ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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 ディオを倒しウインドナイツ・ロットに安寧が訪れた。
 あの出来事は関わった者達に多大な影響を与えたがそれでも皆前に進んでいる。
 あの出来事から二ヶ月……結婚したジョナサン・ジョースターとエリナ・ジョースターはアメリカに新婚旅行で行こうとしていた………。


最後の波紋

 

 

 ―――――この現実は悲しいけど忘れてはならない。

 

 

 真紅は枕を濡らしながら目を醒ました。

 ディオ・ブランドーと水銀燈の戦いから二ヶ月……。

 あの戦いで生き残った者達は徐々に日常を取り戻し始めている。

 アイラとポコはウインドナイツ・ロットでまた新たに生活を初め、ストレイツォは今回師を合わせ波紋使いの仲間が三人も奪われてしまった事からチベットで今まで以上に修行に力を入れるようになったようだ。

 スピードワゴンも食屍鬼街 (オウガーストリート)に戻り今度は誰もが安心して訪れられるより良い街にする為に配下達と一緒に薬や賭け事を取り締まっているのだとか。

 

 

 皆、新たに突き進んでいる……中には志しに変化があった人間もいるがそれでも前に進んでいるのは確かだ。

 あの出来事は色んな意味で関わった者を変えたのだ……。

 戦いを共にした仲間のジョナサン・ジョースターとマスターのエリナ・ペンドルトン……否、エリナ・ジョースターもそうである。

 二人はあの戦いの後に結ばれ、結婚式にはスピードワゴン、真紅、ポコ、アイラも出席し、盛り上がりあの戦いが嘘のような幸せ満ち溢れる素晴らしい結婚式だった。

 特にスピードワゴンの祝辞は笑いと感動を場に齎し、式が終わる頃には彼はクールな去っていった。

 ジョジョは考古学者の仕事を新たに見つけ、エリナと共に故郷に新たな家を見つけ住んでいる。

 

 「おはよう。エリナ。ジョジョ」

 

 

 「「おはよう真紅」」

 

 

 ジョースター夫妻は優しい笑みを真紅に向けた。

 キッチンに向かうとエリナがベイクド・ビーンズとマッシュルームを三人分作っていた。

 今まで色んなマスターの元にいた真紅だがこれほど美味しそうに料理を作るのはエリナが初めてだ。

 

 

 「紅茶は僕が用意するよ」

 

 

 「駄目よ!。私はエリナが淹れた全てに於いて完璧で隙のない紅茶しか飲まないのだわ!」

 

 「……これはお手上げだ」

 

 ジョナサンは手を広げ「やれやれ……」と言ったような仕草を取り、それを見て妻のエリナは苦笑する。

 

 「分かったわ。私がやるから二人は座ってて」

 

 

 座してエリナの紅茶を待つ中、「ねぇジョジョ……色々あったわよね」と真紅が語り出した。

 

 二ヶ月前……ディオを倒した後ジョジョの前に突然現れた真紅は泣いていた。

 気丈な彼女の性格を思えばとても考えられない事だったが真紅から全てを聞かされた時……ジョジョも大きく失意の念に駆られた。

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 「何だよここは……!」

 

 

 スピードワゴンが連れられて来たnのフィールドに驚愕したが無理もない。

 水銀燈が招いたnのフィールドは太陽すら通さぬ黒い雲と荒廃した大地と崩れた建物やところどころから紫色の炎が噴出している……不気味な場所だったのだ。

 nのフィールドはドールやそのマスターの人間の心を反映する事がある。

 この凄惨さをみるにディオか水銀燈のどちらかの心が映し出されたのだろう。

 

 

 「老師トンペティ。此奴アリスになり人間の姿、形こそしているものの中身の邪悪さはディオにも負けず劣らず……いや!それ以上かも知れませぬ!」

 

 

 「う〜む。西洋の諺で美しい薔薇には棘があるとは聞くがこいつの棘は毒も含んでそうじゃな」

 

 

 「グダグダ言ってないで掛かって来なさいよぉ?。私が怖いのぉ?」

 

 

 「貴様!嘗めおってアリスだかなんだか知らぬが波紋の力を思い知らせてくれる!」

 

 

 水銀燈の挑発に引っかかったのはダイアーだった。

 

 

 「何も吸血鬼や屍生人を倒す事だけが波紋の力ではない!。鍛えられた波紋の力は人一人再起不能にするぐらいわけないのだ!」

 

