ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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抜け目なき者

 

 「ストレイツォ!テメェを倒す方法は、テメェの頭を吹っ飛ばすか、波紋を流すか、太陽の光を当てるかの三通りらしいな!」

 

 

 夜の喫茶店は憩いの場から血みどろの残酷なる場所へと変貌を遂げた。

 ジョジョが銃を構えながら中に入ると事情を知らずストレイツォを人間だと思ってる連中が次々と殺人鬼だの人殺しだの悲鳴をあげる者もいるがジョジョはそんな奴等には構ってられない。

 

 言わせたければ言わせれば言い。

 

 

 ストレイツォだけは必ず斃すが。

 

 

 親友であるスモーキーも青褪めた顔をしながら此方を見ていた。

 

 

 

 「ジョジョ……君は大変な事を……」

 

 

 「ん?。あー、そーだな。ちょいと修理代がバカ高くつきそうだな」

 

 キョロキョロとジョジョは自身が壊した喫茶店を見渡しながらテーブルに置いてあったコーヒーを飲もうとしたら取っ手が外れてしまった。

 まるで自宅のドアでも壊したような軽いリアクションにスモーキーは恐怖を覚える。

 

 

 「ちがーう!君は人を撃った!」

 

 

 「……人だと。ヘン!ストレイツォの事か!」

 

 

 スモーキーが吸血鬼や波紋に関して知る必要はない……彼は一般人だ。

 悍ましい因縁には巻き込めない。

 

 (どう言うこった……この弾丸は)

 

 

 ストレイツォに当たって落ちたであろう弾丸を手に取ると異様な形で曲がっていた。

 

 

 「スモーキー外へ避難してな!俺は寧ろ奴が人間でいてほしいぜ!人間だったら殺人罪で俺がムショに行けばいいだけの話しだからな!」

 

 

 

 「わ、わかんねー事を!」

 

 

 

 「キャアァァァ!」

 

 

 店内にはまだ女性の客が何人か残っているようだ。

 早く外に逃さなければジョジョも満足して戦えないので避難を促す。

 

 

 

 「騒ぐな!この店は声が響くんだ!早く逃げねーとシタ入れてキスするぞ!」

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 「ムッ!」

 

 

 倒れたストレイツォから異様な空気を感じる。

 ゆっくりとした動作でストレイツォは身を起こした。

 やはりこの程度では吸血鬼にとっては掠り傷にもならないようだ……。

 

 「フン!」

 

 

 ストレイツォはそのまま身体を回転させ自身の身体に撃たれた銃弾を全て弾き出した。

 

 

 (なんてこった!これが吸血鬼…!)

 

 

 エリナからの話しでしか聞いた事のない吸血鬼……。

 それを実際に目の当たりにし動揺しないのは無理な話しである。

 

 

 「ディオの失敗は…自分の能力を楽しんだことだった!。ヤツは実験し能力の限界を知りたがった!そこに隙が生まれジョナサンに敗北した!。だがこのストレイツォは違う!。能力の限界なんぞはお前を始末した後ゆっくりと試して行けばいい!このストレイツォ!容赦せん!」

 

 

 「ケッ!軽々しくじいさんの名を口に出すんじゃあねぇぜこの野郎!」

 

 

 

 「案ずるなお前もすぐに祖父の元へ行かせてやる!私がお前をジョナサンの元に送る技はディオがジョナサンを殺った必殺の能力!」

 

 

 

 「ぬうっ!」

 

 

 ストレイツォが仕掛ける構えを取ったのでジョジョも銃を構え先手を打とうと引き金を引くが虚しく弾切れの音がカチャカチャカチャと鳴るだけだ。

 

 

 「ううッ!?」

 

 

 ニヤリと不気味にストレイツォは笑う。

 

 

 「フンッ、弾切れか……」

 

 

 彼の瞳孔が異音を立て小さくなる。

 

 

 「高圧で体液を目から発射する!。名付けて空裂目刺驚(スペースリパース・ティンギーアイズ)!喰らえッ!ジョセフ!」

 

 

