時を渡る正義の乙女たち   作:UBW・HF

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前回の続きです。


兎に妖精は激怒し、兎に激怒する妖精に妖精は激怒する

 

「はぁ!?過去から来た!?」

 

「アタシ達は未来に来たってことか?」

 

戦闘を中断し、事の経緯をすべて語ったベルに対する反応は、その言葉だった。

二人の小人族(パルゥム)の言葉は、この場にいるベル以外の全員の心情を代弁したと言えるものだろう。

 

「あり得るんですか、そんなこと?」

 

「でも、アーディさんたちは僕のことを“アル”って呼んだから、間違いないと思う」

 

「過去で名乗った偽名だったか?」

 

「うん」

 

「……安直だな」

 

「それは言わないで」

 

暗黒期時代のオラリオに行った際、アストレアからの勧めで偽名を名乗ることになった際、ベルはそう名乗った。

そこ以外では偽名を名乗る機会なんてあるわけもないし、名乗った覚えもない。

だからこそ、ベルをそう呼ぶのは過去で交流を持った彼女たち以外にあり得ないのだ。

 

「そんなことありえません!…と、声を大にして言いたいところですが、ベル様ですしね…。」

 

「ベルですからね…。」

 

「ベルだからな…。」

 

「ベル様ですし…。」

 

「ベル殿ですから…。」

 

「魅了なんかを疑ったほうがよっぽど現実的なんですけど、ベル様ですしね…。」

 

「ベルですからね…。」

 

「ベルだからな…。」

 

「ベル様ですし…。」

 

「ベル殿ですから…。」

 

この半年の間に起こった様々な出来事を思い出すと、あり得ないとは言えない。

ましてや、ヘスティア・ファミリアの面々はつい先日派閥大戦を経験したばかりなのだ。

もう、並大抵のことは受け入れることが出来るレベルで達観している。

もちろん、魅了による認識の改竄なども疑ったが、美の女神の魅了すらも効かず、対魅了スキル(ヴァナディース・テヴェレ)まで持っているベルにそんなことをするなど不可能だということは、ヘスティア・ファミリアの全員が知っている。

今までのことや、最近起こった派閥大戦のことを思い出しながらそう考えると、必然と哀愁が漂ってきてしまう。

 

「おい兎。お前何やったんだよ?あいつらの哀愁感半端じゃないぞ?」

 

「え、えぇっと…、あ、あはは」

 

自分を巡って都市最大派閥と全面戦争しました、とは言えず苦笑いで誤魔化すベル。

しかし、そんなベルに疑問の声を漏らすものもいる。

 

「ちょ、待ちなさい!何を簡単に納得しているのですか!?」

 

過去から来たリュー・リオンこと、リオンだ。

もうややこしいので、過去のリュー・リオンをリオン、この時代のリュー・アストレアをリューと表記する。

 

「アリーゼ達も、なんとか言ってください!」

 

「なんとかって言ってもねぇ……」

 

「アル…じゃなくて、ベルが嘘をついてるようには見えないし……」

 

「貴様は一々難癖をつけなくては気が済まんのか、青二才が」

 

「黙りなさい、輝夜!そもそも、過去の言動からしてこの男は信用できません!」

 

リオンはベルを指差しがなら、怒涛の勢いで捲し立て始める。

指を差されたベル本人は困ったように苦笑いを浮かべている。

だが、苦いものとは言え笑みを浮かべるベルとは対象的に、表情をどんどん失っていく人物がいるのを忘れてはいけない。

 

「私達の前に現れておきながら勝手にいなくなり、たった一人で闇派閥の壊滅に動き始めたような野蛮な男ですよ!?情報共有の一つもせずに、勝手に記憶を消すような男をなぜ信用するのですか!?」

 

「未来から来たって言ってもアタシ達は余計に疑うだけだろうが。話さない理由なんか、それだけで十分だろ?」

 

「だったら、最初から私達の前に現れずに―――ッ!?」

 

リオンはライラの反論に、更に反論を重ねる形で声を荒らげていくが、それは途中で遮られることになる。

感情の一切を冷たく閉ざしたリューが剣を振るい、リオンに斬りかかったのだ。

リオンはそれを間一髪の所で避けるが、それも本当にギリギリの所。

避けれたのは、ただ運が良かっただけに過ぎない。

 

