ヴァンパイアとアリス 作:獄華
死の修練場での一戦を終え、一行は町を歩いていた。
真夜中のウインド・ナイツロットは不気味な程に静まり返っていた。
皆が寝静まっているのか、ディオの手下の吸血屍生人にされたか定かではない。
先程の死の修練場での出来事も相まって一行もあまり口を開いていない。
幸い戦いでのジョジョの怪我は軽い物で波紋の呼吸で治している。
長きの沈黙を破ったのはスピードワゴンだった。
「ジョースターさん。ディオの野郎は一昼夜中に全員を屍生人にすると言っていた……屍生人は屍生人を産みその速さはねずみ算だぜ!」
「あぁ」
「このウインド・ナイツロットがまだ生きてりゃ良いんだがな……」
「姉ちゃん達大丈夫かな…」
「うむ。皆急ぐぞ。なんとしてもディオの野望を食い止めるのだ」
死の修練場以来、町の者には誰にも合わず今まで歩いてきたが真紅が「誰か来るわ」と一行に警告を促す。
急ぎ真紅はジョジョのポケットに蒼星石はツェペリのポケットに隠れると前から薪を担いだ男性が歩いてきた。
「アダムスさん!」
どうやらポコの知り合いのようだ。
嬉しそうにアダムスと呼んだ男性に駆け寄っていく。
「おいポコ!こんな夜遅くにどこほっつき歩いてるんだ!」
「い、色々わけがあってさ。そんなことよりアダムスさん。オイラの姉ちゃんや家族は!?町は大丈夫!?」
「……大丈夫だと」
アダムスの声音が変わった事に一行に緊張が走る。
「……オメェ大丈夫どころか……」
ジョジョ、ツェペリ、スピードワゴンは引き続き彼の言葉に注意を払ったが……。
「カンカンもんよ!。帰ってきたらお前を牛小屋に閉じこめるとよ!」
両手の人差し指を頭の横に添えたその様子は今にも「モ〜」とでも聞こえて来そうだ。
一行は唖然となるが……一先ず無事な人間は確認出来た。
「町はまだ無事なようじゃな。だが油断禁物急ぐぞ皆!」
「はい!」 「おう!」
「ありがとう!アダムスさん!」
一行が歩き出すのにアダムスはその場から一歩も動かないでいた。
彼は既に屍生人に化していたのだ。
異常な長さの舌がグングン一行に向かい伸びる。
狙いはポコだ。
「子供だぁ……ヘッヘ。子供の暖かい血が吸いてーぜ!」
グルリと彼の首だけが後ろを振り向き、その格好のままポコを襲わんとするアダムス。
攻撃を察知したジョジョは瞬時にポコの後ろに立ちアダムスの舌を掴んだ。
得体の知れない常識外れな攻撃にスピードワゴンとポコは驚く。
「この男既に屍生人だッ!」
「マスター。舌を斬ってジョースターさんの援護をしますか?」
「いやジョジョに任せよう」
「ウシャー!俺様のスピードがかわせるかーっ!」
「フンッ!」
「ゲヒャ!?」
ブラフォードと同じく高く跳躍し襲いかかろうとしたがスピードは彼の三十分の一にすら満たない。
今のジョジョには酷く遅く見えるぐらいだ。
難なくアダムスの舌を踏み彼を地べたに固定させ波紋を流し消滅させた。
「この分では町はもう……」
「その通りだ。町外れに屍生人が蔓延りつつある!」
また新手の屍生人が現れた。
特徴的な逆立った髪、しかも今度はブラフォードを思い起こすような屈強な肉体に眼光炯々としたその目つきは只者ではないのを物語る。
「我が名はダイアー!」
「ムッ!」
構えるジョジョにダイアーは、ジョジョの顔の高さまで跳ぶがこれもブラフォードに比べれば遅い。
そのまま空中で足をジョジョの方に向けて動かす。
「蹴り攻撃……しかしスローな蹴りだ」
ジョジョは迫るダイアーの足を両手で止めると、何とダイアー自ら足を開きジョジョの両腕を広げさせた。
ビィィン!
「うっ!」
上半身が無防備となってしまうジョジョ、ダイアーはこれを狙っていたようだ。
「必殺!