 不気味な音を立て双眼から紫色を帯びた……ディオがジョナサンを葬った技をストレイツォは放った。

 

 

 ドッ!、ドッ!とジョジョの眉間と首を貫通したのを見てストレイツォはまた笑みを浮かべる。

 間違いなくジョセフ・ジョースターは死んだ。

 

 

 

 

 

 「フンッ!他愛のないものよ残るはエリナジョースターただ一人……あの老婆は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「お前の次の台詞は―――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「赤子を殺すより楽な作業よ」……だ!」

 

 

 

 

 

 

 「ハッ!」

 

 

 

 驚きストレイツォは死んだ筈のジョジョの声がした方を見る。

 なんとそこには何事もなかったかのようにニヤニヤと笑いながらジョセフ・ジョースターが立っていた。

 有り得ない間違いなく空裂目刺驚はこいつの身体に風穴を開けたと言うのに。

 

 

 「さらにオメーは「こいつなぜ穴を開けられて生きているんだ」と言う」

 

 

 「こ、こいつなぜ穴を開けられて生きているんだ……ハッ!」

 

 

 「ストレイツォ!お前チベットのド田舎なんぞに引っ込んでねーでもう少し都会で揉まれた方が良かったな!ほんのちょい注意深けりゃ、ゲームに勝てたのによォ!よーく見ろよ!この時計の文字盤をよ!」

 

 

 ジョジョは後ろの壁を指さした。

 何の変哲もない壁時計の文字盤に見えるが……何か奇妙な違和感がある。

 

 

 

 

 

 「聞いていたぜ!俺のじいさんは目から飛び出す得体の知れねぇ能力に死んだってな!」

 

 

 

 「数字が逆!鏡か!」

 

 

 「気づくのが遅いんだよ!アホレイツォ!」

 

 

 銃のグリップで思いっきりストレイツォの顔面をジョジョはぶっ叩く。

 

 

 「そして波紋ってのは太陽の光と同じでお前苦手なんだってなー!喰らえ!」

 

 

 

 「コォォォォォォォォォォ!。食らえぶっ壊す程シュートッ!」

 

 

 

 直に銃に触れていたためジョジョは銃を通じ波紋を流し込み、ストレイツォは壁までぶっ飛んだ。

 肉体に波紋が通じたのか、意識を失ったのかは不明だがストレイツォはそのまま動かないでいる。

 

 

 「どれ。奇妙な波紋エネルギーは吸血鬼の顔を溶かすそうだから確かめてみっかな」

 

 

 近づき邪魔臭いマフラーを離すジョジョ。

 そこには怨嗟に染まった目で此方を見るストレイツォがいた。

 

 

 「お、おぉーーーー!?」

 

 

 ゆらりと立ち上がる彼はまた空裂目刺驚を放つ。

 ジョジョはすんでで後世の西独のフィギュアスケーターのイナ・バウアーの如く華麗に身体を反らしそのまま後転体制を立てなおした。

 致命傷は避けてみせたがほんの僅かに空裂目刺驚がかすり少し首から出血する。

 

 が、それよりも驚くべき事があった。

 

 

 「溶けてねぇ!直接ではないがぶん殴った時に銃から波紋を流した筈だ!だがこいつまるでなんともねぇぞ!……お祖母ちゃんの情報の誤りか!?」

 

 

 「いいややはりお前の素質…放っておけばこのストレイツォの強大な敵となっていたろう!。殺す前に教えてやる!」

 

 自慢気にストレイツォは自分のマフラーに触り出した。

 

 

 「このマフラーは東南アジアに生息する昆虫サティポロジアビートルのほんのちょっぴりの腸の筋を3万匹分乾かし編んで作ったもの!この材質は人体よりも波紋の伝導率が遥かに高く散らしてしまう!。つまり!雷のアースと同じなのだ!」

 

 

 「チッ!じゃあ焼け石に水ってか!」

 

 

 「その通り!私は吸血鬼になったとは言え四千年の歴史を持つ波紋法の後継者ストレイツォだ!短所も長所も知り尽くした上での戦いよ!ディオとは違う!」

 

