ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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 あの日以来ついに二人はまた相見える。


邂逅

 

 夕暮れに没する……町の中働く人々。

 馬車を失ったジョジョ達は沈黙のまま徒歩でウインドナイツ・ロットを目指し歩いてきた。

 

 

 (こんなツェペリさんの顔は見た事が無い……彼が自分と石仮面の確執について話した時もこんな恐ろしい顔はしていなかった)

 

 

 

 ツェペリは我が子を抱きかかえるように先程の戦いでボロボロになった蒼星石を手にしている。

 蒼星石も真紅も服に焼け焦げたような後があった……トンネルの出口周辺で木々が真っ黒焦げになっていたり、道路の一部のレンガや鉄が溶けていたのだ……。

 真紅も蒼星石も火を用いた攻撃はしない……となれば水銀燈が燃やしたのだろうか………。 

 ジョジョとスピードワゴンがツェペリに合流した時、彼は既に童謡に出て来る悪魔のような雰囲気と顔つきになっていた。

「……何があったのです?」とジョジョが問いた所、「水銀燈が蒼星石と真紅を倒したのだ」と静かに……だが一方で漆黒の執念をも思わせる声音で彼は答えたのだ。

 真紅はスピードワゴンが持っている鞄に入っている。

 二体共まだ目を覚まさない。

 だが物事には優先順位がある……。

 

 

 ――――真紅や蒼星石も大事だが、今一番大事なのは町に隠れるディオを倒す事だ。

 今の所、農業に従事する町人等ちらほら見えるし特に異常はなさそうだが……。

 

 「仕事をしている人々もいるし……町はまだ大丈夫そうですね。しかしディオはこの町にいる」

 

 

 「うむ。蒼星石と真紅のツケは必ずディオに払わせてやらねばな……当然水銀燈もじゃ。奴も倒しジャンクにしてやる」

 

 

 「はい」

 

 

 良かったとジョジョは思う。怒りに支配こそすれ、ツェペリの冷静さや思考力は健在だ。

 流石、波紋戦士…心の切り替えが上手いのだ。

 そんな一行が会話して足を止めてる時、空からロープを掴んだ少年が飛来してきた。

 

 「ゲッ!?」

 

 スピードワゴンが驚くよりも早く、地に置いた鞄を盗まれ少年は飛んで行き、ドボンと音を立て湖に着水した。

 

 

 

 「ツェペリさん。子供ですよ」

 

 「子供のひったくりか、中々いい動きをしておる」

 

 

 ジョジョもツェペリも全く緊迫感を感じない対応だ。

 ツェペリに至っては何故か腕を組み感心している。

 スピードワゴンは呆れながら声を出す。

 

 

 「二人共ぉ!何トロォッとしてんだよぉ!。あの鞄には真紅と全財産が入ってるんだぜ!」

 

 

 三人等、気にも止めず少年は慣れた手つきで崖を登っていく。 

 

 「盗みがそのまま逃走の動きになっている」

 

 「どれ、あの子に町の案内をしてもらおうとするかね。ワシらにもワシらのやらねばならん事がある」

 

 

 蒼星石をスーツの内ポケットにしまいツェペリは湖に近づき身を屈ませ、両手に波紋を纏わせると水面に伝導させた。

 水面にツェペリの波紋が淡く金色に光り出す。

 そして――――。

 

 「ホッホッホッ」

 

 

 「えーッ!?」

 

 

 

 驚くスピードワゴン。

 

 

 「ホホッホッホッホッホッ!」

 

 

 「水面を!?」

 

 

 なんとツェペリは波紋の力で水の上を歩き出したのだ。

 

 「ふっ!」

 

 ジョジョもツェペリに続き大股で走るように波紋を足に纏い片足ずつ跳びながらツェペリの後を追う。

 

 「ジョジョ!膝まで濡れるとは!。波紋エネルギーの蓄積がまだ甘いな!」

 

 

 二人はあっという間に対岸に達した。

 

 

 「コォォォォォォォォ……!」

 

 

 崖を登る少年を見てジョジョは波紋の呼吸をし「フンッ!」と崖を叩く。

 

 

 

 崖の中から…ミシミシと音がして上へと登っていく。

 

 

 

 「ん~~。いい音響だったぞ。ジョジョ。波紋疾走(オーバードライブ)が確実に伝わっていく音だ!」

 

 

 

 「この辺に立っていればいいでしょうか?」

 

 

 「いや。ワシはもう2m左と見たね。2ポンド賭けてもいいよ」

 

 

 

 

 

 「う、うわぁ!」

 

 

 少年が掴んでいた崖壁に亀裂が生じ、淡い金色の光が炸裂した。

 

 

 「ビリっときたあああああああ!」

 

 

 「ジョジョ。ナイスキャッチ!」

 

 

 ツェペリの予想通りの場所で待機していた為無事、少年をキャッチ出来た。

 

