ヴァンパイアとアリス 作:獄華
「うぉぉぉぉぉっ!」
「WRYYYYYYYYYYY!」
二人の咆哮がこの雌雄を決する死闘の始まりのコングとなった。
波紋を纏ったジョジョの拳と気化冷凍法を発動させたディオの拳がぶつかり合う。
岩を発破させたような爆音が鳴り響き空気を振わせた。
「グォ……!」
「ウグゥ……!」
波紋の黄金の光と氷の結晶が辺りに飛び散った……。
なんと二人の力はほぼほぼ互角だったのだ。
吸血鬼の身体能力に加えて気化冷凍法まで使い自分と互角のジョジョに……ディオは恐怖を覚える。
勿論ジョジョにも波紋の力があるとは言え、彼が人間の身で自分と渡り合うジョジョの爆発力は脅威でしかない。
「このディオの拳に引けを取らないとは……!。ジョジョ!やはり貴様は侮れぬ!」
「言ったはずだぞディオ!貴様を殺すと!。コォォォォォォォ!」
極限まで呼吸を高めるジョジョ。輝くは緋色の光……波紋の中でも熱が高い緋色の波紋を全身に纏わせていた。
「こ、こいつ!俺の氷を波紋で溶かしてやがる……!。退かねば!」
恐るべき速度でディオは後ろに身を引くもジョジョはそのあとをピタリと追い掛けて来る。
「馬鹿な!」
「皆戦っているのだ!。だから僕も全力で戦わねばならない!」
ジョジョの拳がディオの顔面をぶん殴ったが……気化冷凍法が発動され完全に波紋は流れななかった。
だが手応えは感じた。
拳に着いた氷は緋色の波紋ですぐに溶ける。
「くっ!。やはり気化冷凍法は強力無比!……だが、少しは波紋を流せたようだ」
「ヌゥゥゥゥゥゥ……頬が熱い!。これが波紋か……!」
直ぐ様気化冷凍法で凍らせ溶けた部分を修復させるディオ。
人生で初めて波紋を経験した屈辱とジョジョの覚悟に対する思いがディオの頭の中に渦巻く。
はっきり言ってジョジョがこれほどまで強くなるとは想定外だ。
「……ハッハッハッハ!。ジョジョよお前の波紋と勇気!そして爆発力は認めざるを得ない!」
「その言葉本心か……ディオ」
「勿論だともジョジョ……だからこそ!このディオ世界の頂天に立つために今ここで貴様には負けられないのだ!どんな手を使おうとも!」
「何!?。うぉぉぉぉぉ!」
城内を熱風を伴い爆炎が吹き荒れた。
辺り一面火の海になり、ディオの姿どころか視界が炎以外見えなくなる。
「なんて熱さだ!。このままでは焼き尽くされるだけ………!。熱には熱で順応だ!。
緋色の波紋で相対的に自分の体と爆炎の温度差を少なくし極小のダメージに抑える事に成功した。
この炎は赤色じゃなく
「水銀燈の炎か……。nのフィールドからディオを援護しているとなれば奴は片手間でツェペリさん達と戦ってると言うことか……?」
「あぁ」
「ディオ!」
炎の中から聞こえる彼の声は至って普通の様子。
やはり炎によるダメージはないのだろう。
……やがて炎はゆっくりと彼の声がした方に収束していき、炎が止むとジョジョの目の前には変わり果てた姿のディオがいた。
「ディオ!。その姿はいったい!?」
「第二ラウンドだ!ジョジョ!」
髪は逆立ち、目の色が赤紫に変色している。
何より奇妙な事には彼から今まで感じられた氷のような冷たさに加え炎のような熱さまで感じる事が出来た。
冷気と熱気が彼の中で同時に存在しているのだ。
「水銀燈から炎の力を分け与えられたのか!」
「フンッ。大方正解よ!。アリスとなった我がローゼンメイデン水銀燈によりこのディオは氷に加え炎の力を手にした!」
ノーモーションでディオは炎を発生させ、ジョジョに向けて動かして来る。
ジョジョは熱気を感じ取りどうにか間合いを取るので精一杯だ。
「っ!とんでもない力だ!。アリスの力これほどとは……!」
「ジョジョよ。これは彼女の能力の一端に過ぎん。そして今お前の敵はこのディオだと言う事を忘れるな!」
瞬間移動と錯覚しそうな程の高速移動でジョジョの真下にまで来ていたディオはヒュン!と移動速度よりもより早いアッパーを放った。
「ゴハッ!」
避ける間もなくジョジョのお腹にクリーンヒットすると大量の血を吐き出しながら彼の身体は床を滑り転がる。
………止まった時には全身の痛みから頭がフラフラして今にも気を失いそうだった。
(い……ち……げ、き……もらった……だけで……この破壊力……)
「クククッ。運良く……いや運が悪くかな。生き残ってしまったようだなジョジョ。本来だったら俺のアッパーがお前の腹を貫いてあの世ヘ旅立てたのに残念だ」
使い古しのボロ雑巾のようにみすぼらしく己の血で赤く染まるジョジョを見てディオは笑う。
「氷と炎どちらで死にたい?」
左手に氷を右手に炎を纏いディオはこちらへ歩いてくる。
「…どちらもお断りだな」
「贅沢な奴だ。せっかくこのディオがどちらで死にたいか選ばせてやってると言うのに……どちらか選べジョジョ」
「選べないさディオ………何故なら死ぬのは貴様なのだからな!」
コォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォ!