 

 「……うふふふ。そうかっかしないでくださらない?。乱暴な殿方ねぇ」

 

 

 「貴様の悪ふざけなど付き合ってられん小娘!」

 

 

 

 波紋を纏いダイアーの身体が黄金に輝き……なんとそのまま並列する残像を作り上げた。

 5人のダイアーの残像が一糸乱れず同じ動きで水銀燈の元へと歩み寄る。

 

 

 

 「ふぅん。人間って修行次第でこんな事も出来るのねぇ。でもぉ……そんな日本の忍者の分身の術みたいなのじゃ役不足もいいところよ」

 

 

 「ほざけ小娘!。貴様は我が射程内に入っておる!」

 

 

 

 ダイアーは身体を跳躍しそのまま水銀燈に蹴りを放つ。

 ジョジョの時と同じ技だ。

 

 「あれはジョースターさんとダイアーさんが出会った時の技だ!ジョースターさんには蹴りを止められたがあの華奢な身体じゃ蹴りだけでも大ダメージなはず!なのに何故水銀燈は避けないんだ……?」

 

 「笑わせないでよ。まさかこの蹴りが技?。だったら能がなさすぎるわよ。ミスターダイアー」

 

 

 一同は驚愕する。

 筋肉隆々でもなく華奢な体の水銀燈がダイアーの蹴りを難なくジョジョが受け止めた時と同じく止めてしまったのだ。

 しかしこの技にはまだ続きがある。

 

 

 「掛かったな!アホが!稲妻十字空烈刃(サンダークロススプリットアタック)!」

 

 

 ダイアーは腕をジョジョの時とは違い十字に組み、水銀燈に躊躇なく振り下ろした。

 

 

 

 「最初小娘のお前に少しばかり驚いたがもう容赦せん!。俺の蹴りを止めた時ジョナサン以上の腕力と得体の知れぬ力を感じた!お前は悪魔だ!水銀燈!」

 

 

 

 「やった!ジョースターさんに試した時は模擬故に手を組んでないためか頭突きで迎撃されたが、十字空烈刃(スプリットアタック)はその欠点を補って攻守に於いて完璧だ!」

 

 

 「ダイアーのこれを破った格闘者は一人としておらぬ……この技を使わせるとは水銀燈恐ろしい奴だな……」

 

 

 

 ストレイツォ含め他の皆はどうなるのか注目している。

 しかし水銀燈は依然として余裕綽々の態度だ。

 

 

 

 「ふん。プロレスがしたいならリングでやりなさいな………気化冷凍法」

 

 

 

 「な、なにぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!?。何故ディオの技を水銀燈が!。ダイアーさん早く離れろ!」

 

 

 「ぬぅぅぅぅ……!」

 

 

 「もう遅いわよ。氷付けにしてあげたから」

 

 

 

 ピキィンとダイアーは頭まで氷ついてしまった。

 

 

 「ディオだったら砕きそうだけど、こんな人間砕く価値も無いからオブジェクトとして置いてあげる」

 

 

 器用に水銀燈は自分の炎でダイアーと接してる手だけ解凍するとダイアーをそこら辺に適当に置いた。

 

 

 「ダ、ダイアー!。許さん!」

 

 

 「その台詞。聞き飽きちゃったわ。ミスターツェペリ」

 

 

 「え?」

 

 

 ツェペリの視界が水銀燈から床に変わった。

 ボタリと転んだのだろうか?…しかし何かに躓いた感じはない……どころか痛みも何もない……だが身体が異様に軽く感じ下半身の感覚もない。

 そこでツェペリは恐ろしい事実に気づいた。

 

 ………自分の下半身が無いことに。

 

 

 「あぁ……マスター……」

 

 

 マスターのツェペリを心配する蒼星石の声は絶望に満ちていた。

 

 

 「そんな……いつの間に……!」

 

 

 「ふふふ。あら血って意外と美味しいのねぇ」

 

 

 顔に付着したツェペリの血を美味しそうに水銀燈は咀嚼する。

 水銀燈は恐るべき速度でツェペリの上半身と下半身を斬っていたのだ。

 

 「あれは庭師の鋏!。やはり僕のよりも威力も硬さも鋭さも大違いだ……!」

 

 