「チッ、外した」

 

「ちょ、リューさん!?」

 

「ベル」

 

「は、はい!?」

 

ベルが急いでリューを窘めようと声をかけるが、その前にリューの言葉に遮れられてしまう。

リューの言葉には隠しきれないほどの怒りがにじみ出ており、思わずベルが萎縮してしまうほど。

萎縮したベルの背筋は思わず伸びてしまう。

 

「この五人はこの時代、この世界においてどう表現しようが異物です。そんな彼女たちを匿うのであれば、困難は避けようがないでしょう」

 

「え?あ、はい…。そう、ですね…」

 

「私達のファミリアが注目を集めている以上、五人という人数を匿うのは厳しいものがあります」

 

「……え?」

 

「一人くらい減らしたほうがよくないですか?難癖をつけるしか能のない生意気なエルフの小娘とか」

 

「ダメですよ!?」

 

言葉を言い終えたとともにリオンに斬りかかろうとするリュー。

そんなリューを、ベルは必死に止めている。

ベル以外のファミリアの面々が触れるのは本人に申し訳ない+ベル以外では焼け石に水程度でしかないため、他の面々は手を出せずにいる。

ちなみに、春姫と命だけは魔法を発動させて手助けしている。

 

「離してください、ベル!私はあの小娘をどうしても斬らなければならない!!」

 

「ダメですって!?」

 

「大丈夫です!何事もなく一瞬で片をつけますから!」

 

「舐めるな、貴様!未来の私だかニセモノだか知らんが、返り討ちにしてくれる!!」

 

「お前も落ち着け、バカリオン!!」

 

二人のリューを互いの仲間が必死に止めているが、それでも互いに一歩も引かず口だけであっても闘いを続けている。

 

「そもそも、ベルに救われてる身でありながら何ですかその態度は!?」

「その男が一人で勝手に背負い込んだだけでしょう!?私達に話していれば状況は違ったはずだ!」

「何も違わない!大前提として、アリーゼたちならともかく、貴様如きがベルに協力したとしても足手まといにしかならない!思い上がるな未熟者!!」

「私がその軟弱者より弱いとでも言うつもりか!?」

「自分が弱いことも自覚できていない未熟者が吠えるな!!そして、ベルのこの半年の冒険を慮ることも出来ない貴様如きがベルを語るな!!貴様がベルと同じことをすればこの半年で10回は死んでる!!」

「それは流石に言い過ぎです!?」

 

ミノタウロス強化種で一回。

黒いゴライアスで一回。

歓楽街の一件で更に一回。

ゼノスの一件では闇派閥も関係していたから見積もって2.3回。

下層へのダイブで少なく見積もって2.3回。

その他の冒険でもベルが死にかけた事は数知れず。

当時のベルと同じレベルで同じ状況下であれば、強ち間違いではないというのが恐ろしい。

 

「ベルもベルです!もっと自信を持って、この小娘をぶん殴ってください!!」

 

「殴りませんよ!?」

 

「一ヶ月前のあなたなら負けていたかも知れません。ですが、今のあなたなら絶対に勝てます!私が許可するので、さあ!!」

 

「だからやりませんって!!」

 

ベルはたしかに、技量的な面では長年戦ってきたリオンには一歩遅れを取るかも知れない。

だが、限界突破を何度も繰り返した末のランクアップによる膨大な潜在値は決して軽いものではない。

そして何より、現状のリオンはベルよりレベルが一つ低いのだ。

一対多であれば話は変わってくるだろうが、一対一なら多分…というか、絶対にベルが勝つ。

 

「いえ、そもそもベルの手を汚させるまでもない!私がこの手で引導を渡してくれる!」

 

「その言葉、そっくりそのまま返す!」

 

「いい加減落ち着いてくださぁい―――!!」

 

ベルの悲痛な願い虚しく、二人のリューによる争いが沈静化するまでこの後一時間かかった。

沈静化した後、ベルはフレイヤ・ファミリアの洗礼を受けた後と同じくらい疲れていた。

主に、精神的な面で。

 


 

~一時間後~

 

「その、すいませんでした、ベル。少々頭に血が上りすぎていたようです」

 

「あなたに謝るのは癪ですが、私が迷惑をかけたのも事実です。……すいませんでした」

 

