ヴァンパイアとアリス 作:獄華
『ウインドナイツ・ロット』………。
ロンドンから南で丸一日行った場所にある、中世時代王に仕える騎士達を訓練をする為に作られた街である。
現在はその天然の要塞的地形から刑務所が建てられ町の地下には石炭が産出するので囚人を使って掘った鉄道が無数にある。
ウインドナイツ・ロットの人口は囚人を含めて517名。
その他の住民は漁や農業で生業を得る普通の人々だ。
最近、この街に奇妙な噂が流れた。
病人が病を治すため丘の上の墓地の側の館に人が越してきたと。
風の噂は町の名の通り広がっていったと同時に若い女の行方不明が頻発しだした…………。
――――――
「KUAAAA……次第次第に力が甦ってきた」
「だーいぶ。回復してきたわね」
「あぁ…。『食物連鎖』と言うのがあったな。草は豚に食われ豚は人間に食われる。我々はその人間を糧としてるわけか……人間を食料としてこそ真の帝王!ジャック!食って良いぞ!」
「ウシャアァァァ!」
生き血を吸った若い女を用無しと言わんばかりにディオは地べたに乱雑に置きジャックに食わせる。
ディオに血を吸われた女はゆうに100をくだらない……。
その血は確実にディオの火傷を治癒している。
「水銀燈……ジョジョの動きを話せ。奴はどこまで『波紋』を練り上げた?」
ディオは自分の火傷の治癒に専念し、ジャックを屍生人に変えてから凡そ二ヶ月……。彼は水銀燈に殺した若い女をnのフィールドを通じて館に送らせたり、諜報を行わせてジョジョがツェペリなる男に会い……一月程前から吸血鬼への対抗策として波紋を教わった事を知っていた。
その日から毎回帰って来た水銀燈に波紋の修業の質問は日常行為となっていた。
「ジョナサンなら貴方が屍生人に変え差し向けたこの村の二人を波紋で溶かしたわ」
「そうか……ジョジョの奴……強さを増してるか!。フッハッハッハッハッハ!」
(俺には分かるぞジョジョ!お前がこのディオに挑みに来ることがな……!)
あのジョジョがこのまま引き下がるわけがないのは七年一緒に過ごしたディオ自身がよく分かる。
「けど驚いたわねまさか真紅だけじゃなく『アイツ』もこの時代で目覚めていたなんて。まぁアイツの事だから私の存在を認知し敢えて泳がせてるんでしょうけどね」
「それでいい。無闇にドンパチを起こす必要もない。戦いの『時』を待つのだ。運命に身を委ねてな」
「彼等は明日にでも、ウインドナイツ・ロットへ発つ。今度こそジョナサンに引導を渡すのね?」
「うむ……。それが奴の『波紋』と『覚悟』に対する最大の讃美!。………真の勇者たるジョジョにはさらなる試練を与えねば。なぁ『切り裂きジャック』」
「ハッ……!」
屍生人と化した。ジャック・ザ・リッパーは更に残忍性と異常性を増していた。
ディオに乗じジャック自身もウインドナイツ・ロットの女を殺しては欲を満たしているのだ。
「奴の事だ。逃げはしないだろう。だが!ジャック!。奴らを丁重に持て成してやれ!」
「はいディオ様ァ!」
――――――話しは一月前に遡る。
「改めて退院おめでとう。ジョジョ」
「ありがとうエリナ」
ジョジョとエリナは一緒にジョースター邸に向かった。
エリナに「嫌な事が蘇らない……?」と心配されたが「どうしても確認したいんだ」と言うジョジョの意思の元エリナも万が一彼の怪我の事も考え付き添って歩く。
右手の骨折は治ったが左手はまだ治ってないのでギプスを付けていた。
「それにしても君も一緒に来てくれるなんて……嬉しいよ!真紅!」
真紅はエリナの右肩に乗っていた。
「家にいても暇だから今日はジョジョの退院祝いも込めて貴方達二人とお外をお散歩するのだわ………心地いいわね太陽が」
「本当ね。ジョジョも久しぶりだからお外が気持ちいいんじゃない?」
「あぁ……。風に撫でられるたびに昔を思い出すよ……君との出会いも……」
「ジョジョったら……」
真紅の脳内に『無意識の海』を通じてエリナの七年前の記憶が流れてる。
男の子二人に「泣き虫エリナ」と馬鹿にされエリナが大事にしていた人形を取られ浅ましい行為をしようとした時、ジョジョが助けに入った。
ジョジョは「僕は本当の紳士を目指しているからだ!」と言い残しエリナから去っていく。
エリナはジョジョを羨望の眼差しで見ていた。
「うふふふ……。貴方達の馴れ初めも凄く暖かいわね。この太陽に負けず」
「もう……真紅ったら。私の記憶を読んだわね」
「本当かい……凄いねローゼンメイデンって……人の記憶も読めるなんて……」
エリナが照れてジョジョが驚いていると真紅が豹変した。
「……けどそのワルガキ共は運が良かったのだわ。魂も心もない人形をいじめて喜んでたんだから………私だったらこの巻き毛で何度も叩いて「ごめんなさい!真紅様!」って謝らせてたわね。オッホッホッホッホッホッ!」
普段の清楚さはどこへやら…今の真紅はまるで白雪姫に出て来る魔女のようなムードだ。
(し、真紅はどうやら……。相当負けず嫌いな性格なようだ……方向性は違うがディオを思い出すな……)
………ジョジョとエリナは真紅にほんの少しの恐怖心を覚えた……やがて三人は燃えて瓦礫となったジョースター邸に到着する。
「……燃えてしまったわね」
「あぁ……瓦礫だけだ……」
ジョジョは目ぼしい箇所や瓦礫の下を探すも石仮面はなかった。
(石仮面もあの炎で燃えて瓦礫の山の一部になったと信じたい……ディオもあの炎では……燃えたか……。そう思おう!そして早く忘れよう!)
「気持ちは落ち着いた?」
「あぁ。すまないね探し物に付き合わせてしまって。やはり燃えたようだ」
「いいのよ。今度はロンドンに探し物をしに行くんだったわね。波紋と言う術に詳しい人を探しに」
「あぁ」
エリナには石仮面同様、波紋の事も詳しくは話していない。
特別な術と伝えている。
彼女を石仮面に携わせるわけにはいかないからだ。
「何じゃ?兄さん。波紋使いをお探しか?」
いつからそこにいたのか。
真っ白なスーツを着て奇妙なシルクハットを被った男性が前方にある路上の石壁にすわりサンドイッチをほうばりながらこちらを見ていた。
「君がジョナサン・ジョースター。そしてそのレディはミスエリナ・ペンドルトンとローゼンメイデン第五ドール真紅」
「な、何故私の名を……!?」
真紅は驚愕していた。
ローゼンメイデンを知ってる人間の存在に。
「お主らローゼンメイデンはチベットには伝承として残っておる。例の一族の言い伝えと同じようにな。ジョジョ君。石仮面の男。ディオはまだ死んでおらん!」
「なんだって!。石仮面も知っていて!ローゼンメイデンも知っている!。貴方は何者なんだ!」
「焦らず共答えてやるわい。じゃがまずは……パウッ!」
「ウゲェ!」
奇妙な男性はジョジョの腹をついた。
「ワシはウィル・A・ツェペリ。まずは……肺の中の空気を1cc残らず出し切るのじゃ」
これがジョジョとツェペリの出会いだった。
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