 「それだけではないのだわ!。水銀燈は今血が美味しいと言った……つまり吸血鬼の能力も手にしている……?」

 

 

 「ぁはははははは!。そうよ。私はアリスになり全てのローゼンメイデンの力とスタンドにより全ての生物とスタンドの能力を使えるようになったのよ。その生物のデメリットを無視してねぇ!」

 

 

 

 最悪だ。

 スタンドと言うものが何なのか分からないが水銀燈はアリスになり最悪の存在と化した。

 彼女を倒せるとすれば同じ存在になるしかない――――。

 

 

 「ミスタートンペティ。力比べといきましょうよ。私の波紋と貴方の波紋どちらが強いかねぇ!」

 

 

 

 「……ウォォォォォォォォォ!?」

 

 

 吸血鬼と全ての生物の相乗作用は水銀燈にとんでもない速度を与えてみせたトンペティの身体に膨大な規模の波紋が流された。

 あまりの威力に服が焼き付き皮膚は焼け爛れる。

 

 

 「貴様……全ての生物と言う事は………柱の男の力も……」

 

 

 「ふふふ。察しがいいわねでも残念。柱の闇の一族よりも上の力もあってよ。風の流法(モード)

 

 

 水銀燈を中心に竜巻が吹き荒れた。

 

 「うわぁぁぁぁ!」

 

 

 「ポコ!しっかりしなさい!私が付いてるから!」

 

 

 

 「アイラ!ポコ!身を低くしろ!。ひぃぃぃぃぃ!こんな風!カリブ海でも中々味わえねぇぞ!」

 

 

 スピードワゴンは身を挺して二人を守る。

 

 

 「水銀燈様。風を止めてください!」

 

 

 「このままじゃオレっち達も死んじゃいますよォ〜〜〜!」

 

 

 「あぁ。そういやいたわね屍生人共……。この水銀燈の餌になりなさい」

 

 

 「へ?。はぎゃ〜!?」

 

 

 血管針をロープのように伸ばし水銀燈は屍生人全員からエネルギーを吸い取った。

 

 

 「ふふふ。実に馴染むわ。こっちの波紋使いの御一行さんにはもう風の流法を使うまでもないみたいね」

 

 

 

 風が止むとスピードワゴン、アイラ、ポコの三人は気を失い……ストレイツォ以外の波紋使いも満身創痍だった。

 そのストレイツォも恐怖で身体を震わせている。

 

 

 「ミスターストレイツォ…私無駄な殺しはしたくないの、大人しくしていてぇ」

 

 

 水銀燈が睨むとストレイツォは身体が動かなくなり気を失った。

 これで今満身創痍じゃないのは蒼星石と真紅だけだ。

 もっとも挑んでも勝てる可能性は限りなく0に近いが。

 

 「水銀燈!。マスターの仇だ!君は僕が倒す!」

 

 

 「ちょっとまだミスターツェペリは死んでないわよ。っていうかたかだか人形風情が調子に乗らないことね」

 

 

 「黙れ!僕とマスターの絆を馬鹿にするな!」

 

 

 憤怒し蒼星石が庭師の鋏を掲げ水銀燈に攻撃を仕掛けるも当然返り討ちにされた。

 水銀燈の紫炎で右手と右足が吹き飛び、帽子も燃え地べたへと落下する。

 

 

 「あらぁ。良かったじゃない蒼星石!。マスターと同じように不様に地面に落ちる経験が出来て!」

 

 

 

 水銀燈は狂ったように嘲笑う。

 残るは真紅一人のみだ。

 

 

 「真紅ぅ。やっと貴女を殺せる時が来て嬉しいわぁ」

 

 

 「くっ……!」

 

 

 

 「「「深仙脈疾走(ディーパスオーバードライブ)!」」」

 

 

 

 「はぁ?何のつもり?」

 

 

 

 満身創痍の蒼星石に同じく死を待つばかりのダイアー、ツェペリ、トンペティの三人が波紋を流してるのを見て水銀燈は馬鹿馬鹿しさそうに声を漏らす。

 人形に波紋を流して何になるのか。

 三人の力を合わせても水銀燈の数万分の一にも満たないのに。

 波紋を流した三人は急激に老けていく。

 

 「無闇に死期を早めるなんて馬鹿ね」

 

 

 「なんとでも言え……!」

 

 「ワシらは蒼星石に託したのだ!」

 