「――なんですか、その言い方は。もっと素直に謝れないのですか!?」

 

「貴様にそこまで言われる筋合いはない!」

 

「ふざけるな、その傲りきった性根を叩き直してくれる!」

 

「上等です!受けて立ちましょう!」

 

「お二人はいい加減にしてください!!」

 

「「グフッ」」

 

懲りずに何度も頭に血を上らせる脳筋エルフ二人に、リリのバックパックアタックが炸裂する(重要な回復アイテムやドロップアイテムなどは既に避難させてある)。

もちろん、レベルが高いこの二人にはそう大したダメージにはならないが、一瞬衝撃を与えて動きを止めるくらいの事はできる。

そして、そこから始まるのはリリの説教だ。

 

「何度も何度も、何回同じこと繰り返せば気が済むんですか!そんな馬鹿の相手するほどリリ達は暇じゃありません!!これ以上続けるのであれば、お二人を置いてこのまま帰りますからね!?」

 

「「す…、すいませんでした」」

 

「謝るくらいなら最初からしないでください!」

 

常日頃からベルを巡ってヘスティアと覇を競い合っているリリの気迫は伊達ではない。

ポンコツエルフ×2を無理やり黙らせると、リリは改めて話を正しい方向に持っていく。

 

「さて、このポンコツエルフ様×2のせいでとても遠回りしてしまいましたが、本題に入りましょう」

 

「待ちなさい、リリルカ!訂正してください、私はポンコツなどではない!」

 

「そうです!訂正しなさい!」

 

「黙ってください。次余計なこと喋ったら正座ですよ?」

 

第二級冒険者最高レベルと第一級冒険者は、その眼力に押されあっさり黙らされた。

この情けない姿に、ここにいるアストレア・ファミリアの面々は何を思ったのだろうか。

少なくとも、呆れ返ってるのは確かなようで、それを表すかのように大きなため息を吐いている。

 

「話を戻します。まず第一に、あなた方が過去のアストレア・ファミリア、及びガネーシャ・ファミリアの団員であるということは、ベル様の証言がある以上リリ達も疑っていません」

 

「リオンじゃないけど、そんな簡単に信じていいの?自分で言うのなんだけど私達かなり怪しいわよ?私達がアル…じゃなくて、ベルを洗脳したりしてる可能性とか」

 

「自分から言い出す時点で、疑うまでもないでしょう。というか、都市全土の記憶を改竄した美の女神の魅了すら効かないベル様にそんな真似するなんて、ほぼほぼ不可能ですよ。そんな真似しようとした瞬間にファイアボルトですし」

 

「は?都市全土の魅了?」

 

「ベル様の頭のおかしいエピソードなら後で嫌になるほど聞かせてあげますので、今は置いてください。腐る程ありますので。次に行きますよ」

 

リリは一度話を区切り、改めて五人を見渡す。

 

「第二に、こうしてリリ達があなた達を信用する以上、あなた達もリリ達を信用してください」

 

「……、それはちょっと割に合わないんじゃねえか?あんたらがアタシ達を信用しようがしまいが勝手だが、それをアタシ達にも押し付けるなよ」

 

「何も命を預けろとまでは言いませんよ。ただ、地上に戻るまでの間は大人しく言うことを聞いて着いてきてくださいと言ってるんです。どうせ、地上に戻ればここが未来だと証明する手段なんていくらでもあります」

 

ライラはリリの交換条件を聞いて、反論するがリリはそれをさらなる反論でねじ伏せる。

それを聞いた五人は幾らか考えた後、その条件ならばと納得する。

リリの出した交換条件は、アリーゼたちにとって不利になるようなものは何もない。

 

「そして第三に、地上に戻ってここが未来だと納得できたなら、その後の行動の一切をヘスティア・ファミリアの監視下に置かせて頂きます」

 

「リリ、それは―――…」

 

「今後の混乱を避けるためですよ、ベル様。この方達の存在が露見すれば、まず間違いなくオラリオは荒れます。この前の大戦ほどではないでしょうが、混乱に陥るでしょう。それを防ぐためにも、これは必要な措置です」

 

リリの物言いにベルは苦言を呈そうとするが、リリは厳しい口調でそれを断じる。

本人も言う通り、これは必要な措置だ。

それはアリーゼ達にも分かる。

だが、それと同時に疑問も湧いてくる。

なぜ自分たちにそこまでするのかと。

 