 

 

 「……あれ?なに?アンタ達だれ?」

 

 

 「ん?……この少年様子が少しおかしいですよ。波紋が強すぎたかな?」

 

 

 

 「……いやおかしいのはこの少年だけじゃあないぞ……周りを見ろ!」

 

 「ここは……?」

 

 

 「墓場!?」

 

 太陽が今没した―――。

 吸血鬼と屍生人が活動出来る……ディオの時間になった。

 

 

 

 あらゆる箇所からボコッ!ボコッ!と土が盛り上がり手が出て来る。

 一つの手がツェペリの左足を掴む。

 

 「どうやら誘き出されてナイスキャッチされたのは、ワシらの方らしいぞ……その少年催眠術を掛けられてたようだ」

 

 

 「ジョースターさん!上だ!」

 

 

 

 いつの間にか渡って来ていたスピードワゴンの掛け声に皆、天を見上げる。

 無数の反り立った岩の一つにその男は立っていた―――。

 背中を月に向け、不気味なオーラを放ちながら……。

 

 

 

 「陽は落ちた……貴様らの命も没する時だ!」

 

 

 石仮面を被り人間を超越し、吸血鬼になったディオが現れたのだ。

 

 

 

 「ディオッ!」

 

 

 ジョジョとディオは二ヶ月振りに邂逅した。

 

 

 「に、兄ちゃん。怪物達が這い上がって来てるよぉ〜〜〜〜!」

 

 

 心配そうに言う少年に反し、ジョジョは近づいて来た一体に波紋を纏った蹴りを食らわせる。

 

 

 「お、俺は……この瞬間に対する心の準備はしてきたッ!だがやはり……ドス黒い気分になるぜぇ…汗が吹き出す!。あの野郎があんなにいい気になってピンピンと生きてる事によぉ〜〜〜〜!ジョースター卿の愛を!血染めの裏切りで返した男ッ!。あいつぅ……あいつだけはッ!」

 

 

 

 怒りと恐怖から…汗だくの右手をスピードワゴンは握り締める。

 

 

 

 「奴がディオか…成る程。奴や屍生人は太陽の元では行動出来ない。だから人間の子供に催眠術を掛け我々を自分の戦いやすい時と場所に誘き寄せたか!。狡猾なのは重々分かっていたがここまでとは……。何としてもあの男を消滅させねばならん!」

 

 

 互いに見つめ合うジョジョとディオ。

 ジョースター邸の戦いでの趣向返しか、ジョジョを睨むと指をクイクイと動かした。

 しかしディオの前に屍生人の群れが、一行を襲う。

 

 

 

 ドドドドドドドドド!

 

 

 

 「騎士の死体の屍生人共か!」

 

 

 「君!名前は?」

 

 「ポ、ポコ!」

 

 「よしポコ!。僕の背に掴まっておいで!」

 

 「行くぞッ!ジョジョ!」

 

 「はいッ!」

 

 「パゥ!」

 

 

 一体の屍生人に波紋の突きを食らわし、ツェペリはドミノ倒しのように屍生人達を倒す。

 

 

 「コォォォッ!ズームパンチ!」

 

 

 対するジョジョも修業中に習った関節を外し射程距離を伸ばすズームパンチを屍生人にお見舞いする。

 

 「す、すげぇ!」

 

 怪物を倒すジョジョにポコは歓喜と驚きの声を上げた。

 一通り屍生人らは倒され残るはディオだけだ。

 ツェペリは崖下からディオを見上げる。

 

 「ディオ・ブランドー……。個人的には貴様の事は知らん。だが貴様を目覚めさせた石仮面に対して敢えて言おう!。とうとう会えたな!」

 

 

 「クァァァァ…」

 

 ディオは白い吐息を漏らしながら唸る。

 

 「ヘイ!ベイビー!そんな不安定なところで戦う気か!降りてこい!」

 

 「……図に乗るなよ〜。たかが虫ケラがぁ!俺は生物界の頂点!未来を開く新しい生物となった!。人間如きと対等の地に降りていけるか!」

 

 

 これも恐ろしい吸血鬼が成す技なのかディオが右手を開くと彼の威圧と共に強風がふいた。

 

 

 「こいつなんと圧倒的な悪の大気よ!。既に暴帝になりつつある貫禄か!」

 

 

 「あれから二ヶ月。水銀燈から話しは聞いている!。さっきジャックがジョジョに負けたのもな。ジョジョから受けた傷は完全に癒えて互いに俺達は力を付けた……。お前達も諜報に用いたローゼンメイデン第四ドールから聞いていよう……今こそ決着を付けてやろうではないか!。それともお前が先でも構わんぞ呪い師?」

 

 

 「貴様!一体何人の命をその傷の為に吸い取った?」

 

 

 「お前は今まで食ったパンの枚数を覚えているのか?」

 

 

 

 「ぐっ……!」

 

 