 「……そうじゃ。思いをな……」

 

 

 ダメージの大きさの為かツェペリとトンペティは一足先に逝ったがダイアーはまだ生きている。

 

 「水銀燈……貴様が俺を砕かなかったことに感謝している。緋色の波紋で氷を溶かし蒼星石に託せたのだからな………」

 

 

 

 

 

 

 

 

        『……俺達の波紋を』

 

 

 

 

 

 

 

 ダイアーはそう言うと笑いながら息を引き取った………。

 

 

 「アホらしい…波紋で蒼星石がアリスになるわけでもないし何がしたかったんだか」

 

 

 「……君には理解出来ないさ水銀燈……。マスター達の波紋は『無意識の海』を通じ僕の中に入っている……。勿論僕は壊れてる為アリスにはなれないけど僕は自分のローザミスティカと波紋を真紅に託す!受け取るんだ真紅!」

 

 

 

 「なっ!。蒼星石の身体からローザミスティカと波紋が大スピードで真紅に!」

 

 

 いくら水銀燈でも至近距離で超スピードで動く小さな人口精霊には対応出来なかった。

 波紋を纏ったレンピカが真紅の身体に入り、真紅は姿を変えていく。

 ツインテールが解け美しいロングヘアーに。

 人間の少女の肉体()を手にして………何者にも邪魔されぬ時と空間が関係ない世界で父ローゼンとの邂逅を果たし現実世界に舞い戻った。

 

 

 

 「蒼星石…老師トンペティ……ダイアーさん……ツェペリさん……。あなた方の尊い命が私を至高の少女(アリス)に押し上げてくれました」

 

 

 泣きながら真紅は憎しみの目を水銀燈に向ける。

 

 

 「このっ……!アリスは二人もいらないのよ!」

 

 

 「それは奇遇なのだわ……貴女だけは許さない水銀燈!絶対倒す!」

 

 

 

 厄介な事になったと水銀燈は苛立つ。

 真紅も恐らく幽波紋(スタンド)の存在に気付いている。

 あの父ローゼンが姉妹一人だけを有利にさせるとは考えられない。

 目を凝らすと真紅の後ろに赤い薔薇が動いていた。

 

 (やっぱり……スタンドが覚醒している。恐らく私と同じタイプ……。はぁ~………長期戦必須ね。面倒くさいわぁ)

 

 

 「今は引いてあげるわ。次にあった時覚悟しておく事ね」

 

 

 「待ちなさい!水銀燈!」

 

 

 

 

 

 

 その後真紅はディオを倒し終えたジョジョに合流し、起きた出来事すべてを話し気が済むまで泣いた。

 

 

 「ディオの脅威はなくなったが水銀燈の動きが怖いな」

 

 

 「大丈夫よジョジョ。私とあの子は互いに感知能力を持っている……能力を使えば直ぐ様私が水銀燈の元にいってあいつをぶん殴るのだわ」

 

 

 「そうか」

 

 

 ディオの脅威が無くなり平和が訪れたウインドナイツ・ロットにジョジョ、スピードワゴン、ストレイツォ、真紅の四人は別れを告げた。

 真紅は家に帰った際人間の身体を手にした事をエリナに大変驚かれたが事情を聞くと無言で真紅を抱きしめてくれた。

 あれ以来平和な日々が続いている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はい紅茶」

 

 

 「ありがとうエリナ」 「ありがとうなのだわエリナ」

 

 

 

 二人は用意された紅茶をゆっくり飲む…………すごく美味しい。

 些細な日常に真紅は大きな幸福を覚えていた。

 

 「ねぇ、ジョジョ。エリナ。私貴方達に会えて幸せだわ」

 

 

 「急にどうしたの真紅」

 

 

 「今日は雨かな」

 

 

 「まぁ。人が本気で言ってるのに酷いわね」

 

 

 三人共くだらない冗談に笑顔になる。

 今日はジョジョとエリナにとってとても大切な日だ。

 新婚旅行(ハネムーン)の行き先はアメリカである。 

 午後三時から出港予定の船に乗るため二人は準備を始めた。

 

 

 「さぁ。早く準備しようか」

 

 

 「えぇ。手伝ってくれる真紅?」

 

 

 「勿論なのだわ」

 

 

 

 

 

 

 

 ――――――午後三時。

 

 

 

 

 

 

 

