ヴァンパイアとアリス   作:獄華

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暗躍者

 

 

 

 「オォォォォッ!」

 

 

 炎がディオを焼き切ってくれると思ったがその予想は容易く外れた。

 燃えるカーテンを裂き、殺意の篭った目がジョジョを捉える。

 

 

 「うわぁっ……!。焼けながら組織が再生しているッ!不死身の理由はこれか!」

 

 

 「この火では倒せない…!」

 

 

 明らかに威力が足りない。

 完全な不死身じゃない事は脳をランスで叩いて分かったが…其れでも伊達に不死身を謳ってる訳では無いようだ…。

 

 

 「がぁっ…はぁ…!」

 

 

 ジョジョはスピードワゴンを突き飛ばした。

 

 「な、何を!?」

 

 

 「逃げろスピードワゴン!。君は元々無関係の人間だ!」

 

 

 

 ディオが燃える椅子を投げるがジョジョは近くにあった剣で床を刺し避けると同時に椅子が剣を伝わる反動で二階に跳躍した。

 

 

 「ヌゥゥ!」

 

 「ジョースターさん上へ逃げちゃだめだ!火が屋敷中に広がるぞ!」

 

 

 (ジョースターさん。何を考えているんだ……?)

 

 

 

 「上がって来るんだディオ!」

 

 

 

 「テヤァ!」

 

 

 来いと指を動かすとディオは上着と共に爆炎を薙ぎ払った。

 

 

 

 「フン…」

 

 その真っ赤な双眸は依然ジョジョを捉えたままだ。

 

 

 「ディオ!君を…。君のその力を世の中に放つわけにはいかない!」

 

 

 「ジョースターさんだめだ…!ウワァ!」

 

 爆発が起きてスピードワゴンは強制的に外に放り出される。

 

 

 「……仲間から注意を逸らすため俺を誘っているのか…良かろう」

 

 

 ディオはあろうことかそのまま壁を垂直に登り始めた。

 

 

 「あれも石仮面の成す技か…」

 

 

 「この火傷。お前の命を吸い取って治す事にするぞ」

 

 

 

 正に悪夢のような光景だ。兄弟同然に育ったディオは燃え盛る炎や熱波を何ともせず垂直にこちらに歩みよって来る。

 ………神話に出て来る地獄とでも勘違いしそうな光景だ。

 

 

 

 「無駄!無駄!無駄!無駄ァ!この程度の高さなら、飛び降りても何ともないのだよォ!。逆に火と高さに追い詰められたのは貴様だぁ!」

 

 

 

 「クッ…!父さん!」

 

 

 ジョースター卿の遺体は爆炎に焼かれんとしてるばかりだ。

 何かディオに対抗出来る術はないかジョジョは周囲を確認しながら移動する。

 

 

 「父さん……痛みます。この炎と共に天国に行って下さい!……そして、どうかこれからやり遂げる事が出来るように…炎に力をお与え下さい!」

 

 

 

 

 

 ……スピードワゴンは己の無力さを噛み締めながら、雨の降る外から燃え盛るジョースター邸を見ていた。

 

 

 

 

 「ジョースターさん…!。いったい……?。ん、なんだありゃ?」

 

 

 

 

 スピードワゴンの目に黒い翼を生やした小さな人形と赤く光る小さな球体が見えたような気がした。

 

 「……普通の人形じゃなさそうだな。おい!テメェ!何モンだ。こんなとこで何してやがる!ディオの手下か!」

 

 

 そこまで言ったところでスピードワゴンは声を発せなくなり動けなくなった。

 

 (なんだこれ……あの人形…の仕業か?)

 

 

 「貴方みたいなワイルドなタイプも嫌いじゃないわ。好きでもないけど……。今はあまりディオ以外とお話ししたくないのぉ。それから今度から質問は一つに纏めなさい。お馬鹿さぁん……」

 

 

 明らかにスピードワゴンを見下す物言い……人形はディオと同じく真っ赤な双眸でこちらを覗き笑った。

 程なくし人形は闇と同化するように消え去る……。

 

 

 

 

 「ハッ!」

 

 金縛りから解放されたが震えが止まらない……。

 

 

 「なんだよあの人形は……ディオの事だけで手一杯だってのによ……!。まだあんな化け物みたいなのがいるなんてな!……そして今ジョースターさんが行うとしてる事に俺は全くの無力だ!」

 

 

 拳を叩きつける。

 暫くスピードワゴンは呆然とせざるを得なかった。

 

 

 

 

 屋根の上に避難したジョジョは『ある事』を待っていた。

 屋根瓦の下から不気味な音が聞こえる。

 

 

 「来る!」

 

 

 「URRRRRRY!KUA!」

 

 

 

 放たれるディオの蹴りをランスの鋒で防ごうとするも、鋒がひしゃげジョジョは吹き飛びダメージを負う。

 

 

 「エイイッ貧弱貧弱ゥ!!」

 

 

 瞬間ジョジョの脳裏には彼自身の青春が思い出されていた。

 

 

 

 

 「僕の青春はディオとの青春!。これからその青春に決着をつけてやるッ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ジョースターさんはこう考えている。『もっと強い火力』ならと!あの魔物の回復力が追いつかない火力ならディオを倒せると……!その為に屋敷に火が広がるまで待って屋根に登ったんだ!」

 

 

 

 

 

 ジョジョとディオの戦いはスピードワゴンからも見えていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「やめろーーーーーーーーーーーーーッ!」

 

 

 

 

 虚しくもスピードワゴンの声は届かない……。

 ディオに向かい機関車と比喩されるジョナサンのタックルが炸裂し二人はまた火が広がる屋内に戻った。

 空中で二人は落下していく。

 

 

 「貴様!こんな事良くも!」

 

 

 

 (僕の祖先達が生活したジョースター邸が焼けている!。父は死んだ…もう何もない!……全て失った!この命以外はッ!)

