最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる   作:雨を呼ぶてるてる坊主

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「ジェノス君と、トレーニングだよ。」


九撃目:弟とトレーニング

ここは、荒廃した平地。そこでは、最強兄弟とジェノスが向かい合っていた。ジェノスが携帯端末をいじりながら、兄弟にヒーロー名簿について説明する。

 

 

「ヒーロー名簿・・・。ホタル先生はS級5位、俺とサイタマ先生は、S級とC級それぞれで最下位に成っています。ジェノス、サイタマと名前がそのまま記載されて居ますが、しばらく活動すると"ヒーローネーム"とやらが付くようです。」

 

 

その言葉に、ホタルが質問する。

 

 

「カミカゼさんの、アトミック侍みたいな感じ?」

 

 

「えぇ。恐らくは、個々のヒーローの特徴を捉えたニックネームのような物でしょう。俺だったら金髪サイボーグとか・・・。」

 

 

そこに、サイタマが突っ込みを入れる

 

 

「おい、その名付け方だと俺は『ハゲマント』とかに成っちゃうんじゃねーの?というか、ホタルのヒーローネームは?」

 

 

そんなサイタマの素朴な疑問に、ジェノスはあっさり答える。

 

 

「ホタル先生のヒーローネームは、公表されてますよ?」

 

 

その言葉に、兄弟は驚愕する。

 

 

「マジで!?早過ぎねぇか!?」

 

 

「な・・・、何で?」

 

 

「ホタル先生の場合、無名時代にもファンが居たらしく、彼らが署名活動を行ったそうです。更に、デビュー早々にS級上位になったインパクトも加味しての事・・・、ヒーローネームは・・・。」

 

 

「ヒーローネームは・・・?」

 

 

サイタマが生唾を飲みながら質問する。

 

 

「激雷の天使・・・と。同じ真ん中に"の"が入っても、音速のソニック(笑)とは大違いですね。ヒーローネームとは別に、(ちまた)では建御雷神様とも呼ばれてるらしいですね。」

 

 

そう言ってソニックの二つ名を鼻で笑いながら、ジェノスは解説する。

 

 

「ヒーロ-じゃなかったら、厨二病扱いされそう・・・。神様扱いも荷が重いかな〜。(ソニックさんの扱い・・・。まだ会った事無いけど、御愁傷様です・・・。)」

 

 

そうしているとジェノスは携帯端末を仕舞い、改めて兄弟に向き合う。

 

 

「まぁ、そんな話はどうでもいいとして、今日は無理な頼みを聞いてくれて、有り難う御座います。」

 

 

「うん、弟子にしちゃうって言ったからね。そこは(こた)えてあげないと。僕とお兄ちゃんの2人同時に戦う訳だけど大丈夫?」

 

 

そう言って心配するホタルに、ジェノスは首を振る。

 

 

「強くなる為です・・・。先生達の本気を引き出せるようぶつかっていきます。・・・お願いします。」

 

 

ジェノスが呟いた瞬間、肩のブーストが火を噴き飛び蹴りを二人に放つ。ドォォンという音と共に、ジェノスの直線移動上の地面が衝撃波で(えぐ)れる。

 

 

「・・・凄い。S級認定されただけはあるね。」

 

 

「そうだな~。」

 

 

しかし流石は最強兄弟。並外れた反射神経と動体視力でそれを(かわ)す。しかし、ジェノスはもう動いていた。

 

 

上体を下げた二人に追撃するように、掌から火を噴かせ体を回転させた勢いで空中の回し蹴りを二人に当てようとする。

 

 

しかし、それをも二人は避ける。

 

 

次にジェノスは空に跳び上がると上空から踵落としを叩き込むが、兄弟は空に跳び上がる。

 

 

だが、そこを狙ったかのようにジェノスが砲口を上空に向けてぶっ放す。しかし・・・。

 

 

「あーぶねー。まーた服が燃えるとこだった。」

 

 

そうぼやくサイタマに・・・

 

 

「お兄ちゃんの服、直すの大変だからね~。」

 

 

のほほんと笑うホタルが降り立つ。当然無傷で。

 

 

しかし、当然ジェノスも諦めはしない。クラウチングスタートのような体勢に成ると、初撃の飛び蹴りとは比べ物にならないスピードで移動していく。

 

 

だが、当然兄弟も持ち前の人間の限界を超えた、超人的なスピードでジェノスにぶつかる。

 

 

その結果、荒廃した更地に3本の残像が浮かび上がる。追跡したジェノスが岩壁に拳の連打を叩き込むが、その二つの影は・・・。

 

 

(居ない!?最初から残像を相手に殴っていたのか!?)

