ヴァンパイアとアリス   作:獄華

14 / 32

 屍生人と化したジャック・ザ・リッパーに一行は立ち向かう。


波紋疾走

 

 

 (熱い……)

 

 エリナ・ペンドルトンは看護婦の仕事をしてる最中、真紅と契約を結んだ指輪に熱を感じた。

 ローゼンメイデンは力を使う時、媒介とした人間から力を借りる。

 これが意味することは……真紅が今戦っていると言う事。

 

 (どうか無事でいて真紅……ジョジョ。他の方々も……)

 

 

 真紅達の無事を願い彼女は看護婦の仕事を継続する。

 

 

 

 

 

 

 ―――――

 

 

 

 

 

 屍生人。人間を捕食し永遠の生命と力を与えられた存在……だが実態は血を吸われた吸血鬼に思いのままに操られる言わば肉人形である。

 ツェペリはワイン片手に対峙していた。

 

 

 「最高の恐怖を与えてやるぜぇ~~~!」

 

 

 

 ジャックは大きなサバイバルナイフを取り出した。

 

 

 「青褪めた面見せてから……お前らの鮮血の暖かさを……あ〜〜〜じわってやるぜぇい!」

 

 

 

 驚愕するジョジョとスピードワゴン……ジャックはそのまま自分の首にナイフをぶっ刺したのだ。

 

 

 

 「絶望に身をよじれぇい!虫ケラどもぉぉぉ!」

 

 

 

 「……さて、奴はどう出るか」

 

 

 

 この状況下でもツェペリは冷静さを乱さない。

 

 

 「ジョジョ。これは大事な物の考え方じゃぞ。その①もし自分が敵ならと相手の立場に身を置く思考……。ワシが奴なら先ず太陽までの逃げ道トンネルの入り口を防ぐ!」

 

 

 「うるぉぉぉぉ!」

 

 ジャックの掴んだ馬車がまるで子供が乗る三輪車の如く容易く持ち上げ……そのまま入り口近くの天井ぶつけガラ、ガラと崩壊させた。

 

 

 「馬車をぶん投げトンネルを崩す気か!。チと想定外じゃわい!」

 

 

 

 「跳べ!。スピードワゴン」

 

 

 ガラガラと崩壊する天井とそれに伴う土煙がジョジョ達に迫りくる……。

 やがて崩壊は止まった。

 逆に言えばジャックは自分に有利な戦闘場を作り出した事……。

「来るぞ!」とツェペリが警告を発した。

 

 

 「ぬぅぅぅぅ……うぉぉぉぉ……!」

 

 

 不気味な呻きと共にジャックの身体が震えだすと、身体中の至る箇所からメスが出て来た。

 

 

 「全身からメスが!」

 

 

 「あれが一瞬の内に御者を串刺しにしやがったのか!」

 

 

 相も変わらずツェペリは、ゆっくりとワインを飲んだ。

 

 

 「ぬぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 

 人でない肉体を手にしたジャックは筋肉の収斂でツェペリに大量のメスを飛ばした。

 ……しかし迫りくるメスにツェペリも反撃する。

 

 「波紋カッター!。パパウパウパウ!」

 

 

 ツェペリの口より放たれたワインの円状の塊はメスを反対に切り裂いた。

 

 

 

 「波紋カッターのほうがあんさんのメスよりよう切れるわい……。ジョジョ戦いの思考その②じゃ。ノミっているよな。ちっぽけな虫ケラのノミじゃよ」

 

 

 「テメぇぇぇぇぇ。何をゴチャゴチャ言ってやがるぅぅぅぅ!」

 

 

 ジャックは鋒が小さな槍を構えた。

 だがツェペリは顔色変えず話し続ける。

 

 「あの虫は我々、巨大な人間に所構わず戦いを挑んで来るなぁ…。これを勇気と呼べるだろうかね……ノミ共のは勇気と呼べんな…。では勇気とはいったい何か!」

 

 ジャックを槍をツェペリに投げる。

 

 

 「勇気とは怖さを知る事!恐怖を我が物とすることじゃ!」

 

 

 彼はなんと……ワインの瓶で吸血鬼より劣るとは言え屍生人の……人間を遥かに超える力を持つジャックの投擲を防いだのである。

 

 

 

 「呼吸を乱すのは恐怖!。だが恐怖を支配した時、呼吸は規則正しく乱れないッ!。波紋法の呼吸は勇気の産物……人間讃歌は勇気の讃歌!。人間の素晴らしさは勇気の素晴らしさ!。いくら強くてもこいつら屍生人は勇気を知らん!ノミと同類よぉ!」

 

 

 

 

 コォォォォォォォォォォォッ!