彼の大きな両剛腕がチョップを伴いジョジョを狙う。
だがそこでジョジョは彼に頭突きを喰らわし攻撃をキャンセルさせる事に成功した。
ダイアーはそのまま地面に打ち付けられる。
「な、何て奴!。普通であれば後方に頭を下げて交わすのを逆に負傷覚悟で頭突きを食らわすとは!」
「覚悟!」
「そこまでじゃジョジョ。彼は屍生人ではない。我が盟友よ」
ツェペリが自慢気に言うと、ダイアーは「ツェペリさんの言う通りだ」と苦笑しながら立ち上がる。
「失礼したが君がツェペリさんから学んだ実力を試させてもらったのだジョナサン・ジョースター……ふふふ、嫌と言う程君の実力を味わったよ。ツェペリさん、良い弟子を見つけたな」
「あぁ。全くじゃわい。自慢の弟子じゃよ。ところでダイアー。お前さんが来たという事はワシの手紙は確実に届いたようだな」
「あぁ。ツェペリさん」
「お前の手紙に書かれてる事は全て読んだぞ。ツェペリ」
二人の人間が姿を現した。
片やジョジョと近そうな年齢の黒髪の男と、片や東洋の仏教徒のような高齢の老人だ。
「ストレイツォ、老師トンペティ」
ツェペリは西洋式の挨拶ではなく、東洋式の手を合わせトンペティに挨拶して見せる。
トンペティを見た瞬間、ジョジョは老いているのに底知れぬ力強さと老獪さを感じた。
「よろしーく」
トンペティに合わせ、ダイアーやストレイツォもジョジョ達に向け手を合わせて挨拶して来たので、ジョジョやスピードワゴン、ポコ、真紅や蒼星石も同じ挨拶で返した。
「ローゼンメイデン第五ドール真紅よ。初めてこの目で動いてる姿を見れた。会えて光栄だ。波紋の修行に疲れた皆を励ましてくれたり楽しい話で場を盛り上がらせてくれたと聞いとる」
「そう言って頂けると私も光栄です。老師トンペティ。会えて良かったですわ」
誇り高き真紅も彼の前ではその凄味からか敬語を用いて会話していた。
「第四ドール蒼星石。君にも会えて光栄だ。ツェペリを支えてくれて感謝しておる」
「こちらこそ老師トンペティ。僕もマスターにはお世話になりっぱなしです」
「本来なら彼女らローゼンメイデンともゆっくり話したいが、第一ドール水銀燈がディオについたそうだな」
「はい。我々は彼女と二度対峙しておりますが戦闘能力はもはや並の屍生人、吸血鬼では恐らく手が出ますまい……。彼女は強大なドールです」
ツェペリの道中での彼女と邂逅した際に起きた出来事を聞きトンペティは顔を顰める。
「一刻も早くディオと水銀燈を倒そう……。我々の力を見せつけるのだ」
沈黙の暗闇の中一行は首を縦に振った。
表面上は皆冷静を装ってるが心には二人を倒すと言う強い意思が燃えている。
―――――
「ねぇ。ディオ……ドレスどっちが合う?」
「ん~~。右じゃあないか。黒いし薔薇の模様があしらわれているし」
「分かったわぁ。こっちにする」
ジョースターの一行が自分達を殺しに来る状況でディオと水銀燈はつい先程まで身体を交えていたばかりだった。
故にディオは半裸で水銀燈は下着姿である。
「いよいよジョジョとの最終決戦か……」
「あらどうしたの?。ジョナサンに情が?」
「無いと言えば嘘になる。仮初とは言えジョジョとは七年同じ家で過ごし、同じ飯を食ったからな……奇妙な縁だ」
「ふふふ、やっぱりディオは可愛いところがあるわねぇ。さっきの女性と赤ん坊を逃がしたのも情から?」
「かもしれんな……」
屍生人が女性と赤ん坊を食おうとしたのをディオは逃がしたのである。
因みに屍生人は半殺しにした。
理由は自分でも分からないが、女性と赤ん坊が可哀想だからと言うチャチな理由ではない。
取るに足らないからかと言われれば近い理由かも知れんがそれも真理ではない。
「俺も歳か」
「20代の坊やが何言ってるのよ」
水銀燈につられディオも苦笑する。
不老不死の肉体を手にした自分に歳の概念など無いと言うのに。
「喧しい奴め。ところでさっきお前が発現したというスタンドだが、原理が精神エネルギーだとは分かったが水銀燈はどんな能力を身に着けたのだ」
「ジョースターの一行が来たら嫌と言う程見せてあげる。私のスタンド、
「そうか。俺とジョナサン・ジョースターの戦いには手を出すなよ。ジョジョだけは俺が殺る。これが我が宿命よ」
「分かっているわマスター」
最後に口づけを交え、二人は着替えると共に玉座に移動した。
ジョセフと契約するドールは誰がいい?
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金糸雀
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翠星石
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雛苺
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雪華綺晶