 

 

次の瞬間サイボーグ化した眼球のセンサーを使い兄弟を捉えると・・・、兄弟は全力疾走していた。

 

 

しかし、その目の前に両手を巨大な砲口に展開させたジェノスが立ち塞がる。

 

 

「お・・・。」

 

 

「わ。速いね。」

 

 

そう驚く兄弟の前に立ちはだかると、腕を変形させエネルギーを貯める

 

 

「焼却!!」

 

 

次に放たれるのは、辺り一面を(えぐ)り取らんばかりの焼却である!!

 

 

(完全に捉えた・・・。これで、先生達も少しは本気に・・・。)

 

 

しかし・・・。ポンポンと後ろから肩を叩かれ・・・

 

 

(うし・・・!?)

 

 

驚いた顔を向けようとすると、頬をホタルに突かれていた。その横ではサイタマが笑っている。

 

 

「えいっ♪」

 

 

「はい、俺達の勝・・・。」

 

 

「くっ!!」

 

 

振り返りざまに拳をふるうが・・・。

 

 

「今の反応速度、中々良かったよ。」

 

 

兄弟は飛び立ち、遠く離れた場所に着地する。ホタルがスマートに着地したのに対し、サイタマは少しよろめいていた。

 

 

「おっとっとっと・・・。」

 

 

「お兄ちゃん、着地時のバランス保つの苦手・・・?」

 

 

「ま、まぁな・・・。」

 

 

そう兄弟が話していると、ジェノスが少し怒った声を出す。

 

 

「サイタマ先生、ホタル先生・・・。この手合わせのルールを忘れたのですか?回避可能な攻撃は、ちゃんと回避する事。ふざけずに、真面目にやる事。俺に気を使わない事。そして・・・、俺が戦闘不能になるまで続ける事・・・。」

 

 

その言葉を、兄弟は首を傾げながら聞き続ける。

 

 

「「・・・・・・?」」

 

 

「以上!(サイタマ先生でさえ説明できない、純粋な強さの秘密・・・。世界の創造や破壊も可能なほどのホタル先生の強大な能力・・・。この戦いで何か掴めるかもしれない・・・。)」

 

 

ジェノスがそう断言した直後・・・。二人は無言で接近していた。

 

 

(近い・・・!!)

 

 

そこに、ジェノスが全身全霊の回し蹴りを放つが・・・。

 

 

「・・・!」

 

 

目にも止まらぬ速さで後ろに回り込んだサイタマが拳を振り上げ・・・。

 

 

「・・・雷槍、砂鉄槍。200連・・・。」

 

 

いつの間にか空中に浮かび上がったホタルが、200を超える砂鉄槍と雷槍を空に浮かび上がらせていた。

 

 

その瞬間にジェノスの脳裏によぎった、一語の漢字・・・、それは・・・。

 

 

 

 

しかし、その拳は眼前寸前で止まり、無数の槍も後頭部に刺さるか刺さらないかギリギリの所で停止していた。

 

 

すると、サイタマは引き締めていた顔を緩め・・・。

 

 

「腹減った。飯だ飯。うどん食いに行こうぜ~。ホタル~、早く行くぞー。降りて来ーい。」

 

 

その言葉に、雷槍と砂鉄槍を解除したホタルも降りて来る。

 

 

「はーい。」

 

 

そして、ジェノスもよろめきながら返事をする。

 

 

「・・・行きましょう。(強く成る為なら、どんな事でもやる覚悟はある。・・・だが、俺が先生達の強さに近づけるイメージが、全く湧かない・・・。次元が違う・・・。)」

 

 

そんな弟子に対し・・・

 

 

(ジェノス君・・・、おうどん嫌だったのかな?)