 アメリカ行きの船の前には様々な人だかりが出来ていた。

 

 「あ、ジョースター兄ちゃん達だ」

 

 

 「本当だ。おーい!」

 

 

 「待ってましたぜ!ジョースターさん。エリナさん」

 

 

 あの時の三人が見送りに来てくれたのだ。

 

 

 「久しぶりだね。ポコ。アイラ。ポコはちょっと背が伸びたかな?」

 

 

 「マジ?。俺もジョースターの兄ちゃんみたいに高くなりたいよ!」

 

 

 「なれるさポコなら!」

 

 

 195cmの筋肉隆々の体格にか……とスピードワゴンは少し厳しいかも知れないなと苦笑しながら心の中で思ったがポコにだってなれる可能性はある。

 少なくない犠牲を出しながら日常に戻ったように。

 

 「おっとジョースターさん。エリナさん。出る10分前ですぜ。どうぞお二人共乗り込んでくだせぇ」

 

 

 「ありがとうスピードワゴン」

 

 

 「来てくださって本当にありがとうございます皆様。それでは」

 

 

 一行に礼をし船に乗り込む、二人を「エリナ」と真紅が止める。

 

 「離れていても一緒なのだわ」

 

 

 「分かってるわ真紅」

 

 

 確認し合うように契約の指輪を見せ合うエリナと真紅。

 二人の絆の証だ。

 いくら契約関係とは言え夫妻の新婚旅行にまでついて行くほど真紅は野暮じゃない。

 それに水銀燈が能力を使えばすぐに感知出来る……感知があれ以来無いと言う事は水銀燈は静かにしてるからである。

 

 「ジョジョと楽しんで来てね。ジョースター家はこの真紅がちゃんと見守っているから」

 

 

 「ありがとう真紅。じゃあね」

 

 

 

 一行とジョースター夫妻は別れた。

 

 

 

 

 これだけ大きい船だと当然資材や荷物もいっぱいである。

 船倉にも頻繁に人が出入りを繰り返しその中には棺らしき物を二つ運ぶ水夫達がいた。

 

 

 「急げ!急げ!」

 

 

 「ったく……何が悲しくてこんなもん運ばなきゃならんのかねぇ」

 

 

 水夫は愚痴りながら棺を運ぶと中から『WRYYYYYYY』と言う音が聞こえた気がした。

 

 

 「お、おい。今変な音が棺からしなかったか?」

 

 

 「何だオメェ働きすぎて馬鹿になったか!昨日若い女が大金積んで載せてくれっていってきた荷物だぞ!」

 

 

 疑問を感じた水夫の意見は簡単に無視されその荷物はジョースター夫妻がアメリカに向かう船に乗せられた。 

 水夫も働き過ぎだと思うことでなるべく早く忘れる事にした………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 この後待ち構える地獄も知らずに……………。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 大西洋上、アメリカ航路。

 エリナ・ジョースターは渡り鳥の群れを見ていた。

 すると一羽だけ離れてしまい群れを見て「ピーピー」と鳴くが群れは戻って来ない。

 このままあの一羽だけはぐれてしまい最悪命を落とすのかと思ったが……気づいた一羽が逸れた一羽のところにまで来て一緒に群れの中へ戻っていったのだ。

 エリナはその姿に感動していた。

 

 

 「エリナ……泣いてどうかしたのかい?」

 

 

 「ジョナサン……この涙は幸福(しあわせ)の涙です。あなたがここにいることの(・・・・・・・・・・・・)

 

 

 「それは僕も同じさ。心が暗く冷えてしまった時暖かくしてくれたのは君何だから」

 

 

 

 二人は互いをゆっくり抱き締め合うと食事をしに向かった。

 

 

 

 「エリナもワインどうだい?」

 

 

 「ダメ。飲んだことありませんもの」

 

 

 「そんなに強くないからさ。試してごらんよ」

 

 

 「わかりました……」

 

 

 エリナは恥ずかしそうにワインを少し飲むとやはりなれてないのかそこで置いてしまった。

 妻の可愛らしい反応にジョジョは優しく微笑むが……とある人間を見つけその雰囲気はぶっ飛んだ…………。

 

 

 「す、水銀燈!」

 

 

 「やだぁ。見つかっちゃったわぁ」

 

 

 クスクス笑いながら水銀燈は奥に逃げ込む。

 

 

 「ジョナサン……いったいどうしたのです…?」

 

