ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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空に還る勇者

 

 

 「この音ッ!いつも良く聞く波紋の音だぜ!」

 

 

 「うむ……」

 

 

 ジョジョの波紋を流し込んだ音はスピードワゴン達の場所へも確実に聞こえていた。

 

 「ぬぅぅぅ……!」

 

 怨めしい声を上げ、ブラフォードはふらつきながら立ち上がった……。

 波紋疾走(オーバードライブ)を食らっても尚彼の肉体はまだ原形をとどめ……ジョジョの元に悪霊のようにゆっくりと………波紋で溶かされ手から離れた剣を拾う。

 

 

 

 「俺は黒騎士ブラフォード……!。これしきの痛みへこたれぬわぁ!」

 

 

 

 彼は波紋が流される前と変わらぬ速度で再びジョジョに襲い掛かる。

 片手に持たれた剣がジョジョの首を跳ねんとしてるのにジョジョはその場から動かなかった。

 

 

 「ジョースターさん!何してるんだ!かわすんだ!」

 

 

 微動だにしないジョジョに、ツェペリやスピードワゴン、真紅……挙げ句にはタルカスまで動きを止めこちらを見ていた。

 

 「スピードワゴン。その必要はなさそうじゃぞ」

 

 

 「な、何ぃ!?」

 

 

 

 

 ピタァ

 

 

 ジョジョに振られたブラフォードの剣はジョジョの頬に触り動きを止めたのである。

 

 

 「あなたは今これしきの『痛み』と言った……『痛み』と。あなたは『痛み』を感じている…」

 

 

 

 

 

 「花だ……。ブラフォードの足元に花が咲き始めた…。黒騎士ブラフォードの肉体は波紋を食らって崩れつつある……。だが同時に痛みも取り戻している、つまり人間としての痛みもな。波紋は彼の屍生人としての肉体を滅ぼすと同時に高潔な人間としての魂も甦らせたのじゃ……」

 

 

 

 

 赤い薔薇じゃないのに真紅は地面に咲いたその花から暖かさを感じた。

 

 

 「ツェペリさんの言う通り…だから僕は貴方との戦いを止めた。だから貴方は剣の攻撃を途中でやめた……!」

 

 

 

 

 ブラフォードの顔は憎しみや怒りに歪んだ顔じゃなくなっていた。

 ……母親と会話する息子のように安らいだ顔になっていた………。

 

 

 

 「お前……。俺が途中で剣撃を止めると、そこまで信用して攻撃して来なかったのか?。そこまで人間を信用出来るのか?……グゥ……!」

 

 

 ブラフォードは痛がるが顔は安堵に満ち溢れている。

 

 

 「フフ…。この痛みこそ生の証……。この痛みあればこそ喜びも感じる事ができる……これが人間か。身体は痛いが奇妙な安らぎを俺は今感じる。もう世への恨みはない……」

 

 月を見上げる彼の姿は歴史で学んだ彼の絵画を彷彿とさせた。

 誇り高き騎士としてのブラフォードを……。

 

 

 「こんな素晴らしい男に……こんな暖かい人間に最後の最後に出会えたのだ……生ける人形であるローゼンメイデンにもな……もう悔いはない。我が女王の元へ旅立とう」

 

 

 「ブラフォード貴方もローゼンメイデンを知っていたのか……」

 

 

 ジョジョは少し驚いた。

 ブラフォードの視線が蒼星石を見る。

 

 「あぁ……。戦闘中は奇怪な人形だとばかり思っていたが……怨嗟が晴れ鮮明に人間の記憶を取り戻した今……こうして寝ている彼女を見ると我が女王メアリーと契りを交えた金糸雀を思い出す」

 

 

 

 

 

 ――――彼の脳内に金糸雀とメアリーと楽しく話していた自分の記憶が思い起こされた……。

 

 

 

 「メアリー!ブラフォード!。夕陽が凄く綺麗かしら!」

 

 「本当ね」

 

 城のとある展望台からメアリー達は夕陽を眺めていた。

 

 「うむ。美しい、しかし金糸雀……お前達ローゼンメイデンはアリスゲームと言う戦いの最中なのに……随分とお気楽だな。他の六体を倒さなくては至高の少女(アリス)になれないんだろう?」

 

 

 「流石ブラフォード!勇者なだけあって言うことがかっこいいかしら!……カナもね。ちゃんと考えてるわ。自分なりに宿命を……生意気な妹が四人に愛情表現がちょっと怖い妹が一人!高飛車な姉が一人……とんでもない姉妹よ私達は!。特に水銀燈と真紅は仲悪いし!翠星石も性悪ね!。でも最後に勝つのはこの金糸雀かしらっ!」

 

 

 「頑張ってね。私は貴女が勝つのを応援してるからね金糸雀」

 

 「ありがとかしら!メアリー。ブラフォードも心配してくれてありがとう!。こんな良い人達に恵まれてこの時代で目覚めて良かったわ!」

 