 

 

 

 

 波紋の呼吸をしてツェペリはジャックの元へ跳んだ。

 

 

 

 ボギャアアアアアァァァ!

 

 

 

 「仙道波紋!ウェーブキック!」

 

 

 

 

 

 「グワァ!?」

 

 

 

 ジャックの身体が大きく後退する。

 

 

 「波紋エネルギーが怪物の組織をズタズタに破壊したのだ」

 

 

 余裕そうにツェペリはワインを口に含んだ。

 

 「すげぇワインを零してもいねぇ!」

 

 

 「ジョジョ後はお前が仕上げしろ。奴の脳全体を溶かすのだ。吸血鬼と屍生人を倒すにはそれしかなーーーい!」

 

 

 

 「ウォォォォ!」

 

 

 

 雄叫びを上げジャックはトンネルの天井に刺さった剣のグリップを掴みツェペリ達を睨んだ。

 片方の目が波紋により溶けている。

 

 

 「よくもテメぇら!必ずぶっ殺す!」

 

 

 ――――否。

 剣のグリップに見えたそれは仕掛けのレバーだった。

 とある箇所の石が崩れ、隠れ穴が出て来た。

 

 「細切れにして食らってやるぜぃ!」

 

 

 ジャックはその穴に飛び込んだ。

 

 

 「まさかあんなしみったれた穴通って奴を追っていくんじゃあねーでしょうねぇ!?」

 

 

 「行かにゃあなるまい……。しかし行くのはジョジョ一人。ジョジョ!」

 

 

 何を考えてるのかツェペリはワインで満たされたグラスをジョジョに渡した。

 

 「そのワインをグラスから一滴も零さずに奴を倒して来い!。ジョジョ、戦いの思考その③じゃ。ノルウェーにこんな諺がある。北風が勇者バイキングを作った。そのワインを一滴でも零してみろ……その時は奴を倒したとしてもワシはお前をもう見捨てる!」

 

 

 ジョジョはワインを見つめる。

 だがスピードワゴンは納得いっていないようだ。

 

 

 「おい!おっさんよぉ〜!正気かテメェ!」

 

 

 「あんたはだぁっとれい!」

 

 

 

 「分かりましたツェペリさん!。北風がバイキングを作ったですね……」

 

 

 「うむ…」

 

 

 「本気ですかい?ジョースターさん!」

 

 

 「あぁ」

 

 

 

 

 

 

 ―――――松明を持ちジョジョはその後を追いかけた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 (まるで迷路だ。明かりで照らしても必ず闇の部分が出来る構造に作られている……)

 

 

 「ハッ……!。まずい…この火は……!」

 

 

 瞬間こちらに迫りくる気配を察知しジョジョは急ぎそこから動いた。

 中世の拷問道具と思わしき幾重もの刃が並んだ凶器を押してジャックが通り抜けた。

 

 

 

 「グワァっ……!」

 

 

 

 苦悶に悲鳴を上げるジョジョ。

 避けるのが微かに間に合わず少し掠ってしまい身体から血が出る。 

 

 

 

 (消さなければ狙われるだけだ!)

 

 

 急ぎたい松を捨てる。

 

 

 (しかし……もう奴がどこから来るか……こっちにも分からない!)

 

 

 周囲を確認しながらゆっくりジョジョは足を進める。

 廊下に差し掛かった。

 

 

 (匂うぜぇ……。あったけぇ血の匂いだ)

 

 

 ジャックが突き当たりで待ち構えてる事にジョジョはまだ気付いていない。

 このまま行けば急襲され、ワインどころか命すら落とし兼ねないがジョジョはツェペリの教えを思い浮かべていた。

 

 

 (戦いの思考その①。敵の立場で考えよ……奴は近い筈。そして思考その②恐怖を我が物としろ)

 

 ジョジョは静寂な空間の中、波紋の呼吸をしていた。

 

 

 (その時、呼吸は乱れない!)