 

 

 

 

 

 「この命も燃やし尽くそう!。引き換えに…ディオ!。君の力も封じよう!」

 

 

 

 「フッ」

 

 

 「ぐわぁ!?」

 

 ディオはにやりと笑うとジョジョを蹴り飛ばしその反動で壁に捕まった。

 

 

 「Goodbye!ジョジョ!」

 

 

 「わぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 

 「本の一瞬だが、お前の『覚悟』には驚いたぞ。人間と言う不自由の身でありながらこのディオの『覚悟』に勝るとも劣らない。せめてもの兄弟のよしみだ。ジョースター卿……いや。父さんとあの世へ行けジョジョ」

 

 

 

 

 (俺は人間を超えた……!。不死身!不老不死!。俺はこの世を支配出来る!。何れはこれ以外の能力も手にしてくれよう!)

 

 

 

 

 「うわぁぁぁぁぁぁ!……ぐぅ!」

 

 

 ジョジョは同時に落ちてきたランスの鋒を取ると壁に突き刺し、落下する力を逆上がりの要領で足を乗せディオの元まで跳躍するが……。

 

 

 

 (距離が足りない!)

 

 

 

 あと少しでディオの足を捕まえられたのに。

 

 「ならば……これでどうだ!」

 

 ベルトを素早く外してディオの足に引っ掛けた。

 

 

 「うっ!?」

 

 

 「ディオォ!。戻ってきたぞぉ!」

 

 

 「な、何!?。コイツ!」

 

 

 ディオはジョジョに引っ張られ再び落下する。

 

 

 「今度は離さん!ディオ!君の命運今尽きた!。ウォォォォォ!このナイフは君が父さんに突き立てたナイフだぁぁぁぁぁ!」

 

 ジョジョの執念がディオの脇腹にナイフを突き刺した。

 尋常ならざる覚悟を持って……。

 

 

 「うげぇ!」

 

 

 

 ジョジョがディオを抑えようとするも彼も必死で抵抗してくる。

 

 「URYYY!!」

 

 ディオはジョジョの両腕を攻撃するが……。

 

 「グゥッ!」

 

 

 ジョジョは手を離さない。

 

 

 (コイツ!両腕の骨をメチャメチャに砕いたのに……身体に火がついたのに力を本の少しも緩めん!)

 

 

 

 「ようし。いいだろう!共に猛火の中へ飛び込んでやろう!だがなぁ、死ぬのはお前一人だ!いくら火力が強くても脱出出来るぐらいの能力はあるはずさー!」

 

 

 「ぬわぁぁぁ!父さーん!最後の力をぉぉぉぉぉ!」

 

 

 叫び。無心の叫び。その叫びが父の魂に通じたのか……それとも屋敷の構造を無意識の内に利用していたのか……。

 蹴った……ジョジョが壁を蹴った先には……。

 

 

 「何ぃ!?」

 

 

 ジョースター家の守護神。慈愛の女神像。

 ディオは女神に貫かれた。

 

 「ギャアァァァァァァァァァァァァ!良くも貴様こんなぁ!グワァァァァァァァ!。わ、忘れていた!侮ってはいけない……子供の頃からあった奴の爆発力を……!。ジョジョォォォ!こんなはずでは〜………!」

 

 

 

 劫火がディオを覆う。

 

 

 

 

 その後…意識不明の重体で出て来たジョナサン・ジョースターをスピードワゴンは保護した。

 

 

 「う、父さん……!」

 

 虚ろな様子でジョジョは呟く。

 

 「生きてる!勝った!勝ったぞ!。この人は勝ったんだ!」

 

 

 スピードワゴンは直ぐ様近くの病院にジョナサンを運んだ……。

 

 

 

 

 

 

 

 人の気配が存在しなくなったのを確認し、闇から水銀燈は姿を現した。

 

 

 

 「やっぱり……完璧なんて概念は存在しないのかもねディオ。悲劇を仕掛けた貴方が悲劇に巻き込まれたんじゃ世話もないわよ。マスターの危機……私は蒼星石みたいに義理堅いわけじゃないけど貴方は個人的に好きだから助けるわディオ」

 

 

 誰も居ない燃え盛るジョースター邸の前で水銀燈は翼を広げ炎を吸収していく。

 

 

 「この炎が私と私のローザミスティカを満たす……私は更に強くなる。ところでメイメイ。真紅の家の住所は分かった?」

 

 メイメイは人が頷く仕草をするようにニ回上下に移動する。

 

 

 「どこ?。そうマスターはエリナ・ペンドルトン。ふっ、今頃ミスエリナはあの姑臭い真紅に説教されてるのかと考えたら可愛そうだわ」

 

 

 

 水銀燈は苦笑した。

 

スタンドも出すべき?

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