ジョジョの身体が赤く光輝く。
ブラフォード戦の時のように波紋の力が極限までに達する事に成功した。
しかもあの時よりもエネルギーが強い感触がある。
波紋使いの中でも指で数えた者しか立てたことがない境地に辿り着いたのを当のジョジョ本人は気づいていない。
「人間は成長するのだ!してみせる!」
「確かに貴様の成長目に見張る物がある!。だがなジョジョよ!。それでこのディオが引き下がると思うなぁぁぁぁぁぁ!」
熱気と冷気がディオの身体から溢れ出す。
相反する存在をディオは今、操っているのだ。
ジョジョの爆発力は敵であるディオをも成長させていた。
「爆炎を味わえ!。炎の輪舞!」
その炎は不気味な紫色に輝きながらも何処か美しさすら覚えるものだった。
逃場のない爆炎がディオの明確な殺意を持ちジョジョを襲うが彼は決して逃げなかった。
「水銀燈の炎は確かに強力だが、波紋を甘くみるなぁ!」
次々にジョジョの身体にディオの炎が突き刺さるがジョジョは服が燃えながらも大地を走る機関車のような力強い走りでディオの元へと向かう。
緋色の波紋が熱のダメージを変わらず極小まで下げてるからなせる技である。
「うっしゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
右拳と左拳を重ねジョジョは特大な一つの拳を作り出した。
当然緋色の波紋がたっぷり流れている。
「面白い!貴様の希望容易く打ち砕いてやろう!」
気化冷凍法の氷と水銀燈の炎を同時に纏いディオは両手で受け止める。
パシィィィィィィィィィィ!。
「無駄無駄無駄無駄ァ!。煉冰の二つの地獄に旅立てジョジョォ!」
煉冰と波紋が互いに反発し合う。
………だが。
「ウォォォォォォォォォォォ!」
「WRYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYYY!………な、何ぃ!」
緋色の波紋がディオの煉冰を打ち破った。
突き抜けたジョジョの大きな拳がディオを穿つ……すかさずジョジョは黒騎士ブラフォードより託された剣で……上半身と下半身を真っ二つにした。
「馬鹿な……!。何世紀も未来へ永遠へ!……生きる筈のこのディオが!」
上半身となったディオはそのまま城の外ヘと落ちていく。
髪型は元に戻り、ディオの赤紫の目も赤色に戻っていた。
ダメージを負って水銀燈の力が抜けた為だろうか……何にせよディオの炎と氷を合わせた力は極限まで高めたジョジョの緋色の波紋の前へ敗れた。
(ブラフォード。貴方のおかげだ……貴方に託された女王陛下より与えられし剣の『熱伝導』が僕の体温を上げ水銀燈の邪悪な炎を緋色の波紋のエネルギーへと変えてくれた……)
ブラフォードは死して尚、ジョナサン・ジョースターを助けてくれていたのだ。
煉冰を打ち破る緋色の波紋を増幅させる熱伝導として……。
「散滅すべしディオ!」
落ち行く元兄弟を……ジョジョは見なかった。
「この……ディオが!AHHHHHHHH!」
断末魔にもにた慟哭にジョジョは急ぎディオの方を振り返る。
まさにこの世にしがみつく悪鬼の最後の足掻き……。
ディオは両目から自身の体液を圧縮させた光線を放ったのだ。
危なくもう少しでジョジョの急所に当たるところだった……。
「ディオ……!まだこんな力が……!物凄い圧力だ!あと数秒cmずれていたら僕の命はなかった……!」
………だがそれが最後だ。
ディオはそのまま下に落ちていく。
「終わりだ…ディオ」
泣きながらジョジョは告げる……嘗て奇妙な友情を抱いた兄弟に。
「こっちは貴方が勝ったのねジョジョ……」
聞き覚えのある厳しくも暖かさを感じさせる少女の声。
「真紅かい…!?」
見ると金髪ロングヘアーで蒼い双眸の十代半ば程の少女がいつの間にかそこに立っていた。
赤いドレスも相まって高貴で美しい薔薇を思い起こさせるがその表情は酷く哀しんでいた。