「なぜ私達にそこまでする?何を企んでいる、小娘」

 

「何も企んでません。というか、別にあなた達のことを思ってこんな真似してるわけじゃありません。勘違いしないでください」

 

心底嫌だと言うように、リリは眉をひそめる。

そして、それでもベルのためを思って言葉を口にする。

 

「リリは冒険者が大嫌いです。過去から来たとか言う怪しい冒険者がどうなろうが知ったこっちゃありません。オラリオを混乱に陥れようが、どこかで困り果てて死にかけようが、どうでもいいです。でも、ベル様は違うんですよ」

 

リリはベルを見て、指差しながらハッキリとした口調で言う。

 

「ベル様は優しくてお人好しだから、遠くで知り合いが困っていれば助けるし、目の前で怪しい人が死にかけていても助けるんですよ。言っときますが、ベル様は本当に誰でも助けますよ?自分を裏切った盗人サポーターだろうが、自らに破滅を齎しかねない娼婦だろうが、知性を持ったモンスターだろうが、かつてとんでもないことやらかしてブラックリストに乗ってる元冒険者だろうが、勝手な恋心で自分を都市から孤立させた美の女神だろうが!誰であろうと、眼の前で助けを求め、手を伸ばすのであればベル様は助けます」

 

過去の自分を呪うように語気を強めながら、リリはそう言う。

そして、覚悟を込めて、違えてしまった約束を、今度こそ違えないためにも、言うのだ。

 

「リリ達はそんなベル様に助けられたから、そんなベル様のことが大好きだから、ここにいるんです。ベル様を助けるために、リリ達はここにいるんです。だから、ベル様を助けるためにあなた達を助けます。心底嫌ですけど」

 

リリは吐き捨てるようにそう言った。

それを見て、アリーゼ達は否が応でも分からされる。

彼女たちが自分たちに協力するその理由を。

 

「いや、お前何俺たちの代表ですって顔してそんなこと言ってんだよ。ベルが云々のクダリはまあその通りだから別にいいが、俺達は他の冒険者のこと嫌ってるわけじゃねえぞ?」

 

「分かってますよ、そんなことは!!ていうか、今いい感じにカッコいいこと言ったので茶化さないでください!!」

 

先程までの雰囲気を霧散させ、いつもの調子に戻りながらリリはヴェルフに噛みつく。

その様子を見て、いつものようにヘスティア・ファミリアは二人の仲裁に入る。

 

そして、この後いつものようにベルは困っているこの五人を助けるのだろう。

お人好しの団長と、それに付き合うお人好しな団員たち、そしてそんな彼らを肯定し暖かく見守る主神。

それがヘスティア・ファミリアなのだ。

 

さあ、いつものように冒険を続けよう。

 


 

今後の方針が決まり、地上に向けて転進するための準備を進めていた時。

リューの何気ない疑問から、その騒動は始まった。

 

「そう言えばベル。あなたは以前過去に行ったと言っていましたよね?」

 

「? はい、そうですけど」

 

「その時、あなたはどうやってこの世界に戻ってきたのですか?」

 

それは当然の疑問。

むしろ、気づくのが遅いくらいの当然でシンプルな疑問だった。

そして、疑問がシンプルならば答えもまたシンプルなものだ。

ただ―――…。

 

「特に何かをしたわけじゃないんです。ただ、向こうに行った時からずっと、眠れば夢から覚めるだろうなっていう確信はあったので…。案の定、一回気を失ったら戻ってきてました」

 

「そうですか…。―――ん?」

 

その疑問の答えが、シンプルであるが故にベルにとって些か都合が悪いものだったというだけの話だ。

当然、リューやリリはそれに気づく。

 

「待ってください、ベル。そちらの私の話を信じるのであれば、あなたは闇派閥を壊滅させるべく動いていたわけですよね?それは一体、どうやって?」

 

「まさか―――」

 

「え?……―――あ!えっと、いや、その、それは、そんなに、大したことしたわけじゃないんですよ!本当に、ほんの少しだけ、アリーゼさんたちのお手伝いをしただけで」

 

無茶をしたことが知られれば確実に怒られると思い、なんとか誤魔化そうとするベル。

だが、この状況下でベルの仲間は誰もいないのだ。

 