 

 

ホタルは見当違いな事を考えていた。

 

 

━━━━━━━━━━━━━━━━

うどん屋の帰り道・・・、ホタルは大食いチャレンジに挑戦してギブアップした兄を背負っていた。

 

 

「おうどん美味しかったね~。」

 

 

ホタルがジェノスに話しかけると、返事が返って来るが・・・

 

 

「そうですね・・・。」

 

 

その声と顔には、焦燥感が宿っていた。そして、それに気付かないホタルではない。

 

 

「・・・ジェノス君。もしかして焦ってる?」

 

 

「・・・分かりますか。」

 

 

「・・・うん。ジェノス君が強くなりたいのは、復讐の為だったっけ?」

 

 

そうホタルが聞くと、ジェノスは頷く。

 

 

「はい。あの暴走サイボーグを(めっ)するまでは死ねません・・・。というより、サイボーグなのでパーツを変えれば死なないんですがね・・・。」

 

 

そう言うと、自嘲気味に笑う。

 

 

「・・・復讐か~。それが終わったらどうするの?」

 

 

「それが終わったら・・・?それが終わったら・・・、終わったら・・・。」

 

 

そう言いながら頭を悩ませるが、答えを出す様子はない。

 

 

「考えて無い感じ?」

 

 

「お恥ずかしながら・・・。」

 

 

そうジェノスが言うと、ホタルは幼子に語り掛ける母親の様に優しく助言する。

 

 

「そっか・・・、僕は大事な人を失った事はあるけど奪われた訳じゃ無いから、軽い感じに聞こえるかもしれないけど、今のままじゃぁジェノス君は復讐が終わったら、ふらっと何処かに消えちゃう危うさがあるんだよね。僕はそうなって欲しくないし、お兄ちゃんもジェノス君にはそうなって欲しくないと思ってる(はず)。だから、復讐を忘れろとは言わないけど、復讐を人生のゴールにしないこと。悩みが有ったら共有してね。僕達は師弟関係以前に、肩を並べるヒーローなんだから。」

 

 

そうふわりと微笑むと、ジェノスは静かに返事をする。

 

 

「はい・・・。」

 

 

「あとね・・・、ジェノス君の心を折る訳じゃ無いんだけど・・・。言いたい事があるんだよね・・・。」

 

 

「な、何でしょう。」

 

 

そのジェノスの質問に、少し言い(よど)みながら言葉を紡ぎ出す。

 

 

「・・・多分、あくまで予想だけどね?僕とお兄ちゃんの背中を追っかけるだけじゃ、ジェノス君は強くは成れないと思う・・・。」

 

 

その言葉に、ジェノスはショックを受ける。

 

 

「・・・!!そ、それは・・・、弟子失格という事ですか?」

 

 

そう言うジェノスに、ホタルは慌てて訂正する。

 

 

「ち、違うよ?んー、何と言うか"強さの種類"が違う感じかな?」

 

 

「強さの・・・種類?」

 

 

「ほら、お兄ちゃんはフィジカル面に突出してるけど、僕は超能力に突出してるでしょ?ジェノス君はサイボーグだし、それぞれの目指す"最強"は違うと思うんだよね。」

 

 

その言葉を、ジェノスは黙って聞く。

 

 

「・・・・・・。」

 

 

「つまり何が言いたいかというと、僕達の背中を追うだけじゃなくて、ジェノス君なりの"最強"を探せばいいと思うよ。言いたいことはそれだけ。」

 

 

そう言うと、ジェノスは少し考える。

 

 

「俺なりの"最強"・・・。・・・少し考えてみます。」

 

 

「うん・・・。ゆっくり考えてね。ジェノス君の"最強"はジェノス君にしか分からないから・・・。それじゃあ今日は此処で。」

 

 

そう言うと、分かれ道でホタルはジェノスに別れを告げる。

 

 

「分かりました。では、また明日。」

 

 

「また明日ね。」

 

 

そう言って二人は帰路に就いた。

 

 

意外と、しっかり先生をしているホタルであった。




「激雷の天使・・・、か、かっこいいのかな・・・?それにしても、僕の言葉がジェノス君に響いてたら良いな・・・。」
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