 

 「エリナ!、指輪の力で真紅を呼ぶことが可能なら真紅に救援を出してくれ!君は部屋に戻ったら鍵を掛けるんだ!……何だか嫌な予感がしてならない!」

 

 

 水銀燈の足の速さは能力によるものなのか不明だが異様に速かった。

 だが能力を使えば同じアリスの真紅に居場所を教えるようなもの。

 ……いったい彼女の狙いが何なのか回目検討がつかないがジョジョは水銀燈を追いかけた。

  

 

 

 行き着いた先は船の蒸気機関。

 ジョジョは信じられない光景を目にした。

 

 

 

 「肉体(ボディ)……来たか……」

 

 

 

 水銀燈が持ってるガラスケースの中に入ってる金髪の髪に赤い双眸の首だけの男……間違いない。

 ディオ・ブランドーだ。

 ネス湖でネッシーを見かけたとか、宇宙人に遭遇したなんて比較にならないほどのショックをジョジョは覚える……。

 

 「そんな馬鹿なディオが生きて……!」

 

 

 「……本当にすんでだった。すんでで我が首を腕で斬らなければ頭まで波紋症が達し死んでいただろうな……何故この姿をお前に見せるか分かるか?。俺はお前を尊敬してるからだ。神が居るとして俺達程計算された運命はあるまい!」

 

 

 「ディオ!君はまだ世界の支配を目論んでいるのか!」

  

 

 「俺達この世に於いて二人で一人!俺はこの世で唯一人尊敬する人間の肉体を手に入れ絢爛たる永遠を生きる!それがこのディオの運命なのだ!苦痛は与えん!それが我が好敵手(ライバル)への最後の礼儀!」

 

 

  

 「うっ!……あの目はまずい!」

 

 

 「我が肉体となって生きよジョジョォ!」

 

 

 ディオの目から城で戦った時の光線が放たれようとしていた。

 狭くて逃げ場がないジョジョは頭を下に向け腕を交差させ防御体制に入ったが…………………ディオの光線はジョジョの防御を貫き首に致命傷を与えた…………。

 

 

 

 「ジョナサン!」

 

 

 運が悪くジョジョを心配して追い掛けて来たエリナはその光景を見てしまった。

 

 

 「エ……リ……ナ……」

 

 

 「なんと言う事だ……。なまじ防御体制をとらなければ眉間を打ち抜き一瞬であの世へ行けたものを……苦しみを与えずに即死させたものを……」

 

 

 

 ディオの視線がジョジョからエリナに移る。

 

 

 「日常から一気に魔界へどういう事態が起こってるのかわからず声も出ないか。ジョジョは語らなかったのか?。暗黒に生きるこの俺の神話を……今は情けない姿だがこの俺に見覚えがあるだろう。ミセスペンドルトン、いや結婚したからミセスジョースターかな?。エリナ」

 

 

 「貴方はディオ!」

 

 

 後ろの壁や、色んな扉から吸血鬼や屍生人が溢れ出した。

 

 

 「キャアァァァァァァ!」

 

 

 「船に乗ってる者達は私が血を与えて吸血鬼や屍生人に変えたわぁ。とんだハネムーンねぇ」

 

 

 吸血鬼や屍生人が蠢く中その少女は現れた。

 

 

 「赤き薔薇の波紋疾走(レッドローズオーバードライブ)!」

 

 

 「真紅!」

 

 

 「遅くなったわねエリナ」

 

 

 いくつもの断末魔と共にその場にいた吸血鬼や屍生人が全員消えていく。

 

 

 

 「お願いジョナサンを助けて!」

 

 

 「任せて」

 

 

 「させると思う?」

 

 

 

 アリスを邪魔するのはまたアリス……。

 駆けつけた真紅の前に水銀燈が立ちはだかる。

 

 

 「ディオの邪魔になるわぁ。来なさい!」

 

 

 「クッ!。エリナどうか気を強く持って自分の気持ちに負けちゃ駄目よ」

 

 

 真紅は水銀燈に掴まれる形で二人はnのフィールドに消えていった。

 残るはディオ、ジョジョ、エリナの三人である。

 

 「何の因果だ……あの時の三人が残るとはなぁ」

  

 

 ディオは何処か懐かしそうに目を細めた。

 

 「エリナ……逃げるんだ……」

 

 