「よく言うぜ。主要闇派閥の幹部捕まえて、連中の作戦軒並み潰して、おまけに誰一人殺さずに戦って。2.3週間くらいか?お前が動いてた期間は」

 

「ちょ、ライラさん!?」

 

「ついた渾名が“道化師(ジェスター)”。あの勇者様が利用できるように敢えて派手に動き回ってたのでしょうけど、大層な二つ名ですねぇ」

 

「輝夜さんまで!?」

 

「ベル…」

「ベル様…」

 

自分たちの知らない所で案の定無茶をしたベルに対し、リューとリリは憤怒の表情を浮かべる。

まずいと思ったベルは助けを求めようと周囲に目を向ける。

 

同じファミリアの仲間であるヴェルフ、命、春姫――ダメだ。

むしろ、リュー達と同じように自分たちの知らない所で無茶をしたことを怒っている。

 

それを察したベルは、一縷の望みを賭けてアリーゼとアーディの方を向く。

リオンはまず間違いなく味方してくれないだろうから、この二人に最後の希望を託したのだ。

 

「ごめんね、アル。その件に関して私も色々思うところがあるから、どちらかと言えばその子達の味方なの」

 

「私達を助けるために色々無茶してくれたんだろうけど、それはそれとして怒られたほうが良いと思うよ」

 

「そんなぁ!?」

 

だが、結果は無惨なものだった。

ベルは迫りくる二人を見て、涙目になりながら自分の未来を悟るのだった。

 

……………

…………

………

……

 

リューとリリに怒られるアル…否、ベルを見て、アーディは言いようがない気持ちを抱える。

 

おそらく、この世界の自分は死んでいるのだろうということは分かっている。

自分の正義感で無茶をして、あの子供自爆に巻き込まれて、死んでしまったのだろう。

自分だけではない。

詳しい経緯は分からないが、リューの態度からすれば、自分だけでなくアリーゼ達も死んでいるのだろう。

それは、アリーゼ達も何となく察している。

リオンは分かっていないだろうが、それはおそらく本人だからだ。

 

自分が死んで、自分たちが死んで、残されたリューは…、リオンは何を思ったのだろう。

それはここにいる大人のリオンにしか分からないだろうが、本人は決してそれを口にしないだろう。

 

ただ、嘆き、悲しみ、自分を呪ったことだけは確かだろう。

優しいリオンは、必ずそうなるだろうから。

 

そうならなかったのは、ひとえにベルのおかげだ。

おそらくリューが話した断片的な情報だけで、闇派閥の壊滅させていったのだろう。

 

自分の命すらも厭わずに。

 

そのおかげで、自分たちはここにいる。

自分たちは、どうしようもなく彼に救われている。

それが、どうしようもなく悔しい。

 

救われたことが悔しいのではない。

彼に何も出来ないことが、悔しいのだ。

 

眼の前のリューは、他の少女たちは、きっと自分たちと同じようにベルに救われた。

そういう意味で考えれば、自分たちと彼女たちは同じだ。

 

でも、彼女たちとは違い、自分たちではベルのために何も出来ない。

違う時代、変わってしまった世界を生きる自分たちでは、ベルに何も出来ないのだ。

 

彼を探して、彼を見つけて。

話を聞いて、話をして。

そうしたら、今度は自分たちで彼を救おうと思っていた。

どんなことでも、どんな些細なことでも構わなかった。

彼のために奮闘し、奔走し、力の限りを尽くそうと。

そう思っていた。

でも、出来ない。

 

それが、どうしようもなく、悔しい。

悔しくて、辛くて、苦しくて、そして、悲しい。

 

自分たちでは、ベル(アル)の力になれない。

 





あとがき

人気が出たとか、そういう調子に乗ったことをいうつもりはありませんが、作者の予想以上に反響があったので続きのようなものを書きました。
もう一つのシリーズと並行して、書いていこうと思います。

ただ、諦めたわけじゃない!
あとがきの度に言い続けましょう!
他の人が書いた話も見たいと!
誰か書いてくれないかな~と!

というわけで、誰か書いてくださる方、募集中です。
書いてくださる方がいようがいまいがこのシリーズは完結させるつもりですので、楽しみにしてくださる方がいれば一応ご安心を。

繰り返します!
誰か書いてください!

お願いします!

以上!
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