最強のハゲには、男の娘かつ最強電気使いの弟がいる 作:雨を呼ぶてるてる坊主
少し前まで静かだった、Z市。しかし、今は警報音一色だった。
「緊急避難警報!災害レベル竜!やばいので逃げて下さい!巨大隕石落下まで、あと21分!専門家の話では、Z市は丸ごと消滅するとの事!可能な限り、急いで遠くまで逃げて下さい!!」
アナウンスが必死に呼びかけるが、人々の顔に浮かぶのは絶望の二文字。逃げていた人々も、次第に足を止め始めた。
「でけぇ・・・。」
「こりゃ、駄目だな・・・。」
「死ぬ前に、彼女欲しかったなぁ・・・。」
市民達がそんな事をぼやいている中、ビルの上を飛び回る影と、隕石目掛けて翼を広げて飛び掛かる影があった。ホタルとジェノスである。
すると、ジェノスの頭の中にホタルの声が響く。
(ジェノス君、聞こえてる?)
(ホタル先生!?)
(距離的に肉声だと届かないから、ジェノス君にハッキングして語り掛けてるよ。)
(聞こえます!)
そう応答を確認すると、ホタルは指示を出す。
(僕は、隕石の後ろに回ってから、隕石に⊕電荷を付与して隕石を引っ張ってみる!ジェノス君は地上から焼却で隕石を押し返して!!隕石を原子レベルまで分解しようとも思ったんだけど、その場合長時間の集中が必要になっちゃうから、これは却下!!)
(・・・分かりました!!)
作戦としては、隕石の破壊がベスト。
しかし、壊れなかった場合にも落下の衝撃を和らげる為に、ホタルが空中から隕石を引っ張り、ジェノスが隕石を押し返すようにして焼却を放ち、なるべく勢いを衰えさせる作戦である。
(ですが、もし失敗した場合は・・・。)
そうネガティブな声を出すジェノスを、珍しくホタルは一喝する。
(失敗した時の事を考えちゃ駄目!ベストを尽くそう!!)
(はい・・・。まさか、この試作品を試す羽目になるとは・・・。)
ジェノスがアタッシュケースを投げると、ケースが変形してアームに変わった。
(俺の焼却砲フルパワーでなんとか迎撃出来ないか・・・、この街には先生達も住んでいる。俺だけ逃げる訳にはいかない!)
次の瞬間、巨大な何かがジェノスの横を猛スピードで飛んで行った。
(ホタル先生?いや、あれは・・・、ボフォイか!)
そう言い切った時には、巨大メカが屋上に降り立っていた。
「お前は・・・ボフォイだな。(S級7位。高火力の兵器で、敵を周囲の建物ごと粉砕するヒーロー!こいつもZ市に住んでいるのか?それとも、命を張って駆け付けたのか・・・。)」
その質問に、ロボから音声が流れる
「オ前ハ・・・。新人ノジェノスカ。隕石ヲ止メニ来タノカ?」
「あぁ、S級5位のホタル先生・・・激雷の天使も来ている。ボフォイ、お前の力を貸してくれ。」
ジェノスはそう頼み込むが・・・。
「断ル。」
ボフォイはキッパリと断った。それにジェノスは疑問を返す。
「・・・何故だ?」
「俺ハ、新兵器ノ実験ノタメニ来タダケダ。隕石トハ都合ガイイ。」
その答えに、ジェノスは
「実験だと?そんな場合じゃないだろう。隕石が落ちれば、お前も死ぬんだぞ。」
「俺ハ死ナン。」
「何?」
「今、オ前ガ話シカケテイルノハ、遠隔操作サレテイルロボットダ。残念ダガ、俺ハ命ヲ懸ケテイル訳ジャナイ。隕石デ死ヌノハゴメンダ。」
ボフォイのその言葉に、ジェノスは押し黙る。
「・・・・・・。」
「ソレト俺ヲ呼ブ時ハ、ボフォイデハナク、メタルナイトト呼ベ。ヒーローハ本名ジャナク、ヒーロー名デ呼べ。常識ダ。オマエノ師ノヨウナ例外ハ居ルガナ・・・。ット、ソロソロ話シテイル場合ジャ無クナッテ来タナ。」
そうメタルナイトが呟くと、隕石がさっきよりも近くなっていた!そこに、ホタルからの通信が入る!
