僕が王子様系?ご冗談を。   作:入間月光

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第一話

第一話 

 ポケモンの世界に転生してもう19年。

 

 しばらくは大好きなゲームの世界に来た嬉しさに震えていたが人間の慣れとは恐ろしいもので今となっては前世の生活が思い出せなくなるくらいポケモンとの生活が常識となってしまっている。控えめに言って幸せだ。これ以上ないくらいに。

 

「ベルギア!!」

 

ナックルシティの公園でマフィンを頬張っていると背の高い若い男が僕の方に駆け寄ってきた。

 

「ローズ委員長から聞いたぞ!どういうことだよ!?ジムリーダー辞めるって!?」

 

この端正な顔が驚愕の色に染まっている青年はシリーズを通して遊んでいる方はご存じであろうここガラル地方でドラゴンタイプのジムリーダーを務めるキバナご本人だ。彼のワイルドさの虜になった人は多いだろう。

 

 夢がなかったから前世から好きなエスパータイプのバトルを極めるためにガラル地方に立ち寄ったらツーブロックの怪しいオッサンにスカウトされ強制的に原作のキャラを押しのけてラテラルタウンのジムリーダーに就任することになっちゃうなんて考えつくわけないよね?

 

なんだかんだで5年くらいジムリーダーやってみたけれど僕をスカウトしたガラルリーグ運営委員長のローズのワンマン体制に嫌気がさしたのでリーグに辞表を叩きつけて引退することにした。

 

いやあ疲れた。だってあいつ僕の人気が出てきたとわかったらメディアに圧をかけてテレビ番組に僕を出演させたり無断で写真集を出版させたりと僕をアイドルに仕立て上げようとした挙句オリジナルの曲出すことにしたなんて言い出したんだよ?まあ全部すぐにやめさせたけど。

ただでさえ原作キャラの活躍の場を奪ってしまって心苦しかったのにあいつの掌の上で踊り続けるピエロに成り下がるなんて絶対嫌だ。

 

「確かにあの委員長のやり方は俺様も気に食わねえけどよ...!後継者はどーすんだよ!?」

 

「ご心配なく。もう既に次に就く子たちは推薦しておきましたから。」

 

「次に就く子たち...?まさかお前!?サイトウとオニオンか!?」

 

「ええ。そのまさかですよ。来年からは彼らが一年ごとに交代しながらジムリーダーを務める形でラテラルジムは運営されるようになります。」

 

 実をいうとガラルリーグ内でローズ委員長に対して反抗的な態度をとる僕をジムリーダーの座から降ろそうとする動きが前からあった。さらにそういった動きをしている連中の中でも格闘使いのサイトウとゴースト使いのオニオンどちらを後釜に据えるべきかということで揉めていたのでこれが悪化する前に僕がジムリーダーの座から退いて交代制にするという折衷案を提案し連中の動きを止めることにしたのだ。

 

「大丈夫ですよ。彼らの夢に向かって頑張っている姿をキバナさんも見てきたでしょう?きっと彼らならこの仕事を全うしてくれる。」

 

やっぱりジムリーダーは原作キャラがやるのが一番でしょ。

僕みたいなモブがやったところで...ねえ?

 

「......ベルギア。」

 

「はい?」

 

「俺様と勝負しろ!」

 

「お断りします。どうせ引き留めるつもりなのでしょう?」

 

「そりゃそうだろうが!だってお前は...!」

 

「おっと。言わせませんよ。人間生きていればいつか大きな決断を迫られることがある。僕にとってはそれが今だった。それだけです。」

 

 最近リーグにクレームが何百件と届いていたらしく、その内容がほとんど僕がいたラテラルジムに関してだったのだ。やっぱり僕みたいなポッと出がジムリーダーを務めるなんておこがましかったんだよきっと。ちょうど潮時だったんだ。

 

「わかったよ。もう止めねえよ。つーかこれからどうすんだ?」

 

「一度実家に帰ろうと思います。ジムリーダーになったせいで家族とまともに話せていませんでしたから。」

 

マジでジムリーダーになった後一度も家族と電話越しでさえ会話できてなかったからね。メールでクラスメイトだったあいつがこんな職業に就いた、後輩だったあの子がバイト始めてたみたいなやり取りはしていたけれど、やっぱり家族の声が聞きたい。

 

「まったく。なんでこんなことになってしまったんだ...?僕はただエスパータイプを極めたかっただけなのに...。」

 

キバナに別れを告げ、タクシーに乗り港に向かう。パルデアに到着するのは...。

ちょうど明日の朝ぐらいかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




作者の勝手な妄想の今回名前が出たキャラのイメージCV

ベルギア…保志総一朗 キバナ…鈴木達央 サイトウ…石川由依 

オニオン…庄司宇芽香 

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