……ジョジョと同じように涙を流し……顔や腕や足が破損した蒼星石の人形の抱えながら。
彼女の周りには、スピードワゴン、ポコ、アイラ、ストレイツォの四人が項垂れている。
気を失っているようだ。
「アリスになったのか……?」
「えぇ……託されたの皆に……!」
ローゼンメイデン第五ドールから
――――――
「波紋が……首に到達する前に首を切らねば……!」
ディオは波紋で体が崩れ落ち行く中、自分の首をハネた。
首だけとなり受け身も取るすべもなく地面に落下する自分をとある者が両手で抱えた。
「……こっぴどくやられたわねぇ」
「水銀燈……」
「生きていて良かったわ」
スリスリとディオの顔と互いの顔を彼女は擦り合わせた。
程無くすると気が済んだのかディオを抱えたまま水銀燈は歩き始める。
空を飛んでるところをジョジョに見られたら今のディオにとって不都合だろうと彼女も分かってるのかは定かではないが徒歩での移動は助かる。
「お前のおかげで危うく落ちたトマトにならなくて良かった……ツェペリとか言う呪い師共はどうなった……?」
「波紋使いなら全員叩きのめして恐怖を与えたわ……その中でもミスターツェペリとミスターダイアー、ミスタートンペティは煩わしくてぇ―――」
『殺したわ』
「よくやった。もう一人いた波紋使いとローゼンメイデン達は?」
「あら、良く覚えてるわねぇ。ミスターストレイツォは物分りのいい人だったわよ。最初は威勢よく戦っていたけれど三人殺したら親に叩かれた子供のようにすみでブルブル震えていたから…ギャーギャー騒いでたスピードワゴン達と気絶させたわ。問題なのは残りの二体」
水銀燈の声音が明らかに面倒くさそうな物になる。
「笑っちゃうわよねぇ……。致命傷を追ったくせに絆云々抜かしボロボロになった蒼星石に死ぬ前に三人の波紋を送ったのよ。人形だから波紋なんて効果無いと思ってたんだけど『無意識の海』からその力を受け取れるみたいなのよね」
「ドールが波紋の力を受け取れる……か。だがボロボロの蒼星石が波紋を渡されたとは言えどお前と引き分けられるとはとても思えんが……まさか」
ディオは見抜いていた。
水銀燈がnのフィールドからこちらの世界に姿を現したのは彼女に匹敵する存在の出現に他ならないと……水銀燈ならnのフィールドの中から動かずディオを救い出すのなど容易いこと……つまり第二のアリスが孵化したのだ。
アリスに対抗出来るのはアリスのみ。
満身創痍の蒼星石がアリスになれるとは凡そ思えない。
なら残っているのは―――――――。
「真紅か……」
「そうよ。
口惜しそうに水銀燈は言う。
それは喋ると言うより怒号に近かった。
水銀燈は恐らく自分と同じ存在が他にも居るのが許せないのだろう。
水銀燈はマスターのディオが糧とした人間達の栄養で……アリスに。
真紅はマスター以外の三人の波紋戦士の波紋と蒼星石のローザミスティカを使ってアリスに……。
過程は違うが今アリスは二人いる。
当然ディオが選ぶアリスは水銀燈のみだが。
(人形師ローゼンよ……水銀燈と出会わせてくれた事に感謝する。彼女はこのディオに掛け替えのない存在だ)
「ごめんなさい……熱くなりすぎたわ。それでディオ。これからどうされて?」
「……俺に計画がある。取り敢えず今はウインドナイツ・ロットから離れるぞ」
「了解よ。マスター」
ウインドナイツ・ロットを恐怖と混沌に貶めた吸血鬼ディオ・ブランドー。
高慢で狡猾な彼が罪悪感など覚える筈もなく………自身を首だけにしたジョジョに怒りを覚えながら水銀燈と共に町を後にした。
次回で一部は終了。
第二のアリスはどちらがいい?(一応決めてあるけどアンケ取るよ)
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蒼星石
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真紅