ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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 ジョナサンの死亡から約半世紀……ジョナサンの孫ジョセフ・ジョースターはイギリスからアメリカヘ来た。


第二部 戦闘潮流
ニューヨークのジョジョ


 

 

 

 ―――――あれは、1938年の秋。俺がいつものように獲物を狙っている時の事だった。

 

 

 

 「なんだってー!。おたく!この飲み物を知らねぇだとぉ!」

 

 

 コーラ売りの親父は気さくな様子で青い帽子を被る長身な男に語る。

 

 

 「兄ちゃんそのアクセントだと英国人っぽいな!。旅行者かい?」

 

 

 隙だらけな上にその男が旅行者と聞いた黒人の少年スモーキーはにやりと笑った。

 男の財布を狙い近づいていく。

 

 

 

 「なに?。最近越して来たばっかりだと?。ともあれだ!。金を払いな!この国の掟は金よ!」

 

 

 

 (あぁ。その通りさ!)

 

 

 男がドル札を出した瞬間に見事スモーキーは財布を奪うのに成功し逃げ出した。

 

 

 「授業料だぜ!英国人!」

 

 

 捨て台詞を放ち瞬く間にスモーキーの姿は小さくなっていく。

 

 

 「あんの野郎!。ヘイ!英国の兄ちゃん!あんたの財布だ!追っかけなよ!」

 

 

 

 

 親父に言われるも長身の男は暫くその様を見ていた。

 そのまま路地裏に逃げ込んだスモーキーは「チョロいもんよ!」と財布の中身を確認しようとした時……後ろから乱暴に掴まれた。

 

 

 「グフフフ。よぉスモーキー!。現行犯だ!」

 

 

 

 「ひゃあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 

 彼を掴んだのは警察官、その数は二人。

 警察官に掴まったのにスモーキーは異常に恐怖を感じていた。

 

 

 

 「このゴミクズ野郎がぁ!」

 

 

 

 

 警官の振るった警棒にスモーキーは流血し地べたに倒れる。

 

 

 「ゴホッ…ゴホッ……ウゥ!?」

 

 

 頭から血を流しふらつくスモーキーを警官は無理やり壁に押し当てた。

 罪人とは言え黒人の彼に白人のこの警官達は全く容赦しない。

 

 

 「この罪だけで20年は出られないようにしてやるぜ!」

 

 

 「そんな……許して!。おいら財布を取っただけだ!」

 

 

 「このトンチキがぁ!。俺はオメエラみたいなのがだいっきれーだ!。だがな……俺はいい奴何だ!これから20ドルずつ俺のところに持ってこい!。それから盗んだ物の半分もだ!」

 

 

 

 怪我した頭を警官は軋む音が出る程強く掴んだ――――。

 青春の大半を豚箱で過ごす上に塀の中でも差別を受ける……スモーキーが絶望した時その男は現れた。

 

 

 

 「あの〜」

 

 

 「あぁん?。さっき財布を取られた間抜けか。財布は証拠として俺が預かっとくぜ」

 

 

 「いえ、なんていうか……あのですね。その財布は私が彼に上げたものですよ。おまわりさん」

 

 

 195cmはあろうかと言う英国人が自分の財布を取ったスモーキーを庇ったのだ。

 

 

 「だから、その〜、財布も彼も離して貰わんと困る」

 

 

 「なんだとぉ〜〜!」

 

 

 当然警官は半信半疑だ。だが男はスモーキーを庇うのをやめない。

 

 

 「確かにあげたんですよ。友人なんすよ彼は……離してやって下さい」

 

 

 「ホホーン?友人だとぉ?」

 

 

 掴んでいたスモーキーを床に投げつけ、鼻糞をほじりながら彼に警官は近づいてくる。

 強く彼の肩に警官は手を置いた。

 

 

 「それじゃ。友人の名を言ってみろ!。嘘つくんじゃあねぇ!おめぇも豚箱に入りてぇのか!?。あ~ウスノロよぉ?」

 

 

 ピトッと警官は鼻糞を男の顔にくっつけ、彼の服で指を拭き下品な笑いを零した。

 

 

 「聞いていいか?。わからんのだ。何故こんな事をする?。この行為にどんな意味があると言うんだ?」

 

 

 「意味なんかねー!スカッとしてるからやってるだけなんだよ!このクソったれぇぇぇぇ!。右の頬に鼻糞つけたら左の頬にも―――」

 

 

 

 ギャゴン!。

 

 

 汚い言葉を言い掛ける警官の顔を男の拳が捉える。

 

 

 

 「頭に乗るんじゃあない!このポリ公が!」

 

 

 「ふんぎゃあぁぁぁぁぁ!」

 

 

 再び鼻糞をつけようとしていた警官は鼻を穿ってるところをぶん殴られ指が鼻にめり込んでしまった。

 

 

 「こいつ!抵抗する気か!?」

 

 

 仲間の警官がただならぬやられ方をしたのを見てもう一人の警官は銃を男に向けた。

 ペッと男はつばを吐く。

 

 

 「ケッ!撃ってみろ!。撃鉄を起こした瞬間テメェの指をへし折る!マッチみてぇになぁ!」

 

 

 「この距離でか!。ぶっ飛ばしてやるぜ―!」

 

 

 

 カチリと撃鉄が動く瞬間、スモーキーには彼の身体が少し光ってみえた。

 どんなマジックを使ったのか……缶切りを使ったわけでもないのにコーラの蓋が吹き飛び警官の指をへし折り肉を弾き飛ばした。

 

 

 「ギャアァァァァァァス!」

 

 

 

 男は勝利の美酒を味わうように得意げにコーラを飲み干すが途中で何かを思い出したように「ハッ!」と我に帰る。

 警官をボコボコにしたのに罪悪感を覚えたのか―――。

 

 

 「思わずまたやっちまった!……ま、参ったな〜!。エリナ婆ちゃんに叱られるぜ!」

 

 

 

 

 

 (な、なんて奴だ!。警官をこんな目に合わせたのに……なんとこいつはエリナ婆ちゃんとか言う人に怒られるのだけを恐れている!)

 

 

 

 これには逆にスモーキーが驚いた。

 

 

 

 「おいそこのひったくり!早いとこズラかろうぜ!」

 

 

 

 ズラかる道中、スモーキーがどうやってコーラの瓶をふっ飛ばしたかについて聞いたが「知らない」との事だった。

 子供の頃から自然に出来ると言っていった。

 ……何でも若くして死んだ彼の祖父が同じ事を出来たらしい。

 パイロットで戦死した父親は出来なかったと言う。

 ………母親もいないらしかった。

 

 

 

 

 「借りを作っちまったな。俺の名はスモーキー!。名前を聞かせてくれよ!」

 

 

 「ジョースター。ジョセフ・ジョースター。ジョジョって呼んでくれ」

 

 

 

 これは新たな石仮面にまつわる因縁と薔薇乙女(ローゼンメイデン)との出会いの物語である。

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