 「ディオォォォォォォォォォォォッ!」

 

 

 怒り近寄ろうとするジョジョをツェペリは手で静止する。

 

 

 「ツェペリさん!?」

 

 

 「……ワシが殺る。ドールもドールならマスターもマスターじゃな…コオオオオオオオオッ!」

 

 

 呼吸しツェペリは岩と岩をディオの元まで跳んで行く。

 

 

 「音を上げさせてやる………パゥ!」

 

 

 

 バッシィィン

 

 ツェペリはパンチを繰り出すが、ディオはいとも簡単に止めた。

 ……だがこれで終わりではない。

 

 「流し込む!太陽の波紋!山吹色の波紋疾走(サンライトイエローオーバードライブ)!!」

 

 

 

 「やったぞ!波紋がディオの腕を伝わっていくぞッ!」

 

 

 ディオは波紋により自分の腕が膨張してるのに余裕の表情を崩さない。

 それどころかディオの腕が氷に覆われた。

 

 

 「貧弱ッ!貧弱ゥ!」

 

 「こ、凍っている!これは……うわぁぁぁ!」

 

 

 「な、ツェペリさんの腕まで凍っただと!?」

 

 

 「水銀燈は本当に役に立ってくれている。お前達の波紋に関する情報もなぁ!ツェペリとやら、貴様の波紋は呼吸と血液の流れに関係するものだな。どちらかがなくなれば当然波紋は起きなくなる!。したがって血液事凍らせればエネルギーは送り出せまいッ!」

 

 

 ツェペリの腕に血液が通わなくなり真っ白になっていく……波紋エネルギーが消失したのだ。

 

 「俺が自分の肉体を自在に操れると言うのは……知っているな。俺は貴様の触れた腕の水分を気化させた。水分は気化する時同時に熱を奪っていく……つまり瞬時に凍らせたのだッ!このディオの気化冷凍法は絶対破れん!そしてッ!」

 

 煌々と輝く赤い双眸が残像を描く。

 ディオは異常な速度でツェペリに拳を放とうとしていた。

 明らかにジョースター邸の時よりスピードもパワーも上がっている。

 ツェペリは慌てて片方の手でガードしようとするが……。

 

 「愚か者が!貴様の腕ごと亀を砕くように頭蓋骨を陥没してくれる!」

 

 

 

 その時新たな手がツェペリとディオの間に入りディオの拳を止めた。

 

 

 「ディオ!君の野望!僕が打ち砕く!」

 

 

 「フッ……敵ながら流石と言うべきか。ジョジョォッ!」

 

 

 「ディオの手……悪意のある血液の流れを感じる!」

 

 「……フフッ!。俺にとっては褒め言葉よ!よくぞこの俺の拳の動きを止めた!その成長を認めよう」

 

 

 「ジョジョ!」

 

 ツェペリに名を呼ばれツェペリの意図をジョジョは理解した。

 

 「…だがまぁ。俺がお前達ならいつまでも俺の手に触れてないがね」

 

 

 「「喰らえディオ!」」

 

 

 ジョジョとツェペリは同時に波紋を流す。

 

 「WRYYYYYYYYY!」

 

 

しかしそれでも波紋は流れなかった……ディオの気化冷凍方が発動したのだ。

 

 「オォ……!」 「グワァ……!」

 

 

 「水分気化による冷凍によって血液は腕を流れん!したがって波紋エネルギーも流れ出てこんと言ったろうが!」

 

 

 「つ、強すぎる。奴のエネルギーの方がワシら二人より五倍は強い!。ジョジョの手までワシの右手のようになってしまう!それだけは防がねば!」

 

 

 「ジョジョよ!。そのツェペリとやらから修業を受けお前は勇者になったと思ったがまだまだ役不足だなぁ!」

 

 「「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」」

 

 

 

 ディオは二人を掌底で吹き飛ばした。

 ジョナサンから分離したポコをスピードワゴンが受け止める。

 

 

 「気化冷凍法なんと言う技だ……手が異様に冷たい……凍った金属を触ったように皮が剥がれている!」

 

 

 

 「ツェペリのおっさんの腕もやばいぜ!。このままじゃ血が通わず腐っちまう!」

 

 

 

 「無敵……!太陽の波紋を送り込めない……ディオは倒せないのか!」

 

 

 

 「波紋?呼吸法だと〜〜〜。フーフー吹くならこの俺の為にファンファーレでも吹いてるのが似合っているぞ!。タルカス!黒騎士ブラフォード!ジョジョとその仲間達を扱いてやれ!」

 

 

 

 

 

 

 ドドドドドドドドドドドドドドッ!

 

 

 

 

 地鳴りを立て地面が隆起する、肩車をしながら二人の騎士屍生人が現れた……。

ジョセフと契約するドールは誰がいい?

  • 金糸雀
  • 翠星石
  • 雛苺
  • 雪華綺晶
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