するといい!」

 

ゼノンが突きを放つ。

それは今まで積み重ねた全てがのった攻撃だ。

これに耐えられるものはいないと思わせるような一撃。

だが、

 

「は?」

 

突きは止められた。

ゼノンの剣がシャドウの剣に下から貫かれて止まっている。

アレクシアにも意味が分からなかった、常軌を逸した絶技。

他にできるものがいるのだろうか、そう思うほど人間離れしていた。

剣が引き抜かれるとゼノンの剣が折れた。

直ぐに予備の剣を抜いて襲い掛かる。

そして戦いが始まってから初めてシャドウが応戦した。

最初はゼノンが押しているように見えたが、直ぐに押され始めた。

攻撃を防がれていたのが、攻撃が形になる前に潰され始めた。

 

「凄い」

 

茫然とみているしかできなかったがそれは明らかに自分と同じ剣だった。

凡人の剣。

生まれ持った才能ではなく長い努力の果てにのみ辿り着ける剣技。

子供の頃目指した頂、それが目の前にいる。

その動きに隙はなく、1つ1つの動きが次の攻撃に繋がっている。

洗練された無駄のない動き。

その動きは2人の中で1人の人間と重なった。

やる気を感じずどこまでも平凡、なのにその剣からは目を離すことのできない存在。

 

「お前、ま...」

 

言い終わるより速くゼノンの体に斜めに線が走った。

そして、線より上側が滑り落ち、残った体も崩れ落ちた。

シャドウは死体に近づき首を切り落とし、それを掴み去っていく。

 

「まだ..まだ足りない。」

 

「I need more power」

 

アレクシアはただ見送るしかなかった。

現実ばなれしていて夢だとしか思えなかった。

なによりあまりにもその背中が大きくそして遠かった。

 

 




展開がおかしくなってもI need more powerをいれたかった
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