 

 「……ほ〜ソイツはすげぇな。だがよこの俺が波紋とか言うチャチな能力だけに頼ると思っているのか?」

 

 

 

 ストレイツォが疑問そうな表情を浮かべるとジョジョは得意気に笑う。

 波紋も銃も効かないのにどう自分を斃すつもりなのか……このジョセフ・ジョースターの腹は読めない。

 抜け目ない奴だと言うのは嫌と言う程分かったが。

 

 

 「素早いんだぜ俺は!」

 

 

 ジョジョは何かのピンを抜いた。

 

 

 

 「なっ!マフラーに手榴弾を!いつの間に!」 

 

 

 ジョジョはストレイツォに背後を向けて全力で爆発に巻き込まれないように逃げ出す。

 

 

 「こんな小細工!」

 

 

 ピシィとストレイツォは一つの手榴弾を手で弾くがジョジョは依然として笑って冊子から外に脱出しようとしていた。

 

 

 

 「フハーッ!だから都会に揉まれろって言ったのによ!よく見ろ今振り払った手榴弾を!」

 

 

 弾いた手榴弾にはジョジョが仕込んだ糸が張り巡らされており弾いた事によって他にもマフラーに仕組まれた手榴弾のピンが一斉に抜けた。

 

 

 「こいつ〜〜〜〜!MMMMMMOOOHHHH!!」

 

 

 

 

 爆炎に包まれながらストレイツォは爆発した。

 辺りに閃光が走り、ジョジョが破壊した喫茶店はさらにボロボロになる。

 煙で何が何やら見えない。

 

 

 「ハァ……ギリギリで避難出来たぜ」

 

 

 「ジョジョ……俺もう現実感がねぇよ。映画見てるみたいだ……」

 

 

 「わりぃな。騒がしちまってしかしこれくらいやらねぇとあの化け物を殺せねーと思ってなぁ……」

 

 

 煙が晴れていく……ジョジョは恐る恐る喫茶店を見た。

 

 

 「やったか……?な!。何だぁあいつはぁ!?」

 

 

 「ヒィィィィィィィ!」

 

 

 

 「おい!スモーキー!見るんじゃあねぇ!」

 

 

 「もう見ちまったぁ……うわぁぁぁ!神様ぁ!オイラもう悪い事しません盗みもひったくりもしませんだから助けてぇぇぇぇぇ!」

 

 

 

 

 ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

 

 

 ジョジョとスモーキーが見た光景は非常に恐ろしいものだった……。

 ストレイツォは爆発してバラバラになったが千切れた部位がまた集まりはじめ……再生しようとしていたのだ……。

 眼球、心臓、目、身体の部位が再生する為に動き瞬く間に元のストレイツォの原型にまで再生仕掛けた。

 

 

 「こ、こんな化け物をやっつける策がさらにあるのかジョジョ!」

 

 

 「あぁ!あるぜ」

 

 

 「え、あるのか!?」

 

 

 「あぁ。たった一つだけ(・・・・・・・)残った策があるぜ(・・・・・)

 

 

 

 「たった一つだけ!そ、それはいったい?」

 

 

 「とっておきのヤツがな!あの足を見ろ!奴は足が細切りになりすぎてまだ完全に回復しきれてねぇ。そこがつけ目だ!」

 

 

 「そ、それでたった一つの策とは?」

 

 

 良い加減スモーキーはジョジョの考えを知りたいようだ。

 

 

 「こっちも足を使うんだ!」

 

 

 「足をどうやって?」

 

 

 

 ジョジョはくるりと喫茶店に背を向け全力で走り出した。

 

 

 「逃げるんだよォ!スモーキー!」

 

 

 「わぁ〜ッ!何だあの男ーッ!」

 

 

 「どけい野次馬共!」

 

 

 驚きながらもスモーキーもジョジョの後を追いかける。

  

 

 「待ってくれーッジョジョォ!」

 

 

  (追って来いストレイツォ!)

 

 

 

 ストレイツォが喫茶店に開いた穴から外に抜けたのをジョジョは見逃さなかった。 

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