 

 「ふ、なんだそれは……だが俺もお前や女王様に会えて良かった」

 

 

 「じゃあ。出会った記念を祝して一曲弾くわ!」

 

 

 〜〜〜♪

 

 

 

 彼女のバイオリンは実に美しい音色を奏で忽ち聞く者を虜にさせた……。

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 「なんとも楽しかったな……。感謝する懐かしく暖かい記憶を思いださせてくれて…。三百年経った友人よ。お前の名を聞かせてくれ」

 

 

 「ジョナサン・ジョースター」

 

 

 「……ジョナサン。我が女王より賜ったこの剣に刻んである言葉を捧げよう。LUCK(幸運を)!……そして君の未来へこれを持っていけ」

 

 

 ブラフォードは自分の血を指につけるとある一文字を付け加えた。

 

 

 

 「PLUCK(勇気をッ)!」

 

 

 彼の姿が薄くなっていく……。

 

 「ブラフォード!」

 

 

 「フッ、楽しかったぞジョナサン」

 

 

 三百年振りに復活した……ブラフォードはジョジョに剣と勇気を捧げ塵となって消えた。

 

 

 

 「なんと言う皮肉…なんと言う奇妙な運命ッ!。そんな……!。魂を救う為に殺さなきゃいけないなんて!恨みを持って処刑されたとは言えこんな誇り高い人物を!高貴なる心の持ち主を!」

 

 

 ジョジョの拳が怒りで震える。

 

 

 

 「ドス黒い狂気に変える!憎むべきは石仮面!許せないのはそれを操るディオ!」

 

 

 

 「ジョジョォーーー!後ろだ!」

 

 

 「ハッ!?」

 

 

 ツェペリの声に後ろを振り返ると……いつの間に移動したのかタルカスが立っていた。

 

 「この腰抜けめがぁぁぁぁ!」

 

 タルカスはそのままブラフォードが来ていた甲冑を蹴りでめちゃくちゃにする。

 

 

 

 「な、なんて事を……友人じゃないのか!?」

 

 「友人!?こんな腑ぬけな友人などいらぬわぁぁぁ!。尊敬してはいたが所詮奴は業師に過ぎぬ!だが俺は殺戮のエリートを目指した!。力で壊しまくり破壊しつくすだけだ!悲鳴を発せ!MUOOHHHH!」

 

 

 

 ドドドドドドドドドドドドドッ!

 

 

 

 大剣を地面に突き立てると隆起が起きた。

 地面が崩壊し、ジョジョ達は下に落ちていく。

 

 

 「ま、まずい!彼女を回収せねば!」

 

 

 急ぎ蒼星石を回収しジョジョはポケットに入れる。

 

 「う、うわぁーーーー!」

 

 

 「ポコ!?。危ない!」

 

 

 「ジョジョ!ナイスキャッチ!」

 

 

 身を隠していたと思わしきポコをジョジョは再びキャッチした。

 

 「ガキ!オメェ無事で良かったぜ!」

 

 

 

 「うむ……しかし。まだ崩壊は収まらぬ」

 

 

 「私は飛べるけど貴方達は危ないわ!」

 

 真紅の言う通り……早くこの場を切り抜ける策を見つけねば……。

 その策はすぐ下にあった。

 一行の下には落ち葉が大量に落ちている。

 

 「これは使えるな!ジョジョ!」

 

 

 「はいツェペリさん!」

 

 

 「「コォォォォォォォォォォォ!」」

 

 

 

 二人は波紋の呼吸を行い散らばる落葉に波紋を流した。

 

 

 

 

 

 

 「「生命磁気への波紋疾走(オーバードライブ)!」」

 

 

 

 

 二人が両手を上げると大量の落ち葉が集まり、まるで一枚の大きな葉っぱのような形になっていた。

 まるで東洋の帆のようだ。

 

 

 「捕まれ!スピードワゴン!ポコ!」

 

 

 

 後ろに狭っていたタルカスの凶刃をかわし四人は空に飛び出した。

 

 

 「クスッ…波紋の力はやはり凄いわね」

 

 

 感心し彼等に続く真紅。

 人間の身体は微量ながら磁気を帯びており生命磁石になっていると考えられる。

 波紋疾走(オーバードライブ)はその生命磁気をパワーアップ。

 木の葉にそれを流し込み葉っぱ自体を生命磁石としてくっつけたのである……。

 

 

 

 「やーい!」

 

 

 ポコは尻を叩きタルカスを挑発してみせたが。

 

 

 

 「ポコ!。英国人ならもっと気高い仕草をなさい!」

 

 

 

 「……ごめんなさい」

 

 

 

 

 真紅に結構キツめに怒られた。

 

 

 

 

ジョセフと契約するドールは誰がいい?

  • 金糸雀
  • 翠星石
  • 雛苺
  • 雪華綺晶
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