(ジェノス君!ポイントに着いたよ!!)
(・・・分かりました!!直ぐに向かいます!!)
そう言うと、ジェノスは隕石の真下のビルに飛び移る。
「・・・ここか。」
すると、メタルナイトが・・・。
「ミサイル、発射!!」
大量のミサイルを撃ち出したのだ!!そうして上がった発射音に、上空に居たホタルが混乱する。
(え?ジェノス君何かした?)
(メタルナイトのミサイルです!!)
(嘘でしょ・・・瓦礫の破片が下に落ちちゃうよ!!)
その言葉に、ジェノスはメタルナイトに非難の目を向ける。
(余計な真似を・・・!このタイミングじゃ、かえって邪魔になる!!)
すると、ドォォンとミサイルが着弾したと同時、上空で爆風が引き起こる。
(・・・・・・っ!!)
(メタルナイト!!・・・こいつ!これだけの破壊兵器を!!こいつは危険だ!警戒しておく必要がある!!)
その威力に、ホタルとジェノスは戦慄する。
だがしかし、隕石の勢いは衰えない・・・。いや、少し衰え始めている。
(ジェノス君!もうすでに、能力で上空に留めようとしてる!早く焼却を!!)
「ダメカ・・・コノ程度デハ・・・。」
そう言うと、メタルナイトは去っていく。
(くそ・・・、衝突まで推定33秒!!フルパワーで焼却砲を打ち込むまで、体内エネルギーチャージに5秒かかる!標的は迫っているし、ホタル先生はもう動いている!!考えている暇があるのか!?攻撃が命中したとして、その後はどうする。隕石が破裂して大惨事が起きるのではないか?その前に、俺のパワーで破壊できるのか?メタルナイトの大量ミサイルでさえ、効果は薄かったというのに・・・。)
考え込んでしまうジェノス。だがそこに、声が掛かった。声の主はバングだ。
「まぁ、落ち着け。心に乱れが見える。お主は失敗を考えるには、まだ若すぎるのぉ・・・。適当でええんじゃ適当で。土壇場こそな。結果は変わらん、それがベストなんじゃ。」
(適当が・・・ベスト?)
その時、脳裏に浮かぶのはフィジカル最強の師匠の顔。そして、何を思ったか服を破り。ボディの装甲に内蔵されている、エネルギーコアを腕部に装着したのだ。
「バング!伏せていろ!!」
「ほ?」
「ホタル先生!行きます!!」
そのジェノスの言葉に、ホタルが呼応する。
(了解!!)
(失敗や二次的な被害なんて考えない。この一撃に・・・俺の今を。全てを!捧げる!!)
すると、今までの焼却とは比べ物にならない、高密度の焼却をぶっ放した!!
(来た!!)
「ぐああああああ!!」
そう叫びながら、ジェノスは隕石を押しとどめようとし・・・
(はあああああ!!)
ホタルは隕石を引っ張り上げる。
「ぐぐぐ・・・駄目だ!勢いは衰えても、破壊できるような物じゃない!!」
そう言うジェノスに、バングが声を上げる。
「いや!気のせいか隕石の大きさが小さく成っているように見えるぞ!!」
「本当か!?」
しかし・・・
「あ、気のせいじゃった!」
なんと気のせいだった。そんなバングのボケっぷりに、ジェノスは声を荒げる。
「糞ジジイめ!!」
(ジェノス君!言葉遣い!!)
「す、すみません!!(ここが俺の、墓場か!)」
次の瞬間、エネルギーを使い果たしたのかジェノスが膝から崩れ落ちる。
「残り9秒・・・逃げるんだバングさん・・・。」
しかしそこへ・・・。
「爺さん、こいつ任せるぞ。」
何者かが現れ、バングが素性を
「だ!誰じゃね君は?」
その言葉に、決め台詞の様に言う。
「俺は、ヒーローをやっている者だ。避難してな、爺さん。」
現れたのは、我らが最強サイタマだ!
(せ、先生・・・?)
最強の片割れ・・・現着。
「お兄ちゃんが、現着したよ。」