 「あぁそんなジョナサン……」

 

 

 「波紋を練れなければお前はただの力が強い人間……今度こそ何も出来んなジョジョよ」

 

 

 「……まだ諦めたわけではない。僕の体にはほんの僅かだが波紋がある………」

 

 

 「WRYYYY!美味そうな人間めっけ!食っちゃうもんねぇ!」

 

 

 また新たに屍生人が一体蒸気室へと入って来た。

 

 

 「最後の………波紋疾走(オーバードライブ)

 

 

 波紋をその屍生人に流し込んだ時ジョジョの中で何か大切な物がきれた。

 ジョジョに最後の波紋流された屍生人は頭以外は溶けず、船の外輪のスクリューシャフトをギッチリと掴んだ。

 ……彼は最後の波紋で屍生人の体組織を狂わせこの船を爆発させようとしてるのだ。

 

 

 「ま、まずいこれでは爆発する!。屍生人の怪力ならシャフトを止めて空気の逃げ道を無くし爆発させる事が可能だ!。ヌゥゥゥゥジョジョォ!最期の最期まで侮れん奴!」

 

 

 エリナはジョジョの身体を抱き締めた時彼の体温が下がっていくのが分かった。

 …………ジョナサン・ジョースターはもう少しで死ぬのだと否が応でも理解した。

 

 

 

 「おぎゃあ!おぎゃあ!」

 

 

 水銀燈が巻き起こしたパンデミックから無事だったのか……一人の赤ん坊が泣いていた。

 

 「エリナ……き、みは生き……なく…ては、ならない……」

 

 

 「そんな!美し過ぎます!。見ず知らずの赤ん坊を助けろと仰るの!?。私にとってそれは残酷なる勇気!私の最後の希望は貴方と共に死ねる事なのに!」

 

 

 「あの……赤ん坊の……は、は親は子供を庇って死んでいる……僕……の母も……そうして……死んだ…あの子を連れて…早く……」

 

 

 

 「泣かせるところ悪いがこのディオ!太陽の元では生きられぬ身!。何が何でもお前の肉体を奪うぞジョジョ!」

 

 

 

 ディオは首から血管を伸ばし、ジョジョの首に何本も突き刺した。

 船内は爆発が始まり船のパーツやらが飛び散る。

 

 

 

 「エリナ!。よーく見ていろ!。波紋を練れない今ジョジョの身体は俺の物!。そして俺はあのシェルター型の棺に入るのだ!あの棺は太陽光と昼間の外的から身を守る為、爆薬数十樽の衝撃にも作られたいわばシェルターよ。念の為スペアも作ったがいらなさそうだな!」

 

 

 もうディオは既にジョジョの肉体を乗っ取った気でいた。

 

 

 

 「行くぞジョジョ!そしてようこそ!我が永遠の肉体よ!」

 

 

 

 ディオの顔が近づいた瞬間……ジョジョは先程吹き飛んだ船のパーツでディオの首を刺した。

 

 

 

 「WGYYYYYYYYYYYY!」

 

 

そのまま勢いがなくなったディオの顔をジョジョは抱き締め、立つ力が無くなり座りこんだ。

 ………母が我が子を抱きしめるように。

 その顔は優しく微笑んでいた。

 

 

 

 「し、あわ……せ……に……エリナ」

 

 

 

 これが最後に見たエリナの最愛の人ジョナサンの顔となった……エリナは泣きながら赤ん坊を抱えディオが入る予定だったシェルターに身を隠した……。

 

 

 「は、離せ!考え直すんだジョジョ!。お前にも永遠を与えてやろうではないか……!。その傷も治るぞ!……ジョジョ!?」

 

 

 

 ディオがジョジョを見ると彼は既に息絶えていた……。

 

 

 「こ、こいつ!死んでる!」

 

 

 

 

 1889年2月7日―――ジョナサン・ジョースター死亡。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 爆発の連鎖がディオを包みこんでいく――――。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 二日後エリナ・ジョースターはカナリア諸島沖で救助された。

 ジョナサンから託された赤ちゃんをその身に抱いて……。

 彼の誇り高き人生はこれにて幕を閉じた……だがジョナサン・ジョースターをエリナは決して忘れない………。

 彼の孫が活躍するのはまた別の話しである。





 2部はジョセフのドールは金糸雀。
 シーザーのドールは翠星石で行く予定。
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