 

 

 

 

 (来い……頸動脈に噛みついてビーンと噛んだまま引っ張ってやる!)

 

 

 

 

 

 以前変わりなく待ち構えるジャック……。その時ジョジョの手に持つワインがゆらめき出した。

 

 

 「これは波紋……!。そうか、北風はこのワインだ。ワインの波紋を感じる!グラスを伝わり、腕を伝わり、身体を伝わり、地面を伝わり……奴の生命の振動を感じる……!。このワインは波紋探知機だ!」

 

 

 

 

 コオオオオオオオ!

 

 

 

 

 

 ワインは渦巻き、波紋が疾走り淡く金色に光りだしていた。

 

 

 

 

 

 

 

 ゴゴオオオオオオオオオ!

 

 

 

 

 「震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!。そこだぁ!吸血屍生人ッ!」

 

 

 

 

 壁に打ち付けたジョジョの拳から金色の波紋エネルギーが溢れ出す。

 

 

 

 「壁を伝われ波紋!仙道波紋!疾走(オーバードライブ)!」

 

 

 

 

 

 (早く来い……ベロベロしてやるぜ!)

 

 

 ジャックのあては虚しく外れる。

 

 

 「ホギャア!」

 

 

 ゴムボールのように吹き飛ぶジャック……来たのはジョジョではなく波紋だった。

 

 

 

 「グワァァァァァァァ………!」

 

 

 

 ジャックはジョジョの波紋により完全に解かされ今ここに滅した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ワインの意味を理解したらしいなジョジョ。ようし!北風はバイキングを作ったぞ!」

 

 

 ジャックの断末魔を聞いたツェペリはジョジョの勝利を確信し喜ぶ。

 勝利の過程も彼は学んだようで安心した。

 しかしツェペリには一つ気掛かりな事があった。蒼星石と契約を交えた指輪………これが蒼星石や真紅と別れた時からずっと熱いのだ……。

 

 

 

 「……ドールは指輪を通じてマスターから力をもらう……。スピードワゴン。君はここでジョジョを待てワシは一足先に外へ出る」

 

 

 「あ、おい!ツェペリの旦那!」

 

 

 波紋を足に集中させツェペリは大急ぎで外に出た。

 辺りを見渡すが水銀燈や蒼星石、真紅の姿が無い。

 

 「蒼星石達はいったいどこで戦ってるんじゃ……」

 

 「あら、ミスターツェペリ。ごきげんよう。無事なのを見るにジャックはジャンクにされちゃったみたいねぇ」

 

 「………水銀燈。貴様。蒼星石と真紅はどうした?」

 

 「やだ怖〜い……あの二人ならボロボロにしてあげたわぁ」

 

 

 「何だと!?」

 

 

 あの冷静な蒼星石と気高い真紅が負けた。

 彼女らはローゼンメイデンでもかなり強い方なのに……にわかには信じられない。

 

 「ど、どこにいる?」

 

 「気づかなかったの。トンネルの出口にいるじゃない。使い古されたボロ雑巾のように、ウフフフフッ!弱すぎて話にならなかったわ!」

 

 

 後ろを振り向くと道標のように真紅と蒼星石が出口の端に向かい合うように置かれていた。

 

 「そ、蒼星石!真紅!」

 

 「駄目よぉ…ちゃんと見なきゃあ。それともお年で視力が弱ってたのかしら」

 

 

 

 「許さん」

 

 

 「はぁ?」

 

 

 「許さんと言ったのだ!。お前もディオも石仮面も全て葬ってやるわい!。‥……覚悟しておけ」

 

 

 

 「あらそう。楽しみにしてるわ……次に貴方が私と対峙する機会を……。では、ごめんあそばせ。ミスターツェペリ。ディオが待ってるから♪」

 

 

 

 水たまりに黒い羽が集まり、そこからnのフィールドに水銀燈は消えた。





 色々な都合により毎日投稿出来なくなったら申し訳ない。
 ジョセフのドールも一応決めて居ますが皆様の投票お待ちしてます。

ジョセフと契約するドールは誰がいい?

  • 金糸雀
  • 翠星石
  • 雛苺
  • 雪華綺晶
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。